赤い尾翼のノースウエスト航空で行ったサイパン島

2006/12/16 - 2006/12/17

さきごろパラオに慰霊の訪問をされた天皇陛下がマリアナ諸島のサイパンに慰霊に訪れたのが2005年。その翌年の年末にこちらはいささか些末な理由でサイパンに行ったときの記録です。当時貯めていたエールフランスのマイルの有効期限が３６ヵ月から２０ヵ月に縮小され、期限の延長のためにスカイチームの路線を利用しなければならず、手近な距離の路線として一人サイパンを往復したのでした。戦後日本とも縁の深かったノースウエスト航空はこれから３年あまりのちにデルタ航空と合併してその名は消えてしまいました。私がノースを利用したのは結局この一回になってしまいました。飛行機はB747-200で初めて飛行機に乗ったり、海外に行ったりしたときにもおなじみの機体で、その古くささも懐かしい感じでした。
そして、初めて観る美しいリーフに囲まれた常夏のサイパン島は日本人にとってはやはり慰霊の島でした。人が少なく、のんびりした島は居心地がよくまあ暑さは日本の夏みたいですが、冬の寒い時期になるとまた行ってみたくなります。
当時の写真はすべてフィルムで、スキャナーでおこした物なので、一部お見苦しいところはご勘弁ください。1眼レフにズーム一本という珍しく軽装備でした。
あれから10年以上経ちとうとうデルタ航空の直行便も無くなってしまいました。収益性の悪い観光客中心の路線ゆえでしょうかね。

エリア サイパン(北マリアナ諸島)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 3.0
• ショッピング: 4.0
• 交通: 3.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: レンタカー 飛行機
• 旅行の手配内容: 個別手配

金曜日の夜の便で成田からサイパンへ。現地到着は翌日の午前１時過ぎくらいですが、日本からの便で空港は賑わっていました。予約したレンタカーの事務所に向かうとこちらから名乗る前にすでに自分の名前を呼ばれて、お客は自分一人だったかと。
冬の東京からロングコートのまま到着した南の島は蒸し暑い真夏。ホテルに着くと中はキンキンに冷房が効いていました。

ハイアット リージェンシー サイパン ホテル

夜の間は雨でしたが、翌朝は晴れ間も。宿泊したハイアットは広い中庭がありました。

美しい白い浜からはマリアナの海が。

ビーチにはブーゲンビリアや

中庭には蘭も咲いていました。

まずとりあえずは、ここに行かないといけないだろうということで島の北端、通称バンザイクリフに。

バンザイ クリフ 史跡・遺跡

借りた車は左ハンドルの日産車。慰霊碑の前の駐車場にはそれほど人もおらず。

バンザイ クリフ 史跡・遺跡

記録映像でよく見る岬の光景です。崖の高さはさほどではありませんが、このあたりはリーフで覆われていないため、太平洋の荒波が直接打ち付けるため、海はとても荒々しい。

バンザイ クリフ 史跡・遺跡

海の色は底抜けに蒼い。島の南側から上陸した米軍に追い詰められて日本軍とともに日本人住民がここまで来たのですが、行ってみて改めて分かったのは、ここは島で一番、日本に近い場所だということですね。遠い祖国はこの海の向こうにある。この世の先で、帰れるかもしれない祖国に思いをはせていたのでしょうね。

バンザイ クリフ 史跡・遺跡

このあたりは溶岩が海に流れてできた地形のようで、同じような成り立ちの日本の海岸にもよくにています。伊豆の城ヶ崎あたりを思い出しました。伊豆半島も太平洋から日本列島にぶつかった島だから同じ兄弟の島のようなものですね。

陸地側には小高い山（マッピ山）が崖をみせています。あちらの崖からも自決した多くの日本人がいたようで、通称スーサイドクリフ。このあたりの地形は沖縄の辺戸岬からみる大石林山がこの光景に似ています。（沖縄に行ったのはこのあとなんですが）

