2013/11/23 - 2013/11/27
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JIC旅行センターさん
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■快適なコンパートメント
乗車完了。早速、コンパートメントの中を観察する。これから24時間を過ごす大事な居室空間だ。どうやら、1等と2等の車両と室内の構造は変わらないようだ。いずれも片側に3段の折りたたみ式ベッドを備えているが、それを1人、または2人で使用するのを1等、3人で使用するのを2等と呼んでいる模様。乗車時点ではベッドは畳まれたままで、片側に3人がけ座席があり、もう片側には折り畳み式の1人用補助椅子と網棚、ハンガー、それに鏡台がある。鏡台の扉を開けると中にはコップと水差し。220ボルトの電源ソケットも備え付けられている。鏡台の下にはクロスがけの1人用机があり、袴付きコップ、スプーンが3組、それに急須とパンフ類が置かれている。備品とクロスを横によけて机のフタをあけると洗面台が現れる。なかなかよくできたつくりだ。
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しばらくするとドアがノックされ、手にたくさんのカギを持った車掌が現れた。チケットと引きかえに、下段ベッドの錠を開ける。すると、背もたれが前方にバタンと倒れ、3人掛けの座席がベッドに早変わりした。布団や枕類はメイキングされた状態で、ベルトで固定されている。ベッドは、通路側を頭にしており、読書灯が付いている。また、コンパートメントのドアの上部には照明と空調を調整するつまみがある。1度ベッドにしてしまうと、再び鍵を使わない限り座席には戻せない。ベッドは車掌が鍵を使って開け閉めしないと出すことも収納することもできない構造になっているのだ。どうやらこのコンパートメントを使うのは当面、私一人のようだ。2段目、3段目のベッドもあるが、車掌は1段目のベッドを出すとそのまま隣のコンパートメントに向かった。
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車掌にシャワーはどこにあるのかと尋ねると、前方の254号車に設置されているので、使いたいときには声をかけるようにとのこと。車内にデジタル表示などはないが、通路に水銀温度計がかかっており、列車内はおよそ18度に保たれている。車端のデッキに通じるドア上部にはトイレのサインランプがあり、使用中あるいは使用禁止の時はそれぞれ点灯する仕組みになっている。
後方の特等車(エスヴェー)にも偵察に出かける。各室シャワー付きの2人用コンパートメントが4つ並んでいるだけの贅沢なつくりだ。写真撮影を車掌に申し込んだが、満室とのことで断られた。特等車にはバーカウンター付きのラウンジもあったが、私が乗車している間、営業している様子はなかった。 -
■列車は音もなく発車した
8時43分、定刻どおり列車は暗闇のモスクワ・ベラルスキー駅を音もなく発車した。どんどん速度を増していく。時速100キロ近く出ているのではないだろうか。車窓はモスクワ市内から郊外へ、ノンストップで一気に駆け抜けていく。モスクワを出発して1時間ほどすると、外が明るくなってきた。車窓に映る景色は、高層アパートや渋滞の車列から、白樺やエゾ松の原生林に変わる。線路はロングレール化されているようで、床下から響いてくる継ぎ目音がいつの間にかほとんど聞こえなくなっている。2時間ほどすると、ローミングしている携帯電話の電波も、途中通過する小さな駅の周辺くらいでしか拾わなくなってきた。
トイレは新幹線と同じような真空タンク式で、昔のように、停車中に使えなくなることはない。紙タオルや便座シートも設置されている。車掌がこまめに清掃しているようで、いつもきれいに保たれていた。 -
落ち着くと一服したくなり、車掌室に行く。ビスケットと紅茶を頼み、55ルーブル(約170円)を払う。車掌室周辺の様子をみると、この253号車にはロシア鉄道の女性車掌2名と、ベラルーシ国鉄の男性車掌1名が乗車していることがわかった。乗車時の検札や発車の合図、備品の説明、車内販売、お湯の提供などは全てロシア鉄道の車掌が交代でこなしており、ベラルーシの車掌はロシア国内を走っている間はいつも所在なげにぼんやり立っていた。
11時24分、定刻より5分遅れで最初の停車駅ビャジマに着いた。約20分の停車時間の間に、2時間半以上ダッシュで駆けてきた機関車がここで交換される。各車両の車掌たちが1か所に集まっておしゃべりに興じている。11時43分、定刻の4分遅れで出発。 -
■結構値段が高い食堂車
12時30分ごろ食堂車へ向かう。旧型の車両だが、内装はリニューアルされ、照明はLED化までされている。しかし、4人がけ8脚、2人がけ2脚のテーブルにバーカウンターまで備えた食堂車内に、先客は2組だけ。その2組が去った後に入れ違いで入ってきた若い夫婦と2人の子連れの家族はスープとパンだけを注文していた。結局、お客は常に2組を超えることはなかった。おそらく値段が高すぎるせいだ。ちなみに私が注文したのは、グリーク(ギリシャ風)サラダ320ルーブル、チキンボルシチ200ルーブル、それに黒パン2切れ20ルーブルと紅茶100ルーブル、しめて640ルーブル(約2000円)。これだけのメニューでかなりの金額だ。味は可もなく不可もなくといった感じだが、流れる車窓を眺めながら温かい料理をいただくのは、食堂車がほぼ廃止されてしまった日本ではほとんど味わえない楽しみではある。食堂車のスタッフは女性3名。2名が給仕、厨房では1名が調理をこなしている様子。しかしこのお客の数では暇を持て余しているのだろう。「夕食もぜひお越し下さい」と言われて食堂車をあとにした。なお、クレジットカードは通信の関係でロシア国内を走っているときのみ利用できるとのことだった。 -
途中、欧州から走ってくる自動車運搬列車とよくすれ違う。いずれも新車を満載している。欧州だけでなく、中国、そして日本のコンテナを乗せた貨物列車もよく見かけた。ロシア経済が世界経済と密接に結びついていることが窺い知れる。
(つづく)
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