ソウル・済州島の韓国視察旅行(中編)~済州島のグルメは太刀魚・アワビほか豊富な海の幸に豚肉が加わって一層ダイナミック。蒙古襲来による高麗の直轄地化、戦後の四・三事件など悲しい歴史も秘めています~
2015/12/02 - 2015/12/03
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たびたびさん
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済州島は、韓国では日本の沖縄に相当するリゾート地という位置づけなのですが、ソウルに比べれば暖かとはいえ、そこまでの感じはしませんね。ヤシの木なども生えていて、南国らしい風景はあるにはあるのですが、高知や宮崎よりもずっと寒いような気がします。
さらに冬場だったこともあって、屋外での楽しみはそうも期待できない。結局、グルメがせめてもの楽しみになりました。
ところで、ガイドさんは地元の出身。観光案内の中では、気分がのってくると済州島の悲しい歴史にも少し話が及んだり。お蔭でリゾート地というイメージからは想像もできない意外な側面も知ることができました。自分は大阪に住んでいたこともあるということでしたが、これももしかしたら戦後の動きと関係していたのかしれません。
お気楽な旅のはずだったのですが、またまた考えさせられてしまった、たびたびです。
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ソウルの金浦国際空港から、済州国際空港に到着。
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済州島は、韓国内では人気のリゾート地ということでしたが、12月に入っていて寒かったのもあって、全然そんな気にならない。
日本人からするとこれでは南国感がイマイチなので、日本人の観光客が激減しているのも致し方ないかなあと感じました。一方で、ソウルとの便は意外に頻繁にあって、観光だけの利用ではないような気も。人口は55万人なので、それ以外の経済的な結びつきも小さくないということでしょう。 -
現地の案内人に迎えられて、さっそく地元の料理をいただくことに。ここは、オジャングンというお店です。
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ここを訪れた人の写真がいっぱい飾ってあって、人気のお店のようですね。
ところで、済州島の海の幸を代表するのものには、鯖、太刀魚、アマダイ。 -
オジャングンの自慢料理も当然それを使ったものなんですが、まずはもう一つの看板である豚肉料理です。
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イチオシ
まな板の上には、蒸し焼きにされたような豚肉があって、
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それに韓国味噌をつけていただきます。トウガラシのような辛いのは苦手なんですが、これなら大丈夫。どこで辛い物が出るかわからないので、実は毎回緊張していたんですが、出だしはなかなか順調です。
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イチオシ
続いて出てきた海に幸は、鯖の塩焼き、太刀魚の煮込み、アマダイの一夜干し。
鯖は小浜などであるいわゆる浜焼きですね。脂がのってとてもおいしい。これなら、小浜の浜焼きにも負けてないかもしれません。
太刀魚も身がよく締まっています。そして、イチオシはアマダイ。程よく脂が乗った甘みのある白身が忘れられないくらいうまかったです。 -
イチオシ
こちらはなべ物。
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でかい太刀魚も入っていて、やっぱり濃厚なうまさ。
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これはわかめとウニのスープ。日本だと岩手にいちご煮というのがありますよね。ここのは残念ながらウニの香りが死んでいるので、それと比べるとイマイチかなと思います。もしかしたら、日本みたいにウニを特別視するのではなくて、わかめをおいしく食べるためにウニを使っているという感じなのかもしれません。
ゆっくりゆっくり食事して、これで体が十分温まりました。 -
その後、また市街を抜けて。
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やてきたのは、エコランド。ここは、済州島を代表する観光スポットの一つだそう。
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園内は広いので、乗り物に乗って移動します。
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園内の地図を確認して、出発です。
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乗り物はガスエンジン式機関車。五つの駅を経由して園内を巡ります。
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コースはエコブリッジ駅で降りて、ここからレイクサイド駅まで歩きます。
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少し歩くと、湖や風車の景色など。
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ただ、日本のテーマパークの完成度と比べるとかなりさみしい印象はぬぐえません。
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この駅も
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それなりに頑張っている感じがあるんですが、たぶん、日本人ならディズニーランドを見慣れているんで、目線が上がりすぎているんでしょうね。ちょっとやそっとでは、満足できないことになってます。
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それでも、いかがですかと言われればうなずかざるを得ない。
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済州島の人はそこの辺りがイマイチ分かっていないのでしょう。
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サンタマリア号や
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ドンキホーテとか借り物で何とかしようと思っても、それは無理というものです。
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で、早めにいったんホテルにチェックイン。
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済州島では中堅のホテルなんだと思いますが、
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この悠々とした部屋の広さはシティホテルのワンランク上という感じです。殺風景で高級感のようなものはまるでないのですが、機能的な美しさがあって、ゆっくり寛ぎました。なお、ソウルも同じですが、使い捨ての髭剃りはありません。
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再びホテルを出て、夜の宴会場に向かいます。
