2014/01/25 - 2014/01/25
90位(同エリア336件中)
naoさん
兵庫県赤穂市坂越は、千種川の良好な水運に恵まれるとともに、廻船業が盛んになった江戸時代には、坂越浦という天然の良港を背景に瀬戸内海海運の中継地として重要な位置を占め、一大流通拠点へと発展し、特に、幕末から明治にかけては赤穂塩の販路拡大により、その積出港として大いに繁栄します。
この、千種川と坂越浦を結び、坂越の町の中心部を貫く坂越大道(さこしだいどう)の緩やかな坂道に沿って、かつて赤穂塩の積出港として賑わった港町の面影をしのばせる、伝統的な町家が連なる風情ある町並みが残っています。
中でも、坂越を代表する奥藤家は、1601年に始めた酒造業を皮切りに、金融業、廻船業へと事業を拡大し、赤穂塩の発展とともに財をなした大富豪で、その建物はこの町並みにあって、ひと際存在感を放っています。
寛文年間に建てられた建物は大規模な主屋や土蔵を有するもので、坂越大道と接続する入り母屋造りの部分は中二階建てで、本瓦葺きの屋根、黒壁に白漆喰塗の虫籠窓や千本格子窓などがしつらえられています。
坂越大道を抜けた坂越浦に面して、かつてこの町の行政や商業などを司った「旧坂越浦会所」が建っていますが、ここは役所としてのみならず、赤穂藩の茶屋としての機能も持った建物で、2階には藩主専用の部屋(観海楼)が設けられています。
「旧坂越浦会所」の左右に連なる町家は、いずれも平入りの大きな主屋と土蔵を有するもので、瀬戸内海からの高潮や高波への対策として、道路面から1m程度高く石垣を積んで宅地としており、海岸沿い特有の景観を醸し出しています。
坂越へは以前から訪れたいと思っていたところ、『ぺでぃまる』さんの旅行記を拝見し、大いに触発されて訪れたもので、良い情報をいただいた『ぺでぃまる』さんには感謝しています。
では、坂越浦の海岸沿いに設けられた駐車場に車を停めさせてもらって、町歩きを始めます。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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これは、海岸沿いに設けられた駐車場から見た坂越浦に面する町並みで、正面左に見えるのが「旧坂越浦会所」です。
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海に面する町家は、道路面から1m程度高く石垣を積んで宅地とし、瀬戸内海からの高潮や高波に備えています。
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それが、海岸沿いの町並み特有の景観を生んでいます。
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私の好きな路地がありました。
この先に何があるのだろうと思わせる、魅力的な路地です。 -
塀の上に、桃の形をした瓦が載っています。
坂越は岡山県に近いので桃太郎の影響を受けているんでしょうか・・・。 -
町歩きの前に、まずは「旧坂越浦会所」を見せていただくことにします。
ここは、かつてこの町の行政や商業などを司った施設で、役所としてのみならず、赤穂藩の茶屋としての機能も持っており、2階には藩主専用の部屋(観海楼)が設けられています。旧坂越浦会所 名所・史跡
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入口で記帳して、まず2階に上がりました。
窓からは海側にある坪庭が見下せます。 -
窓のしどみ戸には、木を組み合わせた施錠装置が仕込まれています。
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ここは赤穂のお殿様専用の部屋で、「落之間」と呼ばれています。
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係の方のお話によると、お殿様はよくここで昼寝をしていたとのことです。
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天井には、丸太の梁が表しになっています。
背の高い方は頭をぶつけそうです。 -
先程見下ろした坪庭です。
飛び石に灯籠を配した、オーソドックスなつくりです。 -
この正面入口上の、窓に簾が掛かっている部屋がお殿様専用の「落之間」です。
では、千種川と坂越浦を結ぶ坂越大道(さこしだいどう)を、千種川に向かって歩きます。 -
坂越の町並みです。
右手に見える大きな建物は、1601年に創業した酒造業を手始めに、金融業、廻船業などで財をなした、坂越を代表する大富豪、奥藤家の邸宅です。 -
奥藤家の玄関には、家紋の「笹りんどう」が入ったバケツの様なものが備え付けられています。
おそらく防火用なんでしょうね。 -
坂越大道の緩やかな坂道に沿って、かつて流通拠点として賑わった港町の面影をしのばせる、風情ある町並みが広がっています。
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白漆喰塗の虫籠窓や千本格子窓などの町家が連なって、良い町並みを作っています。
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町家の2階の袖壁には、奥藤家の家紋「笹りんどう」が浮き出ています。
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この町家の向かいに、今も営々と酒造りを続ける奥藤家(現奥藤商事?)の酒造場があります。
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先ほど坂越大道の入口でみた奥藤家の大邸宅は、酒造場の海側に隣接しているのですが、その威容は、この町並みの中でひと際存在感を放っています。
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奥藤家の塀の中には椿と柿が植えられています。
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枝に残った柿の実が、モノトーンの土蔵に彩りを添えています。
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奥藤家の大邸宅と酒造場の間に、魅力的な路地があります。
もちろん、吸い込まれるように入って行きました。 -
路地を抜けると、石垣を積んだ町家があり・・・
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広場ではススキが揺れています。
時期が遅いので、ススキの綿毛が飛んでしまって軸が目立っています。 -
ナマコ壁で縁取られた、壮大な奥藤家の建物は酒蔵でしょうか・・・。
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この路地そのものも奥藤家の私道かも知れませんね。
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路地の出口に近づくと、良い景色に出会えました。
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路地から見えていたのがこの町家です。
