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<br />パナマシティからコロンビアの首都ボゴタへの切符を、コスタリカの首都サンホセで買うと決めた。<br /> 物価も高く、もともと治安が悪い上に、いまはノリエガ将軍の独裁体制が危機に瀕して、どうなるかわからない。<br /><br />世界旅行者としては、神に導かれている。<br />もし旅の途中で倒れるとしたら、それも神の定めだ。<br /><br />旅行会社のOTECへ行って、とっとと切符を買ってしまおう。<br /> 切符を買うのはいいが、切符を買うためには、ドルのトラベラーズチェックを両替しなければならない。<br /><br />ホテルの部屋へ戻り、椅子にチェーンで結びつけてあるバックパックをあける。<br /> 50ドルのトラベラーズチェックを2枚取り出す。<br /><br />買う切符は一番安いパナマ~ボゴタの片道切符、90ドルというやつだ。<br /> 階段を駆け降りてホテルのおじさんに、「おじさーん!すみませーん」と大声で叫ぶ。<br /><br />返事がない。<br />どこかに出かけているのだろう。<br /><br />銀行で替えると時間がかかり過ぎるし、少しでもいいレートで替えたい。<br />おじさんを待っていても仕方がないので、近くの同じようなホテルに行くことにする。<br /><br />同じようなホテルなら、同じようなおじさんがいて、同じようなレートでドルを両替するだろうと考えたのだ。<br />この時期の両替レートは、1ドルが80コローネちょっとで、1コローネは1.5円と考えていた。<br /><br />歩いている時に見つけていた「ホテルアジア」に走る。<br /> 階段を駆け上ったところにある受付で、「ディスクルペー(すみませーん)」と大声を出す。<br /><br />ちょっと痩せたマネージャーが出てきて「部屋を見るか?」と聞く。<br /> 即座に僕の「愛想よさ」が出る。<br /><br />「いま泊まってるホテルをかわろうと思っているんですが、部屋を見せてくれませんか?よかったら明日から泊まります」<br />そして部屋を見せてもらった。<br /><br />1泊350コローネ(5百円ちょっと)。<br />こじんまりして清潔でなかなかいい部屋だった。<br /><br />僕は汚くてもゆがんでいても高くても(1泊500コローネ/750円)「モラサン」の広々とした部屋がいいので変わる気はない。<br /> 泊まる素振りを見せたのは「気持ちよく両替をしてもらうため」だ。<br /><br />この時期(1989年)のコスタリカでは実勢レートと公定レートの差がほとんどない。<br /> 僕が両替しようとしている100ドルを両替しても、180円ぐらいの差だ。<br /><br />面倒ぐさがられたり嫌われたら断ってもさしつかえのない金額なのだ。<br />それに比べて僕はいますぐに90ドル分のコローネが必要だ。<br /><br />僕の立場は弱い。<br /> 「力の強いものの前では、相手のご機嫌を取ること」<br /><br />これは旅行中に非常に役に立つ「世界旅行定理」の根本原則だ。<br /> 「ちょっと切符を買うのでいいレートで両替してくれませんか?」と聞いてみる。<br /><br />1ドル=82コローネのレートだ。<br />このレートでかまわない。<br /><br />マネージャーの横から50歳ぐらいの旅行者が「どこへ飛ぶんだい?」とオーストラリア訛の英語で聞いてくる。<br /> 「パナマからコロンビアへ行くつもりなんです」と答える。<br /><br />オーストラリア人旅行者は「パナマへ行くなんて、それは危ないよ!もうすぐ戦争になるよ」と顔をしかめる。<br />マネージャーも「ムイ・ペリグローソー(ごっつう危のうおまっせ)」と言う。<br /><br />両替した後で、このオーストラリア人とちょっと話をする。<br /> 彼はコロンビアへも行ったことがあるそうだ。<br /><br />続けて「コロンビアではコカイン密売組織が争っていて、危険極まりない」と、話してくれた。<br />う~ん、迷うな~。<br /><br />両替したコローネを手にして「ホテルアジア」を出て、交差点に来た。<br /> 左に行けば旅行会社のOTEC、右に行けば僕の宿「モラサン」、迷って迷って決められなくなった。<br /><br />右にも左にもいけない。<br />こういう時は、え~い、仕方ない、後戻りしよう。<br /><br />Uターンして&quot;MUSEO NACIONAL DE PANAMA&quot;(パナマ国立博物館)へ向かう。<br /> 「ホテルアジア」のマネージャーから、ぜひ見るようにと勧められていたからだ。<br /><br />映画館「シネ・レアル」で「レインマン」を見た。<br /> 面白くなかった。<br /><br /><br /> <br /><br />部屋に戻ってベッドに横になり、考える。<br /> 結局切符を買わなかった。<br /><br />それは「両替しようとした時にモラサンのマネージャーがいなかった」からだ。<br /> 「ホテルアジアのマネージャーがパナマ行きを止めた」。<br /><br />「会ったばかりのオーストラリア人旅行者がパナマもコロンビアも危ないと断言した」せいだ。<br />これを総合すると、神のお告げは明白に下っている。<br /><br />「パナマにもコロンビアにも行くな」<br />コスタリカからエクアドルへ飛べということだ。<br /><br />こういう時は、わざわざパナマへ行ってはならない。<br /> 無理をしてはいけない。<br /><br />だって‥‥。<br /><br />ひとはただ神の示すままに生きるだけなのだから。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />

