2017/08/30 - 2017/08/30
3192位(同エリア9501件中)
ころたさん
8/4から11/5まで開催される3年に一度の横浜トリエンナーレ。春に直島を訪ねて( http://4travel.jp/travelogue/11228944 )コンテンポラリーの洗礼を受けた俺としては、ここも見ておかなばならないだろう。俺の審美眼に最新のアートはどう応えてくれるのか。一つここはじっくりと見せてもらおう。
な~んっちゃってホントは取っている新聞屋の抽選でチケットが2枚手に入ったんだ。いつもなら美大に行っている娘を連れて行くのだが、夏休みも最後になって今日はどっかに遊びに行っちゃった。しょ~がない、ワイフでも連れて行くか・・・
横浜トリエンナーレ 後編:http://4travel.jp/travelogue/11277612
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
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今年のヨコトリの会場は3つ。メインの横浜美術館と赤レンガ倉庫、横浜開港記念会館。手始めに開港記念会館から攻めよう。市営地下鉄の日本大通り駅からすぐだ。
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地下鉄の出口から地上に出れば、目の前が開港記念会館。赤いレンガと尖塔が美しい。
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今年のヨコトリのテーマは「島と星座とガラパゴス」。う~ん、イマイチな響きだが、要は島々や星々のように幾多のアートを散りばめたってとこか?ガラパゴスが分らんなぁ。日本のガラケーはあまりいい意味に使わないぞ。
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それぞれのアーティストが独自に進化しましたって言いたいのかな?
基本、俺は頭デッカチにアートを捉えたくない人間なんで。なので座右の銘は
「考えるな、かんじるんだ!」
Viva! Bruce Lee!! -
で、開港記念会館の地下に展示室はある。アーティストは柳幸典、いきなり大御所だ。
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照明を落とした地下に入ると、多くの文字が並んだアクリルのモノリス。
刻まれている文字は何かの名前と1979から82年にかけての日時、そしてMururoa Atoll ・・・。ムルロア環礁! そうか、これはフランスの核実験の年表だ。
これが以降の展示品を暗示しいる。 -
出ました、かのゴジラですね。瓦礫の中に光る巨大な目玉は、ゴジラの目を表している。
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そしてその目玉には、様々な禍々しい風景が映し出される。核実験のキノコ雲、戦争、瓦礫・・・
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次の部屋には崩れ去った赤いネオンサインと、散乱するレンガ。ネオンサインには憲法第9条の条文。なんとも切ない思いに駆られる。
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そして最後の部屋には、殺伐とした地下室の奥にどでかい太陽が揺らめく。フレアの荒々しい動きだけが暗闇に浮かび上がる。
これは希望の光か、はたまた地獄の業火なのか。 -
頼むよ、俺は考えないって言っているでしょうが。最初から殺伐とした気分にさせないでくれるかな。
などと思いながら開港記念会館を出て、赤レンガ倉庫に向かう。シルクセンターの前をあかいくつ号が通り過ぎていく。これで十分アートでしょ。美しいでしょ~が。 -
象の鼻パークを過ぎる。ほら、ここの象さんだってアートしてるでしょ。
なんで無理やりアートをややこしくするかな。 -
ここから橋を渡れば、もう赤レンガ。橋から見えるワンドマークタワーはずいぶん遠く感じるが、今日はあそこまで歩くんだぞ。
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線路の残る橋の先には赤レンガ倉庫。今日は夏らしい暑さだ。
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到着~。休日には人でごった返す赤レンガも、木曜の昼には人影まばら。
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開場はテナントの入る棟の向いの倉庫。その2階3階が会場だ。
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我々はチケットを持っているが、入場料は3会場込みで大人1800円。見ごたえたっぷりだよ。と言うか、一日では見切れない。
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赤レンガ倉庫には全部で10名のアーティストの作品が展示されている。ビデオ作品も多いので、じっくり時間を取ろう。
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まずは3階に上がる。壁のレンガが美しい。コンテンポラリーアートがよく似あう。
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この会場の作品はだいたい好きだな。
まずは宇治野宗輝という50代の作家による作品群。 -
家電や楽器、自転車などをにぎやかに組み合わせた上に、そのいくつかを動かしてカメラで撮影し、プロジェクターで投映している。
