2014/05/21 - 2014/05/21
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最速の熊野古道シリーズも最終章。この先は海岸線を離れ、熊野の奥地へと車を走らせます。今回のみどころは、熊野古道に加え、棚田と温泉と鉱山列車。日没の時間が近づく中、おじいちゃん世代が好きそうな観光スポットを全力で駆け抜けます。
** 情報は、2014年5月中旬のもの。
==クレージー紀伊半島 シリーズ一覧==
①最速の熊野古道 馬越峠編
http://4travel.jp/travelogue/10890170
②最速の熊野古道 松本峠編
http://4travel.jp/travelogue/10891106
③最速の熊野古道 通り峠編 <==
http://4travel.jp/travelogue/10890160
④大峰山 (執筆予定)
⑤飯福田寺 (執筆予定)
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[目次]
イントロ
棚田入門
丸山千枚田
通り峠とビューポイント
湯ノ口温泉
費用
まとめ -
[イントロ]
一日かけて、3つの熊野古道を巡るクレージーな私的ツアー。ここまで尾鷲エリアと熊野海岸エリアをカバーし、あとは熊野内陸部を残すのみとなりました。訪問予定地は、旧紀和町を中心に、棚田集落、トロッコ列車、そして山奥の温泉郷。海岸エリアとは違い、やや地味な観光になりますが、最後までお付き合い下さい。
地図: 青い点は右から、花の窟、丸山千枚田(棚田)、湯ノ口温泉。 -
そもそも私がこの旅行を思いついたのは、新聞で棚田の写真を見たのがきっかけでした。その記事によると、熊野(旧紀和町)に丸山千枚田と呼ばれる大きな棚田があり、水入れが完了した今が見頃とのこと。そうか、花だけでなく田んぼにも「見頃」があるんですね。なら行くなら今でしょ。ただ、棚田だけでは弱いので周辺エリアの観光も取り入れた結果、今回の詰め込み旅行が完成した訳です。
丸山千枚田(wik):
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E5%8D%83%E6%9E%9A%E7%94%B0 -
[棚田入門]
私は、国内ではなく海外で著名な棚田を見てきました。日本人に馴染みがあるところだと、バリ島のテガララン(写真)とか。これ以外にも、バリ島東部のティルタガンガ、西部のジャティルウィなど、より大規模なものも訪問しています。棚田のどこが面白い、と聞かれると困りますが、基本的にインパクトのある景色が好きなのだと思います。 -
一方で、棚田観光には、ある種の矛盾もはらんでいます。そのひとつは、青々と稲が育った棚田は、段々畑と大して変わらないということ。特に中国奥部に行けば、目を見張るような棚畑がそこら中にあり、必要以上に棚田をありがたがる理由がなくなります。
写真: 中国・宝山石頭城 全4作
http://4travel.jp/travelogue/10532864 -
もちろん、中国にも棚田の名所はあり、最も有名なのは雲南省の元陽。私は水が張られた時期(11-4月)に行きましたが、それは段々畑とは全く別の景色でした。やはり、棚田観光には水が欠かせない。そして、その風景に太陽の光が加わることにより、いくつもの違った表情を見せてくれます。
参考: 元陽棚田トレック 全4作
http://4travel.jp/travelogue/10551785 -
棚田に水を張るには、上の田から下の田への水路を作らなくてはなりません。さらには、各田んぼの畦も整備しなきゃいけないし、とにかく手間がかかります。だから、本格的な棚田は自然の芸術であり、文化や歴史が感じられるのです。
で、日本ではどの棚田が有名なのか。一応、「日本の棚田百選」なるものがあるのですが、日本百名山のような精鋭揃いではく玉石混交。はっきり言ってよくわかりません。少なくとも、丸山千枚田は全国でトップ5に入るような規模と人気のようです。 -
[丸山千枚田]
==アクセス==
時刻は午後3時30分。花の窟で予定外の山登りをしたせいで、スケジュールがやばいほど遅れています。ここから丸山千枚田へは、車で約30分。棚田は日が高いうちに訪れたいので、急いで移動します。
花の窟を出発して、1.5キロほど42号線を南下。311号線で右折し、熊野の山奥へとずんずん進んでいきます。 -
