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 13時34分、13分遅れでロシア最後の停車駅・スモレンスクに到着。遅れを3分だけ取り戻し、13時36分に10分遅れで発車。スモレンスクを出発すると、ベラルーシ側のオルシャまではもう1時間ほどだ。ここで時差調整のため時計を1時間遅らせる。<br /><br />■ベラルーシに入る。国境の緊張感なし<br /><br /> スモレンスクとオルシャの間でロシア・ベラルーシ国境を越えるのだが、ずっと車窓を凝視していたものの最後までどこで国境を越えたのかわからずじまいだった。両国間はEU内と同じような自由往来の協定があるためである。<br /><br /> 入国審査などは一切なく、定刻13時35分(ロシア時間では14時35分)にベラルーシ最初の駅・オルシャに到着した。ここで12分停車する。国境の緊張感はまったく感じない。隣のホームにはミンスク行きのローカル列車が停車している。さっきまでぼんやり立っていたベラルーシの車掌が急に生き生きとして、乗客たちに盛んに話しかけてくる。私にも「外がきれいだからぜひ写真を撮りなさい」と言って、ホームと反対側のドアを開放してくれたりした。確かに、オルシャの駅舎は白壁に赤レンガの装飾がほどこされた美しい建物である。ロシアで見てきた駅舎とは違った印象だ。<br /><br /> 列車はオルシャを出発しミンスクへとひた走る。ベラルーシに入ってから、車窓の景色は明らかに変化した。それまでずっと続いていた白樺やエゾ松の林に変わって、見渡す限り続く田園風景。あちらこちらに見える住宅は、古びてはいるものの、カラフルな一軒家ばかりである。<br /><br />■ミンスク駅<br /><br /> 定刻より1分早く16時05分に列車はミンスク中央駅に到着した。せっかくなので、19分間の停車時間を利用して駅前に出てみる。最近建てられたのであろう近代的な大きな駅舎だ。駅前には、政府関係の施設だろうか、巨大なネオゴシック風の建物がそびえている。当たり前のことだが、駅の案内表示はベラルーシ語、売店の通貨もベラルーシ・ルーブルで、ここはもうロシアではないことが強く印象づけられた。<br /><br /> ぼんやりしていると発車してしまうので、急いで列車に戻った。戻ってみると、隣のコンパートメントにいるロシア人のお婆さんに、別のコンパートメントの若者2人組がしきりとヤミ両替を持ちかけていた。<br /><br /> ミンスク駅で飲み物を買いそびれたので、車掌室にお茶をもらいに行く。紅茶は16ルーブルだが、おつりがないと言われ、一緒に何か買わないかと強く迫られる。勢いに押されて40ルーブルのビスケットをふたたび買うはめに。お湯だけもらうならタダなのだが、湯沸器は車掌室にあり、いちいち車掌に頼まなければならないのは煩わしい。どうやらこの車内販売にはインセンティブがあるようで、その後車掌の1人がカゴいっぱいにグッズを入れてコンパートメントまで売り込みに来た。ロシア鉄道ロゴ入りのボールペン100ルーブル、同じくロゴ入り万能ナイフ450ルーブル。確かにレアものなので、ついお土産にとボールペン5本と万能ナイフを買ってしまう。

鉄路は続く ?モスクワ?ベルリン国際寝台急行列車の旅(3)

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2013/11/23 - 2013/11/27

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 13時34分、13分遅れでロシア最後の停車駅・スモレンスクに到着。遅れを3分だけ取り戻し、13時36分に10分遅れで発車。スモレンスクを出発すると、ベラルーシ側のオルシャまではもう1時間ほどだ。ここで時差調整のため時計を1時間遅らせる。

■ベラルーシに入る。国境の緊張感なし

 スモレンスクとオルシャの間でロシア・ベラルーシ国境を越えるのだが、ずっと車窓を凝視していたものの最後までどこで国境を越えたのかわからずじまいだった。両国間はEU内と同じような自由往来の協定があるためである。

