2014/08/29 - 2014/08/29
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ちびのぱぱさん
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札沼線の終着駅、新十津川に行ってきました。
今にも廃線にされてしまいそうな、危うい鉄路……
でも、終点の新十津川駅には、かわいい駅長さんが5人くらいいて、頑張っていました。
それにしても、良い天気です。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- JRローカル
-
「学園都市線」という「愛称」が付いているのですが、はるか終点の新十津川駅に行くからは正式名称の「札沼線」で呼ぶことに拘泥したい。
拘泥したところで何も変わらないですが、とにかく札幌駅から10分ほどのところにある最寄りの駅から乗ることにします。
せっかく拘泥したのだけど、この新琴似という駅は「札沼線」と呼ぶのがはばかられるような駅。 -
完全に札幌通勤圏内です。
無機質なホームには、朝7時というのにビシッと決めた善男善女や、その候補生である学生(ほぼ全員スマホからイヤホンつないでいる)が溢れていて、我々は肩身が狭い。
7:11発石狩当別行きに乗ります。
幸いというか、我々が乗るのは札幌とは逆方向なのですが、それでも学生たちでムンムンしている。
平日ですからね、行楽気分全開の我々は明らかにアウェイ。 -
これまた運良く客車(※)とはいえ、学生などでにぎわう車内で朝食を食べるには、なかなか勇気が要ります。
駅前のセブンイレブンで購入したおにぎりをこっそりと食べる。
ああ、昔懐かしい「早弁」の気分。
※むかし北海道出身の友人から聞いた話では、北海道では固定式のクロスシートを客車と呼ぶ習わしがあるということでした。固定式ではないクロスシートはどのように呼ぶか知りませんが、一応ロングシートではないという意味で客車と書きました。以前に、お弁当を購入して列車に乗り込んだら、ロングシートで、しかもけっこうな混雑。座ることは出来たのですが、通勤列車の中で弁当を食べるというのは、腹ぺこであったにしても相当の勇気が必要でした。旅の恥はかき捨て。 -
石狩当別で乗り継ぎですが、ホームの向かいで待っていたのはかわいい一両編成。
ガラガラだろうと勝手に思っていた予想に反して、すでに五分ほどの入りであり、すべての枡席に先客あり。
アテが外れて舌打ちしつつ、イケメン高校生がひとり座る四人がけシートに
「ごめんなさいねえ。」
なんか言いながら、ずずいと座ります。
一人ニヒルに座っていた学生君は、いかにもスポーツ万能風の硬派なイメージ。
腰を浮かせて場所を作りつつ、何かを床から拾い上げまして、よく見たら私の胸ポケットから落ちたボールペン。
「あ、ありがとう。」
「いいえ。」
う〜ん、できる。
でも、月形駅で下車するときに、忘れ物をして女子高生に
「○○くん、わすれものだよ〜。教えたお礼におごってエ。」
と、からかわれて、テレた笑顔がまたさわやか。
う〜ん、我が輩にもこんな時代があった、だろうか。
……いや、ない。 -
月形の手前に「中小屋」という駅がありまして、ここには温泉があるのは承知しておりました。
しかし、すさまじくローカルな。 -
駅舎に使っているのは、どこかで使われていた車両でしょうが……
いったいぜんたい
※後で調べると、これは「緩急車」(かんきゅうしゃ=brake van)という車両で、制動機能がついているらしい。車掌が乗って、ブレーキをかけたりしたという。
「初期の貨物列車の緩急車は吹きさらしの制動手席が付いているだけのもので、悪天候時には厳しい条件で作業を行うきつく危険な仕事であった。やがて制動手が乗り込む部屋が用意されるようになった。」(ウィキペディア)
じゃあ、これは立派な方ということになるんだなあ。この頃の車掌は、一番後方に連結されたこの車両に乗って、すすみ行く汽車に異常を見つければ、直ちにブレーキをかけるという使命を負っていたわけか。
1985年には、原則廃止になったようですから、こんなふうに再利用されているのでしょう。 -
このごろ、俳人の種田山頭火の旅日記をkindle(タブレット)に入れて持ち歩いていて、その旅のスケッチのような俳句に魅了されております。
学生時代に学んだ俳句の決まり事に息苦しさを感じて敬遠していましたが、山頭火の、まるでスナップ写真のような感覚ののびのびとした句が良い!
旅と創作のスタイルは若山牧水の影響なのでしょうか、ときおり旅日記にはその名前が登場します。
旅と酒をこよなく愛し、死んでもアルコール漬けの遺体は腐らなかったという牧水、酒を堕落と認識しつつやめられない山頭火。
屈折した自己嫌悪と旅空の人間観察が、シンガポールスリングカクテルのような奇妙な味わいを生み出しています。
たまらず自分も、「おや、創作?」という相方の揶揄をはねのけ、句をひねってみる。
ローカル線 稲穂の実り あかとんぼ
う〜ん、いまいち。
知来乙(ちらいおつ) 廃屋の屋根 鳶一羽
まだまだ。
マイカーと 抜きつ抜かれつ 札比内(さっぴない)
なんか、交通標語みたいだなあ。
走るより 歩くに似たり 札沼線
どうも定型から抜け出せない。閑話休題。 -
廃人、否、俳人を気取っているうちに、一両編成の我が列車は月形駅に到着。
ここで学生たちが一斉に降りてゆきます。 -
札沼線によく似合うキハ40.
