2015/06/27 - 2015/06/27
31位(同エリア121件中)
frau.himmelさん
- frau.himmelさんTOP
- 旅行記571冊
- クチコミ0件
- Q&A回答14件
- 915,029アクセス
- フォロワー134人
「ブタハタール鉄道」、日本では「豚のしっぽ鉄道」。
えっ!って思いますね。豚ってドイツ語で「ブタ」って言うの?(笑)って。
実はドイツ語では「Wutachtalbahn」。
つまりヴータッハの谷の鉄道という意味です。
こちらの方言でザウシュヴェンツレ(豚のしっぽ)鉄道と呼ばれています。
この鉄道は豚のしっぽのようにくるくると、何箇所も蛇行したりループを描いたりしながら走るルートなのでそう呼ばれています。
ところが、かわいらしい名前に似合わず、この鉄道は軍事目的に造られた路線だったのです。
普仏戦争後のフランスとの緊張関係、第一次・第二次大戦では軍用列車、救護列車として活躍しました。
地図にも載っていなかったこの路線は、終戦後は衰退の一途を辿り、一時は廃止の決定がなされましたが、1977年に保存鉄道として蒸気機関車の運行が開始されることになりました。
変化に富んだ地形、風光明媚な黒い森の中を走るこの片道25キロメートルを1時間かけて走る路線は、週末だけしか動いていないのも影響して、今や遠くから多くの観光客が押しかけています。
私は「豚のしっぽ鉄道」のことをBSテレビの旅番組で知りました。
行きたいな〜。
でも、ちょっとアクセスが悪いので躊躇していましたが、今回夫がシャフハウゼンに行きたいと言ったとき、シメタ!と(笑)。
夫と一緒なら何とかなるかも知れない・・・。
ええ、夫のこと、頼りにしているのです。
PR
-
さあ、今日は今回の旅のハイライト、蒸気機関車に乗る日です。
朝起きたらお天気が気になりました。
ホテルの窓から空を見ると、ちょっと曇っているけど雨は降っていないよう。
よしっ!
それにしても昨夜は、お祭り帰りの客でレストランは遅くまで煩かった。 -
珍しく今日は朝食の写真があります。
最近カメラを持って食堂に行くのが面倒で、あまり朝食は撮っていませんでしたが。
ドイツのホテルの普通の食事、サーモンがあったのは嬉しかった。 -
お世話になったジンゲン駅。
昨日いなくなった夫を探しにここまで来たのよね〜(笑)。
私達は駅でやることがあります。 -
今日の予定では、遠回りでもいったんこの駅に戻ってこなければならないから、コインロッカーに荷物を入れます。
蒸気機関車の中に大きな荷物を持ち込むことは出来ないだろう、それに小さな駅にコインロッカーなんてないだろう。
一生懸命考えた挙句、もう一度ジンゲンに戻るのが一番だと考えたのです。 -
そして、コインロッカーのナンバーを写真に控えておきます。
ぶどう畑さんの二の舞にならないように。
ごめんなさいぶどう畑さん、でもいいことを教えていただきました。 -
バーデン・ヴュルテンベルク・チケットを券売機で買って、時刻表を印字します。
9:05分に出発して、インメンディンゲンで乗り換えて、蒸気機関車の始発駅ブルーンベルク・ツォーレンハウスに到着するのは9:55分です。
ドイツ鉄道は小さな駅でも券売機があり、時刻表が印字できるので旅行者は助かります。 -
ジンゲンの駅ホームには、ドイツ国境の駅らしく、普通にスイスの列車も停まっています。
-
車窓からジンゲンの象徴、ホーエントヴィール要塞が見えます。
この要塞はドイツ最大の要塞だったのですね、つい最近知りました。 -
乗り換え駅インメンディンゲン。
あの可愛い2両編成の列車に乗り込みます。
ホーエンツォレン地域鉄道HzL、3er Ringzug、日本で言う第三セクターみたいなものでしょうね。
これで終点まで。 -
この小さな2両編成の列車には乗客はたった5人。
時間ピッタリに運転手がやって来て、すぐ発車。
乗降客がいる駅のみ停車します。
無人駅が多いので、チケットは車内で買う仕組みになっているようです。
なんとも長閑な列車。 -
終点ブルーンベルク・ツォーレンハウス駅に到着。
行き止まり駅、これより先には進めません。 -
さて、チケットは何処で買うのだろう?
