船頭二人のドイツ旅　☆クルト・アイスナー、マイケル・ジャクソン、聖母教会、新市庁舎・他、食事はラーツケラーで

2015/06/20 - 2015/06/20

午前中アウクスブルクを観光して、午後ミュンヘンにやってきました。
チケットは今日もバイエルンチケット。2人で28ユーロ。

午前中のアウクスブルク市内の路面電車や、アウクスブルク→ミュンヘンまでのREの料金、それにミュンヘン市内の交通費がこれですべてOKなのです。
私にとっては万能のチケット。
都度チケットを買わなくて済むし、しかも安い。なんとこれで1人あたり日本円で2000円弱なのです。

さて、ミュンヘン市内では私のテーマ、およそ観光らしからぬマイナーな歴史探訪をいたします。
夫は少々あきれ顔。

エリア ミュンヘン(ドイツ)

ホテルで荷物を受けとって、アウクスブルク駅からミュンヘン行のREに乗ります。

今日もバイエルンチケットが活躍してくれます。

写真は昨日のチケットです。

ミュンヘン駅前のホテルにチェックインして、さっそく観光に出かけます。
まずは私の旅の目的、ドイツ近・現代史を探るスポットへ。

ミュンヘン中央駅から地下鉄でオデオンプラッツにやってきました。
この長〜いエスカレーターに乗って地上へ。

オデオンプラッツ自体はミュンヘンの主要観光地。
近くには、レジデンツやオペラ座、テアティナー教会、ホーフガルテンなどがあります。

私は何度も訪れていますので珍しくはないのですが、実はここはドイツの近・現代史に名を残す重要な場所なのです。

夫はいつものように、近くにあった地図を写真に納めます。

出てきたところはオデオンプラッツの将軍堂。

人がいっぱい！
何かあるのでしょうか？

車や人の影に隠れて小さくしか見えませんが、奥にあるのが将軍堂。

将軍堂（Feldherrnhalle）は、ルードヴィッヒ1世の命により1841年〜1844年に建設されたもの。

1923年11月9日、当時のワイマール共和国を倒そうとしたヒトラーらが起こしたミュンヘン一揆、その歴史的クーデターがここオデオンプラッツで起きました。
クーデターは失敗しますが、これこそがその後のナチス躍進の引き金になったのです。

将軍堂のポールの台座、見事な装飾です。

左に見える館はレジデンツ。

そのミュンヘン一揆に関するモニュメントがこのオデオンプラッツにあると聞いてここにやってきました。

ポールの上にはミュンヘンの象徴、ミュンヘン小僧。

将軍堂の左側には、三十年戦争のバイエルンの戦士ティルリ公の銅像、ここからは見えませんが右側にはフランスと戦ったヴェルデ王子の彫像が建っています。

中央にはライオンの像。

ミュンヘン一揆のモニュメントは、漠然と、オデオンプラッツに行けば見つかるだろうと高を括っていました。
たけど、この人ごみでは思うように探せない。

夫もイライラしているようなので、いいかげんに打ち切ることに。
あ〜〜、こんな時一人だったら、ゆっくり探すんだけどなー。

将軍堂の隣、テアティーナー教会は修復中。

翌日訪れた新しく出来た博物館で、オデオンプラッツが入った写真を撮っていました。

1946年11月9日、終戦の翌年ミュンヘン一揆の記念日に、6000人が集まったデモがオデオンプラッツでありました。
ドイツの新しい出発のためには、ナチス犯罪者の即座の処罰を求めるというものでした。

この頃ニュルンベルク裁判とは別に、ドイツ人自身の手による反ナチス裁判を！という声が高まっていました。

ミュンヘン一揆の足跡は探せなかったけど、まだこの近くで歴史的な探し物があります。

サルヴァトーレ通り。

聖サルヴァトーレ教会（ギリシャ正教会）

ありました！探し物、人型のシルエットが！。

第一次世界大戦の敗戦でドイツが混沌としている中、バイエルン共和国の暫定首相に就任したクルト・アイスナーが、この場所で暗殺されたのです。

1918年11月8日バイエルン王ルートヴィヒ3世の退位を要求し、バイエルン共和国を宣言したミュンヘン革命の指導者クルト・アイスナー（1867-1919）が1919年2月21日、暗殺されたことを示すモニュメントなのです。

クルト・アイスナーについて詳細はこちらを。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%BC

先述の博物館で、クルト・アイスナーの葬儀の写真がありました。

この頃から雨が降り始めました。

向こうの広場にミイラのように何かにくるまれた奇妙な像を見つけました。
雨が降っているのもお構いなしに、私はそちらへ駆け寄ります。
夫は、また始まったーというように呆れ顔をして動きません。

