2015/05/10 - 2015/05/10
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地酒大好きさん
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例年シャクナゲが咲き乱れる、岐阜県揖斐川町の蕎麦粒山(そむぎやま。1297m)に登っていますが、今年も行ってきました。この山への登山は非常に厳しく、長時間の山歩きを強いられるため、8時間ぐらいを覚悟しなければならない健脚コースです。厳しいというのは、急斜面の上り下りと藪漕ぎのものすごさからです。
時間の配分を考えると早朝の出発でないと無理です。そのため、前夜は近くの道の駅「夜叉ヶ池の里 さかうち」で車中泊をしました。先週も横山岳登山のために車中泊した道の駅です。
当日の朝は寒さで早くから目が覚めてしまいました。気温は6度でした。素早く身支度をして登山口に車を飛ばしました。数台が止められる駐車場に一番乗り。5時50分に登山開始。そばの谷からはカジカガエルの涼やかな声、山の上の方からはアオバトの「オアーオ オアーオ」という鳥らしくない声が同時に聞こえるという贅沢な環境で出発です。
今日のルートは毎年と同じで、登りは新道(西の尾根ルート)、下りは旧道(ほぼ垂直に降りてから林道歩き)を歩きます。新道に入るにはまず谷を渡らなければなりません。さいわい丸木橋がかかっていて一安心。これが流されてしまっていると、靴を脱いで雪融けの冷たい谷を渡渉しなければならないからです。
新道に入るとすぐ急登です。クマが怖いので鈴をジャンジャン鳴らしながら登ります。今日は昨日の雨も晴れて青空が広がっています。強い北風が吹いているので汗をかくこともあまりありません。アキレス腱が痛くなるような急斜面を喘ぎながら登ります。新緑が目にしみるようで感激です。と、その時突然近くで「ジューイチ ジューイチ」の声。思わずヤッターと歓声を上げてしまいました。今年初めて聞くジュウイチの声です。これを聞くために来たようなものです。カッコウの仲間であるトケン類4種(カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチ)の中でも個体数が少なく高地でしか生息しないジュウイチを聞くチャンスはめったにありません。この春にはツツドリとジュウイチの2種を確認できました。例年多いカッコウやホトトギスはまだ聞いていません。到着が遅れているのか個体数が減少しているのかわかりません。下の谷の方からはタゴガエルの声が聞こえてきますが、雪融けの冷たい水の中で鳴くのは高地に棲むナガレタゴガエルでしょうか。高くなるにつれてコルリの数が増えてきて、100mおきぐらいに囀っていました。
急な尾根を登り詰めると、頂上に繋がる比較的なだらかな尾根歩きに入ります。2008年に開かれた新道はその後あまり整備されていないようで、ササがかなり伸びてきています。窪地にはまだ雪が残っています。突然大きな動物が驚いたように逃げ出す音がして、こちらもびっくりして鈴を鳴らしたり木を棒でたたいて大きな音を出したりして警戒しました。何だったのでしょうか。
頂上に近づくにつれてシャクナゲの花がたくさん咲き乱れる「シャクナゲ遊歩道」とかってに名付けた場所に来ましたが、花がありません。あってもポツポツとまばらにしか咲いていません。こんなことは2008年以来初めての経験です。この春の異常気象のせいでしょうか。つぼみもなく、散った跡もないので花が咲かなかったのでしょう。がっくりです。
頂上には3時間10分で登頂。このタイムは毎回同じで不思議です。快晴で風が強いものの360度の展望は最高です。でも頂上にもほとんど花がなく、殺風景です。まだ9時ですがお腹がすいたのでランチです。ハシブトガラスが何羽かいましたが、こんなところで何をしているのでしょうか。食べ物なら下界のほうが豊富なのに。ひょっとして他の鳥の卵やヒナを狙って来ているのでしょうか。理由はわかりません。
頂上に40分ほどいて下山をしかけると、一人の男性が新道から登ってきました。わたしのすぐ後に登り始めたそうですが、かなり時間がかかっていました。彼は初めての蕎麦粒山登山とのことで、わたしが旧道の状態を話すと、新道を下りるということになりました。旧道はものすごい藪漕ぎがあるからです。でもわたしは例年通り旧道を下ります。
一人で旧道に入ります。いきなりものすごい藪漕ぎです。ほとんど前に進めません。3m以上もある高いササが登山道に覆いかぶさっているので、自分の体もそれに合わせて傾けないと歩けないのです。10分ほど歩くと向かいから若い男性が一人登って来るのに会いました。彼は泣きそうな顔をして、初めて来たがこんなひどい薮は懲り懲りと言います。新道の話をしてあげると、彼はそちらから下山すると決心していました。
さて、わたしはものすごい藪と格闘しながら1時間半ほどでササの薮を抜けましたが、ここからはずっと谷に下りるまでシャクナゲの咲き乱れる急斜面を歩きます。ところが、こちらもシャクナゲの花はほとんどありません。やはり異常事態です。シャクナゲの木が登山道を覆い、倒木も多く、歩きにくいことこの上ありません。このルートを歩く人が減っており、廃道化が年々進んでいます。道に迷うことも多く、初心者だけの登山は危険です。時間も多くかかるようになってきており、わたしも旧道歩きはもう終わりにしたいと思いました。結局旧道を登ってきた人は先の男性一人だけでした。
何度もほぼ垂直な登山道を滑り落ちながら、やっと谷に下りました。ここからは林道(崩れてしまって歩行者しか通行できません)歩きが1時間ほどかかります。谷沿いの道ですが、谷からはミソサザイやカワガラスの声がさかんに聞こえます。個体数が多いのでしょう。谷沿いでも、どちらを見上げても新緑が素晴らしく、青空に映えていました。今が最高にきれいな時です。
登山開始後約8時間で無事下山できました。車は5台に増えていましたが、ほとんどは新道を登っていったようです。時間がかかった割には、歩行数が23,000歩でしたから、藪漕ぎで時間を取られたのでしょう。あの藪漕ぎはもうこりごりです。鈴鹿の山ではシカの食害でササがほとんどなくなりましたが、蕎麦粒山では健在です。そのうちに貴重なものになるのでしょうか。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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新道の登山道に入るには、まず近くの谷を渡らなければなりません。さいわい丸木橋がかかっていて、冷たい水の中に入らなくてもすみました。
