2014/02/28 - 2014/03/01
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bakanekoさん
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あまり撮られることのない開白上堂の動画です。 http://www.youtube.com/watch?v=5aIoGxegnNA&feature=share&list=UUxm2rrJNCexJvaEAgpjzing&index=1
眠たいのをガマンし車で奈良へ急ぐ。到着0時半。おおっ3−40名の観客が。先に上に上がって上胴を待つとしよう。何度二月堂に来たことだろう。完全にはまっている自分がある。
奈良 東大寺 お水取り ですが、その中でも初日、午前2時前からはじまる珍しい開白上堂です。 "只今上堂、只今上堂"司以外の練行衆が上堂し、差懸に履き替えて礼堂の床を踏み鳴らし司の上堂を待つ。
「野ざらし紀行」の旅で、芭蕉が東大寺二月堂のお水取りの行法に参堂したのは貞享2年(1985年)2月であった。ここで芭蕉は次の句を得た。
二月堂に籠もりて
水とりや氷の僧の沓(くつ)の音
お松明に先導され上堂した練行衆は、宵から深夜、さらに未明にかけて、お堂の奥深き内陣において真摯な行法にいそしむ。
聴聞する者は、局(つぼね)と呼ばれる部屋につめて、その行法に目を凝らし耳を澄ますことになる。しかし、聖域の内陣は帳をおろし、2重の格子に阻まれて、中の様子はほとんど見ることができない。ただ、声明、鈴や法螺の音、五体投地の激しくぶつかる音などが閉じた空間に反響して満ちる。
練行衆は、差懸(さしかけ)という歯のない下駄を堂内で履くが、歩けば、床板を打って甲高い音がこだまする。
声明がやんでしばし静寂が続いた後、突然下駄の音が乱れ立つことがある。その響きが内陣をめぐった後、ふたたび静寂が訪れる。声明がまた流れ始める。
まことに聴聞とはよく言ったもので、見ることよりも聞くことで、聴聞者は行法の流れに触れ、時として感情を揺さぶられる。
さて、芭蕉の句であるが、「沓の音」とは言うまでもなく下駄の差懸が立てる音である。
声明でもなく法螺の音でもなく、木と木のぶつかる乾いた音、どちらかと言えば騒々しく無機的な音をもって、芭蕉は、お水とり行事を代表させた。
「氷の僧」とは、深夜の底冷えのするお堂で行法にいそしむ練行衆の厳しい姿を象徴的に表現する。おそらく芭蕉も寒さに震えていたことだろう。
現在の二月堂は、寛文9年(1669年)に建立された。寛文7年に焼失したお堂は1年余りで、焼失前のお堂とまったく同じ姿に再建されたという。
芭蕉が参堂したのはその16年後であるから、今のお堂の新築間もない頃となる。
局の暗がりに身を潜めて行法を見守りながら、芭蕉もまた同じように身を潜め同じような場面を目撃していたことを思う。
この想像自体が新たな感動を呼び覚ましてくれると言えば、言い過ぎだろうか。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
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