金子みすゞの故郷、長門市仙崎を巡る旅（その1）　

2016/06/28 - 2016/06/28

私の住む萩市の隣の市である長門市は萩市よりもやや規模が小さく買い物や遊びにと出かけることは少ない。
しかし、海上アルプスと呼ばれる青海島が有り、湯本温泉、俵山温泉が有り、CNN「日本の最も美しい場所31選」に選ばれた元乃隅稲成神社も有る。
そして、長門市仙崎はＡＣのテレビＣＭで有名な「こだまでしょうか、いいえ誰でも」のフレーズで有名な女流童謡作家の金子みすゞさんが生まれ育った場所です。
今は金子みすゞ記念館が生家の位置に建っています。
今まで行ったことがなかったので付近を散策しながら行ってみることにしました。
まずは海岸沿いに来る前を停めて金子みすゞさんの墓がある編照寺までの紀行を紹介します。

エリア 長門市・長門湯本温泉(山口)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 自家用車 徒歩

海岸沿いに車を停めて歩き出すと歌碑が目に付きました。
近寄って見てみます。

長門市仙崎が生んだ作詞家、故大津あきらさんの歌碑でした。
大津あきらさんは女優根岸季衣さんのご主人で、中村雅俊さんの「心の色」や徳永英明さんの「輝きながら」、渡辺徹さんの「約束」、矢沢永吉さんの「共犯者」、「ラスト・シーン」、高橋真梨子さんの「for you...」等名曲を作詞されました。
惜しくも４７歳という若さで１９９７年の４月に逝去されました。
この歌碑の他にもあちこちに歌碑があり、長門市仙崎のシーサイドスクエアに「輝きながら」が、長門市内の「ルネッサながと」芝生広場に「for you...」がある。こちらの歌碑は「少年」である。
故郷の景色と恋する想いが鏤められた素敵な歌詞です。
彼も金子みすゞと同じ仙崎の景色を眺め、空気を吸い、潮風に吹かれて育ったのでしょう。

この橋の向こうには仙崎の人工島が有ります。釣りに訪れる方が多いように聞いています。

大津あきらさんの歌碑の向かい側にも石碑が有りました。
「御製」と題されていて内容は

「手渡し　稚貝稚えびを手に持ちて　若き海人　港出て行く」

と記されています。

情景は浮かびますがどういう言われがあるのでしょうか。

石碑の隣に説明文が有りました、潮風に当てられてか少々読みにくいですが平成七年に第十四回、全国豊かな海づくり大会に天皇皇后両陛下が見えられて、天皇陛下が詠まれた句でした。
改めて読むと、天皇陛下の優しい眼差しが思い浮かびました。

仙崎港の様子です。静かな感じでした。

この先の道路は橋を渡って青海島に繋がっています。

この港の隅に支柱が建っています。海外引揚げ上陸跡地と書かれています。
仙崎港は、戦後の引揚船の上陸地として昭和２０年から約１年間その役目を果たしました。
海外からの引揚者、約４１万人が上陸し、朝鮮へ帰る在日朝鮮人の方々、約３４万人を送り出しました。

この海から戦後の混乱期にたくさんの人々の命が行き来したと思うと感慨深いものが有ります。

港の向こうには弁天島に祀られている厳島（いつくしま）神社が見えます。
金子みすゞもこの弁天島を歌に織り込んでいます。

海外引揚げ上陸跡地を後にして看板を頼りに「みすゞ通り」を目指します。

青海島大橋の隣の側道を歩いて進みます。

海岸に沿ってゆるやかにカーブしている道路を更に進みます。

前方に「みすゞ通り」の方向を教えてくれる看板が見えました。
「みすゞ通り」の文字の下にみすゞの墓と金子みすゞ記念館の文字も見えます。

看板の下には、金子みすゞの「瀬戸の雨」の詩碑が有りました。

瀬戸の雨に織り込まれた現代の瀬戸も今にも降り出しそうな曇り空の下、静かにそこに有りました。

目の前の小道を真っ直ぐに進みます。この道は車も通れますがあくまでも生活道路でして観光客の方はゆっくり気をつけながら進んだ方がいいと思いました。

人家の窓枠の近くに金子みすゞの詩が書かれた木札が有りました。
こちらの詩は「海の鳥」です。

人家の前に大きな立て看板が有り「日本近代捕鯨発祥の地」と書かれています。
この地から日本の近代捕鯨が始まったとされています。
当時の日本遠洋漁業株式会社は今は日本水産株式会社になっているとのことです。

その近くにはこれしか無いとばかりに「鯨捕り」の詩が飾られていました。
この辺りは古くは鯨漁が盛んで、青海島の先にある通（かよい）地区は特に鯨漁が盛んだったと言われています。

金子みすゞ記念館まで550ｍ、金子みすゞの墓所が正にここに有ります。

金子みすゞが店番をしていました。
下にはあの「こだまでしょうか」の詩が書かれていました。

さり気なく下げられた詩が書かれた木札。
「夢売り」は金子みすゞの優しさが伝わる良い詩だと思います。

金子みすゞの墓は分かり易く表示されていました。

金子みすゞの菩提寺、遍照寺です。
みすゞ通りの道すがらに有ります。

金子みすゞの墓所と刻まれた石碑が有りました。

ご丁寧に「みすゞさんのお墓こちら」と書かれた看板が有ります。

足元には手作り感満載の「ここです」のカワイイ立て札。

墓マイラーでは無いですが、金子みすゞの墓の前で手を合わせました。

金子みすゞの墓所を後にしてまた道を進みます。

またまた人家の壁に金子みすゞの詩が書かれた木札が。
手作りなので癒やされます。

壁に書かれた「みんな違ってみんないい」の文字が、この優しさが金子みすゞの魅力ですね。

平日で天気も良くないせいか道には人は疎か車も殆ど通りません。
何だか閑散としています。