2014/07/12 - 2014/07/12
213位(同エリア992件中)
玄白さん
知床滞在3日目。今日は午前中、知床五湖の散策です。知床五湖は、年間50万人が訪れるという知床きっての観光ポイント。現在は高架木道が整備されてヒグマ出没を心配することなく、気軽にだれでも知床の自然に触れられるのだが、高架木道は一湖までしか行けず、原生林の中に入ることもできない。地上遊歩道を使えば五湖すべて回れるのだが、今はヒグマの活動期。ヒグマに遭遇したときの対処訓練を受けたネイチャーガイドによるツアー参加が義務付けられています。一昨日、すでに原生林の中のケモノ道を歩いているので、感動は薄いかもしれないが、もう一度世界自然遺産知床の原生林の自然に触れてみようということで、五湖を回るネイチャーガイドツアーに参加しました。
なお、今回の北海道旅行の概略スケジュールは以下の通り。
7月1日~2日 フェリーさんふらわーさっぽろにて大洗港→苫小牧港
道央自動車道経由で旭川へ ビジネスホテル1泊
7月3日~5日 半日、旭山動物園でかわいい動物達に癒され
美瑛をうろついて美しい丘の風景撮影、大雪山旭岳登山
レンタルハウス「絵織の丘」で自炊生活3泊
7月6日~7日 富良野の花々、星野リゾートトマムでゴルフと
のんびりリゾートライフ2泊
7月8日 屈斜路湖、摩周湖周辺観光、川湯温泉1泊
7月9日~11日 ウトロに滞在して知床の大自然満喫、 民宿3泊
7月12日 午前中、知床五湖散策、午後、鶴居村へ移動
ホテルTAITO1泊
7月13日~14日 釧路湿原散策 湿原の中心部キラコタン岬へのガイドツアー
餌付けされていない夏のタンチョウの姿を観察
釧路市内ビジネスホテル2泊
7月15日 苫小牧へ移動、途中池田ワイン城立寄り、船中泊
7月16日 午後、大洗港着、帰宅
- 旅行の満足度
- 4.5
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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知床五湖遊歩道マップ。案内板の左方向に行けば、高架木道で自由に出入りして散策できる。我々は地上歩道を歩いて5つの湖全てを歩くので、まず知床五湖フィールドハウスの中へ。
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知床五湖フィールドハウスの中。ここで、各社のネイチャーガイドが自分が引率する客の名簿を提出して手続きを済ませる。ツアー参加は事前予約が必要で、予約しておくとガイドさんが宿まで送迎もしてくれる。ガイド料は一律¥5,000なり。
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今回のガイドは、知床ネイチャーオフィスの藤川友敬さん。ガイドの中では人気度2番だと自負している。
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地上遊歩道を歩くためには、ガイドツアーに参加するということの他、もう一つの義務が課せられる。それは、ヒグマに遭遇しない方法、万一遭遇したときの対処法のレクチャアを受けることである。
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10分くらいのヒグマの対処法のビデオ学習である。
・ヒグマが居そうなところでは、声を出したり、手を叩いてヒグマに人がいることを知らせることが肝心
・万一遭遇したら、ヒグマを刺激しないよう、しずかに離れること、慌てて大声を出したり、走ったしてはいけない
という常識的なことの再確認である。 -
レクチャーが終わると、こんな立入認定証がもらえる。
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レクチャーが終わり、いざ出発。3kmを3時間かけて、ゆっくりガイドの説明を聞きながら歩く。
なお、散策に出るときは、食べ物や味がついている飲料は持ち込み禁止。水と無糖のお茶だけが持ち込みOK。これは高架木道だけ歩く場合も同様。人間の食べ物の匂いをヒグマに教えないためである。 -
今回は9人という大所帯。グループ毎に10分〜20分おきに出発していく。こうやって人数を制限することで、万一ヒグマに遭遇したときガイドが安全に目配りでき、かつ植生保護にも役立っているのであろう。
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一昨日の原生林歩きと同様、色鮮やかな花がたくさん咲いているという派手さはないが、色々とガイドの説明を聞きながら興味深いものに出会えそうだ。
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サルノコシカケの赤ん坊。サルノコシカケは成長が遅く、大きくなるには長い年月を要する。普通のキノコは生える時期が決まっているが、サルノコシカケは年中生育している。
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水芭蕉の群落。雪解けの頃は花が咲いて尾瀬のような情景になっているのだろう。