ここはプロムナーデプラッツ。

私と同じような物好きな人たちが、雨にも関わらず、何人か寄ってきました。

そのお隣にもっと興味を引くものを見つけました。

この像はオルラント・ディ・ラッソ。
ミュンヘンで活躍し、ミュンヘンで没したフランドル楽派の有名な作曲家だそう。私は知りませんでしたが。

彼の像の台座にベタベタ貼られたあの雑多な写真は・・・。

なんとマイケル･ジャクソンの写真。

彼のフアンたちが、この場をマイケルの追悼の場にしているのだそうです。
彼が滞在したホテル・バイエリッシャーホフの目の前だからとか。
通りの向こうにミュンヘンの高級ホテル、バイエリッシャー・ホフが見えます。

家主（？）のラッソが多くのレクイエムを作曲しているというのも、理由の一つではないかと、私の勝手な想像です。

雨がザーザー降っているのに、これらのCDや写真、お供え物など、誰があとのお掃除をするのでしょうね。

そちらが気になります。

雨が強くなってきました。
ともかくどこか雨宿り場所を・・。

フラウエン教会に逃げ込みました。

祭壇に向かって一礼して・・。

教会の中は、私達と同じ考えの人でいっぱい。
みなさん、雨に降られて逃げ込んできた人達です。

パイプオルガン。

祭壇。
柱の形に特徴があります。
中央から見ると、柱が並んだ様子はまるで1枚の壁のように見えるのです。

ペーター・カンディット作「マリアの昇天」1620年。

入口近くに、ルートヴィッヒ皇帝の記念の墓があります。
歴代神聖ローマ皇帝の中で、ヴィッテルスバッハ家出身の一人がルートヴィッヒ4世です。

教会内部には、ほかにもヴィッテルスバッハ家の46人の墓所があります。

雨が上がったので、街歩き再開。

フラウエン教会のシンボル、葱坊主形の二つの塔はただいま工事中。

今日は土曜日、雨上がりのカウフィンガー通りは大勢の買い物客で賑わっています。
雨が上がってよかったね♪。

あそこには細い鉄の棒に立って両手を広げている男性が。
実は人形なのです。

このモニュメント、いろんなところで見かけますよね？

新市庁舎の前には大勢の人だかり。
時間は間もなく5時

みんな仕掛け時計が始まるのを今か今かと、上を見上げて待っています。

始まりました。
新市庁舎の塔で等身大の人形達が動き始めました。

上段はヴィルヘルム5世とロートリンゲン公爵令嬢との結婚式、
下段は、ミュンヘンに長くから続く桶職人たちの踊り。

上では結婚式を祝して馬上試合が始まりました。

このなんとも楽しいグロッケンシュピールは10分間続きます。
11時、12時、それに3-10月は17:00の部もあります。

横には黄金に輝くマリエンゾイレの聖マリア像。

さて、夕食にいたしましょう。

ミュンヘンが5年ぶりの夫はホーフブロイハウスに行きたいと。
だけど中を覗いたら、満杯。
土曜日のこの時間ですもの席なんて空いているわけありません。って言ったのですけど、きかないのです。

結局、私の行きたかったラーツケラーへ。

今日の私は、ホーフブロイのあの喧騒の中で食事をしたくない気分でした。
夫には悪いけれど、ラーツケラーで良かった〜。

ここもそれなりに人が入っていて静かだとは言えませんが、ともかくこの落ち着いた雰囲気が好きです。

角の空いている席に座りました。

まずはお決まりのビールとワイン。
ここにはヴュルツウルクのヴュルガーシュピタールのフランケンワインがありました。

私のザウアーブラーテン。
やわらかい牛肉、ジャガイモ団子のクネーデル、それにグレビーソースの味が絶品です。
付け合せの赤キャベツのザウアークラウトは別皿で供されます。

夫はシュヴァイネブラーテン。豚肉のブラーテン。
付け合わせ普通のザウアークラウト。

このザウアーブラーテン、美味しそうでしょう？

食事に満足してラーツケラーを後にします。

土曜日のこの時間、この街はこれから大いに賑わうようです。

旧市庁舎。
現在はおもちゃ博物館になっています。

新市庁舎の繊細な彫像たち。

ミュンヘンっ子の待ち合わせ場所、フィッシュブルンネン。

マリエンプラッツ駅は工事中でした。

なんだか随分遠回りをして・・・。

ミュンヘン駅にたどり着きました。
ホテルは駅の近くです。

この旅行記へのコメント （4）

• アンマンさん 2015/10/18 00:23:26

  新市庁舎の塔で等身大の人形達・・・・・見たかったです。

  オデオンプラッツ・・・すごく長いエスカレーターですね！
  手すりを持ってないと引き込まれそうです。
  
  ココはまさにミュンヘンの宝箱ですねぇ＾＾
  クルト・アイスナーの暗殺された場所をモニュメントとして
  残すとはすごいです・・・・
  誰しもモニュメントを見たら思うことがあるでしょう・・・。
  