この311号線は奈良・和歌山方面に続く国道で、千枚田へは途中、40号線で右折。案内標識(写真)があるからわかるでしょう。最後、2キロほど道幅の細い道路を走ると、左側に丸山千枚田が見えてきます。
写真: 40号線への分岐。 -
==道路の展望ポイント==
おっ、これか。棚田が視界に入るとすぐ、道路脇に展望用スペースが現れます。ここに車を停めて、さっそく棚田見学の開始です。
気になる第一印象ですが...う〜ん、この程度か。海外でワールドクラスの棚田を見てきた私にとって、それが正直な感想でした。サイズ、角度、高さすべてにおいて、想定内。日本有数の棚田とはいえ、少し期待し過ぎました。 -
さらに500メートルほど走り、千枚田の入口に到着。ここには数台分の駐車スペースと村の案内地図(写真)があります。なるほど、私は今地図左側の道路を走ってきて、ここから棚田の中へとドライブして行くわけか。このエリアで観光客向けの施設といえば、棚田の底にある千枚田荘(食堂・民宿)くらい。基本的に何もないところなので、飲み物とかは持参したほうがいいでしょう。
地図: この図に描かれている棚田のうち、上1/3程はまだ田んぼとして復元されていません。 -
==中央の見晴台==
道なりに坂を下って行くと、小さな展望所のようなものが出てきます。これが、地図に描かれていた「千枚田見晴台」。場所的には棚田を上から見下ろす位置で、ここには、数台の駐車スペースと見学者用ベンチが用意されています。 -
私が来た時は、熟年夫婦が2、3組。まるで公園にでもいるかのように、のんびりと時間を過ごしていました。
そうか、ここは賑やかな観光地というよりは、ただただ心を無にして、まったりする場所なんですね。民家の縁側で庭でも眺めるかのように。確かに、この場所には、団体ツアーも大型バスも似合いません(実際、入れない)。 -
私は事前の情報で、今は「水入れは済んだが田植え前の状態」と聞いていました。しかし、よく見ると、見晴台近くの田んぼは、既に田植えが終了しています。一方、左下の一部エリア(赤い線内)に限っては、まだ苗が植えられていません。
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==オーナー制度==
これはどういうことかと言うと、あのエリアだけオーナー制度用にリザーブされているのです。それ以外の村人が管理しているエリアは、すでに田植え済み。オーナー制度とは、年会費3万円で棚田区画の「オーナー」になる制度で、丸山千枚田で収穫された新米10キロがもらえるだけでなく、田植えや稲刈りなどの年数回のイベントに参加できます。
これは平成8年に始まった制度で、メディアでも「地域活性化の参考例」として、よく取り上げられます。今のところ、丸山千枚田7.2ヘクタールのうちの1.6ヘクタールがオーナー制度の棚田になっています。
URL - http://www.kumano-furusato.com/senmaida/owner.html -
現在、丸山千枚田の規模は、小さいものも含めて1340枚。平成5年に保存会ができ、丸山千枚田条例ができ、一時は530枚まで落ち込んだ棚田を行政と村人のタッグでここまで回復してきました。
写真: 千枚田条例看板 -
この大きな棚田を維持しているのは、保存会を中心とした地元の人々。この日は、オーナーの田植え日に備えて雑草を除去し、土壌を耕し、トンボのような道具で地面を整地していました。不便な棚田なので手作業中心ですが、手押し耕うん機くらいは使います(中国・元陽は水牛)。バリ島でもそうでした。
一方、田植えですが、広さによっては手押し式の田植え機も使われているようです。いずれにせよ、田んぼに残された足跡や真っ直ぐでない稲のラインが、いかにも手作業風情を醸し出しています。 -
このオーナー用エリアの近くには、トイレと休憩所のようなものが用意されています。現在、会員は100組ほど(構成人員は10名まで)。もちろん、ここに十分な駐車スペースはないので、近くの町やオートキャンプ場に停めた後、棚田まで送迎されます。
ひとつ気になるのは、オーナー用区画の大きさがてんでバラバラなこと。同じ会費なのに、これは不公平じゃないですかね。まあ、自分が植えた苗のお米がもらえる訳ではないので、関係ないかな。それぞれの構成会員の数に応じてサイズを調整しているのでしょう。会員は、個人もいれば企業や小学校などの団体もあります。 -
==棚田トレック==