意外なことにヒグマは水芭蕉も餌にするのだそうだ。水芭蕉が群生しているといことは、ヒグマが潜んでいる危険があるということで、ガイドの藤川さんは、頻繁に手を叩いたり、「オ〜イ! 熊さんいるかい」と叫んでヒグマに我々の存在をアピールしている。声を出せばなんでもよいのだが、こういう呼びかけをするのは、ツアー客を和ませようという気遣いである。 -
エゾシカが木の皮を食い荒らした跡。本州のニホンジカと同様、エゾシカも増えて食害が問題になっている。現在、北海道のエゾシカは60万頭、知床で1万頭いるという。
藤川さんの説明ではエゾオオカミが絶滅したことが原因だということだが、それだけが原因ではない。他にも昭和初期にエゾシカの絶滅の危機があり、禁猟区を増やす保護策を取ったり、猟師の老齢化と人口減少、暖冬による冬場のシカの餓死が減ったことなど、複合的な要因がある。 -
なんというキノコ? これからキノコの季節になる。いろんなキノコが見られるんだろうな。
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緑一色の森の中で、紅い葉はとても目立つ。紅葉にしては時期尚早。病葉(わくらば)かな。
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倒木の根っこ。なにやら、前衛彫刻のような・・
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藤川さん、またまた立ち止まって説明。指差したところには・・・
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ヒグマの足跡。このところの雨で流されてしまい、はっきりとはわからない。
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カラマツの木に付けられたヒグマの爪跡。
ここで藤川さん、クイズの出題。「このカラマツにはヒグマの爪跡がついていますが、となりのカラマツには付いていません。なぜでしょう?」
そんなこと、聞かれても分からん。
正解は、この木に絡みついた山葡萄の蔓。ヒグマは木の上の方に成っている山葡萄を食べるために木登りしたのだという。となりのカラマツには山葡萄は絡んでいない。 -
最初の湖、五湖に到着。
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知床五湖には流れ込む川も流れ出す川もないが、水量はいつも一定に保たれているという。水の出入りは全て知床連山からの伏流水によるのだそうだ。
昨日のクルージングでは、知床五湖がある海岸の断崖からは大小の潜流瀑が見られたことを思い出した。 -
対岸の草むらからエゾシカが顔を出してくれると絵になるんだがな〜
ヒグマには出てきて欲しくないが・・・ -
小さな入り江になっているところは風もなく、完璧な水鏡になっている。写っているものは地味だが・・・
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ガイドの藤川さんは、これはヤマアジサイだと言っていたような記憶があるが・・?? ノリウツギ??
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鮮やかな黄色のキノコを発見。
ここでまた藤川さん、クイズの出題「このキノコは食べられるでしょうか?」
こんな鮮やかな色をしているキノコは毒キノコに違いないと思ったが、食べられるのだそうだ。名前は、「タモギタケ」。本州ではなじみがないが、北海道に多いキノコで、現在では栽培もされているそうだ。生産地は南幌町、愛別町、和寒町など。
ちなみに、このキノコはヒグマも大好物だそうだ。ヒグマが食べてしまうので、野生のキノコはなかなか見られないらしい。 -
イチオシ
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4湖。あいにく知床連山は雲に隠れたままだ。
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大きな洞があるミズナラの木
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大きいので洞の中には楽に入れる。
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ヒグマの落し物
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遊歩道の中で一番太い幹のミズナラ。幹回りは3m近くありそう。
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遊歩道の隅っこにひっそり咲いていた「ウメガサソウ」
下を向いて咲いているが、実が熟してくると上を向くそうだ。 -
三湖までやってきた。
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5つの湖の中では二番目に大きい。
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ここにはスイレンが群生している。
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元来、スイレンは北海道には自生していなかったが、開拓農民の人たちが持ち込んだのだそうだ。
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イチオシ