駅舎にはかっこいい制服を来た駅員さんがいます。
これは19世紀の駅員のユニフォームだそう。
テレビで言っていましたが、ここで働いている人たちはみんなボランティアだそうです。 -
駅舎横には豚ちゃんのマスコット。
残念、この角度からは豚の尻尾は見えない。
この可愛い豚ちゃんに似合わず、この路線は国家戦略として軍事目的に造られたという重い歴史があるのです。 -
フランスとスイスの国境近くに位置しているため、ブタハタール鉄道は、軍用目的で1870年代に造られ始めました。
普仏戦争でフランスに勝利してドイツ統一国家となったものの、フランスを孤立させるビスマルクの政策により、両国の関係は悪化の一途を辿ります。
ドイツはフランスとの再戦争に備えて、スイスを通らずに軍用列車が通るルートをフランス国境近くに新設する必要がありました。
(写真は資料より) -
第一次・第二次大戦では軍用列車や救護列車として使われました。
また、1940年頃、ナチスドイツによるスイス侵攻作戦のための軍事利用が考えられましたが、実現はしませんでした。(写真:資料より) -
なぜ豚のしっぽと「言われるのか?
地図を見ていただきましょう。
右端起点のブルーメンツォーレンハウス(標高702m)から、終点(左端)のヴァイツェン(標高471m)は直線距離で9.6キロメートルしかありませんが、その標高差は231mあります。
この高度を蒸気機関車で走れる勾配で規定内に収めるためには、約25キロメートルの路線長が必要になりました。
そのために迂回の連続で、まるで豚の尻尾のようにクルクル巻いているルートを走ることにより、この地方の方言ザウシュヴェンツレ・バーン(豚の尻尾鉄道)と呼ばれます。
4回の180度転回、鉄橋、ループ線まであって、変化に富んだ路線です。 -
窓口で当日券を購入して、煙を吐いて入線している蒸気機関車に乗り込みます。
休日なので、子供連れも多かった。 -
乗車券です。
日付と座席の番号が書かれており、乗車証明記念にもなります。
乗車券は往復一人22ユーロ。 -
蒸気機関車は週末しか走らないため、豚の尻尾鉄道は大人気です。
レトロな車両は全指定、見たら隣の車両は満席でした。 -
ところが私達が乗る最後尾の車両はガラガラ。
後から駆け込みで乗車券を買ったのがラッキーだったのですね。
検札にまわってきたとてもフレンドリーな車掌さん。
要所要所で近くに来て、撮影ポイントを教えてくれます。 -
汽車は、ポーーという威勢のいい汽笛を鳴らしてゆっくりと走り始めました。
さあ、これから約1時間の蒸気機関車の旅が始まります。
車窓には長閑な丘陵地帯が広がっています。
真ん中付近にこれから通る線路が見えます(赤矢印)。
くるーっと回ってあそこまで進むのです。いかに曲がりくねった路線なのか。 -
しばらくしたら、さっきの車掌さんが、地図を指差し「今ここだから、カメラを構えて・・」って教えに来てくれました。
向こうに見える橋は、これもこれから180度迂回して通る長さ264メートルのこの路線最長の陸橋です。 -
眼下には可愛い街の風景。
-
-
こんな街の上を通ったり・・・。
-
黒い森の中を煙を吐きながら走っていく蒸気機関車。
右や左へ、上に下に、大忙し。
乗客はアチコチの窓から身を乗り出して見ています。 -
こちら側の窓からは、最初に通ったビーゼンバッハ陸橋が見えています。
-
-
駅で停車していた貨物列車。
こんな自然の中に停まっていると、とてもお洒落に見えます。 -
「WTB」、ヴタハタール・バーンのマークが。
-
シュヴァルツヴァルト、黒い森地方に多く見られる「トウヒ」。
これが黒い森を形成しています。 -
この路線のちょうど真ん中付近の駅「フュッツェン駅」
-
「フュッツェン駅」
-
駅近くの家の庭先。
その向こうにフュッツェンの集落が見えます。 -
スマホで写真を撮っている隣の車両の人。
目が合ってお互いに手を振ります。 -
誰だってこんな可愛い街並み撮りたくなりますよね?
-
-
ラウスハイム・ブルメック駅
-
車掌さんがここで降りたわけは?