さて、私はただ棚田を定点から眺めて、お終いにするつもりはありません。バリや中国でやったように、棚田の中を自由に散策して楽みます。幸い、棚田の一部に遊歩道(赤い点線)のようなものがあるので、それを利用させてもらいましょう。 -
ただ、ひとつ問題あり。棚田全体が獣避けの電気柵(写真)で囲まれているため、道路から棚田に入る時、少しだけ苦労します。私は、柵のないところを探して入ったり、時には柵を飛び越えたりしていました。
写真: 電気柵と収穫物を運ぶ荷揚げ用レール。 -
遊歩道を中心に歩いたのですが、気持ちいい棚田ウォークができました。水田を覗けば、何匹ものイモリとおたまじゃくし。さらには、私の進行の邪魔をするトンボ。こんな風景は、田んぼが通学路だった小学生の時以来です。
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鳥の鳴き声に振り返ると、カワラヒワがいました。こちらも、私の家ではあまり見かけません。
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最後は、お決まりの勝手に岩登り。この棚田のど真ん中に、なぜか大きな岩が鎮座しています。通称「大石」。何とも便利な場所にあるものですね。これは、私に「登ってみろ」と言っているようなものです。すぐそばに遊歩道があり(電気柵もあり)、登るのは簡単。岩の上も広く、足場は安定しています。
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岩の上を前後に移動しながら、周囲の風景を撮影してみます。まず、やや逆光気味の西側の眺め。
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続いて逆側、オーナーエリア側の眺めです。何しろ、ここは丸山千枚田の中心地。記念に何か叫んおきましょう。
イモリの皆さん、お元気ですか〜。私は元気です。
田植え指定日にここから撮影すると、面白い写真が撮れそうです。 -
[通り峠とビューポイント]
ここまでは、棚田の中から千枚田を眺めてきました。これとは別に、すぐ隣の山に熊野古道があり、そこから棚田全体が見渡せます。このビューポイントは知られているようで、あまり知られていません。
村の案内地図には明示されていないので、ただふらりとやってきた人は、例の見晴台でしばらく過ごして終わりです。その一方、そこが最強の展望ポイントと知っているカメラマンやトレッカーは、一直線にそちらを目指します。
写真: 青い点 - 左から、オーナー用休憩所、熊野古道のビューポイント、道路の展望ポイント。 -
==熊野古道==
山への登り口は棚田のすぐ近く。案内地図から道路を200メートルほど戻った場所にあります。駐車は案内地図の所か、途中の橋の横(2台)で。それでなければ、道路の端に寄せておきます。 -
展望ポイントへは、ここから20分くらいの道のり。350メートルほど山道を登ると、峠(写真)のような場所に出ます。これが、この熊野古道の名前の由来である「通り峠」。以前はここにも茶屋がありました。この先、このまま逆側(矢の川側)の登り口へと下りることもできますが、私の目的は千枚田の展望台。峠を左に曲がり、さらに260メートル歩きます。
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最後に170段の長い階段が出てきて、それを登り切った先が棚田の展望ポイントになります。
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==山の上のビューポイント==
道路から10分ほど歩いて、展望ポイントに到着。そこからの眺めはこんな感じです。写真ではうまく伝わりませんが、かなりいい景色です。棚田全体が俯瞰できるのは、この場所だけ。ここから眺めないと、千枚田を見たことにはなりませんね。
運のいいことに、この日の天気は快晴。陽を強く浴びた棚田と奥に伸びる山々。なんて爽やかな景色なんだろう。この時初めて、これは遠くからでも訪れる価値のあるものだ、と感じました。 -
これが棚田中心部のアップ。棚田というのは、その中にいると、角度がないため、なかなかイメージ通りの景色に出会えません。だから、上から見るか、横から見るかがキーになってきます。
ここからの眺めはやや遠目ですが、タイルのように並んだ千枚田がよくわかります。私は光り輝く水面に期待して、わざわざオーナー田植え日前にやってきました。実際のところ、苗の短い間は、田植え済みの田も田植え前の田も、ほとんど違いがないんですけどね。
