2014/12/19 - 2014/12/19
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アルデバランさん
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1933年竣工の旧朝香宮邸は空襲からも無事で、殿下は陸軍大将で終戦を迎えました。
殿下はその後皇籍を離脱、朝香鳩彦氏としてお屋敷を後に、熱海に居を移しました。
戦後ここに住んだのはワンマン宰相の吉田茂です。
昭和22年に直系以外の11宮家の皇籍離脱が決まると、当時外相だった吉田茂は真っ先にこのアール・デコの館を外務大臣公邸に決めちゃいました。
公邸で使用したために米軍の接収を免れることができたと言われます。
その後首相になってもここが気に入ってたので事実上の首相公邸になりました。
もう一人ここを狙っていた人がいました…
そう、プリンスホテルの堤康次郎です。吉田茂に先を越されましたが西武のほうが上手かったんですね結局。
そのあたりの経過は猪瀬直樹の「ミカドの肖像」に詳しいです。
所有権は朝香家から西武鉄道に譲渡され、国の白金迎賓館として、また白金プリンス迎賓館として結婚式場として使用されました。
ちょうどこの頃ですね建築探偵の我らが藤森センセーが訪れたのは。
その後東京都に売却され東京都庭園美術館として公開されました。
朝香鳩彦氏は1981年に93歳で亡くなりますが、戦後何十年経ってもオリジナルで保存できたのも、氏の存在が大きかったようです。
旧朝香宮邸の魅力はお洒落なフランス直輸入のアール・デコ様式だけでなく、それを日本伝統の手法や文様を取り入れて加味した職人技や内匠寮のセンス。
このコラボレーションだと思います。
さあ、どの様なアール・デコが見つかるのでしょうか、後半も行ってみましょう。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 5.0
- 交通
- 5.0
-
戻って次室(つぎのま)
間接照明の下に起立する「香水塔」
ラパン設計の屋内噴水器です -
てっぺんの渦巻が噴水を表わすだけでなく実際に間から水が下の水盤に落ちる仕組みになっており、
渦巻型の装飾内部の電球がほのかに光を発します -
セーブル製磁器の香水塔も見逃せませんがここ次室(ツギノマ)の意匠もなかなかです
床のタイル
そしてプラチナ箔入り朱色のフランス製人工大理石
極めつけは呂色塗りの黒漆、赤漆の扉 -
これがその人工大理石スラブ
-
朱色に塗ったのね
-
朱色の壁と漆黒の柱がマッチしてます
-
この黒い柱が呂色塗りの黒漆…
-
台座装飾部分はブロンズ製
台座はスティール製にて復刻されてますが、柱と同じように
オリジナルは混凝土きじ塗漆方法という金沢の漆職人遊部重二が特許を取ったコンクリートへの漆塗りという画期的な方法で施工されてました。 -
バラバラに割れてしまいましたが見事に修復
どこをつないだのが判りません -
屋内噴水器なのになぜ香水塔?
だいたい判るよね
妃殿下が水の中に香水を入れて香りを出したという伝説から。 -
大客室への引き戸
さきほどのアングランのエッチングガラスの裏側は15枚の鏡の組み合わせ
ここではワッシャは使ってません -
そして床のタイル
-
小客室とのドアは赤漆で塗られていい味出してます。
-
そして小客室
この部屋も凄かった -
何が凄いって、四方の壁面、ラパンがキャンバスに描いた森の絵が壁一面に貼ってあります。
キャンバスを壁に張る手法は凝りに凝ってます。 -
壁一面の森
伝統的な経師手法で組子で格子を作り和紙により何重にも裏打ちして下地処理の後に張られてます。
和紙と言ったって、庶民の「四畳半の襖の下張」と違って細川紙、石州半紙と指定 -
ラパンが描いたキャンバスを持ってきたと言うことですが、現場でカットしたんでしょうね。
袋張りで張って、周囲は廻縁のように飾り紐
これもラパンがデザインしたのでしょうか? -
小客室のマントルピース
ギリシャ産の蛇紋岩ティノス・グリーン
秩父に良い蛇紋岩の産地があったけど、この部屋はラパンが設計し、材はフランスで選んだからね。 -
さて
第一階段を上がって
二階に行ってみましょう
階段もアール・デコで勝負してます。 -
見どころは大理石のアール・デコ
手摺りの黒はポルトロ、ステップの白はビアンコ・カラーラ
そして腰羽目は木目調の大変貴重なスタラティーテ -
渋すぎます
-
白黒茶の洋館階段大理石のお約束です
-
照明も凝ってるねぇ
各部屋、廊下の照明
異なったデザインは内匠寮の水谷正雄の設計 -
誰ですか灰皿を兼ねてるなんて言う人は…
花、活けたのかな… -
二階広間の展示は1階の喫煙室のソファー
国産の洋家具は当時新橋近辺で家具屋さんが集中しており、その中の寺尾商店が製作
異様に低いです…
桜材ですが足りなかったんでしょうか?
