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久々に極寒のサンクトペテルブルクを訪れた。日本では暖かく穏やかな正月を迎えたのと同様に、ロシア、サンクトペテルブルクに駐在する同僚によれば、正月頃は暖かく0度前後で珍しく寝雪もなかったそうだ。しかし日本に寒波が訪れた1月中旬に、ヨーロッパの多くの地域で、そしてサンクトペテルブルク周辺でも寒波がやって来て、久々にマイナス30度まで下がったそうだ。9年間この街を行き来したが、この気温まで下がったのは久々である。小生がサンクトペテルブルクに到着してからはマイナス20度、初日はその温度差に震えてしまったが、元々の人間の適応能力なのか、数日後にはこの寒さにも順応してしまうから不思議である。もちろん外気を長時間直接吸い込んで、肺炎をおこしてしまった同僚もいる。長時間屋外にいることは危険であり、マフラーとマスク、耳当てと帽子は不可欠である。<br /><br />ところがロシアでは風邪もひかず過ごした後、意外なことに日本へ帰った途端に風邪をひいてしまうことが多い。ロシアではオフィスやホテルなど屋内は汗をかくほどポカポカにして暖かい。日本は屋内の温度が低く、その温度差に体がついていけないためである。今回もまた、日本へ帰って数日後に体調を崩してしまった。<br /><br />それはともかく、今回で小生のミッションは完了、区切りをつけるためにこの街を訪れた。わずか1週間の滞在で、多くの知人にお別れの挨拶をしてハグをした。そして小生の最も重要な2人の「友人」、指揮者のテミルカーノフとゲルギエフにもお別れを告げに、演奏会終了後の楽屋に出向いた。<br /><br />世界屈指のオーケストラ、サンクトペテルブルク・フィルでは、運良く大御所テミルカーノフが登場し、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番(ソロは若手のセルゲイ・ドガディン)、メインにはラフマニノフの交響的舞曲を演奏した。いずれも小生は積極的に聴く曲ではないが、演奏については非の打ち所がない。77歳の誕生日を迎えたばかりのテミルカーノフに衰えは感じられない。ここ7年間にテミルカーノフとゲルギエフとを常に聴き比べてきた。マリインスキーと比較しオーケストラの性能が格段に高いことを差し引いても、音楽的な深さと表現力の幅は一日の長がある。演奏会終了後はいつものようにステージ右横の楽屋にお邪魔して、テミルカーノフや馴染みの奏者たちとしばし歓談を楽しんだ。<br /><br />一方、ミュンヘン、ロンドン、ロッテルダムを始め、多忙を極めるゲルギエフであるが、運良くこの週マリインスキー劇場でプロコフィエフのオペラ「セミョーン・カトコ」の上演に接することができた。ヴァレンティン・カターエフの小説「私は勤労人民の息子」が原作となって1939年に作曲されており、台本はカターエフと討論しながら共作されたという。ストーリーは現代の国際情勢においてはなかなか微妙な内容であり、今日ゲルギエフを除いて上演することは少ない。上演について多くを語ることはできないが、音楽はプロコフィエフ独特の刺激的な不協和音が随所に聴こえてきて楽しめた。オペラのストーリーの概要は以下である。「1918年のウクライナ内戦中、前線から村へ戻った若者セミョーン・カトコが恋人のソフィアと結婚式を挙げようとしているところへ、ドイツ兵が侵入し、一家を捕らえるが、セミョーンは既に逃れてパルチザンとなり、やがてソフィアが父親によって地主に嫁がされようとしていることを知ったセミョーンは、教会を焼き打ちしてソフィアを助け出すが、セミョーンは敵に捕らえられ、死刑執行の寸前に同志たちに救われる。」<br /><br />もう一つ特筆すべきコンサートに出掛けた。これはこの街で音楽を学ぶ女性指揮者坂井星見さんの指揮、サンクトペテルブルク・ユースオーケストラ、増田桃香さんのピアノソロでグリークのピアノ協奏曲、2人のロシア人ソリストが日本語で「荒城の月」、「赤とんぼ」、「落葉松」を歌った(坂井星見さんの編曲)。その他芥川也寸志の「トリプティーク」、ボロディンの「中央アジアの草原にて」、チャイコフスキー「ポロネーズ」など。日本領事館などが後援し多くの日本人が来場、フィルハーモニー小ホールは立ち見が出るほどの盛況で盛り上がった。星見さんとはマリインスキー劇場で知り合って5年目、女性指揮者として着実に成長する彼女の将来が楽しみだ。

寒波が訪れた極寒のサンクトペテルブルク : フィルハーモニアとマリインスキー劇場の熱い演奏を聴く

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2016/01/17 - 2016/01/23

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ハンク

ハンクさん

久々に極寒のサンクトペテルブルクを訪れた。日本では暖かく穏やかな正月を迎えたのと同様に、ロシア、サンクトペテルブルクに駐在する同僚によれば、正月頃は暖かく0度前後で珍しく寝雪もなかったそうだ。しかし日本に寒波が訪れた1月中旬に、ヨーロッパの多くの地域で、そしてサンクトペテルブルク周辺でも寒波がやって来て、久々にマイナス30度まで下がったそうだ。9年間この街を行き来したが、この気温まで下がったのは久々である。小生がサンクトペテルブルクに到着してからはマイナス20度、初日はその温度差に震えてしまったが、元々の人間の適応能力なのか、数日後にはこの寒さにも順応してしまうから不思議である。もちろん外気を長時間直接吸い込んで、肺炎をおこしてしまった同僚もいる。長時間屋外にいることは危険であり、マフラーとマスク、耳当てと帽子は不可欠である。