写真: 赤い点は、左から千枚田荘、大石、オーナー休憩所、千枚田見晴台。大岩の奥が田植え済みエリア。 -
==棚田写真==
この山の上のビューポイントには、先客のカメラマンが数名。暇そうにしているのは、単に夕暮れを待っているから。都合がいいことに、この展望台は西向きです。夕日で赤焼けする棚田は、日本でも中国でも人気の構図。ただし、これは天気を選びます。今日のように快晴で雲もガスもないとなると、あんまり焼けない(悲)。逆に天気が悪い日でも、一瞬晴れた瞬間に印象的な写真が撮れたりするから、困ったものです。アマチュア・カメラマンという道楽は、釣り同様、忍耐力が求められます。
私が以前、元陽の旅行記で書いたように、夕暮れ時は、写真的にはいいかもしれませんが、自分の目で見ればただ暗いだけ。午後2-4時くらいの強く光を浴びた時間帯が鑑賞的にはベストです。 -
その他の人気の構図としては、雲海+棚田。さらには、棚田の中を走る車の軌跡を撮影するもの(写真)。日没後に棚田を下りていく車なんて皆無ですから、協力者は欠かせません。季節は選びませんが、棚田らしさがより表現できる水を張った時期が良いでしょう。
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稲が少し成長してきた7月初旬には、「虫おくり」と呼ばれる伝統行事が行われます。キャンドル・イベントのように千枚田に松明を並べ、地域の子どもたちが害虫駆除の掛け声と共に棚田の中を練り歩きます。このイベントも写真家たちにとっては腕が試される一日。棚田の中、大岩の上、道路の展望ポイント、熊野古道の展望ポイント、あらゆる場所から印象的なショットを狙います。昨年は花火や北山砲も打ち上げられ、もう何の写真なんだか..わけわかりません(笑)。
調べれば調べるほど、この棚田風景こそが、熊野内陸部を代表する景色である気がしてきました。海岸部の象徴が七里御浜であるなら、こちらは丸山千枚田。地方ニュースでとりあげられる度に、「オレ行ったことあるぞ〜」とニヤニヤしそうです。
千枚田観光は、とりあえずここまで。日が暮れないうちに、次の目的地へと向かいます。 -
[湯ノ口温泉]
私が最後に訪問するのは、熊野市(旧紀和町)の中でも奈良県にほど近い湯の口温泉。最後は温泉で締めたかったので、この場所をピックアップした訳です。
私は、基本的に温泉にはあまり期待していません。本当に秘湯と呼べる温泉なんて、ほとんど存在しないし、ほどほど雰囲気があればそれでよし。湯の口でも湯の峰でも、湯の山でもどれでもよかったのです。
写真: インド・マニカラン温泉。これは間違いなく秘湯。 -
湯ノ口温泉には、トロッコ列車という他の温泉地にはなギミックがあります。これは、昔のトロッコ用線路を使って、近隣の温泉旅館と湯ノ口温泉を結ぶものです。基本的に観光用で、1日6往復(往復410円、片道210円)。
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私はこれまで、鉄道関係の旅行記を幾つか書いてきました。インドのトイトレインだけで3本。だから、同ジャンルの小型列車であるトロッコ列車にも興味があるわけです。温泉と違い、こちらには少し期待しちゃいます。
写真:インド、カルカ-シムラ鉄道のレイル・カー -
==アクセス==
時刻は4時50分。最終のトロッコ列車(5:10-5:20)には間に合いそうもないけど、とりあえず急ぎます。丸山千枚田から湯の口温泉までは、カーナビによると15キロ44分。しかし、田舎の国道なので、飛ばせば25分くらいで行けるでしょう。
道は、来た道を311号線まで戻り、右折。311号線を走り続けると、トンネルを抜けた後、白い橋が出てきます。その手前で左折し、道なりに走ると、ホテル瀞流荘に到着です。ここが、トロッコ列車の乗車駅。後から振り返れば、こんなに単純な道なのですが、この日の私はついてなかった。 -
今回私は、慣れないスマホのカーナビ機能を使って車を運転していました。これが実に使えない代物で、電波が入らない場所だと意味不明の動きをしたり、しばらく喋らないと思っていたらアプリが強制終了していたり。時には車内の熱で携帯自体が死んでいたり..。おかげて尾鷲市内でも時間をロスしましたが、この湯の口温泉への道はもっとひどかった。