まさか尺貫法とメートル法を間違った? -
高級国産洋家具は「芝家具」と言って
当時新橋一帯に集中していた家具屋さんにオーダーメイド発注 -
隣の部屋は見えないようにカテドラル
このガラスも輸入品 -
もう一つ
四方の壁は一面、外国製壁材の「ラフコート」を施し、手作業で引っ掻くように模様をつけてます -
ちなみに一階廊下の壁模様
-
廊下のレジスター
我輩のバンダナの模様と同じです「青海波」 -
若宮寝室の半円出窓のガラスは微妙にカーブしている旭硝子製
当時のままです -
上を見上げると…
網戸用でしょうか溝が切られてます -
若宮寝室には朝香宮鳩彦殿下の写真もありました。
-
昭和8年版 建築土木資料集覧
使われている壁紙はスイスの壁紙メーカー、サルブラ社の「テッコー」ですが価格や張り方など詳しい記述があります。
なになに…
本邦に於ける主なる御採用先
皇子御學習所、高松宮新御殿邸、朝香宮新御殿邸、李王御殿邸… -
合の間の壁はガラスで保護されてました。
トラバーチンを模した土壁風の壁
合の間とか居間はあるのですがいわゆる家族が集うリビングルームはなかったんですかね
高貴な方々のお屋敷には。 -
判りにくいですが合の間は漆喰アーチの天井
そして照明も凝ってます -
6517→6517-1
片山東熊の流れをくむ宮内省内匠寮の面々
前列中央が設計全般を担当した権藤要吉技師
左端がラジエターカバーなどのアール・デコをデザインした大賀隆技手
責任者の内匠寮工務課長 北村耕造は写ってないのね。 -
若宮居間は玄関の真上です
バルコニーにはクリンカータイル -
若宮居間のドアも渋すぎです
-
書斎隣の書庫
床に一寸法師が! -
書庫と書斎のドアー
-
吉田茂も外務大臣時代に使った書斎
-
八角形の絨毯、80年間使い込んで新品同様…
いくらなんでも復刻だよね
あらら…
このロゴのメーカーって? -
足元が格子になってます
その下に台座があってレールで机が回転するとか
我が家のテレビなんてリモコンで回転しまっせ -
そして殿下の居間
1983年に撤去された壁布の麻のジャガード織は今回の改修で色の再現に苦労しましたが、オリジナルに近い形で復刻されました。 -
壁の柄も噴水ならば
ラジエターカバーもアール・デコによく使われる噴水です -
アンリ・ラパンが設計した唯一の居室がここです。
あら〜目立たないところに空調の吹き出し口を開けちゃって
目立つか… -
漆喰アーチは多くの職人さんが一斉に漆喰鏝をふるって一気呵成に仕上げたそうです
-
殿下と妃殿下寝室の間の第一浴室
壁面は珍しい緑色のフランス産大理石
大理石までもがブックマッチ手法で職人さんは目を合わせて張ってます -
床のタイルは山茶窯製陶のモザイクタイル
-
そしてスティーム暖房のラジエター
当時の物でしょうか -
妃殿下寝室の壁には自らがデザインしたレジスター
女性らしい柄です -
妃殿下寝室のベットの真上の照明
なにやら吊り下げられているコードの中間に筒状のものが… -
滑車がついており昇降装置で上下に調節出来るようになってました。
あの筒っぽは重りなのね。
でもどうやって操作したんでしょう? -
ベランダに出てみました
殿下、妃殿下の居間、寝室から出れるようになっており、サンルームのようです -
柱は北側のベランダと同じようにチーク材ですが後にペンキで塗装して
ここだけバウハウス… -
ベランダから妃殿下居間のバルコニー、パラペットのテラコッタ
-
そのバルコニーがある妃殿下の居間
西側にひときわ目立つマントルピース
朝鮮半島産出の「朝鮮縞鼠」の一枚石がどで〜んと
そしてオシャレな照明 -
暖炉の中に電気ストーブありました
ファンがついてたのね
三相200V? -
ここの照明はひときわ大きく5連発
-
二階西側の一段下がった所にある姫宮寝室
引き戸には短冊や色紙を飾れるようになってます -
その隣、姫宮居間
女性らしい可憐で優しい調度類と空間、床のカーリーメープルとケヤキの寄木の矢羽張りもさることながら
暖炉の中が… -