あら、さっきの親切な車掌さんと違います。どこで入れ替わたのだろう? -
ここで降りる乗客もいるのです。
この親子連れ、ハイキングでしょうか。 -
特徴のある黒い森の農家。
あのちょっと先はもうスイス領なのです。
だからここに鉄道がひかれたのです。 -
もう間もなく終点のヴァイツェン駅に到着です。
大型バスが何台も待っています。 -
残念ながら雨が降っています。
ここで降りて、迎えの大型バスに乗って、いずこかへ向かう人も多いです。 -
往復の人はここで30分の休憩。
雨が降っているので雨宿りできるところに集まっています。 -
黒い森でよく見かけるロトハウスの看板に惹かれて、ビールとプレッツフェルを購入して・・。
-
空いている椅子を見つけて休憩です。
-
雨が上がったので、機関車を見に行きます。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
さあ、車掌さんの合図で出発です。
-
帰路は私達は一番前の車両です。
客車はそのままで機関車だけが移動して付け替わったのですね。
ヴァイツェン駅で降りてバスに乗り換えた人も多かったので、空席が目立ちました。 -
外は雨が降っているようです。
あのバス、さっきこの列車から降りた人が乗っているのかしら? -
出発して間もなく、Lausheim Blumegg駅で面白い光景をみました。
車掌がオレンジ色の安全服を着けて車外に出て、踏み切りの旗を振っています。 -
そして、ゆっくり走る列車に飛び乗ります。
ラッキー!
一番前の車両だったからこんな珍しい風景も見れたのです。
皆さんボランティアだから、一人数役こなさなければならないのですね。 -
一番前の車両だから黒い煙も間近に見える。
首を出している機関士さんの顔もバッチリ。(赤矢印) -
ここはブータッハ川に架かるブータッハ橋。
一番前で見たらこんな風景。 -
後ろを見るとこんな風景。
みんな右や左へ移動して写真を撮るのに夢中です。 -
ここは、Talubergang-Fuetzen。153m。
-
-
フュツェンの街が見えてきました。
-
フュッツェン駅。
-
あら、ここでまた車掌さんが交代するのね。
往路で親切だったあの車掌さんに代わるようです。 -
こんな小さな列車でも飲み物の車内販売があります。
-
-
シュシュッポッポ、シュッポッポ・・・。
時々ポ〜〜〜!と言う汽笛ののどかな音。 -
単調な音に誘われて眠っている人もいます。
-
トンネルに入るとあわてて窓を閉めたり、出たら開けたりと忙しい。
列車は黒い煙を残して走ります。 -
また往路の親切な車掌さんがやって来ました。
「もうじき二つの橋が見えるよ。はい、今撮って!」
見ると窓の外にはこれから通るヴィーゼンバッハ鉄橋が見えています。 -
車掌さんは忙しい。エプフェンホーフェン駅で降りて発車の合図をしてすぐ乗り込みます。
-
エプフェンホーフェン鉄橋の上を走っています。
下にはかわいい集落。 -
こちら側は草地。
-
今通ってきたエプフェンホーフェン陸橋の上には煙だけが残っています。
-
-
遠くに見えるエプフェンホーフェン陸橋と街並み。
-
近づいてきた陸橋。
-
また遠ざかる陸橋。
橋の位置を見ているだけで、ループを描いて走る列車のルートがよく判ります。 -
エプフェンホーフェン陸橋が視界から消えたと思ったら、次の橋はビーゼンバッハ陸橋です。長さ252m。
-
-
後ろ方向を見ます。
-
さあ、トンネルに入ります。
窓を閉めて! -
ブッフベルクトンネル、長さ805m。
このトンネルを抜けると間もなくブルーンベルク・ツォーレンハウスに到着です。 -
車掌さんの忘れ物。
-
駅に到着です。
往復2時間の蒸気機関車の旅。
車内は常に笑いに満ち溢れていました。 -
運転手さん、お疲れ様でした。
-
次の出発に向けて、水と燃料を補給します。
また長くなりました。
もう少し続きがありますが、次の編で。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (6)
-
- ぶどう畑さん 2016/01/25 20:55:13
- 待ってましたー!
- himmelさん
ぶどう畑です。私の情報がお役に立ったようで。(^^;
ホントにねー、コンスタンツのロッカーの番号さえわかったら、カバンが戻ってきたかもしれません。
まぁ、それでも困らずに旅を続けられたのだから、ラッキーといえば、ラッキーでした。
さて、ぶたのシッポ鉄道。待ってましたー!
奥深い、山の中ばかりを走るかと思っていましたが、意外や意外、可愛らしい街並みが現れて、いい景色!
それにしても、線路がグルグルと面白いですね!
スイッチバックは、考えなかったのでしょうか?
ブルーんベルク・ツォルハウスからジンゲンに向かうのに、確か、待ち時間がありましたよね。
ぜひ、ご報告ください!
- frau.himmelさん からの返信 2016/01/25 22:23:30
- RE: 待ってましたー!
- ぶどう畑さん、こんばんは。
すみませ〜〜ん、無断でお名前を使わせていただいて。
でもあの情報は助かりました。
鍵をなくしてしまったら、何か証拠を示さないと出してくれませんものね。
今回はコインロッカーに預けたのはあの時1回、いやもう1回くらいあったかな?
