2016/03/12 - 2016/03/12
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つるまるこさん
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歴史ある建物や街並みが大切にされている土地が好きです。憧れだった街のひとつ、盛岡をようやく訪問できました。盛岡のソウルフード、福田パンで腹ごしらえして、レトロな建築物を見て回り、盛岡バスセンターで昭和の香りを味わい、少し足をのばして、ノスタルジックな雰囲気が今も現役の花巻・マルカンデパート大食堂にも行ってみました。
※訪問後ほどなくして、マルカンデパートは2016年の6月に閉店、そして盛岡バスセンターは9月に閉鎖後取り壊しとなってしまいました…(涙)。が!マルカンデパート大食堂が2017年2月20日に晴れて再オープンとなりました!!嬉しい!!機会があれば、ぜひ、地元の方々に愛され続ける昭和の風景を1人でも多くの方に訪れていただきたいです。
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新幹線「はやぶさ」で盛岡へ。仙台より北へ、新幹線で向かうのは初めてです。道すがら、窓の左側には、雪をかぶった雄大な山々の風景が鉄路と並走するように続いていて、普段の生活で山を見ることのない自分にはとても新鮮に映りました。
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盛岡駅に着きました。線路が何本も並び、ターミナル駅の様相です。ただ、終着駅まで辿り着けない状態の路線もあり、切なくなりました。
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盛岡駅の記念スタンプは、「チャグチャグ馬コ」。岩手の初夏を彩るお祭りですね。
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早春の盛岡の街。空気はきりっと澄んでいて、静かな週末の朝です。まだ街中にはたくさん雪が残っていると聞き、寒さを心配していましたが、この日は小春日和、意外にも歩きやすい温度でした。
街を流れる中津川。真っ白に雪が積もった河川敷に、点線のような足跡。誰かが、犬の散歩でもされたのでしょうか。絵本のような風景でした。 -
こんな都会のどまんなかで、雪を被った大きな山を眺められるなんて、東京暮らしの私にはうらやましい限りです。盛岡のシンボル、と呼んでよいんですよね。雄大で美しい、岩手山。
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街歩きの腹ごしらえにやってきたのは、「福田パン」本店。盛岡駅から歩いて15分ほどの距離です。盛岡市民のソウルフードとして愛されるふかふかのコッペパンに憧れていたのですが、この訪問の数日前にも全国ネットのバラエティ番組で特集が組まれたりして、いまや、あまりにも有名すぎるパン屋さんになってしまったようです…
この日も店の前には車の渋滞ができていて、お店の中も行列でぎゅうぎゅう。私のような観光客もきっと多いんですよね、ごめんなさい…と、後ろめたい気持ちになりつつ列の最後尾へ。自分の目の前で品切れになってしまったらどうしようかとヒヤヒヤ待つこと40分。ようやくふかふかのコッペパンとご対面できた時、肩の力がふにゃふにゃと抜けてゆきました。 -
こちらが、福田パンで購入したコッペパンたち。ふかふかもちもちの大きなコッペパンに、好きなフィリングをはさんでもらえます。とっても美味しかった。あんこやジャム、クリームなどの甘いもの系から、おかず系までよりどりみどり。フィリング類の入ったケースが並ぶさまは、アイスクリーム屋さんのショーケースのようでした。
私が選んだのは、オリジナル野菜サンド(確か、中身はキャベツ+トマト+ピーマン+たまねぎ+チーズ+マヨネーズだったはずです)にコンビーフの組み合わせ。それから、アプリコットジャム+バターの組み合わせ。家族へのおみやげに、一番人気のあんバターも買って帰りました。 -
てくてく、街の中心部へと繰り出します。レトロモダンな建物がそこかしこに見受けられるので、たびたび足を止めては眺めてしまいます。
こちらは、洋館のような外観の写真館。そして -
そのすぐ斜め前にも、こんなにお洒落な写真館がありました。
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官庁街の並木道。土曜日のせいか、人通りはまばらで、とても静かでした。
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こちらは、裁判所の前に生えている「石割桜」。巨大な岩の割れ目から育った、樹齢300年以上の桜の老木です。どうしてこうなるのか…自然の力は不思議です。
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大正末期に建てられたという、岩手県公会堂。今も現役だと知って、びっくり。似たようなつくりの大正〜昭和初期の建築を他のところでも見たことがある気がするのですが、当時流行したデザインだったのでしょうか。
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公会堂の隅には、黄色のとんがりビニール屋根が印象的なレストランが。古き良き昭和の庶民的な食堂が残っているのかな、と思いきや…
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なんと!本格フレンチレストランでした。
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また、盛岡の駅や官庁街の至るところで、岩手県の観光PRキャラクター「わんこきょうだい」が描かれたいわて国体のポスターやボードを見かけました。わんこきょうだい、私の大好きなキャラクターなので、うれしくてうれしくて、ついあちこち撮って回ってしまいました。こちらは、盛岡駅改札フロア。ウインタースポーツを楽しむわんこきょうだいがいっぱい!!
