2014/10/05 - 2014/10/06
87位(同エリア298件中)
玄白さん
鳥海山の紅葉トレッキングを楽しんだ後は、大正・昭和初期のノスタルジックな木造高層建築の旅館が銀山川沿いに立ち並ぶ独特の景観の銀山温泉へ。温泉に浸かってのんびりすること以外に、夕暮れになると灯されるガス灯が輝く温泉街のフォトジェニックな夜景を撮影するのも、今回の楽しみの一つです。
建てられた当時は、洋風のモダンな木造高層建築だったのでしょうが、今となっては、玄白の世代にとっては郷愁をそそられる昭和のレトロの雰囲気たっぷりという風情です。若い世代にとっては、これが斬新と感じられるのかもしれません。古い温泉場なので年配客が多いかと思っていましたが、若いカップルや女性客も目立っていました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
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当初の計画では、鳥海山登山の予備日は設けず、10月4日に銀山温泉に泊まるつもりだったのだが、週末で宿はどこも予約でいっぱい!やむを得ず一日ずらして、ようやく取れたのが、この昭和館という宿。このことからも銀山温泉の人気ぶりが伺える。
昭和館は、温泉街のほぼ中央に位置していて、シンボルは、この狸である。玄関の上に掲げられている看板はこの旅館の創業者の名前である。ちなみに銀山温泉では、どの旅館も創業者の名前が掲げられている。 -
最近ではあまり見かけなくなった宿泊客の歓迎ボード。銀山温泉ではどの宿でも玄関の前に掲げられている。
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玄関ロビーが売店も兼ねていて、女性向けの和風の小物やアクセサリーなど並べられている。
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こじんまりしたフロント。
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泊まった部屋は「花紋」。部屋のネーミングも女性っぽい。
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純和風の部屋はこじんまりしている。あいにく川沿いの部屋ではなかったが、外に出て散策・撮影するつもりなので問題なし。
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部屋に置かれたお茶はべに茶。昆布茶に紅花が浮かんでいるお茶で味は昆布茶そのもの。紅花が山形らしい。
お茶うけは、温泉街の端にあるまんじゅう屋「亀屋」の「かめまんぢう(かめまんじゅう)。薄皮で上品な甘さのこしあんまんじゅうで、銀山温泉の代表的なみやげらしい。 -
館内には、廊下、エレベーター脇、壁など、やたらたくさんの着物のミニチュアや和風の小物、人形などが飾られている。仲居さんに聞いたところ、女将がこういうものが好きで集めているのだそうだ。
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廊下に貼ってあったポスター。銀山温泉地区の住民全員の集合写真である。わずか190人の地元の人たちが、温泉街の景観を守り、多くの観光客を惹きつけるために奮闘している。
日本の数多くの温泉は二極化しているように思う。ひとつは高度成長期の団体客で潤っていた頃のスタイルのままで漫然と経営を続け寂れてしまった温泉、もうひとつは独自の魅力を磨きあげ、活性化に成功している温泉である。銀山温泉は、湯布院などと並び後者の代表例ではないかと思う。 -
チェックイン後、温泉に浸かる前に散策に出かける。
銀山川沿いに立ち並ぶ旅館の前の道は、旅館関係者以外の車は乗り入れ禁止。自家用車は、温泉街のはずれの宿泊者用の駐車場に停め、宿に連絡して迎えに来てもらうことになる。宿まで車で乗り付けられないのは不便ではあるが、街の景観を守るための措置であることを考えれば、これもまた良しである。
ゆっくりと安心して温泉街のそぞろ歩きを楽しめる。 -
温泉旅館は12軒ほどで、狭い温泉街なので散策するといっても、直ぐに端から端まで歩けてしまう。幅の狭い銀山川に10本の橋が架かっているが、能登屋旅館前の朱色の橋が、ひときわ目を惹く。
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能登屋旅館の川向こうの土産物屋「江戸屋」の店先で花だんご(ズンダ餅)を売っていた。さっそく、連れ合いが食べたいというので一本買い求める。一本¥120也。
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旅館「やなだ屋」。部屋数4部屋のこじんまりした温泉旅館である。
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やなだ屋の軒下に詩文が掲げられている。
「銀の光にみちびかれ 山の地に存す 梁田祐斉」と読める。ちょっと気になり、梁田祐斉という人物を調べてみようと思ったが、検索でヒットしない。銀山温泉の歴史年表を見ると慶長年間(1600年ごろ)「上方より梁田八郎右ェ門が銀山に来る」とある。
この人物か、その子孫でこの温泉旅館を創始した人物の雅号かも知れない。 -
銀山温泉は、名前の通り、15世紀半ばに開かれた延沢銀山が発祥である。銀の採掘に伴って温泉が湧き、温泉場としての機能もあったようだ。元禄二年(1689年)には銀を掘り尽くし、辺鄙な湯治場としてのみ存続してきたという歴史がある。