 入国審査などは一切なく、定刻13時35分(ロシア時間では14時35分)にベラルーシ最初の駅・オルシャに到着した。ここで12分停車する。国境の緊張感はまったく感じない。隣のホームにはミンスク行きのローカル列車が停車している。さっきまでぼんやり立っていたベラルーシの車掌が急に生き生きとして、乗客たちに盛んに話しかけてくる。私にも「外がきれいだからぜひ写真を撮りなさい」と言って、ホームと反対側のドアを開放してくれたりした。確かに、オルシャの駅舎は白壁に赤レンガの装飾がほどこされた美しい建物である。ロシアで見てきた駅舎とは違った印象だ。

 列車はオルシャを出発しミンスクへとひた走る。ベラルーシに入ってから、車窓の景色は明らかに変化した。それまでずっと続いていた白樺やエゾ松の林に変わって、見渡す限り続く田園風景。あちらこちらに見える住宅は、古びてはいるものの、カラフルな一軒家ばかりである。

■ミンスク駅

 定刻より1分早く16時05分に列車はミンスク中央駅に到着した。せっかくなので、19分間の停車時間を利用して駅前に出てみる。最近建てられたのであろう近代的な大きな駅舎だ。駅前には、政府関係の施設だろうか、巨大なネオゴシック風の建物がそびえている。当たり前のことだが、駅の案内表示はベラルーシ語、売店の通貨もベラルーシ・ルーブルで、ここはもうロシアではないことが強く印象づけられた。

 ぼんやりしていると発車してしまうので、急いで列車に戻った。戻ってみると、隣のコンパートメントにいるロシア人のお婆さんに、別のコンパートメントの若者2人組がしきりとヤミ両替を持ちかけていた。

 ミンスク駅で飲み物を買いそびれたので、車掌室にお茶をもらいに行く。紅茶は16ルーブルだが、おつりがないと言われ、一緒に何か買わないかと強く迫られる。勢いに押されて40ルーブルのビスケットをふたたび買うはめに。お湯だけもらうならタダなのだが、湯沸器は車掌室にあり、いちいち車掌に頼まなければならないのは煩わしい。どうやらこの車内販売にはインセンティブがあるようで、その後車掌の1人がカゴいっぱいにグッズを入れてコンパートメントまで売り込みに来た。ロシア鉄道ロゴ入りのボールペン100ルーブル、同じくロゴ入り万能ナイフ450ルーブル。確かにレアものなので、ついお土産にとボールペン5本と万能ナイフを買ってしまう。

