2014/05/31 - 2014/06/01
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naoさん
能登半島北西部の日本海に面する石川県輪島市黒島町は、室町時代末期に廻船業が起こって以来、天領(幕府の直轄地)となった江戸時代には北前船の発展とともに隆盛期を迎え、能登の天領では最も規模の大きい集落だったこともあって、多くの廻船問屋で賑わいます。
しかし、地理的条件に恵まれない黒島は、北前船が停泊できるような港を持たなかったため、荷物の積み降ろしは沖に停めた廻船との間を艀(はしけ)で往復しなければならず、港町として発展するには限界があり、北前船などの廻船の船主や船員の住宅地として発展するところとなります。
町の西側に日本海をひかえる黒島は、南北に延びる本町通り(外浦街道)に沿って細長い町並みを形成しており、黒い釉薬瓦、簓子張り(ささらごばり)や下見板張りの外壁、開口部の千本格子など、昔ながらの風情ある町家が軒を連ね、かつて廻船の町として繁栄した姿を今に留めています。
冬の厳しい寒風にさらされる黒島の町家には、潮風に弱い土壁ではなく、すべからく簓子張り(ささらごばり)や下見板張りの外壁が使われているが、これは、明治以降多くの町家を手掛けてきた大工一族により継承された技法で、この町の統一感ある景観形成に大きく寄与しています。
2007年3月に起こった能登半島地震により、能登半島北部の町は大きな被害を受けますが、中でも、震源地に近く、地盤の緩い砂地に立地する黒島の被害は甚大で、286軒の内、98軒の家屋が全半壊すると云う憂き目に遭ってしまいます。
有力廻船問屋の角海家住宅も同様で、全壊の被害を被ってしまいますが、2011年に解体修理を終え、現在一般公開されています。
今回黒島の町を歩いて感じたことは、更地になってしまった土地や新しく建替えられた多くの町屋を目の当たりにして、今更ながら地震の爪痕の大きさを思い知らされたことと、大きな震災に遭いながらも、伝統的な工法で再建されている町家を見るにつけ、奥能登の厳しい気候風土と共存し、この素晴らしい景観を守っていこうと云う、黒島の人々の強い意思でした。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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この旅の最後に訪れるのは輪島市黒島です。
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室町時代末期に廻船業が起こった黒島は、北前船の発展とともに江戸時代に隆盛期を迎え、能登で最も規模の大きい天領(幕府の直轄地)として、多くの廻船問屋で賑わいます。
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町の西側に日本海をひかえる黒島は、本町通り(外浦街道)に沿って南北に細長い町並みを形成しており、黒い釉薬瓦、簓子張り(ささらごばり)や下見板張りの外壁、開口部の千本格子など、昔ながらの風情ある町家が軒を連ね、かつて廻船の町として繁栄した姿を今に留めています。
では、町の北側から南に向かって歩きます。 -
窓のない大きな壁面は、黒島の町家の特徴のひとつ、簓子張り(ささらごばり)になっています。
冬の厳しい寒風にさらされる黒島の町家は、潮風に弱い土壁ではなく簓子張り(ささらごばり)や下見板張りの外壁が使われていますが、これは、黒島の多くの町家を手掛けてきた大工一族により継承された技法で、この町の統一感ある景観形成に大きく寄与しています。 -
2階の窓の細い千本格子は、斜め下向きに角度を付けてはめられています。
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1階下屋の軒下には「さがり」が設けられ、玄関への入り口上部にはアーチ状の細工が見えます。
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2階窓の千本格子の枠には着色が施されていますが・・・
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伝統様式の中にも、他の町家との差別化を図ったんでしょうね。
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大きな壁面が簓子張り(ささらごばり)になった町家が連なっています。
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玄関の大戸が開け放たれたこの町家は・・・
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2階の窓際に袖壁が付いています。
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これだけ簓子張り(ささらごばり)の壁が多いのは、冬の厳しい寒風にさらされる関係で窓が採れないことが影響しているのかも知れません。
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この町家には、黒い釉薬瓦の屋根に簓子張り(ささらごばり)の塀がめぐっています。
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黒島の有力廻船問屋、角海家住宅が見えてきました。
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角海家住宅の屋根で羽を休めるツバメが居ます。
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2007年3月に起こった能登半島地震により、能登半島北部の町は大きな被害を受けますが、中でも、震源地に近く、地盤の緩い砂地に立地する黒島の被害は甚大で・・・
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角海家住宅は全壊の憂き目に遭いますが、2011年に解体修理を終え、現在一般公開されています。
角海家住宅の背後の高台に、町を眺望できる所があるので行ってみます。 -
この町家も、震災被害で新しく建て替えられたようです。
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高台へ上がってきました。
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町家がおりなす甍の波と、その向こうに日本海が一望できます。
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この高台から北側に向かって町並みが続いているので、後戻りすることになりますが歩いてみます。
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雲ひとつない青空のもと・・・
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どこまでも甍の波が続いています。
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足元に目を向けると、旧門前町の汚水枡の蓋がありました。
旧門前町の花・ユキワリソウがモチーフになっています。 -
「孤高」と云う表現がピッタリな町家があります。
この町家、駐車場の陰になって判りにくいんですが、実は3階建になっています。 -
高台の道をぐるっと廻って、元来た道に下りてきました。
どの町も路地から見る町屋には風情があります。 -
角海家住宅まで戻ってきました。
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1階の窓には竹の簾が入っているので、室内が透けて見えます。
透けて見えるのはいいんですが、雨風はどうやって防ぐんでしょうか・・・? -
穏やかな海を、漁船が一艘走り去っていきます。
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この鳥居をくぐって右側へ上っていくと、先ほど町を眺望した高台に通じています。
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この町家の2階には、ほんの小さな窓がひとつだけ付いています。