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大正期に銀山川の洪水で温泉施設が流され壊滅的な打撃を受けたが、水力発電所が作られたことが復興の足がかりになった。昭和元年にボーリングで大量の温泉が湧出し、当時としては洋風モダンな木造高層建築の温泉旅館が建てられ、今に続いている。
写真は、古勢起屋別館。昭和館の隣りにある。昭和初期の木造4階建て建築の代表例。古勢起屋というのは、もともと小関吉左衛門という米沢藩から移って来た人物がここで両替商兼造り酒屋を営んでいたが、8代目が温泉宿を建てて旅館業も始めたという。別館という名前は、本館が両替屋だったということらしい。 -
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温泉街入口に近いほうにある「古山閣」。18代続き銀山温泉最古参の温泉宿。
銀山温泉の見所のひとつが鏝絵(左官彫刻)である。古山閣の外壁、戸袋には、鮮やかな彩色の多くの鏝絵が描かれていて、ひときわ目を惹き、見ているだけで楽しい。 -
三階の宝船は北前船を表し、隣の花は紅花らしい。
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正月の凧上げ、駒回し、節分、ひな祭り、満開の桜、田植え、七夕、月見、稲刈りなど四季折々の風俗が描かれている。
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古山閣には、旅館の建物の中に神社が組み込まれている。山の神を祭った「銀山山の神社」という社である。
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イチオシ
昭和の時代にはうら若き乙女だったであろう年配の女性が大正時代のハイカラさんコスプレで楽しそうにそぞろ歩きを楽しんでいる。
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はかま姿のオバサマたちも銀山山の神社に参拝している。
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温泉街の入口近くまで来た。一番大きな橋「白銀橋」からの温泉街の眺め。川の左側には誰でも入れる「和楽足湯(わらしゆ)」がある。日帰りで温泉街の散策を楽しんだ観光客にとっては、ここでのんびりするのもよさそうである。
そろそろ、旅館に灯りが灯り出したので、一旦宿に引き上げて一回目の温泉浴を楽しむことにする。 -
風呂はこじんまりして、そんなに風情があるわけではないが、湯口には、昭和館のシンボル、タヌキ君が鎮座している。
泉質は含硫黄ナトリウム塩化物泉ということだが、あまり硫黄の匂いはしない。源泉かけ流しだが、湯温はかなり高い。 -
最上階には天空風呂という樽風呂がある。こちらは時間別に男女入れ替え制。
外が明るく眺めが良い時間帯は、女風呂になっている。館内の飾りと言い、天空風呂の時間と言い、どうも女性客優先のコンセプトの宿のようだ。 -
温泉街のシンボル、ガス灯が灯るのが午後5時。夕食まで時間があるので、夕暮れ時の夜景撮影に出かける。
温泉街の奥まったところにある大きな旅館、「能登屋」 -
「能登屋」の建物は、大正10年に建てられた木造三階建てで、望楼があるのが特徴的である。国の有形文化財の指定を受けている。
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ここにも大きな鏝絵がある。絵柄はなぜか富士山と帆掛け舟
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イチオシ
クロスフィルターを持ってきていたので、使ってみる。
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イチオシ
ガス灯が良い味を出している。雪のシーズンにはもっと風情がありそうだ。
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夕食の時間となったので、宿に戻る。
純和風の旅館会席料理が並ぶ。食事は畳の部屋でテーブルでいただく。
山の中の温泉宿なので、刺身も川魚である。右上、ヤマメの刺身だ。臭みはなく、良い味だった。 -
左上:尾花沢牛のローストビーフ 右上:最上川産モズクガニのカニ汁が美味。
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夕食後、しつこく夜景の撮影をしに外に出る。
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イチオシ
再び「能登屋」
建物の右端にこの旅館の創業者「木戸佐左エ門」の大きな看板。これも鏝絵である。 -
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ガス灯。電灯とは色合いが異なり、どこか温かみが感じられる。
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我が宿昭和館の看板
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翌朝は、台風18号の接近で、朝から雨。それでも傘をさして、ふたたび、朝の温泉街の撮影。
しつこく能登屋の前へ。やはり、国指定文化財になるだけに、その建物は魅力がある。手前のノスタルジックな赤いポストがアクセントになっている。 -