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こちらは、県庁前の電光掲示板。
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岩手山をバックに、キメポーズのわんこきょうだい。
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「あれっ?東京駅??」
いいえ、銀行です。東京駅を設計したことで知られる建築家、辰野金吾が設計した岩手銀行旧本店本館です。立派な赤レンガと青銅の丸屋根。ずっと眺めていても飽きない美しさですが、このあたりのエリアから繁華街に入るので、人通りが多く、立ち尽くしているとまちのひとたちのお邪魔になってしまいます…ということで、またまたてくてく歩きます。 -
この旅で最も訪れてみたかった場所のひとつ、盛岡バスセンターへやってきました。大きなアーケード街の正面、繁華街のど真ん中とも言える立地なのに、ここだけが昭和のまま時が止まってしまったかのような、古びた建物、鉄の窓枠。こんな姿でかたちを留めていることは、奇跡といえるのではないでしょうか。
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建物の中は、バスの待合室兼小さなショッピングセンターといった様相でした。ストーブが焚かれた屋内はほんのり温かく、古びたピンクのビニール張りの椅子が並び、バスを待つ間に小腹を満たせる食堂や和菓子屋さん、お土産屋さんが軒を連ねていました。お店の看板に残る商標が、昭和のまま。まさしく昭和遺産といえる空間でした。和菓子屋さんのお団子が、とっても美味しそうで、食べてみたかったのですが、私のお腹は福田パンでいっぱいでしたので泣く泣く断念…(その後、わずか数日後に盛岡バスセンター閉鎖決定の報に触れることとなり、あの日お団子を食べずに帰ったことをひたすら後悔する羽目になるのでした…まさしく、後悔先に立たずとはよく言ったものです)
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什器や看板のレトロ感、古いけれどあたたかみのある空間。初めて訪れたのに、ずっと前から知っていたかのような気持ちになる親近感が溢れる場所でした。
閉鎖前に訪れることができて、幸運だったなと今では感じています。 -
盛岡バスセンターで、一旦折り返し。再び、官庁街を目指します。こちらは、盛岡城址公園。城跡一帯が美しく整備された公園になっています。まだ雪が残るせいか、休日にもかかわらず人影はまばらでした。真っ白に積もる雪の中、すっくと背を伸ばす針葉樹。これが北の街の風景なんだなと、しばしひなたぼっこしながら、静かな空気に身を浸してぼんやり過ごしていました。
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お天気に恵まれて、今日は本当に街歩きが心地よい。
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公園のそばにも、レトロな煉瓦造りの建物がありました。こちらは、旧第九十銀行本店本館。先ほどご紹介した旧岩手銀行本店本館と同じく明治初期の建物ですが、こちらのほうが5ヶ月早く建設されたそうです。
現在は、「啄木・賢治青春館」として、岩手県ゆかりの文学者、石川啄木と宮沢賢治の足跡と盛岡の街を紹介する記念館となっています。 -
さてさて。
盛岡城址公園を過ぎたところで、それまで目にしてきた、凛として整った街並みとはちょっと毛色の違う、不思議なエリアにやってきました。
桜山神社界隈。神社の参道というと、お土産屋さんの並ぶスポットだったり、あるいはひたすら静けさに満ちた通りだったりするものですが、こちらの参道は、なんだか様子が違います。
おいしいお酒が呑めそうなバーやスナック、居酒屋、あるいはレトロな喫茶店、こじゃれたカフェや料理店が所狭しと並んでいます。なんでも、この一帯は戦後の闇市がルーツなのだとか。いろいろな歴史が残っている盛岡、ただ美しいだけではなく、なんとも奥深いではありませんか。
まずは、きちんと桜山神社へご挨拶。参拝後、桜模様の美しいお守りを買って帰りました。 -
しばし桜山散策。夜はさぞかし賑わうのでしょう。
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歩き回って小腹がすいたので、レトロでかわいらしい喫茶店、「パァク」さんで一休み。
すぐ近くには、盛岡名物として知られるじゃじゃ麺の老舗、「白龍(パイロン)」があり、たくさんの人が列をなしていました。
壁面のお花がかわいい。 -
古き良き昭和の喫茶店の趣です。地元のお父さんお母さんやカップルがくつろいでいました。