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これは、曹洞宗の大本山だった総持寺の海の玄関口とでも言うべき所に位置する黒島で・・・
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かつて総持寺の御用船として利用されていた船問屋、森岡屋の建物だそうです。
現在、故あって使われていないとのことです。 -
震災被害に遭って建て替えたであろう、真新しい町家です。
見事なまでに伝統様式が継承されています。 -
黒島の地形は、日本海に向かって滑り落ちているので、町には緩やかな高低差が付いています。
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こちらは旧嘉門家の建物です。
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旧嘉門家跡は、建物の一部を残しながら、観光用駐車場として整備されています。
ちなみに、私の車もここに駐車させてもらっています。 -
この町家はパーマ屋さんをされているようです。
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海沿いの低地と高台をつなぐ階段。
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道は緩やかに曲線を描きながら下っています。
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その曲線の頂点に建つ町家。
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道を少し下がった所から振り返った町並みの様子です。
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この町家は全壊を免れたようで、前面にだけ手が加えられています。
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黒島には珍しい、洋風の外観を持つ理容室さん。
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でも、主屋の建物は伝統様式です。
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ガラス窓の中に、土蔵でよく見かける窓が隠れていますが・・・
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土蔵そのものがすっぽりと下見板で覆われているようです。
この建物の前で町並みが二つに分かれているので、先ずは左側へ行ってみます。 -
この建物も土蔵を下見板で覆っているようです。
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道路に面した妻側全面に扉が付いているので、倉庫のようです。
では、引き返して右側の道を歩きます。 -
黒島にしては珍しく、ふんだんに漆喰を使った町家がありました。
2階の窓も漆喰で塗り込められています。 -
お隣さんは、2階に大きな出窓が張り出しています。
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2階の窓に戸袋らしきものがある町家です。
黒島で始めてみたような気がします。 -
玄関には、潜り戸のある一間幅の大戸が付いています。
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2階の出窓の町家と大戸が付いた町家を振り返って見たところです。
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この町家は和洋折衷になっていますね。
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破風のついた立派な玄関庇と、2階ガラス窓の軽快な建具が、アンバランスなようで、とても印象に残ります。
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この町家も震災被害に遭ったんでしょうか、所々新材で補修しておられます。
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向こうの方をお婆さんらしき人が歩いています。
黒島で初めて人を見たような気がします。
ツバメは見たけど・・・。 -
ついつい見入ってしまう路地からの眺め。
好きなんです・・・。 -
そろそろ黒島の町の南端が見えてきました。
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この町家は、全半壊を免れたとはいえ、相当震災被害を受けたようです。
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道路に面するほぼ全面が修復されています。
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この町家は、小規模な中にも伝統様式が散りばめられています。
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持ち送りの出来栄えも秀逸です。
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平屋建て部分の切妻屋根の上に・・・
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切妻屋根の2階建て部分が直交して載っかっています。
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これはまた複雑な屋根の構造を持つ町家です。
入母屋あり、寄棟あり、切妻ありで、ひと通り屋根の形状が揃っています。 -
この町家も新しく建て替えられています。
こうして見て来ると、震災被害の大きさが実感できます。 -
この辺りが黒島の町並みの南端になるので、駐車場へ引き返します。
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帰りは、高台側の道を歩きます。
先ほどの、土蔵があった分かれ道の左側の道に通じているはずです。 -
もう少し先が土蔵のある分かれ道なんですが、ここで、さらに右側から道が交わってきます。
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この路地の先は日本海でした。
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車を停めてある観光用駐車場へ帰ってきました。
擁壁の上からはお寺の建物が見下ろしています。 -
旧嘉門家の建物と一緒に残されてたお庭の池では、モリアオガエルの卵が木に産みつけられています。
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今回黒島の町を歩いて感じたことは、更地と化した土地や新しく建替えられた町屋を目の当たりにして、今更ながら地震の爪痕の大きさを実感させられたことと、大きな被害を被ったにもかかわらず、伝統的な工法で再建されている町家を見るにつけ、奥能登の厳しい気候風土と共存し、この素晴らしい景観を守っていこうと云う、黒島の人々の強い意思でした。
また一つ再訪したい町ができました。
では、黒島の素晴らしい町並みの余韻を胸に、そろそろ家路につきます。 -
せっかく金沢から北陸自動車道にのるので、ちょっと回り道して、金沢市内にあるこの老舗の定番中の定番、「きんつば」を我が家へのお土産に買い込みました。
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老舗の近くには、有名なこの町並みがあるので・・・
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いつの日か、あらためて訪れたいと思います。
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