イチオシ
銀山温泉は標高が低いので紅葉シーズンにはちょっと早いが、それでも葉は色付き始めている。
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温泉街の一番奥にある甘味処「はいからさん」。 ここのカレーパンが名物らしい。
朝7時なのに、もう営業している。 -
蕎麦の店「滝見館」 昔は旅館だったらしい。
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温泉街の奥のはずれに白銀公園という小さな公園がある。
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その奥に白銀の滝という高さ22mのさほど大きくはない滝が流れている。台風18号の影響による土砂降りの雨で、増水しているためか、小さいわりには轟音と轟かせている。
道端には風に揺られて落ちたイガ栗がひとつ。 -
雨に濡れた温泉街もしっとりとした情感があって、なかなかよろしい。
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写真に写るほどの雨足の強さである。
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イチオシ
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宿に戻り、朝風呂を浸かったあとは遅めの朝食。
普通の旅館朝食といったところだが、珍しいのは紅花ご飯。見た感じはサフランライスのようである。「女性におすすめのあでやかな健康食」という能書きがついている。またまた、女性向き! -
翌日のチェックアウト間際、連れ合いに「はいからさんのカリーパン」のことを話したら、ぜひ食べてみたいといって、雨の中を買いに行ったのであった。おいしい物、珍しい物を食べるとなると労を惜しまない連れ合いである。
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さて、今日は予定では銀山温泉を発ってから仙台に立ち寄り、夕方まで滞在する計画であった。仙台に寄り道しようと考えたのは、普通の観光目的ではない。ひとつは玄白が学生時代に過ごしたなじみの場所、片平や下宿していた米ケ袋の辺り、東一番丁のはずれにあり卒業実験で深夜までキャンパスに残っていたとき、夜食を食べにいったなじみの中華料理屋など、思い出深い場所がどんなになっているのか見てみたいということがひとつ、もうひとつは連れ合いが熱烈なファンになっているフィギュアスケートの羽生結弦選手の本拠地アイスリンク仙台に行ってみることなのである。
しかし、すでに台風18号が東北地方に向かって進んでいて雨風がひどくなる一方!思い出の場所巡りはやめて、アイスリンク仙台にだけ立ち寄り、後は秋保温泉で日帰り入浴でのんびりして台風が通り過ぎるのを待つことにしたのであった。 -
当然、羽生選手本人が今現在、このリンクにいるわけではないのだが、ここに来たというだけで満足している連れ合いであった。
台風でひどい雨が降っているのだが、第2、第3の羽生結弦、荒川静香を目指して、数人の子供達が練習していた。 -
壁には羽生選手のサイン。
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荒川静香選手のサインも・・・
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雨がますますひどくなってきた。そうそうにアイスリンク仙台を後にして、秋保グランドホテルの日帰り温泉で、夕方まで過ごし、5泊6日の紅葉と温泉を巡る山形の旅を終えたのであった。
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この旅行記へのコメント (4)
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- 琉球熱さん 2014/11/02 23:59:19
- いいですね
- 玄白さん、こんにちは
銀山温泉、いろいろ噂では聞きますが、やはりいいですね。
温泉街の風情が何とも言えない味わいです。
これも木造建築の成せる技でしょうか?
やっぱり行ってみたいとつくづく思いました。
- 玄白さん からの返信 2014/11/03 08:40:39
- RE: いいですね
- 琉球熱さん、こんにちは
温泉街そのものが風景写真の対象になる、とても趣きがある良いところです。行かれるのでしたら、冬が良いと思います。雪が一層味わい深い情景を作り出してくれそうです。
玄白
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- 蔦之丞さん 2014/11/02 15:21:31
- 訪れてみたい宿です!
- 銀山温泉は風情があって、良いですね〜!
未だ行った事がありません
雪景色がまた
絵になりますね
秋保グランドホテルには今月12日に予約してあります。
孫と待ち合わせで楽しみです。
- 玄白さん からの返信 2014/11/02 23:54:59
- RE: 訪れてみたい宿です!
- 蔦之丞さん、こんばんは
お孫さんと秋保温泉ですか! いいですネ〜。
11月中頃は、磊々峡も紅葉シーズンを迎えて一番良い時期ではないでしょうか。
旅行記を楽しみにしています。
玄白
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