キハ40 401
「1996年に札沼線石狩当別 - 新十津川間のワンマン化と老朽化したキハ53形500番台の置き換えのため、キハ40形700番台2両を改造したものである。」(ウィキペディアより) -
野戦病院のような待合室。
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日本の未来をしょって立つ高校生たち。
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そぼくだなあ。
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だいたい駅の近くには古い倉庫があるような気がする。
かつて鉄道が物流を担っていた名残なのだろうか。 -
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果てしなき平原に敷かれたレールは、どこまでもいちずな「単線」。
無垢の大地に残された開拓の軌跡……。 -
もはや乗客は鉄分の多い人がほとんどです。
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てっちゃんにしては珍しい三人連れの若者が隣のボックスにいましたが、地元の奥さんがわざわざやってきて、
「駅を出てしばらく行くと、月形刑務所が見えるからねえ。」
と、教えています。
そうなんですな、ここは明治時代から刑務所があるところで、月形という名前もその初代の所長(典獄=てんごくといいます)さんの名から取ったもので、町自体刑務所と共に歩んできたと言ったら言い過ぎだろうか。
実に堂々とした刑務所を過ぎると汽車は、鬱蒼とした山中に入ります。 -
密林の中に忽然と現れる駅。
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かの牛山隆信氏の「秘境駅」ランキング堂々13位に輝いたへんぴな駅です。
「かの」といわれても牛山氏を知らない人の方が多いでしょうか、秘境駅ブームの立役者の一人です。
写真は、なぜかちょっと離れたところに立つ「待合室」。
秘境駅とはよく言ったものです。
近くの跨線橋からの写真が有名で、友人がこの秘境駅に知り合いの女性をホームに立たせ、写真を撮って賞をもらった話を聞いたばかり。 -
山地を抜けるとまた平原がつづく。
作付けされているのは、大豆の海、たぶん。 -
駅です、いちおう。
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晩生内をおそきない、と読める人はいつかクイズ番組に出ることを夢見ているか、地元の人か、鉄分で真っ赤に錆びた人くらいでしょう。
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ところによって微妙に稲穂の色に違いが出ます。
品種の違いか、生育状況の違いか……
いずれにせよ、今年は豊作ですなあ。 -
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次は、いよいよ終着駅の新十津川。
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豊作の予感する田を眺めることしばし、午前9時27分、定刻ピッタリに終点新十津川駅に到着。
ああ、意外にあっけなかったな……
当然のごとく、乗客はすべて、運賃箱の向こうでニコニコしている運転士に見送られて、列車を後にします。
発車まで14分、しばし駅周辺でも歩き回ろうか…… -
「これ、折り返すんですよね?」
「ああ、そのまま帰られますか?」
「はい。」
とても親切な運転士さん。
こんどは、こっちが正面になります。 -
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あれ?
小さな駅長さん、たち? -
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ターミナル(終着駅)にしては、明るすぎ、始発駅にしては、のどかすぎる。
札沼線の「札」は札幌、「沼」は沼田なのだけど、この先沼田までは昭和47年に早々と廃線になってしまって……
つまりは「途中駅」ということか。
どうりで -
「吉野・紀伊山系の山ひだ深く、降り始めた雨は三日二夜。
天地の闇は、うわさに聞く地中の暗に変わらず、間断なく桶の水をぶちまけるかの如く、時にはまた、千本の細引きが山々、谷々にたれこめるかの如く降りつづき、やがて大崩落を引き起こした。人は、山津波、山抜け、山潮等々とよんだ。
縦横50間を超える大崩れ1,080、以下の山崩れ7,500。死者168人。
こうして 600家族2,489人は、はるばると北海道をめざす苦難の旅に出る。 」
川村たかしの「新十津川物語」より
明治22年の出来事です。
奈良県にある十津川村から、罹災した人々がこの地に移住して、新十津川村が生まれました。 -
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駅舎は古めかしいけど、よく手入れされているように思います。
近くの保育園なのだろうか、園児たちが「駅長」の制服を着て1日三本の汽車の送迎に来ていました。
保育士の女性に、この子たちは駅長さんですかと、尋ねると、そうなんですと答えてくださいました。
午後の便の時も見送りに来るのかなあ。
ちょうどお昼時だからなあ。
やっぱり、来ないだろうなあ。
NHKの「新十津川物語」はとうとう見逃したのだけど、昨年は奈良県の十津川村もかすめて、近年の「洪水」の爪痕に慄然としました。 -
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のどかだなあ……
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午前9時41分、汽車が再び走り出すと、それまでメイメイ組んずほぐれつしていた「駅長たち」が、にわかに業務に励み出しました。
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中には、もうこの駅長職に飽きてしまった子たちもいるようですが、熱心に乗客に愛想を振りまく未来の駅長。
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稲穂の海から逃れるように、一直線にイナゴが突進してきて、窓から入って私のデイパックに停まりました。
写真撮影の後、窓の外にお帰り頂きました。
無賃乗車を見逃すわけにはいきません、根がまじめなので。 -
石狩当別駅で30分の乗換え待ち時間。
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車庫前でひときわ異彩を放つ。
こいつが活躍するには、まだ少し、猶予がありそうです……
※札幌から新十津川駅までは、片道1640円。朝6時59分発新十津川駅9時27分着。9時55分発は12時37分着。16時40分発は18時56分着。1日三本、いずれも石狩当別で乗換。新十津川駅には15分ほど停車して折り返します。今回は18きっぷを使いました。
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この旅行記へのコメント (1)
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- 蔦之丞さん 2014/09/04 12:46:10
- 可愛い駅長さんですね!
- たわわに頭を垂れる稲穂
未来を託せる地元の高校生
任務を全うしようとする駅長さん
人生を語られる風景描写ですね〜!
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