途中の海岸はライトアップされていました。 -
昼に比べるとちょっと落ちますが、海鮮が中心。
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むしろ、飲みのほうが中心なので、これくらいでよかったかもしれませんね。
済州島の初日はこれで終了。
ところで、ガイドさんからは済州島の歴史についていくつか。
済州島は、もともとは朝鮮に帰属していたわけではなく、耽羅国という独立国。三姓神話という建国の神話まであるんですね。
そして、済州島が朝鮮に組み込まれたのは元寇から。日本に向かう前に侵略を受け、高麗の直轄地となるのですが、高麗からは例のごとく悪名高い両班が派遣される。たぶん、島への偏見なども加わって、相当の収奪もあったのだと思います。馬の放牧地とされたこともあって、ことわざで「人に生まれたらソウルに行け。馬に生まれたら済州島へ行け。」というのがあるそう。何でもないように聞こえますが、悪く言えば、済州島は人の住むところではないといった風にも聞こえなくはない。そこまでの説明はありませんでしたが、やはりいろんな思いが込められた言葉のように思います。
時代は下って、戦後の悲劇は四・三事件。1950年の朝鮮戦争をはさんで起きた事件は、北と関係する労働党一派の排除を目的にした実質的な大量虐殺。北と関係する労働党一派なんかソウルでも少なくなかったはずなのに、済州島では島民の5人に1人にあたる6万人が虐殺されたと言われます。やはり島民への蔑視のような感情があったことも否定できないように思います。その事件から逃れるために多くの島民が日本にも渡ったのだそうで、今回初めて知ったことが少し恥ずかしくなるような話でした。 -
翌日は、
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ホテルの朝食から。
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外は寒いし、しっかり食べておきましょう。
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済州島の南部に向かって、
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これはみかんの選果場です。
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済州島はみかんの栽培が盛ん。日本から苗を持ち込んだものなんですが、品種改良や栽培方法の工夫で良質なみかんができるのだそう。
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ここは済州島ではトップクラスの規模を誇るということでした。
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お土産にもらったみかんです。正直言えば、まあまあというか。まだまだかな。
私は愛媛で暮らしたこともあって、本当においしいみかんの味を知っています。伊予かんとか新種の中晩柑が出てきましたが、本当においしいのは温州ミカン。それにまさる柑橘はありません。みかん離れはたぶん今も進んでいて、今の時代、ほとんどの人は温州ミカンがそんなにおいしいものという思いはないと思いますが、それはそうではないんですけどね。 -
済州島は湧水が豊富で、滝も多いようです。
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やってきた、ここ天地淵瀑布も有名な滝の一つ。
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駐車場から歩きましたが、
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途中には食堂やお土産物のお店が軒を並べて、
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いかにも観光地といった賑やかさがありました。
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滝は、この先ですが、感心したのは石畳の道。
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真っ平らな仕上がりで妙に歩きやすい。火山の島である済州島は石が豊富に採れるので、加工の技術が高いのかもしれません。
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これはトルハルバン。石製のおじいさんという意味で、済州島では沖縄のシーサーみたいなお土産物の定番です。
飛鳥にもこんなのがあって、猿石とか呼ばれていて、不思議がられているんですが、こっちから伝わったものなのでしょう。韓国に来ると日本のことがまたよくわかるところがあるんですが、まあ。当たり前といえば当たり前です。 -
川をさかのぼって、
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滝に到着。
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イチオシ
さほどの規模ではないのですが、溶岩流が固まった岩からいきなり流れ落ちています。これも火山の島、済州島を象徴するような眺めでしょう。
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そして、また昼食です。
済州島の名物の一つは、アワビに似たオブンジャッにその他の貝、うに、イカ、海老などを味噌で煮込んだヘムルトゥッペギ。Suhui Sikdangはその有名店のようですが、 -
イチオシ
食べても食べても、どんどんオブンジャッが湧いてくるくらい大量に入っていて、贅沢このうえない。体もあったまって、とっても元気が出る感じです。
観光の人のエネルギッシュな体質はこういった食べ物からも来ているんでしょうね。 -
移動している途中に見えてきたのは、済州ワールドカップスタジアム。済州島にある唯一のサッカースタジアムです。
韓国人はサッカーが大好きだし、賑わっていると思ったら、ここは島の南側で、中心部からするとかなり遠い場所。済州島の人でもここに行くのはおっくうらしく、ここの試合でもテレビで見る派が多いのだとか。
それに、済州島の人は芸能人とかにもあまり騒がないのも特徴なんだとか。韓国でも有名な芸能人が済州島に来るとあまりにも地元の人のテンションが低いので、自分の人気も大したことがなかったのかもしれないと思ってしまって大変がっかりするのだそうです。 -
さて、済州島の名産品の一つがお茶だそうで、
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ここはお茶の博物館。
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青磁や白磁などの茶器の展示はミニマムのものですが、
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それでも日本の、特に九州の焼き物の原点は朝鮮です。
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イチオシ
今の視点で見ると日本にはないデザインの匂いがしますが、
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この美しさは、日本人にもそんなに違和感なく理解できるもの。
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これは三島だし、
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これは陰刻。日本の焼き物の技術にもちゃんと引き継がれている技術です。
