2015/02/09 - 2015/02/09
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ニッキーさん
東京都美術館で開催中の「新印象派展」の内覧会招待券が当たり、妹を誘って行って来ました。
内覧会は2月9日(月)の美術館休館日を利用して行われました。私が応募したのは午後5時からの回です。夕方なので多少は倍率が低かったかもしれませんが、チケットが当たったのはラッキーでした。
ところで「新印象派」っていったい何でしょう?
行く前に調べてみると、印象派に続き1886年から約20年にわたって活躍したスーラ、シニャックらに代表される、いわゆる「点描技法」を用いた流派のことでした。
それなら知ってます。たぶん絵はわかりやすいと思います。
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「新印象派 光と色のドラマ モネ、スーラ、シニャックからマティスまで」
全体は年代別に7つのパートに分かれていました。
プロローグでは新印象派を生み出す原点になったモネ、ピサロら印象派の作品。
第1章から第5章は新印象派の誕生から広がり、新たな展開。
エピローグはフォービスムの誕生へ。マティスらフォービスムの作品が展示されていました。
- 旅行の満足度
- 4.0
-
この日は午前中、職場の研修がありました。
良い刺激を受け啓発されて、ハイテンションのまま夕方から東京へ出て来ました。
長い一日と言うか、有意義な一日と言うか。
さあ、ここからは気分を切り替えて美術鑑賞です。
上野公園へ来るのは何度めでしょう?
午後5時前、建物に夕日が差しています。 -
京成上野駅から東京都美術館へ歩く道すがら、公園内の歩道に沿ってこんな行燈(あんどん)が設置されていました。
歌川広重の浮世絵、「名所江戸百景」の中の一枚、「上野清水堂不忍ノ池」です。
清水観音堂(きよみずかんのんどう)の舞台から不忍池(しのばずのいけ)を眺めてお花見を楽しむ人々の様子が描かれています。
絵の左隅には枝がぐるりと一周した「月の松」も見てとれます。 -
隣りの行燈はまた別の絵柄です。
これは同じく「名所江戸百景」の中から「上野山内月のまつ」。
「月の松」を大胆に手前に入れた構図が斬新です。 -
夕陽を受けて輝く現在の「清水観音堂」の舞台。
その前に立つのが浮世絵に描かれた「月の松」です。
最近になって150年ぶりに復元されたもの。
浮世絵とは枝ぶりがちょっと違っているけれど、枝が丸く整えられています。
名所というのはこうやって作り上げることができるんですよね。 -
見ると、浮世絵の行燈は道の両側に数メートル間隔で延々並んでいます。
名所江戸百景の浮世絵が全部あるのでしょうか?
これ、絵を見ながら歩いてお気に入りを見つけるのも楽しそうです。
これは「八景坂鎧掛松」。 -
目黒千代か池。
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王子不動之滝。
夏、一直線に滝壺へ落ちる滝。
昼なお暗い滝の周りで涼んでいる人々の様子が描かれています。 -
印象的な構図の一枚、「する賀てふ」。
左右に並ぶ商家は「越後屋(現在の三越本店)」なんだそうです。 -
中にはこんなに大きな行燈もありますよ。
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わぁ、上野東照宮では冬ぼたんが見頃ですって。
もう少し早目に出て来たら見られたかも。
ただ、この日はとても寒かったので、やっぱり戸外の見物は気分が乗らなかったかもしれません。 -
美術館、博物館が休館日の月曜日の夕方とあって、上野公園はとてもすいていました。
こんなに人のいない上野公園は初めて見ました。 -
妹から連絡が入りました。
もう着いて、中でイスに座って待っていると。
東京都美術館が見えて来ました。
私ももうすぐ到着します。 -
午後5時の回の人は5時から5時半の間に入場してくださいとチケットに書いてありました。
あとは午後8時の閉場までどのように観覧しても自由です。
ま、私たちの場合、ゆっくり見て回ってだいたい所要時間は2時間というところでしょうか? -
早く着き過ぎて待たされるのも何なので、妹とは5時10分に待ち合わせしていました。
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東京都美術館の入口は地下1階にあります。
