
2015/10/20 - 2015/10/26
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Rainy☆Wongさん
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静かに降り続く雨と、燃えるように赤いドラゴンフルーツ、ガジュマルの木。
小さな教会にはブーゲンビリアが咲き、まるで絵本のようだ。
奄美大島での旅の記録。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 3.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 1.5
- 交通
- 1.0
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩 Peach
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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風に、秋の乾いた匂いが混じり始めた東京から2時間半。小さな奄美空港は、ささやかで真面目な感じがする。空港というよりは、地方都市の区役所や市民ホールといった雰囲気。よし、好きな感じだ。
奄美空港 空港
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雨上がりなのだろう。外に出ると、もわっとした土と植物の匂い。
10月終わりのこの島には、確かにまだ夏が居座っている。予想以上に高い気温と湿気に、季節が逆戻りした様な不思議な感覚を覚える。奄美空港 空港
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バスに乗り宿に向かう頃には、雨が静かに降り出した。
奄美の雨の降りかたは、沖縄や台湾とは違う。この時季だけなのかもしれないが、音もなく、細かい雨が霧の様に降る。 -
小高い山の頂上にあるこの宿は、ホテル カルフォルニア。
奄美オーベルジュ アガルイ 宿・ホテル
2名1室合計 8,000円~
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翌日も朝から雨。
なんの変哲も無いドーナツショップだが、ここが南国ということと、なんの予定もない身軽さとが相まって、すごく居心地の良い場所に感じた。止む気配のない雨もどこか楽しい。
薄いコーヒーと、油と砂糖の匂い。 -
雨に濡れた植物は、美しさが増すように思う。
とりわけ、南国の花々は色が濃くなり艶が出る。 -
奄美の町の造りや、家々の建築デザインは、沖縄の琉球建築とは異なる。
本土のものともまた少し違うのだが、どちらかというといわゆる大和様式。
しかし、市街地を離れたバスから見える景色は、いかにも南国のジャングルで、沖縄でもなければ、日本のようで日本ではないような、独特の雰囲気。 -
バスストップの極楽鳥花。
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奄美には、島中に古く小さな教会が点在している。
路線バスで少し走るだけでも、いくつも見つけることができる。
細かく、暖かい雨の中に佇む教会は、浮世離れした美しさだ。 -
この島には、ぎらぎらした色彩がまるでない。
花々や海や空は一様に美しい深い色をしているが、ぎらぎらというのではなく、湿度が高いというか、ぽってりとしている。
彩度が高いのではなく、色が濃いのだ。 -
教会の中は、意識が遠のく程の静寂が支配している。
重い雨雲が消え、神々しい程の光が窓から入った。 -
教会の中庭のブーゲンビリア。
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人々の信仰のための場所が好きだ。
教会はもちろん、タイ仏教寺院、モスク、道端の祭壇、日本の寺、神社。
きらびやかな美しいものも好きなのだが、こじんまりと古い、それでいて良く手入れのされている場所が最も相性がいい。 -
午前中の雨模様が一転、笑ってしまうほど抜けのいい青空。
急激な光の明暗差に、しばらく目が眩む。
海岸には誰もおらず、信じられないくらいの青の青さに、言葉も失う。土盛海岸 自然・景勝地
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この土盛海岸は、海水の透明度が非常に高く、浅瀬なのか深いのか一見判断がつかない。べたつく感じはまるでないのだが、水温が高く、少しとろっとした感触。
一面の青く澄んだ海面を見ていると、遠近感がずれて行き、風景の輪郭もぼやけて行くのがわかる。土盛海岸 自然・景勝地
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強い南風に揺れるパームツリー。
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いつもなら同じカットは2枚、多くても縦位置横位置入れて4枚ほどしか撮影しない。しかし奄美では2日目にして全体の撮影枚数が1,000枚を超えていた。
絵本のような色の組み合わせが多く、ファインダーを覗いていると時間を忘れて撮り過ぎてしまうのだ。 -
また雨雲が出てきた。青にグレーが混じり始め、気温が一気に下がった。
島の天気は目まぐるしく変わる。
地元の人だろうか、旅人だろうか、バスの運転手以外でこの日初めて人を見た。 -
低く垂れ込んだ雲、小雨の降る草原。
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実のなるバナナの木は実芭蕉。実のならない木は葉芭蕉。
それぞれに用途が違うのだと、いつだったか波照間島の老人に聞いたことがある。
これは実芭蕉だな、と、ひとりうなずきながら雨宿りをする。 -
30分もすれば、また刺すような日差しが戻る。
むせ返るほどの湿気と濃い植物の匂い。 -
奄美では、植物はもちろんだが、人もある種の湿り気というか、静かな優しさがある様に思う。からっと明るいとか、ぱっと陽気で賑やかというのではなく、淑やかに優しいのだ。
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こどもの頃好きだった菓子パン。東京ではもうすっかり見かけなくなっていたので懐かしく、迷わず手にとった。
ぺかぺかしたプラスチックの様な色のウエハースと、ぽそぽそとした植物性クリームの懐かしさ。 -
町中には懐かしい感じのする、レトロなダイナーが多い。