ドリンクからごはん、デザートまで、正統派喫茶店のメニューがたいへん充実していて、まるで少女漫画の世界に迷い込んだかのようでした(汗)。美味しそうなパフェ類や、ソーダなどのドリンクにソフトクリームの浮かんだ「シュプール」のシリーズも気になって仕方なかったのですが、ぶらぶら歩きで少し体が冷えていたので、温かい飲み物を頼むことにします。 -
ウインナコーヒー。純喫茶に入ると、ついつい、ウインナコーヒーを頼みがちな私です。
盛岡は、大手コーヒーチェーン店が裸足で逃げ出す勢い?の、喫茶店文化が大切にされている街だそうで、街の至る所にレトロで素敵な喫茶店を見かけたことがとても印象的でした。盛岡に暮らす人の多くが、心のよりどころとも言えるお気に入りの喫茶店を個々に持っているのかな。そんなことを考えて、ついうらやましくなりました。 -
まだまだ歩きます。このモダンな建物、なんと昭和30年代に建てられたそうです。銀行なのですが、建物の中には日本庭園まであるそうです!!
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なんとも印象的なバス停の名前を見つけました。その名も「啄木新婚の家」(←直球!!)。茶色の三角屋根の家が、それだそうです。
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せっかく盛岡まで来ましたので、少しは観光らしいこともしなくては、と、やって来たのは光原社。かつて、宮沢賢治の「注文の多い料理店」を刊行した出版社で、現在は民芸品店や喫茶店を営まれています。敷地内に趣向の少しずつ異なる小さなお店が集まっています。美しいステンドグラス、クラシカルな館。おとぎ話に登場する街って、こんな風景なのかな。そんなことを思いました。
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こちらの「可否館」は、喫茶店です。
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おとぎ話の世界に迷い込んだようなひと時を楽しんだ後は、次の目的地、花巻へと向かいます。
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藤色のラインの電車に乗って、盛岡から花巻へ。在来線で30分強の距離です。
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宮沢賢治のふるさと、花巻にやってきました。花巻駅のステンドグラスは、「銀河鉄道の夜」をイメージさせる幻想的なデザインです。
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お洒落な花巻駅の待合スペース。宮沢賢治の筆跡を模した「花巻駅 マチアイ」の文字、味があってよいですね。
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表に出ると、いつの間にかすっかり夕暮れ時を迎えていました。
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花巻駅から続く道は綺麗に整備されています。宮沢賢治の童話にちなんだベンチがあちこちに並べられていました。
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夕飯時にもちょっと早いぐらいの中途半端な時間帯のせいか、商店街にほとんど人がいません…
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アーケード街をてくてく。駅から15分ほど歩いたところで、花巻の老舗デパート、マルカンデパートに到着しました。
学生服や衣料品のフロアは閑散としていて、「節電中」のため、3階より上へはエスカレーターではなく階段での移動です。 -
6階まで上がりきったところで、今回の旅の最終目的地、マルカンデパート大食堂に辿り着きました。
広々としたレトロな空間、まさしく夢にまで見た、憧れの「昭和のデパートの大食堂」でした。
私が到着した時は、まだフロアの半分くらいは空席があり、窓辺の一等席を確保することができました。
しかし、お料理が運ばれる頃にはいつの間にやら満席に…私、花巻駅からマルカンデパートに来る間、たぶんほとんど人と会わなかったのですが、どこにこんなにたくさん人が隠れていたの!!(笑)と思えるほどの盛況ぶり。しかも、座席数はなんと400を超えるキャパシティとのこと。驚きです。
確かに、写真のとおり、ショーケースには魅惑的かつリーズナブルなパフェやデザート、ランチセットに麺類と、老若男女問わず皆が歓喜するメニューが勢ぞろい。人気があるのもうなずけます。 -
目移りが止まりません☆
