2017/04/14 - 2017/04/21
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ヘラヤガラさん
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今年のメトロポリタンオペラ(以下METと略)の旅は,
4月14日から21日までの7泊5演目の鑑賞。1年間の
オペラの聴きだめである。
オペラはライブに限る。歌手とオーケストラが,共にノ
リノリになったときの臨場感はこたえられない。レコード
やCDを聴くこともあるが,そのときもライブ録音盤限定。
しかし,そのライブ録音盤でも現在の技術は,歌手の音量
の最適化(どの歌手も同じ音量で聞こえる),音程や音階
などの調整・修正は自由自在で,実際のライブの状況を
100%伝えているとはいえない,とかつてフランスのオ
ーケストラメンバーから教えられた。それ故のライブ聴き
だめの旅である。音楽,絵画などの芸術は生が一番。
今年も前シーズン(2015-16)中に前売り予約を
すると,10%割引になるという特約を活用した。ネット
予約で,チケットは劇場のチケットブースで受け取る。お
得感(夫婦二人5演目で440ドルほど)があるが欠点も
ある。この歌手,この演出のときはいい席で鑑賞したいと
思っても,予約演目は同じランクの席でしか予約できない
のだ。
今シーズンの5演目は,『椿姫』『エフゲニー・オネー
ギン』『ばらの騎士』『リゴレット』『アイーダ』。ホテ
ルは劇場に徒歩で往復できる西57丁目(6番街と7番街
の間)のソールズベリー・ホテル。いいオペラの感慨に浸
りながら歩いて帰るというのも至福のとき。文句を言いな
がらのときもあるけど。
写真:過去の公演プログラムを並べてみた。2016-
17シーズン(写真右端)の表紙を飾るのは,『ばらの騎
士』に出演のルネ・フレミングとエリーナ・ガランチャ。
あとは右から順に,2015-16,2012-13,
2010-11,2008-09シーズン。表紙はスター
歌手の出演するオペラで飾るのが基本。2冊抜けているが,
どこかにしまい忘れている。
中身の構成はワンパターンで毎年同じ。本文ページは
公演日,上演のオペラ,出演歌手を,その日の公演に合
わせて変更している。急病などにより,突然の歌手変更
があるときは,細長いスリップを挟み込んで知らせる。
METには豪華なプログラムを売ってもうけようなどと
いう,考えはないようだ。高い席に行っても安い席に行
ってもこれが全員に配られる。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 航空会社
- JAL
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
チケットを受け取りに行く
ニューヨーク(以下,NYCと略)到着日(14日)に最初
にやらなければならないことが予約チケットの受け取り。
チケットブースで,メール送信された引換証とチケットを交
換する。ブースの前は今日の演目『椿姫(以下トラヴィアー
タ)』『アイーダ』『エフゲニー・オネーギン』『ばらの騎
士』と今回の滞在で見る予定の公演ポスターが並んでいる。
あれれっ!『リゴレット』は?
今16:30過ぎ。今日の開演は19:30,これからホ
テルに戻り着替え,夕食をとって再度会場へ行くとなると,
仮眠する時間はなさそう。眠気に襲われないかがちょっと心
配になる。 -
今回は海外で『トラヴィアータ』を聞くことが第一の目的。
予約時点でヴィオレッタ役のソプラノが誰のきに行くかが
悩みの種となった。METの公演は,通常は1演目7~8回。
『トラヴィアータ』は超人気種目のせいか,2月末日から千
秋楽(4月14日。以下,楽日と略)まで公演が15回ある。
さて,3月に行くか,4月に行くか。
METの3月のカレンダーを見ると,3月18日までは
ソニア・ヨンチェーバ,22日からはカルメン・ジャンナ
タッシオ。どちらも初めて聞くソプラノ。さて,どちらに
しようかな? 最初は配役の変わり目に行き,両者を聴き
比べようかとも思ったが……。 -
-
14日/『トラヴィアータ』。ポスターでカレンダーに
出ていない名前を発見
METの『トラヴィアータ』のポスターを見ている。
そこにはヴィオレッタ役としてもう一人のソプラノの
名が……。予約チェックのときには出てこなかった
オルガ・ペレチャツコ。あれ,れっ!