ただ、説明の中で、韓国のお茶は形式ばらず、普段の生活の中で楽しむものという説明があって、そんなのがなんで特徴になるのかなあと思ったのですが、よく考えてみると、海外には日本のお茶=茶道みたいなイメージがあって、そうした説明になっているんでしょう。茶道は禅とも結びついたし、伝統的な日本文化の一つ。ただ、外から入れたものが多い日本の文化にあって、実は稀有な存在なのかもしれません。
ちなみに、禅は中国からだし、小堀遠州の作庭デザインは実は西洋式の庭園技術の影響も受けています。反面、利休がどこからお茶の精神を創造したのか。機会があれば、また追求してみたいテーマです。 -
ショップの方ではお茶の製品が豊富にそろっていて、
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試飲も積極的にやっています。
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お茶の道具もなんだかおもしろいですね。
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ところで、日本茶は醗酵させない。中国茶は醗酵させる。対して、韓国ではどちらもありだし、それをブレンドしたりもするというもの。たぶん、本来は醗酵させるタイプだったと思いますが、日本の影響もあって、このようになったのかなあと想像しました。
というのも、お茶は朝鮮半島経由ではなく、遣唐使によって中国から直接入ってきたもの。日本では緑色が美しいので、その緑色を保つために火を入れて発酵を止めるようになったのだそう。朝鮮ではそのようなニーズはなかったのではないかと思います。 -
お茶の博物館を見学した後、ちょっとお茶にしようとそのままこちらに移動して、
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こちらでちょっと休憩です。
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喫茶部があったので、
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ここにしましょう。
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スイーツ系のきな粉をたっぷり掛けたアイスクリームをいただきましたが、こんな組み合わせは珍しいですよね。
しかし、食べ始めると、黄な粉にちょっと蒸せたりして、食べにくいような気もしなくはない。なるほど、日本ではない理由が分かったような気がしました。日本なら、黄粉はアイスクリームに練りこんで出すでしょう。 -
天気が土砂降りになってきたので、予定していたラブ・ランドを変更して、屋内のサーカスワールドの見物にしました。
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雑技団という説明もされていましたが、どうなんでしょう。
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少年たちの演技は体操に
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ちょっとエンターテイメントの要素も入って、
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アクロバティックなところは、いわゆるサーカスということでしょう。
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一方で、小さな女の子たちの演技は雑技団の感じ。
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皿回しや楽器を使ったような演技は
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ちょっと民族舞踊的な振りもあったりして、楽しめます。
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まあ、どこがどう朝鮮らしいのかまではよくわからないんですが、
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そこはざっくりです。
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空中ブランコから
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組体操みたいな集団演技へ。
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イチオシ
このジャングルジムのような仕掛けを使って、
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優雅に演技していきます。
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そして、ハイライトはオートバイショー。
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球体の中に一体何台のオートバイが入ったんでしょうか。
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イチオシ
それなのに。。それぞれが全力疾走して、危険極まりない。ハラハラドキドキのフィナーレでした。
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そして、最後の夜は、済州島の名物の一つ、黒豚料理。
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分厚く切ったバラ肉を豪快に焼いて食べるキムギョプサルです。
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イチオシ
私は、そうでなくても普段焼肉屋さんなんかほとんどいかないので、煙を吸うバキューム式の煙突や分厚い肉をハサミでチョキチョキ切って行く様子に目を丸くしながら見守ります。
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そして、焼けたところで、例によって、野菜でくるんでいただきます。豪快です。
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イチオシ
〆の冷麺。これが本場の味ですか。麺のシコシコがとてもいいですね。ごちそう様でした。
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日本を離れて緊張もしているせいか、そろそろ疲れがたまってきたような。
ということで、ガイドさんに勧められて、マッサージに行ってみることに。 -
体を十分温めたところに、念入りなマッサージを1時間ほど。心のどこかで心配していたところもなくはなかったのですが、最後はすっかり体をゆだねて気持ちいい。癖になりそうな体験になりました。
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翌朝は、ホテルを出てチェジュ空港に直行。
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ショップにはトルハルバンがたくさん置いてありまして、私も一つお土産にしました。
さて、済州島を後にして、後編のソウルに続きます。
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