2015/01/20 - 2015/01/21
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ソフィさん
2015年1月20日 2 国際観光都市高山をはぐくむ高山本線
高山本線の素晴らしさは、渓谷美にある。
列車はトンネルをくぐり、鉄橋を渡り、飛騨川を右に左に見ながら走る。
「飛水峡」、「中山八里」。
車内アナウンスが、見どころを教えてくれる。
私が小学校二年生1938年(昭和13年)の時父は、恒例のお盆墓参で、開通間もない高山線全線走破に挑戦してみようと誘う。
それは私にとって、生まれて初めての、父と二人きりの旅だった。
当時私は、大阪府箕面村(現箕面市)に住んでいた。
墓の所在地は、富山県西砺波郡北蟹谷村八講田(現小矢部市八講田)。
北陸本線を利用すれば、大阪から青森行き急行で乗り換えなし、8時間くらいで、最寄り駅石動に着く。
しかし高山線を通れば距離が長くなるばかりか、各駅停車の列車しかなく、汽車のスピードも遅い。
高山線だけで全線230キロくらい、10時間はかかる。
おまけに乗り換え地点の岐阜で、一泊しなければならない。
とに角、タップリ旅を感じさせる、旅なのだ。
申し上げるまでもなく、SL(蒸気機関車)がけん引する。
しかも各駅停車だから、岐阜から富山まで40を超える駅に、丹念に停まってゆく。
SLは、命ある動物のように、働く。
駅を出発するときは、ずっしりと重々しく、坂を駆け登るときは息絶え絶えに、猛々しく。
いつの間にか、自分自身が機関車になっている。
渓谷の美しさにひかれ、窓は開けっぱなしだ。
「ゴォーッ」と汽笛を鳴らしてトンネルに入るごとに、車内に凄まじく黒煙が吹き込んで来る。
大騒ぎで、窓を閉めて廻らなければならない。
トンネルを出れば、室内の排煙のため、窓を開けて廻る。
急いで開けて廻ると、またすぐにトンネルだ。
この大騒ぎが、子供にとってお祭りのように楽しい。
読みにくい駅名の多いことも、この線の特徴だ。
「坂祝(さかほぎ)」「古井(こび)」「下呂(げろ)」・・・。
下呂温泉は、草津、有馬と並び、日本三名泉。
数年前国鉄の同期たちと、久々の主席を楽しんだ。
「渚(なぎさ)」「久々野(くぐの)」と来れば、間もなく高山だ。
高山が近づくと、急に雪が増えた。
屋根に上って雪下ろしの姿も見える。
終点の高山では、たくさんの人が降りた。
町からやって来た観光客、それから外国人の姿も多い。
鉄道が開通して、この街の様子、景色や人の心は、大きく変化したに違いない。
駅舎は工事中で手狭だが、完成後は駅を横断する自由通路、商店群など、印象を一新するだろう。
すでに駅を取り巻いて、ホテルの高層ビルが林立している。
伝統、文化、自然が兼備されている飛騨の地は、日本の代表的な観光地としての資質に恵まれている。
これからの発展に必要なのは、住民一同が心を合わせ、訪問客を喜ばせようとすることだ。
観光を経済発展の視点で見るだけでなく、訪ねてくる人も、迎える人も、世界を愛する心を育てる一助と考えるべきだろう。
観光は、世界平和の一翼を担っている。
2015.2.3片瀬貴文記
- 旅行の満足度
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 交通手段
- JR特急
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