あのときすぐ思いましたもの、写真写真!って(笑)。
これからもあの習慣は続けようと思っています。
あの豚のしっぽ鉄道のこと、ぶどう畑さんとの話題に上らなかったら、行っていなかったかもしれません。
あの旅行記から伝わってきたらうれしいのですが、とても楽しかったです。
ありがとうございました。
> 奥深い、山の中ばかりを走るかと思っていましたが、
あの鉄道の構造もあるのでしょうね。山岳鉄道ではなく、蒸気機関車が走れる場所を探し探してあんなクルクルのルートになったのでしょうから。
でも、森の中も通りましたよ。ただ近景の写真がうまく撮れないので、ぼけている写真しかないのです(泣)。
続きも近日中(ほんとかなー・笑)にアップしますので、そのあとどうしたかご覧になってください。
himmel
-
- ペコリーノさん 2016/01/25 12:32:17
- 数字が覚えられない・・・。
- frau.himmelさん、こんにちは。
鉄道とは関係ないですが、コインロッカーの数字を写真に撮っていらしたところ、「あるある!」とうれしくなりました。
私は、部屋にある、貴重品入れの暗証番号が覚えられなくて、よくスマホの写真に撮ってます。時々6ケタの数字を入れなくちゃいけないところとかありますよね。今は、クレジットカードも暗証番号だし、ホテルの部屋番号を言わなくてはいけない時もあるし、もう、旅行中は本当に大変!
今の携帯や、スマホの写真って便利ですよね。
ペコリーノ
- frau.himmelさん からの返信 2016/01/25 22:04:47
- RE: 数字が覚えられない・・・。
- ペコリーノさん、こんばんは。
寒いですね〜。
あのコインロッカーの写真のことは、4トラ会員のぶどう畑さんから教えていただいたのです。
私も数字覚えるのは苦手です。
今は覚えなければいけない数字が多くて、ログインとかパスワードとか、どれがどれだったかもう嫌になります。
最もひどかったのは、国外に旅行に行くのに、いつも使っているクレジットカードでは何かの時に危ないから、わざわざ新しく作っていったのに、数字が合わない。何度やっても合わない。
お金は下せないし、どうしようかと思いました。
幸い楽天カードで下せたのですが、これがリポ払いっていうんですか、毎月高い利子がついて一定額が引かれる仕組み。
一番有利だからと、現地キャッシングを選んだのに、これでは反対に高くつきました。
そんなヘマばかりしています。
himmel
-
- norisaさん 2016/01/25 06:25:28
- 黒い森ーー
- frau.himmelさん
おはようございます。
保存鉄道としての蒸気機関車、日本にもありますね。
やはり大英断のようです。
というのも今や貴重な観光資源ですからね。
さて暗い歴史の中で敷設された豚のしっぽ鉄道。
まさに黒い森を走るのですね。
しかし、黒い森は昔から知っていましたが、別段タールにまみれた木々というわけではなく、美しい田園や草原、それに普通の森のようですーー。
その中を颯爽と快走する蒸気機関車。
今や平和の象徴ですね。
この平和な情景はほんの数十年程度のこと。
難民問題に端を発してまた争いと殺戮の欧州にならないよう祈るばかりですーーー。
norisa
- frau.himmelさん からの返信 2016/01/25 21:53:11
- RE: 黒い森ーー
- norisaさん、こんばんは。
寒いですね。
いつもコメントありがとうございます。
> しかし、黒い森は昔から知っていましたが、別段タールにまみれた木々というわけではなく、美しい田園や草原、それに普通の森のようですーー。
そうですね、おっしゃるようにタールにまみれた木々で文字通り黒い森になったのではなく(笑)、
タールと同じくらいタチの悪い酸性雨に侵されて枯死した木々で「白い森」となったのは昔ニュースなどで見て覚えています。
年がわかりますね(笑)。
それがよく蘇ったものだと思います。
やはりドイツの人たちの、あの童話に出てくる鬱蒼とした黒い森を取り返そうと、環境問題に取り組んだ成果が表れたのでしょうね。
黒い森と言っても、可愛い町が点在していますし、綺麗な丘陵地帯も広がっています。今やドイツ人の休日の人気のレクリエーションの地域だそうです。
私もシュヴァルツヴァルトって聞くと、何かロマンチックな感じがします。
第二次世界大戦のヒトラーのあの負の遺産、黒い森の酸性雨の環境問題、それらのカタがついたと思ったら、今度は難民問題、テロ問題、ドイツも大変ですね。
日本もいろいろな問題を抱えていますけど。
今夜・明日朝も寒いそうですから、お風邪などひかれませんように。
himmel
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
6
93