  そしてマイケルジャクソンも・・・
  ファンの力はいつまでも限りないですね。
  
  市庁舎の仕掛け時計、見たかったです！！！
  （ミュンヘンは遅くに着いて次の日はミュンヘン空港まで
  息子に頼まれたルフトハンザリモアを購入するために行き
  後はフランクフルトへ移動するので時間がありませんでした
  とても残念です）
  だけど
  frau.himmelさんのブログで楽しませてもらいました。
  
  ホーフブロイハウスのほうが人気なんですか！？
  ラーツケラー・・・
  さすがドイツ通です・・いろんなお店をご存知です(^^♪
  ザウアーブラーテン・・・・グレイビーソースが美味しそうで
  食欲をかきたてられます。
  
  ミュンヘン駅・・・思い出せません（ヤバい←です）
  
  frau.himmelさん・・・・素晴らしい☆彡
  

  frau.himmelさん からの返信 2015/10/18 20:54:46

  ザウアーブラーテン、おいしそうでしょう？

  アンマンさん、こんばんは。
  
  今回のお料理、ザウアーブラーテン、美味しそうだったでしょう？
  あの写真の大アップ、実はアンマンさん用に挿入したもの。
  コメントにも、「おいしそうでしょう？アンマンさん」って書いたのを、それじゃあんまりなので、削ったものです（笑）。
  
  新市庁舎の仕掛け時計、本当に運が良くないと見ることができませんよね。
  私も数えるほどしか見ていません。
  あの日は運が良かったのです。
  雨が長引けばもちろん間に合いませんし、また早すぎても、あそこでじっと待っているのは辛いので、さっさと食事に行ってしまいますから。
  アンマンさんにもきっとこれからチャンスがありますよ。
  
  本当にいつもありがとうございます。
  
  himmel
  

• norisaさん 2015/10/17 06:15:46

  ドイツの近代史

  frau.himmelさん
  
  おはようございます。
  
  バイエルンチケットというのは便利ですね。
  ベネルクスのユーレイルは使いきれませんでしたが、これなら！
  
  さて、今度はミュンヘンの歴史、近代史ですね。
  ドイツという国、今やＥＵの盟主のような顔をしていますが、ヒトラー登場までは欧州の弱小国。
  
  そこに全体主義者の登場というわけですが、それ以前の百年くらいも激動だったようですね。
  そこを丹念にご調査されていて感服します。
  
  それにしてもＶＷのスキャンダルはひどいですね。
  これはマンションの傾きというような刹那主義ではなくて全世界に対する意図的、組織的な詐欺。
  これがドイツ人の気質を代表しているとは思いたくないのですが、そう考える方々は世界各地にいるようで残念ですーーー。
  
  norisa

  frau.himmelさん からの返信 2015/10/18 20:42:22

  RE: ドイツの近代史

  norisaさん、こんにちは。
  
  いつもありがとうございます。
  
  えっ！ベネルクス・ユーレイルパス、使いきれなかったのですか？
  もったいない・・。
  ケチなものですからつい、そんなことを思ってしまいました。
  ええー、バイエルンチケットはユーレイルに比べると安いですし、これなら元を取るのは簡単ですよ（笑）。
  
  ところで私の頭の中で、近代史と現代史を線引きができなくて、旅行記に現代史って使っていましたね。
  norisaさんのコメントで、え〜〜一体どっちだろうと調べてみたら、今回の事柄は近代史の方でした。恥・・・。
  気付かせてくださってありがとうございます。
  
  > そこを丹念にご調査されていて感服します。
  
  いえいえ、とんでもない。そんなマイナーなところばかりに行くもので、夫からは大ブーイング。
  最初は、夫の忠告に従ってそれら重い歴史は封印しようと思ったのですが、やはり虫が騒ぎます（笑）。
  でもいつも偶然を装っています。
  
  > それにしてもＶＷのスキャンダルはひどいですね。
  
  ええ、本当にひどいですね。我々も裏切られた感じです。
  車に乗るのなら大好きなドイツの車を・・と思って、敢えてVWを購入したのに〜〜（泣）。
  と、自分のことはさておいて、
  ＞全世界に対する意図的、組織的な詐欺。
  と言えますよね。ドイツを代表しているドイツの国民車が引き起こした不祥事、これがドイツ人気質とは思いたくないのですが・・・。
  ドイツファンの私には大変ショックなことでした。
  
  himmel