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  • ■ドイツに向かうおばあさんとの会話<br /><br /> 外を見ると、いつのまにか雨が降り出していて、霧も立ち込めている。次の停車駅のバラノビチまではおよそ1時間半だ。<br /><br /> 隣のコンパートメントのロシア人のお婆さんはいつも廊下に出て外を眺めている。ふと、「あなたはどうして写真ばかり撮っているの?」と話かけてきた。日本の旅行会社に勤めていることを打ち明けると、「スパイと間違われるわよ」と笑いながら言う。「日本は島国なので列車で外国に行くことができないから、この列車の旅は日本人にとってとても興味深いものなんです」と話すと、「日本に帰ったらこの列車を宣伝してお客さんが増えるといいわね」と、お婆さん。今年73歳になるそうで、ドイツに嫁いでいる娘さんと孫に会うために年数回はこの列車で通っているとのこと。「どうして飛行機を使わないのですか?」と聞くと、「心臓が悪くて、気圧が変わると体によくないので、旅はいつも列車を使っているのよ」との答え。<br /><br />「かつてロシアとドイツは戦争をしましたね」と話を転じると、「私は、戦争中はオリョール(ロシア西部の町)にいたのよ。あの時はドイツの飛行機がしょっちゅう爆撃に来て、とても恐ろしかった。まだ小さかったけれど、はっきり覚えているわ」。<br /><br />「私も、祖父は二人ともアメリカとの戦争で死にました」と話した。「いまは平和で本当によいわね」とお婆さん。まだ目的地まで時間はたっぷりあるので、どうぞごゆっくりと話して別れた。<br /><br />■食堂車再訪<br /><br /> 17時を過ぎ、霧はだんだん薄れてきたが、曇天も手伝って外は急速に夕闇に包まれていく。18時になるともう外は漆黒の闇だ。ベラルーシ東部の交通の要衝・バラーナヴィチには、定刻より2分遅れて19時7分に着いた。駅舎は小さいが、大量の貨物引込線があり、たくさんのコンテナ貨車が留置されていた。遅れを取り戻すようにすぐ発車。<br /><br /> そろそろ夕食が気になり出す。お昼の食堂車はえらく高かったので、車掌に車販メニューに書かれているカップラーメンがあるか尋ねたが、ビスケットとチョコレート以外は在庫がないとのつれない返事。諦めて食堂車を再訪した。先客は誰もいない。ヌードル入りチキンスープ300ルーブルと、トマトスパゲティ220ルーブル、黒パン2枚を注文する。合計540ルーブル(約1700円)。<br /><br /> しばらくしてお客が1組現われた。特等車の客かもしれない。身なりの良いカップルだが、ふたりでサラダ1人前をシェアして、ボルシチを食べているだけだった。チキンスープはそこそこ美味しいが、スパゲティはトマトソースが非常に少なく、なぜかチーズが大量にかかっており、それが溶けて麺がかたまりのようになっている。この食堂車から後ろはブレストで切り離されてしまう。閉店が近づき、まだ食べ終わっていない横で、片付けやら掃除機かけが始められる。しかし、最後の客だったので、厨房の撮影などを頼むと気軽に応じてもらえた。

    ■ドイツに向かうおばあさんとの会話

     外を見ると、いつのまにか雨が降り出していて、霧も立ち込めている。次の停車駅のバラノビチまではおよそ1時間半だ。

     隣のコンパートメントのロシア人のお婆さんはいつも廊下に出て外を眺めている。ふと、「あなたはどうして写真ばかり撮っているの?」と話かけてきた。日本の旅行会社に勤めていることを打ち明けると、「スパイと間違われるわよ」と笑いながら言う。「日本は島国なので列車で外国に行くことができないから、この列車の旅は日本人にとってとても興味深いものなんです」と話すと、「日本に帰ったらこの列車を宣伝してお客さんが増えるといいわね」と、お婆さん。今年73歳になるそうで、ドイツに嫁いでいる娘さんと孫に会うために年数回はこの列車で通っているとのこと。「どうして飛行機を使わないのですか?」と聞くと、「心臓が悪くて、気圧が変わると体によくないので、旅はいつも列車を使っているのよ」との答え。

    「かつてロシアとドイツは戦争をしましたね」と話を転じると、「私は、戦争中はオリョール(ロシア西部の町)にいたのよ。あの時はドイツの飛行機がしょっちゅう爆撃に来て、とても恐ろしかった。まだ小さかったけれど、はっきり覚えているわ」。

    「私も、祖父は二人ともアメリカとの戦争で死にました」と話した。「いまは平和で本当によいわね」とお婆さん。まだ目的地まで時間はたっぷりあるので、どうぞごゆっくりと話して別れた。

    ■食堂車再訪

     17時を過ぎ、霧はだんだん薄れてきたが、曇天も手伝って外は急速に夕闇に包まれていく。18時になるともう外は漆黒の闇だ。ベラルーシ東部の交通の要衝・バラーナヴィチには、定刻より2分遅れて19時7分に着いた。駅舎は小さいが、大量の貨物引込線があり、たくさんのコンテナ貨車が留置されていた。遅れを取り戻すようにすぐ発車。