ネムロコウホネ。
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尾瀬で見られるオゼコウホネとそっくりで違いが分からない。
三湖が、一番高層湿原の沼らしい。 -
三湖は、湖の周囲の3/4を遊歩道が取り巻いている。ぐるっと回って湖岸の反対側に行く。
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イチオシ
スイレンの奥のアシの中にカイツブリが潜んでいる。
藤川さんに教えてもらわなければ、絶対に見つけることはできなかった。彼は、ここに回り込んで来る前の対岸にいた時から双眼鏡で発見していた。慣れているとは言え、すごい自然観察能力ではある。 -
イチオシ
こちら側に来ると湖面が青空を写すようになっった。
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クマゲラが空けた穴。一昨日見たものより大きい巣穴だ。
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水芭蕉の群落の一角が踏み荒らされ、まばらになっている。ヒグマが食い荒らした跡だそうだ。
知床五湖を巡る遊歩道は、姿こそ見えないが、ヒグマの存在、気配が濃厚なところである。 -
最後の湖、一湖にやってきた。
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一湖 周囲700m、水深3mなので、湖というより池のようなものである。
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一湖までは、知床五湖フィールドハウスから高架木道が設けられているので、気軽にガイドなしで来ることができる。
木道への出入り口は、地上歩道から上がることはできるが、木道から地上へは降りられないような仕掛けになっている。 -
木道の支柱には高圧電線が張り巡らされ、ヒグマが登ってくるのを防止している。
高架木道に上がってからは、フィールドハウスでの集合時間だけ決めて、後は自由行動となった。 -
高架木道からの一湖の眺め
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オコック展望台の記念撮影ポイント
あいにく、知床連山は雲に隠れたままである。残念! -
東方向は良く晴れているのだが・・・
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イチオシ
高架木道は延長800m ゆっくり歩いても40分もあれば往復できる。バリアフリーなので、車椅子でも来ることができる。
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高架木道からはオホーツク海が遠望できる。
高架木道の辺りだけが草原になっているのが不自然な感じがするが、実はこの付近はかつての開拓農民の畑や集落の跡地なのである。一昨日の知床自然センター付近にも開墾集落の跡があったが、ウトロの集落からはるかに離れたヒグマの濃密な生息地にも開拓の手が入っていたというのはオドロキである。
この開拓の歴史は3期に分けられるという。
1.大正3年から60戸が入植したが、10年後に離農
2.昭和13年から38戸が入植したが、大半が離農
3.昭和20年から戦後入植を再開したが、昭和30年ごろから離農者がでて、41年には全戸離農
電気、水道といったインフラはなく、川の水を生活用水にしていた。不衛生ゆえに夏場には赤痢を発症した3歳の女の子を背負って、原生林の中の山道を10数キロ歩いてウトロの診療所に連れて行ったという実話もあるそうだ。
同じところに3回も入植開墾が行われ、3回とも入植事業は失敗している。北海道の開拓促進、戦後食糧難対策といった国策で行われたが、極寒と強風という厳しい冬の気象条件、市街地への交通の困難、石混じりの酸性土という農業には不適なこの地に入植させるというのは、現場を知らない役人の机上の空論ともいえる無謀な政策だったということではないだろうか。 -
今まで漠然と、知床とは海岸の漁業拠点を除けば全域が人の生活の場とは無縁の原始の大自然の大地と思い込んでいたが、こういう苦難に満ちた開拓の歴史が一部にあったということを知って、知床の別の面を見た思いがする。
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12時半すぎに、知床五湖ガイドツアー終了。車を止めておいた民宿までガイドの藤川さんに送ってもらい知床に別れを告げ、次の目的地、鶴居村へ。
昼食は、道の駅「ウトロ シリエトク」で軽く済ませることにした。
シリエトクとはアイヌ語で”地の果て”という意味で、知床の語源になった言葉である。アイヌの人々にとっても、知床は地の果てだったのだ。 -
軽い昼食とは、これ。エゾシカのハンバーガーである。クセはなく、期待以上の味だった。
2日半のウトロ滞在で最も印象深かったのは、初日の原生林のなかのケモノ道の森歩きだった。これで日本の世界自然遺産4ケ所のうち、3ケ所は制覇。残るは、小笠原だが船に弱い連れ合いなのでこれは実現しそうもない。
以下、北海道旅行記(15)に続く。
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