崖の下にラストコマンドポストと名付けられた史跡公園があります。

旧日本軍の重火器や戦車の残骸が集められています。

急ごしらえのトーチカなどがありますが、実際にここが最後の司令部であったかどうかはわかりません。真珠湾攻撃でも知られる南雲司令官が自決したのは別の場所らしい。

９５式軽戦車。狭い島への輸送や活動には適した小型軽量な戦車でしたが、この当時の米軍の火力の前にはあまりにも非力。

バナデロ (ラスト コマンド ポスト) 史跡・遺跡

装甲もライフルに耐えられる程度の薄いもの。それでも生身の兵隊相手には脅威。

高射砲なども集められています。

見上げるマッピ山は南洋の山という感じ。

マッピ山には車で上ってこられます。

スーサイド クリフ 自然･景勝地

眺めのいい断崖ですが

バンザイクリフも遠くに見えます。

山の南側からは島の中心部の方向が見えます。

スーサイド クリフ 自然･景勝地

美しいリーフの姿がよくわかります。マニャガハ島もわかりますね。

ホテルにもどってビーチで夕陽を見ました。大きな港のないサイパンでは大型の船は沖合に泊まっているみたいですね。

ハイアット リージェンシー サイパン ホテル

中庭には南の島のクリスマスイルミネーション、人が少なくて寂しげ。

ハイアット リージェンシー サイパン ホテル

翌朝はホテルのルームサービスで朝食にしました。チップを払って食事をしたのはこれっきりだったな。一人旅だったので、あとはテイクアウトで簡単に済ませました。

ハイアット リージェンシー サイパン ホテル

翌日はまあまあの天気。久しぶりに海で泳いでみたくなって、水着とビーチサンダルを買いました。サイパンの浜は珊瑚の破片で出来ていて、裸足で歩くのは痛いんで。

ハイアット リージェンシー サイパン ホテル

マイクロビーチはかなり沖まで遠浅で、犬たちも足がついてるんじゃないかな。

ハイアット リージェンシー サイパン ホテル

リーフのおかげで強い波はよせてこないのですが、横向きの潮流がかなり早く、舐めると危険。珊瑚の破片の砂を巻き上げるのか透明度はあまり高くありませんでした。

マニャガハ島が見えます。

海岸に広がっているのはハマヒルガオかな。

きれいなんだけど、ほんとに人が少ないね。

観光スポットのひとつ、バードアイランド。日本の統治時代には浜から島越しに月を見る名所だったそうです。

バード アイランド 自然･景勝地

島の周囲からリーフが発達してきていてその内側は穏やかな海

バード アイランド 自然･景勝地

石灰岩の島は穴が多く、鳥が沢山巣を作っているそうです。

バード アイランド 自然･景勝地

グロッタ。陥没した穴が外海とつながっているダイビングスポット

グロット ダイビング

グロット ダイビング

降りていくと中に波が激しく打ち寄せています。

グロット ダイビング

グロット ダイビング

島一番の高所、タポチョ山。山頂の駐車場への最後の登りがかなり急な坂。この周囲は追い詰められた日本軍が最後に抵抗した地域。

タポチョ山 山・渓谷

ガラパンの街が遠くに見えます。

タポチョ山 山・渓谷

マニャガハ島、周りの海が綺麗ですね。

タポチョ山から降りて空港に向かい、帰国です。

帰りもノースウエストのB747。この時代でもすでに古い機体。座席のイヤフォンが良く聞こえなかったけど、まあスクリーンに映される番組も面白いものでもなかったので、気にしない気にしない。
３時間の飛行で日本です。国内ではじめて乗った747や、国際線で乗ったのもこの型のなので、なんか懐かしくてしんみりしました。今や747-400も次々にいなくなっていますし、成田の地上を席巻していたNWも合併で消え去り、寂しいことです。

サイパン国際空港 (SPN) 空港

天皇陛下の訪問の後、サイパンの観光開発に熱心だった日本航空が定期便の運行を打ち切ったこともあり、観光客も少なかったですね。ノースウエストはこのときはまだ大型機の747でしたが、現在路線を引き継いでるデルタはより小型の757だそう。ニッコーホテルも売却されてしまったし。
サイパンの戦いの渦中に起こったマリアナ沖海戦に従軍した叔父も長いその後の人生を終えて戦友のもとに旅だったので、またいつか訪れてみたいですね。ちゃんとお花かお線香もって。

サイパン国際空港 (SPN) 空港