入口まではエスカレーターで降ります(エレベーターもあります)。
ここのエスカレーターはおもしろいんですよ。
2段になった変則エスカレーターなんです。
エスカレーターは一度下って一旦平らになります。
平らになった所ではじれったくなって思わず歩きたくなるけれど、おとなしくそのまま乗っていると再び下降します。 -
この日は本来は休館日。
チケット売り場は閉まっていて、今日は招待券を持っている人だけが入場できます。
1時間ごとに150組300名、一日では1350組2700名が招待されていました。
午後5時の定刻を過ぎ、帰って行く人の姿はちらほらあっても、午後5時からの回の人はすでに入場してしまったのか、入口はすいていました。
難なく妹と合流。 -
音声ガイドを借りました。
ナビゲーターは元宝塚の大空祐飛(おおぞらゆうひ)さん。
点描技法をイメージしたのでしょう、入口の壁にさまざまな色のガラスが埋め込まれていてきれいでした。
内部は撮影禁止だったので、ちらしや絵はがきの写真で説明して行きたいと思います。
まず最初の部屋はプロローグ 「1880年代の印象派」
この部屋では新印象派が生まれる前のモネやピサロ、スーラの作品が展示されていました。
新印象派の代表的画家スーラもシニャックも、モネの絵に刺激を受けたと言います。
写真の作品はクロード・モネ 「アヴァルの門」1886年 島根県立美術館
この絵の舞台になったフランス、エトルタの海岸へは2年前に行ったので、感慨深いです。
やっぱり印象派の絵っていいな。
よく見ると、モネの絵もさまざまな色の塊が筆でなすりつけたようにキャンバスに置かれています。
こういう所が点描技法へ影響を与えたのでしょう。
写真はありませんが、私はモネの「アンティーブ岬」という絵が好きでした。1本の背の高い木が海に面して立っている絵で、明るい陽光が波の色を豊かに輝かせている素敵な絵です。
私、朝から研修を終えてほっこりしたため、この時はコンタクトレンズを外してメガネをかけて来ました。
しかも、しまった〜。度の低い方のメガネをかけて来ちゃった。
キャプションが見えない。
読みにくくて結構苦労しました。
その代わり手元の資料を読むのは楽でした。
(老眼が始まっている方には私の言ってる意味がおわかりでしょう) -
第1章 「1886年:新印象派の誕生」
モリゾ、シニャック、スーラ、ピサロら新印象派初期の絵が並びます。
点描画と言えば、そんなに詳しくない私でもスーラの名前が浮かびます。
写真の絵はジョルジュ・スーラの「セーヌ川、クールブヴォワにて」1885年 個人蔵。
手前の大木が影になり、その向こうの景色を明るく際立たせています。
川に映る家並みも美しいすっきりした絵でした。
新印象派初期の絵は点描技法もまだシンプルで、目に優しい気がしました。
後に補色を多用するようになると、離れて見ないと目がチカチカする絵が増えて行くんです。 -
写真はスーラの有名な「グランド・ジャット島の日曜日の午後」です。
この作品自体はこの展覧会には来ていませんでしたが、その習作4点がメトロポリタン美術館やオルセー美術館から来ていました。1点1点は小さな作品なんですけど、日曜の午後、三々五々川べりでくつろぐ人々の様子が描かれていて、とても良かったです。
photo credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/94168846@N00/1795551511">seurat color Sun PM</a> via <a href="http://photopin.com">photopin</a> <a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/">(license)</a> -
ポール・シニャック 「クリシーのガスタンク」1886年 メルボルン・ヴィクトリア国立美術館
私、シニャックって結構好きです。
この作品はとてもきちんとまとまった絵でした。
題名にあるガスタンクはエッフェル塔を作ったエッフェルのデザインなのだそうですが、その題名とは裏腹に、絵の中の主役はオレンジ色の屋根の小屋のようです。
スーラと共に新印象派の第一人者らしく、この展覧会でもシニャックの絵はたくさん展示されていました(全部で17点)。
写真はありませんが、おそらくバラ園を描いたと思われるベルト・モリゾの「ブージヴァルの庭」が目に留まりました。