しかも,印刷された配役の上にプリンターで打ち出
した紙をそのままのり付けしている。いかにも手作業
らしくそののり付けのなんて適当なこと。カッターで
きちんとまっすぐに切れば見栄えもいいのに,ハサミ
で適当に切ったまま。日本では絶対あり得ないいい加
減さに,笑いが込み上げる。 -
そのとき,日本人オペラファンに突然話し掛けられた。
ポスターを見ていると,「METに来る前に日本でペレ
チャツコの『ルチア』を聴いたけどよかったですよ」
との声が。続けて「ペレチャツコの出る回はいつだった
のかな?」と,いかにも聞く機会に恵まれず残念そうな
風情。会話はそれだけだったのだが,われわれもそう
いう歌手なら……と,ちょっと心穏やかではいられ
なかった。
とはいっても,ここまでの場面は実はオペラ終演後の
出来事。今日の『トラヴィアータ』終演後の話。この日
本人に「ちょっと一杯どうですか?」とオペラ談義の
誘いをかければ面白かったのかな~との思いがよぎった。
ところが,今回の滞在中の鑑賞演目には名前がなかった
ペレチャツコを,思いがけず聴く機会が訪れようとは……。 -
カルメン・ジャンナタッシオのヴィオレッタに乾杯
舞台登場の第一声にゾクッときた。その色気のある声と若々
しく張りのある声に大満足。裏声と地声の切り替えもスムーズ
だし,結核で死ぬという終演に向かって調子もぐんぐん上がっ
てくる。これからも目を離せない一人かな,との思いを強くし
た。今日を選んでよかった~!
楽日を選んで思惑通り,との感慨もあった。公演日を選ぶと
きの目安は,初日,楽日,録画予定日を重視するのが自分なり
のこだわり。いい批評をもらおうと張り切る初日,いよいよ最
終日という緊張感から解放される楽日,ライブ放映やビデオ収
録で持ち味を発揮しようとする録画日,いずれの日も歌手たち
の気合が乗る日。元オーケストラの団員からもいい選択基準と
いわれたことがある。
とはいえ,ヨンチェーバ,ペレチャツコの舞台は聞いていな
いが,この二人からは今日以上の感動が得られたのかもしれな
い。ヨンチェーバについては,近年のプラグラム構成をみると,
METが起用に力を入れているような状況も感じられる。
人はいつの誰のヴィオレッタがよかった,というかもしれな
い。人や聴いた日により違いがあるところが,生き物であるオ
ペラの面白いところ。いつ聴いたかは,運・不運の問題で,今
日の舞台が満足できる舞台であったことを喜びたい。 -
演出には失望感
『トラヴィアータ』の演出は,2005年にザルツブルク音
楽祭で話題となった演出の模倣。舞台装置は開始から最後の場
面まで,このカーテンコールの背景のままである。物語のあら
すじから演出の意図はよくわかるが,率直な感想は死神なんか
出てこなくていい,時計もいらない,貴族社会の華やかな舞台
に戻してくれ,である。
現代版に置き換えた新演出は,これからも様々な演目で増え
ていくだろうが,オペラは歴史の1幕として時代考証を踏まえ
た姿で見たい。背広を着て頭を七三に分けた歌舞伎や,カクテ
ルドレス姿の『蝶々夫人』なんて見たいかしら? -
圧倒的な存在感を示したドミンゴ
ヴィオレッタの恋人のアルフレードの父親役で登場。舞台に
姿を現しただけで歌わずとも盛大な拍手が巻き起こる。日本で
はあまり考えられない,METの宝塚ファン的なスターへの対応。
今までに30公演以上聴いた中では,聴衆のこういう反応があ
ったのは,アンナ・ネトレプコ(毎回)とロランド・ヴィラゾ
ンの二人しかいない。
70歳を過ぎても衰えを感じさせないドミンゴの歌唱力と声
量と演技力に脱帽。アルフレードが怒りにまかせてとった醜い
行動に,ドミンゴのビンタがさく裂し,その音が天井桟敷にま
で響くという迫真の演技にも,聴衆席からは「オーッ」のどよ
めきが起こった。アルフレード役の○○,相当痛そうだった。
公演にあたっては,練習もおろそかにしない真摯な姿勢が高く