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洋食和食に中華まで、よりどりみどりのラインナップ。ボリューム満点の「ナポリかつ」が人気のようで、部活帰りの中高生がもりもり美味しそうに頬張っているのをたくさん見かけました。これだけ安く美味しくごはんが食べられて、みんなでワイワイ楽しめる空間があるなんて、花巻の中高生はなんて恵まれているのでしょう。ショッピングモールのフードコートとは、流れている空気の豊かさやキラキラ感が違うのです。あのプロ野球選手やあのプロ野球選手も、高校時代はここで「ナポリかつ」をもりもり頬張っていたのかなぁ…と思いました。
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食堂内の風景。お客さんが次から次へとやってきたので、なるべく迷惑にならないように急いで撮影。女性店員さんのクラシカルな制服、いいですね。女の子の憧れる「ウエイトレス」さんって、こんな姿だったなぁと。
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窓際から花巻の夕暮れをひとりじめ。店内の照明が窓ガラスにキラキラ反射して、なんとも幻想的でした。宮沢賢治の童話に、こんな風景が出てくるんじゃないかと思うほど。
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静かに夕日が沈んでゆきます。
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早めの夕食に私が選んだメニューは、「マルカンラーメン」。具だくさんの五目あんかけラーメンです。鮮やかなオレンジ色が気になりましたが、そうは言ってもあんかけラーメンだもの。きっとマイルドなお味に違いない、と思っていたのに…浅はかでした。辛い!完全にとろみにダマされた(笑)!!辛い辛い辛い!!!ひとくちすするごとに、辛さが追いかけてくる!!!!!ひたすら汗にまみれて辛さと戦うこと数十分…なんとか完食。
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このキッチュなプラスチックが良いですね。各テーブルに置かれていたお箸ケース。
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マルカンデパート大食堂に来たからには、あの名物・ソフトクリームを食さずには帰れません。店員さんがキレイに巻き上げる、白いのっぽのソフトクリーム。しかもお値段はこのご時世で180円!魅惑のフォルムと、ついにご対面です。
配膳コーナーの前で店員さんとお話されていた、グレーのスーツに身を包んだ上品な初老の男性が、私のソフトクリームの注文を聞いてくださいました。優しい雰囲気のあの方は、店長さんだったのか、それとも社長さんだったのでしょうか。帰り際、1階の衣料品フロアでもお見かけしました。
運ばれてきた10段のソフトクリームを見て、思わず幸せのため息が漏れました。あぁ…これを食べてみたかったんだな、私。ナポリかつを食べた後に、この長ーいソフトクリームも食べて、しかも千円でおつりが来るなんて、うらやましい、ホントにうらやましすぎるよ花巻の中高生。
土台のコーンは通常のものと比べてしごく短足で、それを玉子立てのような小さな銀のスタンドが支えていました。絶妙のバランスです。
これだけのっぽのソフトクリームですから、皆さん、かじりつかずに上品にお箸ですくっで食べています。食べているうちに溶けて倒れないのか心配していましたが、ソフトクリームは固めに絞られ、しかも食べ飽きないように甘さ控えめで作られていました。素敵な心遣いが嬉しいですね。 -
いつまでもいつまでも、この場の空気を味わっていたい気持ちでしたが、閉店時間も近づいてきたので、後にすることにしました。家族で、仲間で、カップルで。花巻の人たちは様々な形でこの大食堂を訪れては、思い出を心に刻んでいることでしょう。私もいつかまた、別の形で訪れることができたらな…そんなことを思いながら帰京したのち、わずか数日後に、あの、マルカンデパート閉店のニュースが飛び込んできたのでした。
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マルカンデパート閉店の理由は、建物の老朽化が著しく、営業継続が困難になったためとのこと。確かにあの日、ごはんを食べている間にも、風が吹くたびに窓や壁がギシギシ揺れるのを感じました。寂しい半面、やはり、永遠に続く場所などないこと、その場にある時の思い出を大切に刻むしか他ないのだということを、改めてかみしめたのでした。
※現在は、1階と大食堂が再オープンしています。無事に建物が耐震化され、このまま長く愛される場所であってほしいなと願うばかりです。
絵本の風景のような、山々に抱かれた美しい街、盛岡。そして、自然豊かな静かな町、花巻。その中には、私たちが日頃暮らす街では既に失われてしまった懐かしい風景もあります。機会があればぜひ訪れていただけたらな、と思います。
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