2014/12/19 - 2014/12/19
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アルデバランさん
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職場のN建築士がパンフを持って「このフォーラム聞きに行きませんか」とお誘い。
見ると建築史家で江戸東京博物館研究員の米山勇氏が「東京建築ベストセレクション」と題して東京に残る「一見の価値がある」建物を選定、ランキング形式で解説するという。
学校、オフィス、住宅、宗教建物、公共建物、美術館のカテゴリ別に3つずつ計18の建物の見所を解説してくれました。選抜された建物には異論もあろうかと思いますが、とても楽しい解説でした。
来年は改めてこの18の建物を訪ねてみようという計画を立てましたが、その中で上位にランクされた「東京都庭園美術館」すなわち旧朝香宮邸が特別公開…
年内なので、少々フライングですが行ってみましょう。
日本におけるアールデコ建築の殿堂、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)がリニューアルオープンして12月25日まで特別公開
土日、休日は多くの人が見学に来るので写真撮影は不可だけど、平日は写真可という大盤振る舞い。
ということで寒波到来の中、目黒の白金台に行ってきました…
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 5.0
- 交通
- 5.0
PR
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1933年に竣工の朝香宮邸が紆余曲折を経て、1983年に東京都庭園美術館として開館
そして今年の11月22日に3年間の長きにわたる改修工事を完了してリニューアルオープン
連日多くの人がアールデコ様式を見に訪れています。 -
目黒駅を出て目黒通りを白金台方面にテクテク歩きます。
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入口で入場料700円を払ってアプローチを100mほど行くと…
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瀟洒な建物が現れます
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特徴は綺麗に改修済みのリシン掻き落とし仕上げの外壁もさることながら、窓の上の通気口
のっけからアールデコですか… -
直線のなかでアーチを描く出窓が一際目立ちます
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このシンプルな外観から室内の贅を極めた部材と装飾はとても想像できません
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粋な計らいです
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で、玄関にデ〜ンと胸を張って
ルネラリック! -
近くでよーく眺めます
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ハイ!皆さん大きく、大きく息吸って
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右側の受付でチケットを受けます
ちなみにこの部屋は受付外套室でした。 -
中に入ると二階への第一階段手すりの裏側が…
「さすが歳を経てるね、壁が皺々!」
なんて言ってはいけません。
ラフコート仕上げです -
大広間ではどうしても目が天井にいってしまいます。
アールデコの極致 -
そしてイタリア直輸入の大理石マントルピース
各部屋暖炉があるのに煙突一つもありません -
マントルピースの上の鏡は3×5枚の組み合わせ
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合わせ目をこのでっかいワッシャで留めて同じ模様の繰り返し
やっぱアールデコ? -
壁はベニヤ板を貼ってますが材はウオールナットです。
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ウオールナットをかつら剥きにして2枚に割って裏表交互に並べるブックマッチ手法の左右対称
こんなところにもアールデコ… -
建物の全体設計は宮内省内匠寮、この大広間を含め客間等のパブリックスペースはフランス人装飾美術家のアンリ・ラパンが担当しました。
日本には来なかったけど。 -
殿下は物持ちがよかったのね。
資料が残ってます -
金2萬円
アンリ・ラパンの領収書2通が…
ラパンには合計62,000円支払った記録が残ってます。
だれですか?「安いね…」なんて言ってる人は -
その横の壁に何やらレリーフ
I. BLANCHOTの銘があります。
ブランチョットってだあれ -
ふと中庭に目をやると…
どうしてもプール状の池に目がいってしまいますが、足元に注目
中庭に面したテラスには布目タイルが渋すぎ!
凝ってます -
中庭のあれはなあに?
皆さん興味を持つようですが、
「じつはボ、防火水槽です…」 -
大客室
壁紙のデザインは緑の森を表わしており南にベランダを通して広がる外の森と一体? -
天井の繊細な漆喰仕上げと武骨なシャンデリア
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植物の葉を8枚、鋸の歯の様に
そしてその上に花をあしらった円筒状の燭台を乗せた「ブカレスト」 -
ルネ・ラリックのアールデコ
箱根のラリック美術館は撮影禁止ですが、ここは今日は撮り放題… -
これもアールデコ
あれもアールデコ -
そろそろ疲れたので次、行きましょうか…
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まだまだ大客室は見どころ満載です
柱の天辺は黒檀でクルっと巻いてます
あらら、あんな所に空調の吹き出し? -
こちらの石は大広間と違って国産らしいのですが産地は不明のようです…
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各部屋の暖房はマントルピース内の電気ストーブのほか、
床下配管からのスチーム暖房で温めていたそうです。
大客室は4隅にラジエターが配置され、熱で色が退化したのか変色した床が確認できます。 -
そしてマックス・アングランのエッチングガラス扉
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扉の梁上部は半円のタンパン
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次室(つぎのま)との間の引き戸の扉も花のモチーフ
フランス直輸入ですが、銀引きが腐食していたので銀引きし直しと黒ニス補修が施されました。 -
ラジエターカバーは内匠寮技手大賀隆がデザインしました。
芥子とチューリップ -
ドアにつけた上下二つの「フランス落とし」
なぜか取っ手に歯車がついてます… -
隣の大食堂
南側、円形に張り出した窓が開放感を与えます。 -
ここのシャンデリアもルネ・ラリック
パイナップルとザクロが上からこぼれ落ちそうです -
違うカメラでもう一枚…
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テーブルとガラスで演出
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窓の下のラジエターカバーに魚が泳いでます
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アールデコを意識して配置したんでしょうか
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北側のマントルピース
実際には火はくべません。すべて電気ストーブ
でも、冷房はありません。
何故かって?朝香宮家の人達は暑がりじゃあなかった?