ところがロシアでは風邪もひかず過ごした後、意外なことに日本へ帰った途端に風邪をひいてしまうことが多い。ロシアではオフィスやホテルなど屋内は汗をかくほどポカポカにして暖かい。日本は屋内の温度が低く、その温度差に体がついていけないためである。今回もまた、日本へ帰って数日後に体調を崩してしまった。

それはともかく、今回で小生のミッションは完了、区切りをつけるためにこの街を訪れた。わずか1週間の滞在で、多くの知人にお別れの挨拶をしてハグをした。そして小生の最も重要な2人の「友人」、指揮者のテミルカーノフとゲルギエフにもお別れを告げに、演奏会終了後の楽屋に出向いた。

世界屈指のオーケストラ、サンクトペテルブルク・フィルでは、運良く大御所テミルカーノフが登場し、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番(ソロは若手のセルゲイ・ドガディン)、メインにはラフマニノフの交響的舞曲を演奏した。いずれも小生は積極的に聴く曲ではないが、演奏については非の打ち所がない。77歳の誕生日を迎えたばかりのテミルカーノフに衰えは感じられない。ここ7年間にテミルカーノフとゲルギエフとを常に聴き比べてきた。マリインスキーと比較しオーケストラの性能が格段に高いことを差し引いても、音楽的な深さと表現力の幅は一日の長がある。演奏会終了後はいつものようにステージ右横の楽屋にお邪魔して、テミルカーノフや馴染みの奏者たちとしばし歓談を楽しんだ。

一方、ミュンヘン、ロンドン、ロッテルダムを始め、多忙を極めるゲルギエフであるが、運良くこの週マリインスキー劇場でプロコフィエフのオペラ「セミョーン・カトコ」の上演に接することができた。ヴァレンティン・カターエフの小説「私は勤労人民の息子」が原作となって1939年に作曲されており、台本はカターエフと討論しながら共作されたという。ストーリーは現代の国際情勢においてはなかなか微妙な内容であり、今日ゲルギエフを除いて上演することは少ない。上演について多くを語ることはできないが、音楽はプロコフィエフ独特の刺激的な不協和音が随所に聴こえてきて楽しめた。オペラのストーリーの概要は以下である。「1918年のウクライナ内戦中、前線から村へ戻った若者セミョーン・カトコが恋人のソフィアと結婚式を挙げようとしているところへ、ドイツ兵が侵入し、一家を捕らえるが、セミョーンは既に逃れてパルチザンとなり、やがてソフィアが父親によって地主に嫁がされようとしていることを知ったセミョーンは、教会を焼き打ちしてソフィアを助け出すが、セミョーンは敵に捕らえられ、死刑執行の寸前に同志たちに救われる。」

もう一つ特筆すべきコンサートに出掛けた。これはこの街で音楽を学ぶ女性指揮者坂井星見さんの指揮、サンクトペテルブルク・ユースオーケストラ、増田桃香さんのピアノソロでグリークのピアノ協奏曲、2人のロシア人ソリストが日本語で「荒城の月」、「赤とんぼ」、「落葉松」を歌った(坂井星見さんの編曲)。その他芥川也寸志の「トリプティーク」、ボロディンの「中央アジアの草原にて」、チャイコフスキー「ポロネーズ」など。日本領事館などが後援し多くの日本人が来場、フィルハーモニー小ホールは立ち見が出るほどの盛況で盛り上がった。星見さんとはマリインスキー劇場で知り合って5年目、女性指揮者として着実に成長する彼女の将来が楽しみだ。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
4.5
グルメ
4.5
ショッピング
4.0
交通
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
15万円 - 20万円
交通手段
タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
ANA
  • 完全に凍結したマリインスキー劇場横の運河

    完全に凍結したマリインスキー劇場横の運河

  • マリインスキー劇場のファサード

    マリインスキー劇場のファサード

  • マリインスキー劇場の内部

    マリインスキー劇場の内部

  • サンクトペテルブルク・フィルハーモニーホールの内部

    サンクトペテルブルク・フィルハーモニーホールの内部

  • 現代最高のマエストロ、テミルカーノフとサンクトペテルブルクフィルハーモニー

    現代最高のマエストロ、テミルカーノフとサンクトペテルブルクフィルハーモニー

  • 我が親友の首席コントラバス、アルテム・チルコフ氏

    我が親友の首席コントラバス、アルテム・チルコフ氏

  • 喝采を受けるソリスト、セルゲイ・ドガディン

    喝采を受けるソリスト、セルゲイ・ドガディン

  • マエストロと握手する若手ドガディン

    マエストロと握手する若手ドガディン

  • マエストロ テミルカーノフのサイン

    マエストロ テミルカーノフのサイン

  • 日本語で日本の歌曲を歌ったロシア人ソリストと指揮の坂井星見さん

    日本語で日本の歌曲を歌ったロシア人ソリストと指揮の坂井星見さん

  • サンクトペテルブルクフィルハーモニー・小ホール

    サンクトペテルブルクフィルハーモニー・小ホール

  • 凍てつく寒さ、ドストエフスキー像

    凍てつく寒さ、ドストエフスキー像

  • ドストエフスキーの住んだ家、現在は博物館

    ドストエフスキーの住んだ家、現在は博物館

  • ベルリンのブランデンブルグ門とそっくりなモスコフスキー門

    ベルリンのブランデンブルグ門とそっくりなモスコフスキー門

  • お別れに頂いた記念の品々

    お別れに頂いた記念の品々

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