作ってくださった方、ありがとうございます。 -
かなりの急登です。アキレス腱が痛くなるくらいです。でも周りは新緑。
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ここでも1950〜60年代に活躍した炭焼き窯が壊れて自然に還りつつあります。貴重な産業遺産なのに。
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尖った蕎麦粒山の上部が見えてきました。登山意欲をそそられます。
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見上げればブナやミズナラの新緑が目にしみるように素晴らしい。空も真っ青だし。
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窪地にはまだ残雪がところどころにありました。
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例年この時期にはシャクナゲの花が咲き乱れる「シャクナゲ遊歩道」には、今年はほとんど花がありません。なんとも殺風景です。
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たまに花があってもわずかです。
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ミヤマガマズミの花が咲いていました。
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3時間10分で頂上に到着。360度の展望を楽しめます。
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頂上の看板。
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例年たくさんのシャクナゲが咲き乱れている頂上にも、花はない。こんな年は初めてです。
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頂上で、突然頭上の木の枝でツツドリの大きな「ポポ ポポ ポポ」の声がしてびっくりしました。慌てて撮った写真です。ツツドリの腹しか見えません。
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頂上ではヒガラもこちらには気にしないで大きな声で囀っていました。かなり強い風が吹いていたので、ヒガラも大きく揺れていました。
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頂上近くのイワウチワ。よく見ると虫がいっぱいいます。
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かわいいイワナシもたくさん咲いていました。
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ショウジョウバカマがまだ咲いていました。右はイワナシです。
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旧道のものすごいササ藪です。傾いているので、自分の体も傾けないと通過できません。
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多分雪の重みで倒れたと思われるササです。ここを通過するのは至難の技です。
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登山道がどこにあるのかが不明です。何度も迷いましたが、いったん迷うと元に戻るのが大変です。
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ものすごい藪漕ぎを終え、振り返ると蕎麦粒山が。頂上からここまでが地獄の苦しみでした。
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例年はこの旧道はシャクナゲの花だらけでしたが、今年はこの状態。ほとんど花がありません。
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たまにポツポツと咲いていたシャクナゲの花。きれいですね。
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全行程で一番危険な馬の背尾根。登山道は狭く、左右は深い谷。歩きにくい岩の道で、恐怖感とスリルがいっぱい。
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馬の背尾根の急斜面に咲くイワカガミ。ここだけにしか見られませんでした。
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そのイワカガミの接写。馬の背尾根に腹ばいになって撮りました。怖かった。
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サラサドウダンもかわいい花を咲かせていました。
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林道(廃道になっている)にたくさん咲いていたカタバミの仲間。図鑑を調べてみましたが。名前が不明です。かれんな花です。
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谷沿いの道から見上げると、どこを見ても息をのむほどの新緑。
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林道にもまだ残雪がありました。
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谷には多くのミソサザイが囀っていましたが、動きが速くて写真には撮れませんでした。
写真はカワガラスです。遠いためピントが合っていません。
カワガラスは渓流の川底を歩いてエサを取ります。この鳥もたくさんいました。人がほとんど来ない場所だからでしょう。
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