2015/11/01 - 2015/11/01
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たびたびさん
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山口県の観光地といえば、全国的に一番有名なのは萩でしょうが、明治維新関係の観光スポットに限っても、実は下関が圧倒的に多いし、山口市内も豊富です。結局、古来から経済活動は瀬戸内海側の方が活発だったし、長門や川棚もなくはないけど全体としては文化の蓄積も厚いんですよね。
瀬戸内海側のその他の観光となると、岩国、防府、長府、そして・・。徳山はあんまり観光地じゃないし、とか考えて、うーん。でも、そういえば柳井があったよねということで、今回の旅は柳井に決定。山口の街はそれぞれがけっこう個性的で、長州藩といっても一枚岩ではなくて、自主独立の風が尊重されていたような感じがあるように思います。結果として、この柳井もその典型の一つではないかと思いました。
さて、柳井は岩国藩の納戸と言われた街。納戸というと普段は使わないものを入れて置く部屋のことですが、そういう意味ではなく、岩国藩の玄関として積極的に瀬戸内海の交易に関わって、経済が栄えた街ということを積極的に例えたもの。白い漆喰の壁の家はその繁栄の象徴ですが、うだつがちゃんと備えられていたり、見栄えだけでなく火事に備えるという現実的なニーズもあった街並みです。
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JR柳井駅に到着して。これは駅前正面の麗都路通りの入口。ここから白壁の街の方に向かいます。ゆっくり歩いても10分くらいです。白壁の街は木造の建物群がウリなんですが、こちらは大正期以降のモダンな雰囲気。その対比が面白いとも思います。
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通りの途中にあるオルゴールの館もそうしたバタ臭さを演出しています。
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建物自体が見どころのような気もしますが、内部には実際に動くオルゴールが設置されていて、100円を入れると一曲聞けるようになっていました。地元出身のオルゴール専門の作曲家を記念して建てられた施設です。
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この橋を渡るともうすぐです。
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海に近いので、川はゆったりと穏やかです。一方で干満もあるのでしょうか、両岸はしっかりとした堤防が整備されています。広島市内なんかもそうですが、これも瀬戸内海の都市の特徴でしょう。
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白壁の街の入口交差点角に建つ洋館は、町並み資料館です。
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明治40年に周防銀行の本店として建てられたもの。
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イチオシ
中に入ると銀行らしい高い天井の広々とした空間。係りの人がいてちょっと説明してくれました。柳井市名誉市民の資料等が展示されていましたが、それはそれとして。やっぱりこの建物自体が見どころなんでしょうね。
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ここには松島詩子記念館というのがあって、資料館の二階です。
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階段を上がるとがらりと雰囲気が変わって、そこは芸能界の華やかな雰囲気。
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ちなみに、松島詩子は昭和初期に活躍した歌手。
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第一回の紅白歌合戦から連続出場したという実力派です。
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館内には松島詩子の歌が絶えず流れていて、心地よい。
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コロコロと転がるような発声法はちょっと古臭いところもなくはないんですが、聴かせる力を強く感じさせるものでした。いきなり、いいものを見せていただきました。
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その角に建つのが、むろやの園。
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結果として、ここが柳井では一番の見どころだったのではないかと思います。
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通りに面した小部屋には、人形が飾られて観光客をお迎えしています。
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間口はそうでもないのですが、奥行きは120m。約800坪の敷地には11棟35室もの建物が次々と建っていて、これは日本でも最大規模の町家ということ。
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イチオシ
係りの人というか、ボランティアの人がいて、丁寧に概要を説明してくれました。
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この商家は油商で栄え、江戸時代は50隻もの船を持ち、その後は貸屋業などにも進出し、隆盛を誇ったというのですが、
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それくらいのことなら、まあ、あちこちでそれなりに例は少なくない。
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奥へ奥へと入って行く、
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この感じもまあまあ
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予想の範囲内といえなくはないと思います。
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一方で、ここの所蔵品の量は半端ではない。
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ミシンだったり、
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イチオシ
蓄音機などがあって、主人の多趣味が窺える展示に、
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日常の茶道具といった生活用品や
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装飾品
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陶器のお弁当
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蹴鞠の靴など、とにかく、多種多様の展示です。
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こちらの土蔵では、
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甲冑から
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えっと、
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お膳と
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食器類の
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数々。
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ご主人だけでなく、女将さんや家族や働いている人たちにも
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それなりの知識がないと