カーナビの異常に気づいていない私は、ひたすら311号線を直進。本来左折すべき橋を越え、思ったより遠いな〜、と思い始めたら、そこはすでに奈良と和歌山の県境でした(笑)。十津川村? おい、ここどこだよ! 結果として10キロも余分に走り、瀞流荘のトロッコ駅についた時には、もう5時45分。グーグルマップよ、お前が一番クレージーだ! -
ちなみにこの瀞流荘は近代的なホテルで、入鹿温泉を名乗っているところを見ると、湯ノ口温泉の一部ではないようです。このホテルでは、棚田オーナーでなくても田植え体験できる宿泊パッケージも扱っています。
URL - http://www.ztv.ne.jp/irukaspa/index.html -
温泉に時間は関係ありませんが、トロッコ列車には、運行スケジュールがある。最終便は、すでに終了。やっちまったな〜。もともと時間的に厳しかったけど、走っているところくらいは見たかった。
とりあえず、ホームに横付けされているトロッコ列車を見てみます。小さっ! これは列車というよりは、子供用のミニSLサイズ。こんなおもちゃみたいな乗り物のために、私は激走してきたのか! -
この乗り物はバッテリー駆動で、運転席に屋根はなし。客席は狭く、大人が膝を折り曲げてやっと座れるくらいの広さです。当然、中で立つ余裕はありません。
トロッコ列車といえば、京都の嵯峨野などが有名ですが、ここまで小さいとは予想外でした。その実、この列車は、窓からの景色を楽しむというよりは、鉱物にでもなった気分でガタガタ線路の乗り心地を体験するのが趣旨のようです。 -
あれが、湯ノ口温泉に向かうトンネル。基本的にこの列車はトンネルの中しか走りません。もう駅員さんはいないし、さあどうする! これはもう、トンネルを歩いて行くしかないでしょう。「一日ですべてをまわる」という公約を破った罰ゲームです。
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ただ、これは言うほど簡単なことではありません。トンネルは全長1キロ以上。中に照明はないため、遠くに見えている出口の明かり(つまり太陽光)を頼りに歩くしかありません。写真で見えているのは、途中で一箇所だけトンネルが途切れる部分の明かりです。
まあ、なんとかなるでしょう。登山同様、やばくなったら引き返せばいいのです。ここで私が歩くのは線路ではなく、間にあるコンクリートブロック。この暗闇でスタンド・バイ・ミーごっこしている余裕はありません。幸い、この区間は短いため、出口の光だけで難なく歩けました。ここまで約5分。 -
このトンネル線路では、定番のトロッコ列車に加え、レールマウンテンバイクとうサービスも行っています。こちらは、二人で2600円と少々お高い。運行スケジュールは、一日6便、トロッコ列車の10-15分前に出発です。 写真をよく見てみると、これは自転車でレールの上を走るのではなく、自転車を漕いだ動力を別のミニ車輪に伝えて線路の上を走る仕組みのようです。
あっちは楽しそうでいいですね。一方、私がやっているのは、「徒歩」という探検なのか修行なのかよくわからない移動手段。しかも、ヘッドライドなしというハンディ付きです。 -
さて、問題の第二区間。こちらは本当に長いため、中は真っ暗。出口の明かりは星のようにしか見えません。でも、私は諦めない。たまに出てくる非常灯(写真)を目印に歩き続けます。ここで活きてくるのが、私のバランス感覚。何しろ私は普段から公園の縁石を目をつぶって歩いているため、こんなの慣れっこなのです(どんな趣味だ!)。ただ、想定外の事態に備え、時々カメラのフラッシュで前方確認をしておきます。
万が一、臨時の列車が来たらどうしよう。避けるなら右か左か。そんなどうでもいいことを考えながら10分ほど歩き、温泉側の出口に到着しました。合計15分。トロッコ列車も10分かかるという話なので、そんなに変わらなかったですね。 -
そしてこれが、湯の口温泉の湯元山荘。湯治客用の宿泊コッテージなどはありますが、温泉としてはこの建物だけです。写真左側が売店など。右側が入浴スペース。料金は410円で、じゃらんの東海地方泉質ランキングで2位だそうです。
URL - http://www.ztv.ne.jp/irukaspa/yunokuchi.html -
中は内湯と露天(写真)がひとつづつ。源泉(45度)かけ流しで、露天はややぬるめです。もともと、湯ノ口温泉は700年前からある由緒ある温泉で、鉱山開発で枯渇した後、新たな源泉を発掘して再開された経緯があります。秘湯というほどではないけれど、十分に歴史があり十分に山奥。内風呂の雰囲気もよく、いいチョイスだったと思います。