シナモンのきいたミルクコーヒーを飲みながら、熱海あたりの雰囲気に似ているな、と思った。海に面した町の、独特な(いい意味での)閉鎖感、時間の流れが鈍る感じが堪らなく好きだ。 -
土産物屋のトロピカルシャツ。
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南国の夜は長い。サイパンや沖縄でもそうだが、人々はよく飲みよく食べる。繁華街とされるエリアでは、平日でも朝方まで飲食店が営業している。
島の規模から考えると、この辺りの繁盛ぶりには少し驚いた。 -
旅先の、特に宿において変な物撮りをしたくなるのが私の癖の様だ。
奄美オーベルジュ アガルイ 宿・ホテル
2名1室合計 8,000円~
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宿を選ぶ時の条件が2つある。
放っておいてくれる事、その土地の気配が持ち込まれている事。
外の世界から遮断された様な、過度な快適さは必要無い。基本的に自堕落な人間なので、豪華で快適すぎるとホテルから一歩も出ない危険があるからだ。奄美オーベルジュ アガルイ 宿・ホテル
2名1室合計 8,000円~
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旅に出た時、ここに住めるだろうかと必ず思ってみる。その場所で何か仕事をして、部屋を借りて、いつも行くはずの食堂やカフェならどこだろうかと考えてみる。
その方が、ただのお客様で撮る写真より、少しはその土地に入り込んだ写真になる気がするからだ。
奄美のカルフォルニアは居心地がいい。奄美オーベルジュ アガルイ 宿・ホテル
2名1室合計 8,000円~
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この黒糖玄米乳と、奄美のソウルドリンクでもあるミキ(びっくりするほど甘い、お粥の様な飲みもの)は、滞在中の朝食代りとなった。
奄美の味付けは、過激だ。甘いものは甘く、塩辛いものはとことん塩辛い。
初めは驚くほどの味加減だが、汗をかき、強い日差しで疲れた体にはちょうどいい事が分かる。 -
カルフォルニアから町まで降りる途中にある民家の方から頂いたドラゴンフルーツ。冷えたものをわざわざカットして、プラスチックのバッグに入れて持たせてくれた。
実は濃い赤で、バッグの底に溜まった果汁は紫がかったピンク色をしている。
強い青草の匂いと、強い甘み。生命力のある美しい果物だなと思う。 -
奄美に来て驚いたもののひとつに、路線バスの豪華さがある。
いわゆる乗合路線バスではなく、修学旅行や慰安旅行でチャーターした時の様なバスなのだ。経緯の程は謎だが、快適さこの上ない。 -
奄美では、どこにいても海の匂いがする。
暖かい風は強く、雲が勢いよく流れる。
嵐が来るかもしれないねと、アイスクリーム屋の店主が客と話している。 -
この島で、鶏飯というものを生まれて初めて食べた。この味が忘れられず、東京に戻ってからいくつも探して食べたが、奄美のこのファミリーレストランの鶏飯にすら及ばない。そして奄美の専門店の鶏飯は、別次元の旨さだ。
しっかりした塩味がついた鶏だしの濃いスープは、野性的で、命そのものの様な味がする。 -
小さな島バナナ。花のような香りと、しっかりとした酸味、裏漉ししたさつまいものようなクリーミーな食感。もはやこれはバナナなどではなく、何か全く違う別の果物といった感じがする。
大変希少なものらしく、島内でもなかなか出回らない。この小さな実が4本で1,000円ほど。 -
誰もいないガスステーションは間が抜けている。
不思議な雰囲気でなぜか惹かれる。 -
町中にあるスーパーマーケット。土産物も揃う。購入したものを含んでいれば、ここから荷物も送れるので重宝した。
店頭には、黒糖やドラゴンフルーツ、グアバ、見たこともない切り花が並び、南国情緒たっぷりだ。グリーンストア (入舟店) スーパー・コンビニ・量販店
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単純でわかりやすいものが好きだ。例えばこのパイン糖。
飾り気のないイノセントな食べ物だと思う。 -
どこまでも続く浅瀬には、おもちゃの様な色の熱帯魚が泳ぐ。
人を全く警戒せず魚から近寄って来る。土盛海岸 自然・景勝地
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不格好だが香りの良いグアバ。爽やかな酸味があり、少しの渋味が新鮮さを証明している。野菜や果物が美味しいのは水が良いからだ。
水が良い場所は、人も優しい。
人も水も、くせがなく、まろやかだ。 -
人影がなく、晴れて眩しいサトウキビ畑。
バスから窓ガラス越しに覗くと、まるでビデオの一時停止を見ている様な感覚になる。チカチカと、同じ景色が続く。 -
龍の鱗の様な外観から、中国では火龍果と呼ばれるドラゴンフルーツ。
果肉が白いものと赤いものとがあるが、奄美のドラゴンフルーツは赤がほとんどだ。
町役場の駐車場や、民家の庭先に植えてあることもあり、生活に根付いたものである事が分かる。 -
「今は他に行こうとは思わないよ、島を出てもみんな帰って来るんだから。こんな良い場所はないよ。」
若い時に東京にいた事があるという、タクシーの運転手が言った。
数日滞在しただけの私が、ここまで奄美の魅力にやられているのだ。この島で生まれて育ってしまった人に、奄美を忘れられるわけがないのは当然だ。土盛海岸 自然・景勝地
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離島の歴史は皆一様にして悲しい。迫害や貧困、そして自然の厳しさは想像を絶する。その中で島の人たちは信仰を拠り所として、じっと耐えて来たのではないだろうか。そしてその上に、今のうつくしい奄美があるのだと思う。
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ほんとうに穏やかな島だなと思う。それでいて、神々しい何か、神秘的な何かをちゃんと感じられる場所でもある。
島全体がやさしい気配に包まれていて、心が鎮まる感じがする。土盛海岸 自然・景勝地
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静かに降り続いた雨も、赤い龍の鱗も、山の上のカルフォルニアも、全てが夢の様に美しかった。
その昔、少ない食材でも人をもてなしたいという気持ちから生まれたのが奄美料理だ。自分たちを弾圧、迫害しようとする者に対してさえも、真心を持ってもてなしたのだと食堂のおばあさんに聞いた。
脈々と受け継がれた慈愛の心が、今の奄美にも満ちているのだと感じた。
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