評価されている,とも伝えられる。 -
4月15日/『エフゲニー・オネーギン』(I0278)
毎年のMET紀行に必ずリストアップする,アンナ・ネ
トレプコの日。どんなに声を張り上げる場面でも,声量豊
かに一杯いっぱいを感じさせない余裕の歌唱は大歌手,超A級。
その圧倒的な声量で,音は前へ前へと突き抜けて聞こえ
てくる。声が横に広がったり,モゴモゴと口の中でこもっ
てしまうことがない。
ベルリンのヴァルトビューネ野外コンサートは,2万人
以上の聴衆が集まることで有名。すり鉢状の自然の地形を
利用した場所で,マイクを使って行われる。そんな中でも
彼女はただ独りマイクを外して歌ってしまう。
ただ,オペラの父といわれるヴェルディ作曲のオペラを
あまり演じないので,一部にはそれほど評価をしていない
オペラファンもいる,と聞いたこともある。
初めて彼女を聴いたのは日本でのオペラ。小澤征爾が指
揮する『ラ・ボエーム』。このときははねっ帰り娘だが心
やさしいムゼッタ役だった。そのムゼッタは,これまで見
たことも聴いたこともないというほど絶品。演奏会後も興
奮が冷めず,この歌手は絶対大物になると確信した。
それ以来TV,DVDも含めて機会あるごとに聴いてい
る。オペラ界には,「ムゼッタ役で成功した歌手は大物に
なる」という格言があるというが,その通りのキャリアに
なっている。自分の先見の明にも満足している。現在MET
で最も出演料の高い歌手といわれている。 -
有名な「手紙のアリア」を歌い終わったネトレプコ
心を込めた手紙の内容に,感情が高ぶり床に突っ伏すタチ
アーナ(役名)。拍手の嵐に身をゆだねたネトレプコは,1
分近くいや以上か……動くことができない。ついに指揮者が
タクトを振り演奏をすすめることに。
役を完全に自分のものにしており,水泳の北島康介ではな
いが,「何も言えない」といったところで,お見事! としか
言葉が見つからない。
初めて経験する演目だったが,METライブビューイング
(映画)でやるというので,復習に行かなければ!! -
17日/『ばらの騎士』(I0230)
ルネ・フレミングとエリーナ・ガランチャの組み合わせに期
待。メゾ・ソプラノのエリーナ・ガランチャが演ずるのは軍隊
の士官という男役。日本ではズボン役といわれる。モーツアル
トの作品などにもよくズボン役が登場する。
写真:前奏曲が始まった直後の場面。華やかさがあふれる貴族
の館の廊下。 -
残念なことが二つ
一つはフレミングがこのシーズンの公演後,5月13日
にオペラから引退するということ。まだ還暦前,声も十分
出ているのにもう聞けなくなってしまうとは。
もう一つは,当代一流のメゾソプラノのガランチャが,
今回に限っていえば全体の中で埋没してしまっていたよう
な感じで,その持ち味が感じられなかったこと。とはいっ
ても,これもまたMETライブビューイングで再確認した
い。
写真:『ばらの騎士』のカーテンコール。左からガランチ
ャ,指揮者のウィーグル,フレミング。 -
19日/『リゴレット』
前奏曲の演奏中に幕が半分上がったときの場面。前奏曲が
終わると同時に幕がすべて上がり,きらびやかなでにぎやか
なラスヴェガスの賭博場の場面となる。 -
終幕の場面/川端の娼館
現代のラスヴェガスでの物語らしく,この館に主人公リゴレ
ットと娘ジルダが自動車でやって来ている。リゴレットは,貴
族(この演出では金持ちのドラ息子といったところか)にだま
されたジルダの,復讐のために殺し屋を雇い貴族の殺害を依頼
している。一部始終を聞いていた娘が,貴族をあきらめきれず
に身代わりとなって死ぬ場面。
涙なしには見られないとの感想を抱く人も多い。通常は郊外
のさびれた薄暗い居酒屋といった雰囲気の場面だが,背景の青
い灯はラスヴェガスの歓楽街の夜も眠らないにぎやかさを象徴
しているのかな? トータルで場面設定を考えれば,そう違和
感は感じられない。 -
ジルダ役の可憐な声のソプラノは誰?