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こうしたものが揃うことはなかったでしょう。
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イチオシ
これも敷地の中にある建物。ちょっと迎賓館のような感じです。
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では、台所の辺りから、母屋の方にも上がってみます。
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公的な客を迎えたであろう上の間や
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二階にもそれなりの部屋はありますね。
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これは女中部屋。壁もなくて下のざわめきが直接聞こえてくるような構造です。
ここでは、なん人の人が暮らしていたんでしょうか、今の感覚で言えば、どうかすると敷地の中に小さな横丁、街があるような感覚だったかもしれません。
いずれにしても、この所蔵品は特筆すべきもの。今は市の所有となっていますが、意識の高い人がだれかいて、処分して金にしたり、ごみになってしまう前に引き取られたことが散逸を防いだのだと思います。これは、間違いなく柳井の貴重な財産です。 -
きじやは、柳井白壁の街の端っこにあるお菓子屋さん。
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入ると、女将さんがかいがいしくお茶を入れてくれて、あれもこれもとお菓子の試食をさせてくれました。
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お土産に買ったのは、三角餅。お餅も箱も全部が三角。ちょっと面白いですね。お餅の方は、ちょっと粘っこい感じ。餡子の甘さが強烈です。
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誓光寺は、湘江庵に行く途中にある浄土真宗の寺です。江戸時代にあっては、柳井坊主職ということで大きな寺だったよう。
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浄土宗は、備前法華に安芸門徒と言われるくらい広島では門徒が多く、毛利氏はその勢力の力も借りて、信長に対抗する本願寺を助けたことは有名です。その毛利氏が山口に移ってからもこうした歴史は心に残っていたはずで、この寺もそうした背景もあって繁栄したのではないかと思います。
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そして、隣りの柳と井戸は、柳井の地名の起こりとなったもの。
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曹洞宗湘江庵の境内の真ん中に並んでありました。
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イチオシ
傍らに説明板があって、般若姫の伝説について。
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大分から聖徳太子の父、後の用明天皇の后となる途上、ここに寄って、この井戸で喉を潤した。そして、お礼に挿された楊枝が一夜にして成木になったというのです。なんともおめでたい話です。
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少し高台の方にやってきました。
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これは、光台寺。
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国木田独歩の旧家からは近くて、独歩もよくここに来ていたという寺です。楼門が見どころで、中国明朝様式という竜宮城のようなずんぐり型の門です。その先には本堂があるはずなのですが、幼稚園があるだけでよく分かりませんでした。まあ、この門が見どころなので、よしとしましょう。
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ちょっと戻って、今度は国木田独歩の旧家へ。
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旧宅の手前には独歩の碑もあって、念がいってますね。
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そして、国木田独歩旧宅は、小さな公園のように整備されていました。
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独歩は、ここで20歳から22歳の間住んだのだそうです。窓ガラス越しに部屋の中が見えて、国木田独歩の銅像や生涯年表などがありました。短い間なのですが、それでもちゃんとインパクトを残しているのか、後になって、すごい人だったと気が付いたのか。やっぱり、後者だと思いますが、まあそれはそれでいいでしょう。
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高台を降りてくると、何やら立派な山門の寺。これは普慶寺。真言宗の寺です。
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天長8年(831年)の創建という古刹で、大内氏が納めたという千手観音菩薩立像が本尊。山門の付近から本堂に向かう一直線の参道にはただならぬ威厳があって、極彩色の金剛力士像もなかなか迫力がありました。
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境内は奥に細長く続いています。誓光寺もそうでしたが、柳井にはあまり広大な境内は似合わないのかもしれません。
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もう一つ楽しみにしていたのは、ひがしや菓子店。創業は160年以上。看板商品の翁飴は、柳井の名物となっています。
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ただ、あーれー。今日はお休みですかあ。
しかし、翁飴を売り場は他にもあるようでその案内を見て、そちらに回ることにしました。 -
では、ここらで昼食です。トントンというトンカツ屋さん。
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しばらく待って、
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豚豚カツ定食をいただきました。
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イチオシ
これは、とんかつに、豚肉の肉味噌を乗っけて食べるというもの。ちょっと、豚に豚の濃い味わいを楽しむコンセプトのようです。ただ、私としては可もなく不可もなく。
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最後はソースを掛けていただきました。こっちの方が慣れた味ですよね。
どちらにしても、基本的な豚肉のおいしさがあって、サクッと噛む歯ごたえが気持ちいいトンカツでした。 -
食後のデザートは、シェ・カワモト。
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表にデカデカと看板が出ていたプリンをいただきました。
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一番上の表面には生クリームの層があって、最後のキャラメルソースとの三層構造は、インパクトがあって手加減なしという感じのおいしさ。納得です。
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続いてのお菓子屋さんはエスパリエ カゲツ。白壁の街の反対側にある洋菓子屋さんで、派手な店名を書いた外装が目立ちます。
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いただいたのは、「独歩」。国木田独歩にちなんだお菓子です。白餡がぎっしり入って、はっきりした甘さにインパクトがある。このはっきりした甘さは柳井の味の特徴のような気がします。
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さて、再び、白壁の街に戻ってきて、街歩きの後半戦です。
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この木阪賞文堂は、柳井の名物、金魚ちょうちんなどを販売するお店。
