2017/09/08 - 2017/09/08
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ペコちゃんさん
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一昨年の7月初めに行田の古代蓮を見に行った時に、展望台から見事な田んぼアートを見たことがあります。
稲が色づき始めた9月上旬に、ステンドグラスのメンバー7名で、一昨年に続いて二度目の田んぼアートを見に行きました。
毎年、素晴らしいアートが繰り広げられていますが、今年の作品も見ごたえ十分・・・一緒に行った皆さんと、しばし見とれました。
行田市内で昼食をとった後は、熊谷にある妻沼聖天山(めぬましょうでんざん)へ。
妻沼聖天山の歓喜院聖天堂は、建造物として埼玉県で唯一の国宝に指定されており、一度訪れたかったお寺です。
「埼玉の小日光」とも呼ばれるだけあって、見事な装飾には目を奪われます。
写真は、歓喜院聖天堂・奥殿の羽目板に描かれた「鷲と猿」・・・木から滑り急流に落ちそうになったサルを、鷲が助けている絵で、猿が人間の煩悩を表し、それを救う鷲が聖天を象徴すると言われます。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
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8時半に地元を車で出発して、11時に「古代蓮の里」に到着。
駐車場に車を停めて、蓮池に向かいます。 -
蓮の花が終わったこの時期は、地元の方たちが池の清掃中。
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行田の名物グルメといえば「ゼリーフライ」。
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ゼリーフライは、豆腐のおからにジャガイモ・人参・長ネギを細かく刻んで混ぜて、植物油で揚げて特製ソースにくぐらせた食べ物。
コロモのついていないコロッケ、といった感じで、ヘルシーで美味しい!
形が小判型=銭型をしているところから、「ぜに」が訛ってゼリーフライと呼ばれるようになったとか・・・昭和初期の頃から、行田の庶民の「おやつ」として愛されてきました。 -
平成13年にオープンした「古代蓮会館」に入り、エレベーターで地上50mの展望室へ。
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10年目を迎える、行田の田んぼアート・・・今年のテーマは「イナダヒメノミコトとスサノオノミコト」。
稲田の守護神である「イナダヒメノミコト(稲田姫命、別名:クシイナダヒメ)」は、ヤマタノオロチの生贄として殺されそうになりますが、そこに「天照大神」の弟「スサノオノミコト」が現れて怪物を退治した後、2人は夫婦に・・・古代ロマン溢れるアートが描かれています。 -
東会場の田んぼアート(27,195平方m)は、2015年に「最大の田んぼアート」として、ギネス世界記録に認定されました。
あまりの大きさとガラス張りの展望室のため、綺麗な全景を撮るのは難しい。(この写真はHPより) -
私が撮った写真は、こんなもんです。
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10周年の今年は、新たに南会場にも田んぼアートが出現!
池井戸潤さんの小説「陸王」は行田市が舞台で、創業100年の老舗の足袋製造会社「こはぜ屋」が、社運をかけてランニングシューズの開発に挑戦するストーリーです。
10月からTBSの「日曜劇場」で放映されることが決定したので、主演を務める役所広司さんの似顔絵が、1万平方mの田んぼに描かれています。
一目で役所広司さんと分かる素晴らしい出来栄えでした。 -
昼食は、いつもの創作和食「渡ら瀬」。
12時に予約を入れておきました。 -
緑に囲まれた、この空間が素敵です。
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喫煙コーナーも、いい感じですね。
グループのメンバー約一名が、いつもここでお世話になっています。 -
メニューは「寿司膳」・・・お寿司・天婦羅・小鉢・サラダ・茶碗蒸しにお蕎麦がついて、1,280円。
ウーン! 食べきれません・・・とても、美味しゅうございました! -
ゆっくり昼食を楽しんだ後は、車で約1時間の熊谷へ。
通称「妻沼の聖天さま」と言われる「妻沼聖天山歓喜院」は、東京都台東区の本龍院(通称:待乳山聖天)、奈良県生駒市の宝山寺(通称:生駒聖天)と共に「日本三大聖天」の一つとされています。 -
妻沼聖天山は、寺伝によれば1179年に、長井庄(熊谷市妻沼)を本拠とした武将・斎藤別当実盛が、守り本尊の大聖歓喜天(聖天)を祀る聖天宮を建立し、長井庄の総鎮守としたのが始まりです。
1192年に下野国に向かう途中の源頼朝も参詣した由緒ある寺院で、中門の左前に設置されている「武州妻沼聖天山図」を見ると、境内の建物配置がよく分かります。 -
妻沼聖天山は、高野山真言宗の準別格本山。
参道を進み、「貴惣門」をくぐります。
門の左右には、持国天と多聞天(毘沙門天)の像が安置されています。 -
貴惣門は高さ18mの銅板葺きの八脚門で、1851年に建てられました。
横から見ると、破風を三つ重ねた特異な形式の門であることが分ります。 -
二番目の「中門」は、建造年は不明ですが、聖天山の建造物の中で最古のものです。
寛文(1661~1673年)の大火の際に、唯一、類焼を免れました。
仲人業が盛んだった時代には、貴惣門と仁王門の間を取り持つ中門を男女の待ち合わせ場所として、初顔合わせの後に本殿にお参りして数多くの良縁を結んだと伝えられており、中門は縁結びのパワースポットになっています。 -