今日まで3日間3人のすばらしいソプラノに恵まれた。朝か
らずっと今日と明日のソプラノは期待薄では,との強迫観念に
襲われた。両日とも予約の段階では,ソプラノ役の名前には名
前に聞き覚えがなかった。今日はソプラノ役には有名な独唱が
あるので,うまく表現できるかなというのが心配だった。その
歌の場面,きれいな声が汚れを知らない可憐な娘役をよくとら
えていた。
なんと,このソプラノこそが,『トラヴィアータ』の3人の
歌手の一人のオルガ・プレチャツコだった。予約時点とは歌手
変更になっていた。立ち位置が悪いといった舞台慣れしていな
いような様子も見受けられたが,声を聴くことができてよかっ
た~! これからも注目したい歌手の一人となりそう。
オペラでは歌手変更がよくある。A級の歌手がB級の歌手に
代わる悪い変更もあれば,逆の場合もある。悪い場合には客席
からブーイングが起こったり,日本では「金返せ!」というヤ
ジが飛ぶ。逆なら大歓迎の熱狂の拍手が響く。
写真:聴衆の称賛を浴びるペレチャツコ -
20日/『アイーダ』(I0380)
第2幕の凱旋の場。エチオピア軍との戦争に勝利したエジプ
トの将軍ラダメスが,戦利品と捕虜を引き連れ凱旋してくる場
面。いかにもMETらしい豪華絢爛な舞台が見もの。馬も登場した。
中段のライオンの脇に並ぶラッパ手が凱旋の行進曲を吹く。サ
ッカーの応援でおなじみの旋律。
この場面では,アイーダホーンという長いトランペット(旗
がぶら下がっていることもある)が使われるが,今日の舞台で
使われているのは普通のトランペット。アイーダホーンをを目
にする機会はそうそうないので,ちょっとがっかり。
それ以上にがっかりだったのがラダメス。見栄えがよくかっ
こいい将軍の風情だが,歌に存在感がない。ラダメスには,開
幕直後に有名な独唱(「清きアイーダ」)があるのだが,声が出
ないし外れる。最も開幕直後の独唱なので,よほどの事前準備
をしていないと出来不出来が目立つ独唱だが,今日はダメだっ
た。
これが尾を引いたわけではないだろうが,ふつうは舞台が進
むとともに声が出るようになるのだが,このテノールはついに
最後まで乗り切れなかった。
写真:今までの写真にもあったが、黒い棒状のものは聴衆席の
手すり。今回は全公演でこの座席の位置に悩まされた。
早期予約にはいい席を割り当てるというようなうたい文
句もあったが、来シーズンは考えを改める必要がありそう。
-
オーケストラ・ボックスのハープ
『アイーダ』ではハープが活躍する。ハープといえばいかに
もクラシックの楽器らしい,こってり装飾を創造するが,今日
使われていたのはシンプル装飾でしかも真っ赤。何かいわれが
あるのだろうか。
METの首席ハープ奏者は日本人だそうだ。 -
アイーダを演じたムーア(I0397)
全体的な歌手陣の不調な中で,ただ一人気を吐きオペラを盛
り上げていたのがアイーダ役のソプラノ。4日目からのソプラ
ノに対して強迫観念が芽生えていたが,4日目はペレチャツコ
が,そして5日目の今日はムーアが,それを払しょくしてくれた。
若々しい張りのある声はアイーダにはぴったり。アメリカ人
だったのでホームタウンで地元ひいきがあったかもしれないが,
歌手陣の中で独り勝ちの状態となった。カーテンコールでは拍
手を独占するような感じで,ついには両手を掲げてのガッツポ
ーズまで飛び出してしまった。
五演目を総合してみれば5人のソプラノが,われわれの観劇
と感激を盛り上げてくれた滞在となった。
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