この町家の横にも良い雰囲気の路地があるので、入ってみましょう。 -
この路地からは、奥藤家の土蔵が真っ正面に見えています。
塀の桟木と見比べると、僅かに坂道になっているのがわかります。 -
奥藤商事さんの店舗です。
看板灯に「創業慶長6年」の文字が見えますが、慶長6年は西暦1601年にあたりますから、400年以上の歴史があります。
そんな歴史のある奥藤商事さんですから、酒蔵に併設して酒造郷土館があり、坂越の古い資料などを展示しているそうです。 -
さすがに土地柄ですね〜、お酒の銘柄は「忠臣蔵」というようです。
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造り酒屋さんに無くてはならない杉玉です。
右上には、ツバメが巣作りしやすいようにと、板が用意されています。
心やさしい気配りですね。 -
この町家の虫籠窓にはガラス障子が入っていて、窓としての機能を果たしています。
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それにしても、よく似た町家が並んでいます。
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ちなみに、奥藤商事?さんは赤穂で唯一の酒蔵だそうで・・・
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酒蔵の中には、300年以上前に建てられたものも残っているそうです。
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この蔵元は、今も手造りにこだわった酒造りを続けておられ、日本酒を愛する人々に強く支持されているそうです。
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すごく大きな虫籠窓を持った町家があります。
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本瓦葺きの屋根に虫籠窓や格子窓と、坂越の町家の典型といってもいいような町家です。
すっきりしていて良いですね。 -
次に、右手に見えるのは「坂越まち並み館」です。
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元奥藤銀行だった建物を再生したもので、観光案内所として運営されています。
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「坂越まち並み館」の前にも路地があったので、性懲りもなく入りました。
でも、やっぱり期待を裏切らない良い景色が待っていてくれました。 -
その路地が、この町家の左手に見えるそれです。
よく見ると、この町屋に面白い窓格子があります。 -
この組み木の窓枠、「卍」のように見えますね。
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この辺りから、道は曲がりながらグ〜ンと昇っています。
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この町家は、1階の格子窓もさることながら、2階全面を占める黒い雨戸が良いですね〜。
建物の上部が黒っぽいと、建物の印象としては重く感じるんですが、この町家はきりっと引き締める効果があるように思います。 -
この町家は、2階全面の雨戸を片側の戸袋に引き込んでいるので、戸袋の出が厚くなっています。
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町家の裏庭で、原木で椎茸を栽培しているお宅がありました。
肉厚でおいしそうな椎茸です。
そろそろ収穫ですね。 -
この辺りが坂越大道の峠です。
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雨戸の話ばかりで恐縮なんですが、この町家は建物の真ん中辺りに戸袋が付いています。
戸袋は間取りによって取り付ける位置が変わるんですが、それだけ家ごとにいろんな間取りがあると云うことで、見ていて楽しいですね。 -
坂越大道の峠を下った所に、坂越港の入口に設けられていた木戸門の跡が残っています。
かつては、この門を潜って頻繁に人や物が往来したそうです。 -
門の横には、港や大坂の方向を示す道標が立っています。
では、大坂の方へ行ってみましょう。 -
大きな虫籠窓のある町家に、名栗(なぐり)加工の外格子が設けられています。
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これは、六角形に製材した角材に名栗加工を施したもので、六角名栗と呼ばれます。
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町家の庭に植えられたナンテンの実が真っ赤に熟しています。
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この町家の呼び樋の付き方が面白いですね〜。
普通なら垂れ流しで済ませる庇にまで軒樋を付けておられるので、こんな景観が生まれました。
ちなみに、突きあたりに見える高架道路は国道250号線で、そのすぐ北側を千種川が流れています。 -
この辺りで坂越大道が終るので、そろそろ引き返します。
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面白い外観を見せる町家があります。
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湾曲した道を戻ると、先ほどの道標のあった所に通じています。
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道標を過ぎた辺りからはじまる急な坂道を上ると、先ほど越えてきた峠になります。
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峠のてっぺん辺りから見た、坂越浦側の町並みです。
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坂道を下っていると、クラシックなバスが走って来ました。
これは、赤穂市内の観光名所をめぐる周遊バス『くらちゃん号』で、JR播州赤穂駅を起点に、花岳寺などの名所旧跡や、雄大な自然が満喫できる県立赤穂海浜公園などのスポットを周遊しているもので、この先の坂越港にも停留所があるようです。 -
「坂越まち並み館」まで戻って来ました。
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建物の角を保護するためでしょうか、白漆喰で塗り固めた町家があります。
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奥藤商事?さんの酒蔵の先に坂越浦が見えてきました。
ここまで来ると、車を停めさせてもらっている駐車場は目と鼻の先です。 -
では、坂越の町はこれくらいにして、次の港町、室津へ向かいます。
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