イエイエ、夏は軽井沢だそうです… -
マントルピースの上はラパンが板に油彩で描いた赤いパーゴラのある庭園の壁画
このアーチと反対側の半円張り出し窓が対になって大食堂を楕円形に見せていないか… -
まるで水族館ですね
-
壁もマントルピースと同じシエナ産大理石です。
大理石は無垢石材を輸入し、芝庭に石切小屋を建てて現場加工しました -
光の当て方により明暗が反転するマックス・アングランのエッチングガラス
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柄も微妙に違います
左右対称の他、このようにズレながら増殖してゆくのがアールデコの特徴です -
そして圧倒的存在感のイヴァン=レオン・ブランショのレリーフ
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コンクリ製ですが送られてきたときヒビが入ってたので、型を取って石膏で再制作して塗装で仕上げました。
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この事を当人に言い出しかねているうちにブランショは亡くなってしまったとか…
ブランショだったのね… -
漆喰天井のアールも美しく仕上がって
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口直しに外の本物の植物を眺めます
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蝶番までもがアールデコ?
それにしても武骨やね -
上、中、下
三連発やで -
1階西側最奥の小食堂
普段はプライベートエリアのここで食事したのね。
しかも床の間まであり和風です -
ここのラジエターカバーの柄はオシャレでした
源氏香の模様
「和」と「アールデコ」
でも、いかんせん暗くて、逆光です… -
廊下を隔てて北側
喫煙室には工事関連の展示がなされてます
ラジエターカバーの修復模様もビデオで紹介 -
な、なんと建築仕様書!
なになに?
左官工事…
外壁リシン仕上げ
一、材料は独逸産を使用し色合仕上模様等は見本塗の通りに技術優秀なる職工を選びて施工すべし
一、混凝土面を掃除し水洗いの上調合一、三のモルタルにて斑直し塗りを為し中塗防水剤(ロータス)入モルタルにて云々… -
建築仕様から
下地ヲ水洗ヒノ上充分捏ネ回シタルリシンヲ厚二分乃至三分塗リ立テ適当ニ硬化シタル時鐵製歯状之器具ニテ軽ク縦横ニ摺リ掻キテ
表面ヲ見本塗ノ通リ疎面ニ仕上ケ其之上を… -
この後見る「香水塔」の修復模様も…
-
あら〜
台座に免振装置つけちゃってる!
ではその香水塔が置かれてる次室行ってみましょう。
以下その2に続く
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この旅行記へのコメント (2)
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- beijing-fanさん 2014/12/23 18:47:27
- 専門は建築だったのですか・・・。
- 旅のスタイルは何時もタオルを頭にと土建屋さん風でしたが、建築がご専門なのですね。
書き込みは素養がなくて全くちんぷんかんぷんですが、由緒あるものは、ちゃんんと保存されているのですね。
流石日本の首都だと思います。
我が田舎に残っている古い建築物の目玉?が、遊郭だと言うのはお寒い限りです。
beijing-fan
- アルデバランさん からの返信 2014/12/25 12:29:13
- RE: 専門は建築だったのですか・・・。
- beijing-fan さんこんにちわ
建築は素人なんですよ.....
なので、職場に数名いる建築士と組んでペアで仕事してます。
旧朝香宮邸は諸事情があって建物、家具調度類が保存されたようです。
しかも写真や資料も残っているようで建物としての価値も高いのだと思います。
同時代に建てられた皇族邸宅の李王邸も敷地内の赤坂プリンスホテルが昨年すべて解体されましたが、保存され、職場の目の前で頑張って建ってます。
日本の建築物は住宅、オフィスビル等々用なしになったら建て替えることを前提に作られてますが、ヨーロッパなど何百年前の建物が残ってますよね。
11月末にドイツのザクセン、チューリンゲン地方を10日間ほど回ってきました。
どの街も旧市街は建物がよく保存されていて風情がありました。
コンサートは行けませんでしたが、ゲヴァントハウス管弦楽団の本拠地やオペラハウスなども見てきました。
写真も色々撮ってきたので忘れないうちにまとめなくっちゃと思っているうちに、早いもので1カ月あっという間に過ぎちゃいました......
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