中のタイルが鮮やかなピンクに窯変してます。
-
北側のベランダに行ってみましょう
南の市松模様の大理石と違って、こちらの床は渋い布目タイルです
夏に涼を求めるためと言います。 -
その床の布目状のやや大きい泰山タイル
腰壁は引っ掻き状の溝が施されたスクラッチタイル
昭和初期にライトが帝国ホテルでスクラッチレンガを使用したころからこの模様が流行りました。 -
そしてチークの壁や柱も!
三毛猫でもここまではできません…
全面にひっかき傷
目に沿ってガリガリして木目を浮き上がらせる「浮造(うづくり)」の手法です
チーク材は堅いから大変だったよね -
第二階段は大理石ではありません。
木造です
でも侮ってはいけません
ケヤキ銘木にニスを刷り込んで風格をだしてます -
第二階段踊り場
これ、どうやって操作するの? -
ここにもアール・デコ
-
最後に
西側の奥
渡り廊下を進むと新館に通じてます -
渡り廊下の一面ガラスもアール・デコを意識したんでしょうか
ガラスを通じた日射しが演出効果を倍増させてます -
影もアール・デコ…
-
新館にはカフェ、ショップもあって外にも出ることができます。
新館に来ると美術館ということを思い出します。 -
新館側から本館西側
サンルームの様な3階のウインターガーデンが見えます
今回は残念ながら非公開… -
大食堂上のバルコニーのパラペット
テラコッタもアール・デコ -
照明、ドア、床材について各室とも違っており
さながらショールームのようでした。
お洒落な照明を少々紹介します。 -
二階広間
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殿下寝室
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真下
ベットで寝て見上げるとこんな感じ… -
妃殿下居間
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姫宮寝室前
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次室の間接照明と噴水器
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一体何周グルグル回ったんでしょう…
日が傾いてきました。
そろそろ引き揚げます -
羽を伸ばした姿
この羽がズレながら増幅してゆく様がアール・デコです -
明かりが灯るとより一層引き立ちます
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サインありました…
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外からの風景もこのとおり
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東側の事務所の窓もこのとおり
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昼間の白を基調とした冷たいシンプルな姿から、ライトアップさせると暖かみを感じさせます
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日が短いので5時には暮れます
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室内は当然のことながらフラッシュ禁止ですが門扉ならOKです
正門の鉄製の鋳物造りのカドミュームメッキ
最強の防錆法ですが公害問題で現在は行われてません…
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この旅行記へのコメント (5)
-
- ボビーさん 2015/05/30 10:33:51
- 5月29日の本日の一枚でしたね\(^o^)/
- アルデバランさん こんにちは!