「聖天さま」といえばサクラ。
春の境内はソメイヨシノの花に埋まり、11月から秋ザクラ・冬ザクラが花をつけ、早春にはカンザクラやカワヅザクラなどが楽しめ、「東国花の寺 百ヶ寺」にもなっています。 -
「仁王門」は1658年に創建されましたが、明治時代に台風で倒壊し明治27年に再建されました。
中央には六角形の吊り灯籠。 -
門の左右にある仁王像は、室町時代の気風を残す逸品。
右側は、口を開いた阿形像。 -
左側は、口を結んだ吽形像。
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本殿の前にある、庭儀法会を行うための「石舞台」。
右側は、お札・お守りなどを売っている社務所。 -
歓喜院聖天堂の本殿は、火事などの被害で数度に渡り再建され、現在の建物は1742年に完成しました。
日光東照宮の創建から百年あまり後に、東照宮の修復にも参加した職人たちによって建てられた、江戸後期の装飾建築の代表作です。 -
完成してから約250年、平成23年に「平成の大修理」が完了して、建立当時の美しい姿が蘇り、平成24年7月に埼玉県内の建造物として初の国宝指定を受けました。
本殿の屋根は千鳥破風の銅板葺き入母屋作りで、拝殿は曲線を描く唐破風。 -
拝殿の向拝に彫られた「琴棋書画(きんきしょが)」・・・「琴棋書画」とは、中国古来の文人にとって必須の教養や風流事だった「琴」「囲碁」「書」「絵」の四芸を意味します。
左から順に「絵を見る子ども」「碁を打つ人々」「琴を弾く男」「文字を読み書きする子ども」・・・彫られた人々の温和な表情が、見る人の心を和ませてくれます。
親しみやすい「琴棋書画」を拝殿の正面に描いたのは、聖天堂と庶民とのつながりの深さを示すものと言えます。
その下の彫刻は「目貫(めぬき)の龍」。 -
目貫の龍の右側には、阿形の虎。
虎の左右には、虹梁(こうりょう)にかぶりついている邪鬼。 -
本殿拝殿の正面は自由に観ることが出来ますが、拝殿正面以外は塀で囲まれているので、奥殿(写真:左)の極彩色の彫刻を観るために、700円を支払って入場。
透塀(すきべい)越しに、奥殿の南面が見えます。 -
極彩色の彫刻で覆い尽くされている歓喜院聖天堂の奥殿を、南面 ⇒ 西面 ⇒ 北面と、順番に見て回ります。
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修復前の聖天堂は、上の写真と比べると、まるで別物のようです。
保存修復工事は7年(平成15~22年)の歳月をかけ、総工費は約13億円。
聖天堂を埋め尽くす霊獣や七福神・唐子などの彫刻だけでなく、内部についても修復され、その緻密で正確な仕事に驚かされます。(写真は熊谷市HPより) -
階段の下に彫られた葡萄と「鼠」、その下には、牡丹の花にとまる蝶々と戯れる「猫」の彫刻。
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欄干の手摺は、先端を切り落として漆を塗り、錺金物(かざりかなもの)で覆っている「跳高欄(はねこうらん)」。
先端に描かれた三つ巴の紋は、火事除けでしょうか。
その上には、南面の彫刻の中で目を引く「鷲と猿」。 -
一見、鷲が猿を捕まえているようにみえますが、実は鷲が猿を助けているところ。
木登り上手な筈の猿が、慢心して川に落ちかかったところを鷲が助けるという図で、
鷲=聖天様
猿=煩悩の川に落ちて溺れかけている人間
を表しています。 -
その右側の火灯窓にも、龍の彫刻が・・・歓喜院聖天堂・奥殿には、70頭以上の龍が彫られています。
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唐破風(写真:左上)には、三聖人(孔子・釈迦・老子)が一つの瓶を囲んでいる彫刻があります。
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これは、三聖人が酢を舐めて、その酸っぱさを共感している様子を表現したもので、「三聖吸酸(さんせいきゅうさん)」という中国の故事に由来しています。
つまり、酢が酸っぱいという事実は、誰でも同じであり、儒教・仏教・道教など宗教や思想が異なっていても、真理は一つであるという「三教一致」を意味しています。
三聖人が共に人差し指を立てて、酸っぱさを確認するように口を小さく開けている姿はとても温和で、親しみを感じます。 -
南面の彫刻「阿の龍」・・・阿吽(あうん)とは仏教の呪文(真言)の1つで、阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であることから、宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされていますが、狛犬や仁王など対となる物を表すものにも使用されます。
口が開いている南面の阿形は、口を閉じている北面の吽形と対になっています。 -
南面の左側は、寿老人が鹿を従え、子供たち一緒になって鶴・亀に餌を与える図。
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羽目板彫刻だけでなく、縁下の腰羽目彫刻も見事です。
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これは「竹馬遊び」・・・遊びに興じる生き生きした子どもたちの表情が、平和の世を表しています。
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これは「こまどり遊び」。
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子供たちの表情が、何とも言えず可愛い!
