2015/07/18 - 2015/07/22
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JIC旅行センターさん
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■テントにもどって食事の「ご褒美」
ガイドさんを見送ってから自分のテントに戻り大きな声で「疲れたぁ〜!!!」と叫びました。
行動食しか摂っていなかったので今更ですがお腹が空いているのに気が付き、食事をとることに決めました。
「ザックから一番に出てきたのはぁ〜…。ぱんぱかぱ〜ん!やりましたぁ!緑の中華三昧です!おめでとうございます!!」
テント内で独り言。「登頂したんだから!良いですよね!?」とまたまた声に出して言いました。
速攻でMSRストーブをセッティング。
アタックザックに残っていたチョコレートとドライフルーツ、エネルギー補給のゼリーをまるまる食し、出来あがった中華三昧はものの数分で跡形もなくなりました。
「むふふふふ。ここまできたら食べちゃいますよぉ。みかんちゃん!ぅんっ、もう!食べられたいでしょ!」
おもむろにみかんの缶詰の蓋を開放して胃に流し込むような勢いでたいらげました。これがなんと!美味しかったこと!!幸せ!贅沢!ゴージャス!あっぱれ!登頂の最高のご褒美でした。
テントから改めてアヴァチャ山を見てみると、朝にスタートした時の天候とは一変して、その全容を現しておりました。陽が傾き始め徐々にオレンジ色に変っていくその姿をタバコを吸いながら眺めていました。19時50分でした。
足と両手を広げて大きく深呼吸をしてから再びテントに戻りました。コーヒーを沸かし、もう一服してから本日の登山日記の詳細をヘッドライトを点灯させながらノートに細かく記入していきます。日本でも同じ作業です。自分が登った山の記録はとっておきたいものです。写真もそうですが、文字も同じくらい大切ですよね。
22時30分:消灯
昨晩と違い無風でとても静かな夜。時々、雷鳥の鳴き声が聞こえました。
ぼんやりと一日を振り返っていました。あの強風の中…よく歩いたものでした。久しぶりの『登山』を感じました。
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■日本人登山ツアーグループ
翌朝、起床時間は5時45分。テントから外を見てみると…、意外にも空模様は悪く今にも雨が降り出しそうでた。ガイドさんとの約束の時間までに撤収作業を終えておきたかったので、直ちに朝食の準備に取り掛かりました。メニューは「さとうのご飯」をラーメンに入れたラーメン雑炊。持って帰るのはただ荷物になりますから、余った予備食なども食べることにしました。インスタントスープとチキンラーメンをおかわり、ドライフルーツも全てほおばり、コーヒーを無理やり2杯飲み干しました。
身体を伸ばすためにテントから出て一服していると、一昨日ほぼ同じ時間に到着していた日本人登山ツアーグループの3名の方がいらっしゃいました。
テント泊で来たこと、登頂できたことをお話しましたが、こちらのグループの方々は総勢20名で誰も登頂出来なかったとのことでした。自分たちは登りたかったらしいのですが、ガイドさんにタイムアウトを宣告され、やむをえず全員で下山したとのことでした。
もちろんガイドさんが昨日の下山時に私に話したことは伝えませんでしたが、どうも納得していない様子が手に取るように分かりました。それで、高低差で600m位、山頂直下のルートではアイゼン無しでは登るのが難しかったこと、ガイドさんとアンザイレンも無く少々不安だったこと、技術レベルは厳冬期の西穂高ピラミッドピークくらいは登れないと難しいのでは、と話をしました。
「そんなに大変だったの?」
「ルートは凍っていましたし、キックステップの連続でした」
「キックステップって何?」
「冬山登山の基本的な歩行スタイルです」
「そんなのあたしたちには出来ないわ!」
「結構大変でしたよ」
「ツアー募集には富士山を登ったことのある人だったらって書いてあったのに?」
「私のガイドさんが言っていましたが、今年は雪が多いとのことです。例年はどのくらい残雪があるか分かりませんが…」
「それじゃ、無理だわね。残念だったわ」
この人たちは冬山経験が全く無いとのこと。それは難しいと思いました。納得したかしていないかは別として、頂上付近のルートが大変だったことだけは伝わったみたいでした。
「情報をありがとう。グループ全員と日本から同行したツアーリーダにも話しておくわ」
「無事にB.C.に帰ってきたことが一番ですからね」
「さようなら」
ツアー客と別れて私はテント撤収準備に入りました。 -
■高山植物の宝庫?花めぐり散策
10時ちょうど。
テントや調理器具はもちろん登山ブーツもストックも、持ってきていた装備を全てザックの中に収納して、軽いハイキング用の靴に履き替えていると、ガイドさんが今日も爽やかな顔で現れました。
「準備はできていますね」
「行きましょうか」
「花は好きですか?」
「山のお花はとても好きですよ。小さくて、可愛くてね」
「アヴァチャ山へのルートと違いカリャーク火山のルートに行きます」
「了解しました」
歩き始めて20分くらいでしょうか。昨日までは全く気付かなかったのですが、あちらこちらに可愛いお花が咲いております。近くで見てみると…これは!何と言うことでしょう!標高わずか1000m足らずの世界にチングルマさん達の白いお花が咲き乱れております!本州では標高2000m付近でも見かけません!そして少し離れた所には何やら青いお花。これは!ウルップソウです!なんと可憐なんでしょうか!私は白馬岳と八ヶ岳でしか見たことがありません。その他、黄色が可愛いミヤマキンポウゲや名前は分かりませんがリンドウの仲間など信じられないほど普通に咲いておりました。
アヴァチャ山登頂も良かったですが、こちらのお花の散策にも非常に感激いたしました。自分がもっとお花に詳しければもっともっと楽しめたことでしょう…。
「残念ですが、そろそろ…B.C.を出発する時間が迫ってきています」
「戻らないといけませんよね」
「また来てください」
「マクシムさん。来年必ず来ますよ。今度はツアーを組んできます」
「また会えると嬉しいです」
「その時のガイドはまたマクシムさん。お願いします」
「連絡下さい」
「必ず!」
ガイドのマクシムさんと再度固い握手を交わしました。
B.C.に戻ってくると、私を街へ送り届ける車がすでに待機していました。厚い雲に覆われているアヴァチャ山にお辞儀をして私はザックを背負い車に向かいました。
(了)
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