いつも訪問・投票ありがとうございます。
今朝から旧朝香宮廷の旅行記見直しておりました。
いつも、写真が綺麗ですが、この朝香邸の旅行記?でしたが、光の入り方や、構え方が、凄いなあって改めて思いました。(カメラも一眼レフ?)
ある写真家のかたのところに、1〜2度入ったら、いろんなアドバイスを受けて、写真のプロは、平行、直角、余計な物は入れないのが鉄則と言われました。
三脚を使うのはそのためだとか・・・
今回アルデバランさんのこの旅行記も、とらえ方も良く、建物をきちんと撮っていらっしゃるんだなあって感じました。
私は、思った感じにしか撮ってなくて、その鉄則破りっぱなしです。
正面から撮ったものは真ん中に入って、今さらながら、じーっと、見させて頂きました。
1と2があって、夜のライトアップまで、粘ったんですもんね。
ラオスのような大自然を歩き回るアルデバランさんとは違った一面を見た感じの旅行記でしたので、ポチしたときは意外だったんですけどね。
私も今はアオサギ見ると笑ってしまいますけど。
先日散歩がてら市役所の池の鯉全部食べられた所行って見たら、埋め立てられていました(笑)
なんか忘れられないエピソードになりそうです。
これからも宜しくお願い致します。
ボビー
- アルデバランさん からの返信 2015/05/31 23:39:41
- RE: 5月29日の本日の一枚でしたね\(^o^)/
- ボビーさん こんにちわ
ありがとうございます。
旧朝香宮邸は貴重な資料の展示もあってついつい時間を忘れて長居してしまいました。
あそこはお洒落な建具や室内装飾が魅力ですが、それ以上に洋を和の職人技で取り込んでいるのが面白いと思いました。
宮家や皇族の建物の中でも飛びぬけてダントツに凄い建物があるのですが、抽選で8月に一般公開があり先日応募しました。
当選しても写真撮影禁止なんでご報告できませんが、ぜひこの目で見たいと今から「当たりますように」と念じてます。
本日、やっと田植えが終わりました。
田に水を入れて、代かきしているときカモがスイスイ泳いで草をはんでましたが、例のアオサギもやってきてカエルを狙ってました…
トラクターを運転しながら思わず思い出してしまいました。
-
- わんぱく大将さん 2014/12/27 08:37:30
- 勉強させてもらいました
- アルデバランさん
ひえ〜長生きするもんだ。 勉強させていただきましたよ。
あのポスターがマッキントッシュぽかったですかね。
まだ早いですが、よいお年を!
大将
-
- メビウスさん 2014/12/26 08:35:45
- 一気に読ませて頂きました!
- アルデバラン様
おはようございます。
福島への移動中に一気読みさせて頂きました!
私の職場は目黒周辺なのですが、近くにこの様な場所がある事を知りませんでした。
ここ、私も是非行ってみたいです!
こんな仕事させて貰える様な現場、不景気に慣れっこになってしまった今じゃナカナカお目にかかれませんから(笑)
凄く勉強になりそう。
メビウス
- アルデバランさん からの返信 2014/12/26 21:34:21
- RE: 一気に読ませて頂きました!
- メビウス様 こんにちわ
アルデバランです
旧朝香宮邸はオシャレな舶来の「洋」とそれを伝統的手法で見事に取り込んだ「和」の技術や職人のこだわりが結晶した素晴らしい建物でした。
目黒、五反田方面はとんと暗かったのですが、職場から地下鉄で乗り換えなしで数駅で行けることを、今回始めて知りました…
東京には歴史的建物や路地が意外と残っており、来年はヒマを見て訪ねてみようかと思っています。
意外と自分の近くは忘れがちですよね。
私が座る16階の「窓ぎわ」からは同じ宮家の歴史的建物、赤プリの「李王邸」のチューダー様式が手に取るように見下ろせます。
でも、いつでも行けると思っているうちにあっという間に時間は経ってしまい、30年前に1回行ったきりです…
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