輪郭をきっちり描かず、もわもわっと描いてあるので、まるでピントの合ってない写真を見るようなんですけど、私も妹も気に入りました。
次の部屋は
第2章 「科学との出会い−色彩理論と点描技法」
色彩が目の中でどう混合されるかなどの研究が展示されていました。
画家たちは光学や色彩理論に裏打ちされた技法を駆使するようになって行きます。
興味深かったのはスーラとシニャックのパレットが展示されていたこと。
パレットの上で色は混ぜないで、色相ごとに絵具ケースの配列のように分けられていました。 -
ここでエスカレーターで1階へ上がります。
第3章 「1887−1891年:新印象派の広がり」
カミーユ・ピサロ 「エラニーの農家」1887年 シドニー・ニューサウスウェールズ州立美術館
この作品の2年前にピサロが描いた「エラニーの農園」(サントリーコレクション)という絵もプロローグの部屋にありましたが、わずか2年の違いで作風に変化が見られます。
こちらの作品の方は明らかに点描技法で描かれています。 -
ジョルジュ・スーラ 「ポール=アン=ベッサンの外港、満潮」 1888年 オルセー美術館
たくさんの雲の下、のどかな海岸の様子が描かれています。
点描は細かく、筆のタッチにも荒れたところのないきっちり整った作品です。
子どもの頃、教科書で初めてスーラの点描画を見た時は、こんな描き方もあるのかと感心しました。
色の点々を置いて行くことで絵を描き出す。
ただ、これはかなり几帳面さが要求されますね〜。 -
ヤン・トーロップ 「マロニエのある風景」 1889年 ドルドレヒト美術館
トーロップはオランダの画家です。
この人の作品はこれ1点だけでした。
点描画は近くで見ると色の点々がばらばらに見えて、まるで色覚検査の盤を見ているよう。
近くで見ると、超荒い画像を見ているようで何だかいらっとすることも。
それが離れて見ると脳の中で色が混ぜ合わされるんです。 -
マクシミリアン・リュス「ルーヴルとカルーゼル橋、夜の効果」1890年 個人蔵
離れて見る分にはどうってことないのですが、近づいて見ると目がちかちかして来ます。
考えてみると、テレビも写真印刷も拡大して行けば色の点の集まりなんですよね。
この絵は離れて見ると、日が沈んだ後の空のグラデーションが美しく、川に映る黄色い光が引き立つ印象深い絵でした。
リュスの絵は全部で11点あり、どれも惹かれる絵でした。 -
ポール・シニャック 「サン=ブリアックの海、ラ・ガルド・ゲラン岬、作品211」 1890年 アルプ美術館
小学生の時、夏休みの宿題にナス畑の様子をちぎり絵で制作したことがあるんですが、細かい紙を貼り付けた方が緻密な絵になると考えた私は几帳面に色紙を細かくちぎって貼りつけました。大変な作業でしたが、苦労した割に先生のコメントは思わしくなく、「どうしたらナスのみずみずしさが表現できるでしょうね?」でした。
悟ったことは、細か過ぎると、よほどうまくやらないとのっぺりしてしまうということです。
新印象派の画家たちは研究や工夫を重ねたのでしょう。 -
ポール・シニャック「髪を結う女、作品227」1892年 個人蔵
色彩環の中で青とオレンジ、緑と赤など正反対に位置する色を補色と言います。
補色同士を組み合わせると違いが引き立つ効果をもたらします。
新印象派の画家たちはこの効果を使って、パレットで色を混ぜず、キャンバスの上に補色の点々を並べて置きました。見る者が脳の中で色を混ぜ合わせることにより色が一層輝くと考えたのです。
この作品では女性の髪の毛の中にオレンジ色の点が入っていたり、肌色の皮膚の中に青い点が入っていたりします。 -
テオ・ファン・レイセルベルヘ「マリア・セート、後のアンリ・ヴァン・ド・ベルド夫人」1891年 アントワープ王立美術館
新印象派の流れはベルギーへも広がって行きます。
ベルギーの画家、レイセルベルヘの作品は全部で7点ありました。 -
第4章 「1892−1894年:地中海との出会い−新たな展開
ポール・シニャック「サン=トロぺの松林」1892年 宮城県立美術館
知りませんでしたが、スーラは31歳という若さで亡くなってしまったそうです。
スーラの死後、シニャック、クロスらは地中海沿岸に居を移し、明るい太陽ときらめく海の下で光と色の探究を続けます。
シニャックはまたリュスやレイセルベルヘら友人も呼び寄せ、新印象派は新しい段階へ進んで行きます。 -
エスカレーターで2階へ上がります。
ここからは壁紙の色が紺色になって、展示室はぐっと暗い感じになります。
もっと明るい光の下で絵を見たいと思うのは私だけでしょうか?