『世界旅行者に、パナマへは行くなとの、神のお告げが示される』@サンホセ/コスタリカ

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1987/09/07 - 1990/05/05

89位(同エリア103件中)

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みどくつ

みどくつさん


パナマシティからコロンビアの首都ボゴタへの切符を、コスタリカの首都サンホセで買うと決めた。
物価も高く、もともと治安が悪い上に、いまはノリエガ将軍の独裁体制が危機に瀕して、どうなるかわからない。

世界旅行者としては、神に導かれている。
もし旅の途中で倒れるとしたら、それも神の定めだ。

旅行会社のOTECへ行って、とっとと切符を買ってしまおう。
切符を買うのはいいが、切符を買うためには、ドルのトラベラーズチェックを両替しなければならない。

ホテルの部屋へ戻り、椅子にチェーンで結びつけてあるバックパックをあける。
50ドルのトラベラーズチェックを2枚取り出す。

買う切符は一番安いパナマ~ボゴタの片道切符、90ドルというやつだ。
階段を駆け降りてホテルのおじさんに、「おじさーん!すみませーん」と大声で叫ぶ。

返事がない。
どこかに出かけているのだろう。

銀行で替えると時間がかかり過ぎるし、少しでもいいレートで替えたい。
おじさんを待っていても仕方がないので、近くの同じようなホテルに行くことにする。

同じようなホテルなら、同じようなおじさんがいて、同じようなレートでドルを両替するだろうと考えたのだ。
この時期の両替レートは、1ドルが80コローネちょっとで、1コローネは1.5円と考えていた。

歩いている時に見つけていた「ホテルアジア」に走る。
階段を駆け上ったところにある受付で、「ディスクルペー(すみませーん)」と大声を出す。

ちょっと痩せたマネージャーが出てきて「部屋を見るか?」と聞く。
即座に僕の「愛想よさ」が出る。

「いま泊まってるホテルをかわろうと思っているんですが、部屋を見せてくれませんか?よかったら明日から泊まります」
そして部屋を見せてもらった。

1泊350コローネ(5百円ちょっと)。
こじんまりして清潔でなかなかいい部屋だった。

僕は汚くてもゆがんでいても高くても(1泊500コローネ/750円)「モラサン」の広々とした部屋がいいので変わる気はない。
泊まる素振りを見せたのは「気持ちよく両替をしてもらうため」だ。

この時期(1989年)のコスタリカでは実勢レートと公定レートの差がほとんどない。
僕が両替しようとしている100ドルを両替しても、180円ぐらいの差だ。

面倒ぐさがられたり嫌われたら断ってもさしつかえのない金額なのだ。
それに比べて僕はいますぐに90ドル分のコローネが必要だ。

僕の立場は弱い。
「力の強いものの前では、相手のご機嫌を取ること」

これは旅行中に非常に役に立つ「世界旅行定理」の根本原則だ。
「ちょっと切符を買うのでいいレートで両替してくれませんか?」と聞いてみる。

1ドル=82コローネのレートだ。
このレートでかまわない。

マネージャーの横から50歳ぐらいの旅行者が「どこへ飛ぶんだい?」とオーストラリア訛の英語で聞いてくる。
「パナマからコロンビアへ行くつもりなんです」と答える。

オーストラリア人旅行者は「パナマへ行くなんて、それは危ないよ!もうすぐ戦争になるよ」と顔をしかめる。
マネージャーも「ムイ・ペリグローソー(ごっつう危のうおまっせ)」と言う。

両替した後で、このオーストラリア人とちょっと話をする。
彼はコロンビアへも行ったことがあるそうだ。

続けて「コロンビアではコカイン密売組織が争っていて、危険極まりない」と、話してくれた。
う~ん、迷うな~。

両替したコローネを手にして「ホテルアジア」を出て、交差点に来た。
左に行けば旅行会社のOTEC、右に行けば僕の宿「モラサン」、迷って迷って決められなくなった。

右にも左にもいけない。
こういう時は、え~い、仕方ない、後戻りしよう。

Uターンして"MUSEO NACIONAL DE PANAMA"(パナマ国立博物館)へ向かう。
「ホテルアジア」のマネージャーから、ぜひ見るようにと勧められていたからだ。

映画館「シネ・レアル」で「レインマン」を見た。
面白くなかった。




部屋に戻ってベッドに横になり、考える。
結局切符を買わなかった。

それは「両替しようとした時にモラサンのマネージャーがいなかった」からだ。
「ホテルアジアのマネージャーがパナマ行きを止めた」。

「会ったばかりのオーストラリア人旅行者がパナマもコロンビアも危ないと断言した」せいだ。
これを総合すると、神のお告げは明白に下っている。

「パナマにもコロンビアにも行くな」
コスタリカからエクアドルへ飛べということだ。

こういう時は、わざわざパナマへ行ってはならない。
無理をしてはいけない。

だって‥‥。

ひとはただ神の示すままに生きるだけなのだから。







旅行の満足度
4.5

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