これで、予定の目的地はすべて回った。今日一日駆け抜けた思い出が湯船の中で蘇ってきます。象の背、尾鷲湾、鬼ヶ城、七里御浜、千枚田..。やればできるもんです。 -
銭湯を出ると、もう外は暗くなりかけていました。歩いてここまで来た関係上、私にはもう一仕事残されています。それは、言うまでもなく、瀞流荘への徒歩での戻りです。もし私がヘッドライトを持っていれば、再びトンネルを歩いて帰ったでしょう。でも、この時間帯では、道路を歩くしかありません。
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電波が入らないため地図を確認できませんが、どうせトンネル・ルートの1.5倍くらいでしょ。そう気楽に歩き始めたものの、私は道路の距離をかなり甘く見ていました。街灯付きの道路を歩くこと1キロ、やっと街が見えたと思ったら、そこは紀和町湯ノ口の集落でした。
そこからさらに2キロ、北山川沿いに歩かなくてはなりません。この先は街灯もなく、猿や鹿が森の中でガサガサ。村の人も呆れるクレージーなラスト・レグでした。
写真: 赤い線 - 道路。青い線 - トンネル・ルート。黄色い点 - トンネルが途切れる部分。 -
とりあえず熊野市街に戻って夕食。私はこの一日目の内容に気合を入れすぎた関係で、その後の予定を全く考えていません。このまま直帰してもつまらないし、紀伊半島紀行と言うからには、他県にも寄っておきたい。果たして、一日目の内容を越える旅ができるかどうか。台湾ラーメンを待っている間、スマホをいじりながら、必死で考えます。
写真: 花の窟近くの台湾料理店。夜遅くまでやってます。 -
[費用]
この日の費用を振り返ってみると..。
高速代: 1680円 (片道。土日や障害者割引の場合。通常は3350円)
ガソリン代: 2700円 (片道)
湯ノ口温泉: 410円
-------------------------
合計: 4790円。
日帰り往復なら、1-1.5万円見とけば余裕でしょう。こう見てみると、熊野古道シャトルバス(往復4800円)のお得感が大変よくわかります。注目すべきは、あれほど沢山の場所を訪問しているのに、交通費以外、ほとんどお金を使っていないことです。各観光地の入場料や駐車料は、すべて無料。高速も、紀伊長島以南は無料。三重南部の観光って、本当に金がかからんのですよ。
地図: 黄色い点 - 上から馬越峠、松本峠、通り峠 -
[まとめ]
みなさん、どうですか! こんな狂ったような熊野古道紀行見たことありますか? 世界遺産・熊野古道には、多くの人が歴史や癒やしを求めてやってきます。そのため、協調的でおとなしい人がほとんど。一方、私がそこでやったのは、あちこちでルールを破ってかき回すこと。しょうがないんです。私は本質的にならず者なのですから。
しかし、ならず者という人種は、現状を疑い新たな可能性を追求することで、世の中に少しだけ貢献しています。だから、私も今回の旅には満足しています。ちょうど、花の窟の上から眺めた七里御浜のように、心は晴れやか。今回改めて思いましたが、旅先には、現地人は知っていても、旅行者には知られていないことが多すぎる。私はこれからも、ならず者でありつづけ、ならず者として情報発信していきたいと思います。
[リンク集]
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list
==国内登山==
日本名山大周遊の旅①奥穂高、②槍ヶ岳、③燕岳、④八ヶ岳、⑤北岳、⑥富士山
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10706064/
日本の凄すぎる紅葉登山①立山・室堂、②白馬岳・栂池、③駒ケ岳・千畳敷、④穂高・涸沢
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10717801/
屋久島と山ガール、そしてヤバすぎる雨の日①太鼓岩、②縄文杉、③宮之浦岳
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10690816/
SUNQパスで行く九州②普賢岳、③阿蘇山
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10718279/
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