照明や温湿度は作品所蔵者の貸し出し条件に従って管理しているということで、会場でもらった作品一覧表に「ご来場の皆さまに理想的と感じられない場合もあるかと存じますが、ご容赦ください」と書かれていました。
第5章「1895−1905年:色彩の解放」
上の写真の作品はアンリ=エドモン・クロス「地中海のほとり」1895年 個人蔵
この頃になると、画家たちの作品は初期の新印象派の様式とは離れて行きます。
クロスはより強い色彩を使うようになりました。
このアンリ=エドモン・クロスという画家は知りませんでしたが、この展覧会にはたくさんの作品がありました(全部で13点)。
写真はありませんが、マクシミリアン・リュスが工場地帯を描いた3枚、「工場の煙突」「シャルルロワの高炉」「シャルルロワの工場」が気に入りました。
中でも「シャルルロワの高炉」は夜の闇に煙と炎に浮かび上がる工場の屋根や煙突を描いた絵で、特に印象に残りました。
ちなみに5枚上の写真の「ルーブルとカルーゼル橋、夜の効果」もリュスの作品です。
このリュスという人は新印象派の画家として覚えておこうと思いました。 -
エピローグ 「フォービスムの誕生へ」
ポール・シニャック「マルセイユ、釣舟」または「サン=ジャン要塞」1907年 アノンシアード美術館
色の点は大きくなって、まるでモザイク画のような絵です。
この辺りから私の好きなシニャックの雰囲気が出て来ています。
マティスやデュフィなどの強烈な色彩に彩られた大胆な筆使いのフォーヴィスムへつながる流れの片鱗が見られるような気がします。 -
ポール・シニャック「ヴェネツィア」1908年 アサヒビール株式会社
印象派から生まれた新印象派が20年の変遷を経てやがてフォーヴィスムへつながって行く過程を24人の画家の約100点の絵を通して見て来ました。
新印象派のこれだけの作品をまとめて見られた貴重な機会だったと思います。
帰りにショップをのぞきました。
展覧会限定商品のメモ帳やポーチ、トートバッグはすべて点描模様でした(笑)。 -
午後5時15分頃に入場して約2時間いました。
お腹が空きました〜。
夕食はどこへ行こうか迷いましたが、結局帰り道に近いJR上野駅アトレにあるつばめグリルへ行きました。 -
ここは「つばめ風ハンブルグステーキ」が有名です。
-
「ミラノ風カツレツ」にも気を引かれましたが、やっぱり無難に「つばめ風ハンブルグステーキ」にしました。
アルミホイルに包まれた大きなハンバーグの下には茹でインゲンがたくさん敷いてあり、上には柔らかお肉のビーフシチューがかかっています。
そして皮ごと焼いたジャガイモが美味しいんです。
妹はチーズハンブルグステーキにしていました。
内覧会でゆっくりと鑑賞できた「新印象派展」。
19世紀末から20世紀初頭に起こった絵の流れを知るにはとても良い機会でした。
何より招待券で見せてもらってラッキーでした。
新印象派と同時代にセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなどのポスト印象派というのもあったはずですが、その辺の関係はこの日にはわかりませんでした。
おいおいわかって行くことでしょう。
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