2015/05/01 - 2015/08/04
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JIC旅行センターさん
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日本を出国しロシア・モスクワに留学してから2ヶ月が経ちました。モスクワに着いた当初はロシアと日本の寒暖差に驚き、曇りばかりが続くどんよりとした空を眺めては欝々とした気持ちになりましたが、季節は夏を迎え青空が広がる空を眺めては刺激に満ちたモスクワライフに日々、心を躍らせています。
またロシア料理も自分の口に合い、大学の食堂のごはんが美味しいので、今では授業終了のブザーが鳴るとパブロフの犬のように唾液が出てしまう体になってしまいました。
◆留学前に期待していたこと
留学前に最も期待していたことは「異文化・多様な価値観との交流」でした。ロシアは100以上の民族が住んでいる世界有数の多民族国家です。様々な価値観が混在する環境に身を置くことにより、異文化交流を盛んにできると考えていました。
海外居住経験もなく、単一民族・単一国家(原文ママ※注)である日本に住み続けた私にとって、日本人であることは「普通」でした。しかし「普通」であるがゆえに日本とは何か、日本人とは何なのかを深く思考する機会はありませんでした。私がこの留学を通じて目指していたのは、どのような価値観の人たちであれ、その人たちと気持ちを分かち合い、またその人たちから求め頼られる人間になることです。
そのために日本人としてのアイデンティティを確立し、自分の人間性の豊饒化に努めること。そのような適切な環境が用意されていると留学前は期待していました。
◆実際にモスクワに着いてから感じたギャップ
ロシア・モスクワでの生活は3ヶ月目に突入しましたが、私が期待していた「異文化・多様な価値観との交流」は決して用意されているものではありませんでした。
そもそもロシアに住む多民族と交流するためにはロシアの公用語であるロシア語をある一定以上話せなくては異文化交流どころではありません。英語が通じると思ったら大間違いです。私は今もそのある一定以上のロシア語力が身についておらず、多民族との交流は果たせていません。当たり前のことですが日本語は日本でしか通用しない言語だと改めて理解させられました。
また日本語を学ぶロシア人たちと交流する機会は多くありますが、ほとんどは高等教育を受けたスラブ民族の方ばかり。それでは結局ロシアの一側面しか垣間見ることができず、本当の意味でロシアを理解したとは言えないでしょう。
◆驚いた体験
ロシアに来て驚いたことは数えきれないほどありますが、その中で最も驚いたのが5月9日に行われた戦勝記念日です。第2次世界大戦におけるソビエト社会主義共和国連邦の勝利を祝うものですが、そもそも戦勝記念日という日があること自体が、日本人である私にとって大きなカルチャーショックでした。それは日本が第2次世界大戦において敗戦国であるからです。8月15日に終戦記念日がありますが、日本人にとってその日は、戦争で亡くなった方々の死を悼み、二度とそのような悲劇を繰り返さないと誓う日です(もっともほとんど形骸化していますが)。日本で暮らしてきた私にとって、70年も前の戦争の勝利に沸き立ち、打ち震えられるロシア人の姿に衝撃を受けました。またその日に自らの軍事力を世界に誇示するロシア連邦という国そのものにも驚きました。私たちにとって戦争とは二度と繰り返してはいけない悲劇であり、そのために憲法第9条は公布され、今日まで守られ続けたのです。
しかしロシアの軍事パレードはそんな戦争を明日にでも行えると言わんばかりのものでした。そんな軍事パレードを見て歓声を挙げるロシア国民は、私にとってそれは大きなカルチャーショックでした。
◆嬉しかった体験、悲しかった体験
ロシアに来てから最も嬉しかった経験は、自らが日本で生まれ育った日本人であり、それだけで好意的な印象を持ってくれるロシア人がいるという事実です。日本人である私の周りには、良くも悪くも日本に好意的な印象を持つロシア人が集まってきます。日本のアニメが好きだから、日本の漢字が美しいから、…、理由は人それぞれですが、日本人がロシアにおいて認められ好かれているという事実は、日本に居ては決して体験できず、わからないことでした。
反対に悲しかった経験は、ロシア人の東日本大震災に対しての認識でした。
私の出身地は宮城県気仙沼市という海と山に囲まれた美しい街で、4年前の東日本大震災で最も被害が大きかった街の1つでした。4年前、当時高校生だった私は被災しました。世界的に見ても大きい自然災害だと思っていましたが、ロシアでは東日本大震災をどう見ているのか。自分にとってロシア人に最も聞いてみたいことでした。
そして聞いてみたところ返ってきた答えは、「ああ、フクシマね。」の一言でした。
自分の出身地を言っても「わからない」と返され、ひどく落ち込みました。しかし後から考えてみると、大きな地震もなく海にも面していないロシアにとって、日本の地震や津波は対岸の火事であり、反対に福島の第1原子力発電所の事故は、29年前チェルノブイリ原子力発電所の事故があったロシアにとってより大きな関心があり、自分事のように捉えられる出来事であって、だから東日本大震災=フクシマと連想がつながっているのではないかと思いました。実際、福島の街角での戦勝記念日パレード原子力発電所の事故に関してはかなり調べて、動向を確認しているロシア人がほとんどでした。人間は自分に関係がある・痛みを知っていることには自分事のように関心を持ちますが、それ以外は所詮他人事だと割り切ってしまう。悲しいことですが、自分にとって主観的にとても大事に捉えてしまう東日本大震災について、外部から見た客観的な意見・視点を見ることができたのは大きな学びになりました。
◆新しい環境での新たな目標
私にとってロシアという新鮮で刺激的な環境においての目標は出国前と変わらず、「どのような価値観の人たちであれ、その人たちと気持ちを分かち合い、またその人たちから求め頼られる人間」になることです。その目標を達成するための留学中の達成目標として、
(1) ロシア人との会話に不自由がない程度の語学力を身につける
(2) 旅行会社にてインターンシップを行い、実際の実務経験を通してロシア人の嗜好を分析し、ロシア人が魅力に感じるような訪日ツアーの企画・立案
(3) 日本料理教室を始めとした日本文化をロシアに広める活動
以上3点を達成し、充実した留学生活になるよう努めたいと思います。
※編集部注;多くの人と同じように「単一民族、単一国家」という幻想にとらわれているようですが、厳密に言うと日本は単一民族でも単一国家でもありません。江戸時代から明治期にかけて日本人が征服し、日本国に組み入れたアイヌ民族、琉球民族がいるし、過去の植民地支配の結果として台湾や朝鮮半島、中国大陸から日本に自発的あるいは半強制的に移り住んだ在日韓国・朝鮮人、中国人も数多く住んでいます。日本社会の複雑な現象を理解するためには、これらの事実を正当に確認しておく必要があると思います。
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