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例えばここの横になったコーラのボトルをクルクル回して、それを正面のスクリーンににぎやかな音と共に映写する。いかにも!という一昔前のモダンアート(と言っては失礼か)。
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次、ドイツのヤンコフスキーの作品。素直に笑いましょう。
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重量挙げの選手たちがワルシャワにあるモニュメントを持ち上げようとする様子を、ビデオと写真で紹介している。
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「選手たち、力が入ります! あ~残念、3回目も失敗です。」
いくら何でも無理だと思うよ。でもこれ、アートだよね。 -
これに至っては、マッサージ師が横浜にある彫刻をマッサージしているビデオを、マッサージチェアに座って見るというアート。ムーアの彫刻を触りながらマッサージ師が、
「あ~ここ凝ってますね。しばらく揉むと血行が良くなってきます。」
んな訳ないだろ! でもパンフレットによれば、
「歴史と分断したかに見える公共彫刻を、現代の文脈においてとらえなおそうと試みる。」
あ~もうコメント自らがシャレでしょ、絶対に。 -
次、照沼敦朗という30代の作家の作品2点。華やかな色使いの絵の上に、アニメが映写される「ミエテルノゾム」。
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それに相対するは、モノクロの重く不気味な「ミエナイノゾミ」。
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所々にディスプレーが埋め込まれ、アンニュイな映像が映し出される。
明暗の対比はおもしろいが、個人的には「アマリスキデハナイ」。 -
いいんだよ、アートは個々で感じ方が違って。
どんどん行こう。小沢剛の「帰って来たK.T.O」。K.T.Oってなに?会場に置かれた特刷新聞によれば、 -
Kakuzo Tenshin Okakura。即ち岡倉天心覚三のインド紀行がテーマらしい。インド各地の絵と、現代のインドの音楽グループの映像。う~ん、これも「アマリスキデハナイ」。
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この人は好きだな。青山悟と彼の祖父の作品のコラボ。
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表に祖父の油絵、裏に青山の刺繍作品が背中合わせにディスプレーされる。
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これ、黒布に金糸で刺繍した作品なのよ。手縫いなの。超絶技法!
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これは中国の董媛の「おばあちゃんの家」。区画整理のため解体されることになった祖母の家を油絵で忠実に再現した。おばあちゃんの食卓を眺めるオジイチャン。
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壁の写真から何から家ごと全てだ。「制度と個人の関係性」なんて小難しいことを言わなくたって、感じるものは感じる。
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俺にとってはこれが一番だな。アイスランドのキャルタンソンのビデオ作品。古い家の9つの部屋で9人のミュージシャンが同時に演奏を始める様子を、9つのスクリーンに映し出す。
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ピアノ、ギター、ドラム、チェロ等々。奏者はリビングにいたり、ベッドで寛いでいたり、風呂に入っていたり。
それぞれの奏者に近付けば楽器の音が大きくなる。まるでサロンミュージックを生で聞いているよう。 -
奏者たちはヘッドホンで音をシンクロさせながら、ポップなワルツを歌いながら演奏する。そして、庭にいたコーラス隊と、なぜかヘルメットをかぶったおじさん一人。
なに? -
と、音楽が盛り上がった時に突然、
「ドッカ~~ン」
置いてあった古風な大砲をぶちかました。ハハハッ、思わず笑っちゃったよ。手、叩いちゃった。 -
そしてオジサンは大砲を片付け始め、曲は終盤を迎える。
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他の部屋でもミュージシャンが片付け準備。ピアノマンは葉巻をくゆらせながら、ワインを飲み始める。
実はここからが長くて、ちょっとスマートさに掛けたのが玉にキズ。でも音楽を介して映像を介して人は繋がれる、という事を表しているんだろうな。 -
最後は福島の今を伝える、 Don't Follow the Wind プロジェクトのVR展示。あちこちにある怪しげな箱はヘッドディスプレー。そこには封鎖された福島原発地域の現場に実際に展示されている作品が全周VRで映し出される。12組のアーティストが誰も踏み入らない場所に作品を展示したのだ。いつか封鎖が解かれて人の目に触れる日を夢見て。なんと切ないことか。
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だから考えるのは嫌だって言っているんだよ。と言いながら会場を出た。
赤レンガ倉庫の商業施設棟には平日だと言うのに人がワンサカいた。ヨコトリ会場はあまり混んでいなくてよかったな。 -
ここから15分も歩けば横浜美術館だ。途中でランチを取って横美に向かおう。
後編に続く: http://4travel.jp/travelogue/11277612
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