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イチオシ
金魚ちょうちんと言っても、いろいろ種類があって、目がシールを張った簡単なものから、手描きで丁寧に作られたものまで。
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説明を聞いて、なるほどなあとは思いましたが、お土産にはどうなんでしょう。買って帰っても、残念ながらちょっとどうしていいか分からないもののような気がします。。
ところで、金魚ちょうちんのルーツは、 幕末のころ。柳井津金屋の熊谷林三郎という人物が、青森 の「ねぶた」にヒントを得て、作り始めたのだそう。確かに、ねぶた祭りで金魚のねぶたはありますけど、そんなところによく目が行きましたね。ただ、それが面白いと思ったのもやっぱり柳井の人たち。その感覚は独特でしょう。 -
先に進んで、
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国森家は、柳井の白壁の街の中心部。
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こちらは江戸時代中期に建てられた典型的な商家で、妻入りの白漆喰の土蔵2階建て。
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見学は有料ですが、係の人はいないので、かごに自分でお金を入れて見させてもらいます。
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広い玄関を見るだけで上には上がれませんが、
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それでも当時の隆盛が十分偲ばれると思います。
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さて、さらに先へ。途中にあった理髪店。現役のお店です。いい感じなので、これを表紙に使いました。
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こちらは、佐川醤油。
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イチオシ
販売所を兼ねた大きな倉庫のような醤油蔵です。
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それにしても、誰もいないので、無人の店内を勝手に写真に撮らせてもらいますよ〜
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こんなにきれいに商品が並んでいるのに、お店の人はどこに行っちゃったんでしょうね〜
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がらんとした蔵の奥の方が醸造所。いくつもの醤油樽が並んでいて、
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階段を上がって、
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それを窓越しに見下ろすと、ブツブツと泡だってまさに醸造の最中。予想外の面白いものを見せてもらいました。
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さっきの売り場の隣りにあった樽を覗くと、何んと錦鯉が飼ってある。つまり、きれいな水が豊富にあるので、こんあ贅沢もできるんでしょうね。
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西蔵もそのはす向かい。こちらは、漆喰の蔵造りの倉庫のような建物です。
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中に入ると広い空間があって、とっても気持ちがいいですね。柳井の街のパネルの展示もちょこっとありましたが、
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目玉は金魚ちょうちん作り体験。楽しげに金魚ちょうちんを作っている家族もいて、体験は人気のようでした。
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ほか、機織りも体験できるようです。
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これは、かけや小路は白壁の街の脇を入って行く細い通り。傍らに説明板があって、掛屋という金融業を営んだ商家があったことから名前が付いたのだそう。緑橋で荷揚げした商品を運んだ道でもあるようです。
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蟹が横切りますの注意書もありました。
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そして、最後は、しらかべ学遊館です。
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御納戸の歴史や
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白壁の街のおこりなど。分かりやすく説明していて、肩の凝らない施設です。
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ちょっと目を引いたのは、幕末に出た尊皇攘夷派の僧、月性。
若くして漢詩文を学び、上方では名士と交流。吉田松陰、久坂玄瑞らとも親しく、長州の藩論を攘夷に向かわせるのに努めた熱血漢だったというのです。
光被は、「君徳などが広く 世の中に行きわたること」。こうした語彙を使って、人の心に強く訴えかけるのは漢字の特徴。戦前の戦意発揚などでも盛んに用いられ、戦後の平和教育では敬遠されることになってしまったという歴史があるのですが、どこかでこうした文化が復権していくことができないのか。ちょっと残念に思うところです。 -
その他、生活道具類とかもありますが、
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明治時代の広告「引き札」
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当時のものがいくつも残っていて、
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イチオシ
色彩感覚や
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構図など。
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内容はイマイチ分かりませんが、今見ても何か楽しい。日本的な文化の浮世絵のような土壌があったうえに、西洋の感覚を取り入れた明治の時代の面白さがよく現れているように思います。
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さて、あとはお土産の翁飴です。
重枝醤油は、 -
甘露醤油というのが看板商品のようですが、ここがさっきのひがしや菓子店の翁飴の売り場の一つなんです。
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無事に飴をゲットしました。
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イチオシ
家に帰って、封を開けると。。
いやー、これはいいですねえ。美しいし、面白い。やるもんです。 -
丁寧な包装もさすがです。
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さて、この飴。飴と言っても、ゼリーのように柔らかなものですよ。白いサラサラの砂糖がまぶしてあって、まずは見た目が美しい。そして、舐めるというよりな噛むようにして食べました。
ただ、味わいは地味。正直言えば、若い人には受けないかなあとは思います。昔の味を守るのも必要なんですが、嗜好は変化するもの。やっぱり何かを考えないといけないかなあと感じます。 -
柳井からは、広島市へ向かいますが、途中に見えたのは大島大橋。
これは、柳井市から対岸の大島に渡る橋。ここは、大畠瀬戸というようです。
以前からなんとなく橋の話は聞いていたのですが、こんなに大きな橋だとは知りませんでした。けっこう巨大で誰が見てもインパクトがある橋ではあるでしょう。
以上で、柳井の日帰り旅は終了。お疲れ様でした。
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