     そろそろ夕食が気になり出す。お昼の食堂車はえらく高かったので、車掌に車販メニューに書かれているカップラーメンがあるか尋ねたが、ビスケットとチョコレート以外は在庫がないとのつれない返事。諦めて食堂車を再訪した。先客は誰もいない。ヌードル入りチキンスープ300ルーブルと、トマトスパゲティ220ルーブル、黒パン2枚を注文する。合計540ルーブル(約1700円)。

     しばらくしてお客が1組現われた。特等車の客かもしれない。身なりの良いカップルだが、ふたりでサラダ1人前をシェアして、ボルシチを食べているだけだった。チキンスープはそこそこ美味しいが、スパゲティはトマトソースが非常に少なく、なぜかチーズが大量にかかっており、それが溶けて麺がかたまりのようになっている。この食堂車から後ろはブレストで切り離されてしまう。閉店が近づき、まだ食べ終わっていない横で、片付けやら掃除機かけが始められる。しかし、最後の客だったので、厨房の撮影などを頼むと気軽に応じてもらえた。

  • ■ベラルーシからポーランドへ<br /><br /> 19時45分頃コンパートメントに戻ると、車掌にパスポートを用意しておくよう声をかけられる。ブレストに着いたらすぐに国境検査が始まるので、コンパートメントの扉も開け放っておくようにとのことだ。<br /><br /> 20時04分、定刻5分遅れでブレスト着。すぐにベラルーシの出国係官が乗車してくる。パスポートの写真と本人が同一人物かチェックし、ベラルーシのビザとロシア入国時に受け取ったロシア・ベラルーシ共用の入出国(ミグレーション)カードを確認、パスポートを回収して引き上げていく。口調は丁寧で、威圧的な感じはない。<br /><br />出国係官が去るとすぐに女性の物売りが、ピロシキ、ブリンチキ、塩漬けキュウリ、ビール、などを持って、「飲み物は入りませんか」と小声で言いながら入って来たが、すぐ車掌につまみ出された。ほどなく別の物売りの女性が来るが、また追い出される。いたちごっこが何度か繰り返されて、しばらくすると税関検査の女性職員が現れた。係官が来ると同時に列車はゆっくり動き出した。1万ドル以上の外貨の有無を聞かれ、次に行き先と職業を聞かれる。私のポケットが不自然に膨らんでいたので、それは何かと尋ねられた。ポケットに入っていたカメラを取り出して示すとそれで検査は完了した。<br /><br />(つづき)<br /><br />

    ■ベラルーシからポーランドへ

     19時45分頃コンパートメントに戻ると、車掌にパスポートを用意しておくよう声をかけられる。ブレストに着いたらすぐに国境検査が始まるので、コンパートメントの扉も開け放っておくようにとのことだ。

     20時04分、定刻5分遅れでブレスト着。すぐにベラルーシの出国係官が乗車してくる。パスポートの写真と本人が同一人物かチェックし、ベラルーシのビザとロシア入国時に受け取ったロシア・ベラルーシ共用の入出国(ミグレーション)カードを確認、パスポートを回収して引き上げていく。口調は丁寧で、威圧的な感じはない。

    出国係官が去るとすぐに女性の物売りが、ピロシキ、ブリンチキ、塩漬けキュウリ、ビール、などを持って、「飲み物は入りませんか」と小声で言いながら入って来たが、すぐ車掌につまみ出された。ほどなく別の物売りの女性が来るが、また追い出される。いたちごっこが何度か繰り返されて、しばらくすると税関検査の女性職員が現れた。係官が来ると同時に列車はゆっくり動き出した。1万ドル以上の外貨の有無を聞かれ、次に行き先と職業を聞かれる。私のポケットが不自然に膨らんでいたので、それは何かと尋ねられた。ポケットに入っていたカメラを取り出して示すとそれで検査は完了した。

    (つづき)

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