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欄干を支えているお猿さん達の仕草と表情が可愛らしい。
南面・西面・北面に4匹づついますが、北面には親子猿がいるので、全部で13匹。 -
西面の大羽目彫刻には、布袋様・恵比寿様・大黒様が描かれています。
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唐破風下の彫刻は「司馬温公の瓶割り」。
これは、司馬温公(1019~1086年)が子供の頃、水瓶に落ちた友達を救うために水瓶を割っている図で、どんなに高価なものでも、人の命には替えられないというという諫めです。 -
中央にある大羽目彫刻には、布袋様と恵比寿様が囲碁を打ち、大黒様がそれを眺める場面が描かれています。
三福神が酒を飲みながら碁打ちに興じる姿は、争いのない平和な世を願う心を表現したもの。
この彫刻が縁となり、平成24年には歓喜院の本坊書院が本因坊戦第2局の会場となり、今年の6月も5年振りに行われました。 -
左側の彫刻は、布袋様と恵比寿様が囲碁に興じている間に、大黒様の米俵に乗ったり、鯛を担いだり、釣竿を取り合う子供たちが、楽しそうに描かれています。
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右側の彫刻は、囲碁を打つ布袋様の袋で遊ぶ子供たち。
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北面も素晴らしい彫刻で飾られています。
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唐破風下の「猩猩酒遊図」・・・高風(こうふう)という親孝行な息子が、酒を売れば裕福になれるという夢のお告げを見て、酒売りになったところ、大変繁盛しました。そこへ猩猩が現れ、高風の親孝行ぶりを褒め称え、酒を飲み舞を踊り、いくら汲んでも尽きることが無い酒壺を与えて姿を消したという縁起の良い話で、社会の豊かさを表現したものです。
中央の酒壺からは、酒が溢れ出ています。 -
大羽目彫刻の右側は「吉祥天と弁財天の双六(すごろく)」・・・弁財天と吉祥天が双六をして遊んでいるのを、毘沙門天が覗き込んでいます。
すっかり双六の勝負に夢中になった毘沙門天のおかげで、いつも踏みつけられている天邪鬼も伸び伸びとして、隣の女性を呼び寄せています。
この絵には、神様たちがみんなの願い事に飛び回るだけでなく、のんびりと遊びに興じることができる時間が持てるような、平和な世であって欲しい、との願いが込められています。 -
縁下腰羽目の彫刻「獅子舞」・・・獅子の後ろから顔を出している子供をよく見ると、「あかんべー」をしています。
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「梅竹に雪ころばし七人」。
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「相撲大会」。
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上部に彫られた「鳳凰」・・・南面の鳳凰は阿形で嘴が開いていますが、北面の鳳凰は吽形で嘴が閉じています。
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親に抱かれた子猿をいれて、全部で13匹。
素晴らしい彫刻や色の美しさを楽しみましたが、太陽光や風雨で色が褪せてしまわないかと気になります。
一日でも長くこの美しさを保つために、何か工夫がないかと思いました。 -
欅と榎が互いに寄り添い、力強く生きる「夫婦の木」・・・境内にある縁結びのご神木です。
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「良い子だねー、こっち向いて!」「ニャーニ?」
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参道両脇の道路には色々なお店が並んでおり、まさに門前町。
この店は、田山花袋「残雪」の舞台となった「千代枡」・・・うなぎの美味しい店です。 -
でも、名物の稲荷寿司「聖天寿し」は、残念ながら売り切れ!
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帰りに「道の駅めぬま」に立ち寄り・・・ここは地元で生産された野菜が、新鮮で安い!
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そして嬉しいことに、妻沼聖天山で買いそびれた聖天寿しがありました。
妻沼で生まれ育った日本で初の女医・荻野吟子に因んで、名前は「吟ぎん寿し」(430円)。
甘く、濃い味付けの油揚げに包まれた、美味しい稲荷寿司を買って帰り、本日の埼玉ツアーは無事終わりました。
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