2014/01/22 - 2014/01/23
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ちびのぱぱさん
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宮島の鹿は、どこまでもやさしい眼をしていました。
冬の日だまりで、互いに毛繕いをする親子じか、きょとんとして人を見つめる生まれたばかりの子鹿。
厳島神社に打ち寄せる波間を、物憂げに歩く若い鹿……。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 船 JRローカル 徒歩 ジェットスター
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尾道発1548−(糸崎乗り換え)ー1715着広島
郷愁の尾道から、学生で混雑する鈍行に乗って、夕日の差し込む県都広島駅に。
ホームを踏んだ靴底を通して、新しい町と出会うとき独特の感覚が、静電気のようにぴりりと伝わります。
大都市の駅は何処も同じように見え、それでいてどこか違う。
そして、それなりの緊張感を要求します。
新しいでも、古いでもない、無表情な都会の駅を案内板に従って出る。
ネオンの灯り始めた夕暮れ時の町には家路を急ぐ雑踏が行き交い、不慣れな旅人をますます不安に陥れます。
万歩計を見ると、今日はすでに1万7千歩近く歩いています。
歩いてきた尾道は山坂が多かったからなのか、三里の辺りに凝りを感じ腰が痛みます。
「お好み焼きを食べなければ……。」
計画では、駅の近くにあるはずの人気のお好み焼き屋で、広島お好みを食べることになっています。
あまりに有名な広島風お好み焼きですが、「しろうと」がふらりと来て
「ああ、広島風お好み焼きというのはですね……。」
などとしたり顔で語るには百年早いと言われないためにも、是非とも有名店で食べなければならないと、
ふだん予定など平気でぶっ飛ばすところを、結構こだわっています。
疲労、空腹、夕暮れの見知らぬ町で、かようなミッションを抱えていると、しばしばパニックに陥って、判断力がシフトダウンするのです。
「食べログ」でちまちま調べ、目星をつけていた店があったのだけど、建ち並ぶビルを前に足がすくみ、もうどこでも目に付いた「お好み焼き屋」に入ってしまおうかしらん。
すぐ近くに案内の窓口を見つけて思い直し、近づいて、経験ありげなご婦人に声を掛ける。
「あの、フルフォーカスっていう……」
「ああ、お好み焼きですね。ここをまっすぐ行って、信号を渡った左手のビルの6階です。」
「……、ありがとうございます。」
ビルの名前をいっただけでわかるとは、やはりただ者ではありませんでした。
で、それはありました。 -
電光石火という店
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「電光石火」の早業。
見ていて小気味よい。
店の名は、ここからきているのだろうと思いました。 -
やはり、ソースはオタフクでした。
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「しろうと」ですから、定番と思われる「肉玉」なるものを注文します。
ようは、焼きそばがメインなんですね。
焼きそばの上に、卵焼きと肉を薄くクレープ状にして、焼きそばを包む。
なるほど、これは関東などのお好み焼きとは、そうとうに違う。
これで……
「広島風お好み焼きというのはですね、関東などのお好み焼きとはそうとうに違うものです。」
と、したり顔で話す資格が発生したと思われます。 -
すっかり夜になった広島駅前には、バス停と並んで路面電車の駅もありました。
ちょうど電車(700系1982年製造)が入ってきましたが、結構、広電の運行経路は複雑なのを思い出しました。
近くのサラリーマンに確かめると、「中電前」に行くようです。
「目的の店でお好み焼きを食べる」というミッションを終え、達成感に満ちた心と、満腹感に満ちた胃袋をかかえ、あいていた席に腰掛けると、
後からどんどん乗客が乗り込んできて、車内は、家路についた安堵感に放心したような人々が埋め尽くしました。
いかにも旅行者の我々は、浮いているのではと心配になり辺りを見回すと、若い白人女性が前にも後ろにもでっかいリュックを背負って腰掛けているのが目に入ります。
背中に荷物を背負っていると、少し中腰になって、リラックス感が中途半端なのが、見ていて気の毒。
金髪が顔の前でほつれて、疲労感がにじみ出ています。
わたしも、リュックを背負っていますが、大きさが比較になりません。
完全に負けているな、と思いました。
路面電車はいいなあ。
わたしと同年代の車輌もあるようなので、できればそれに乗りたかったですが、予約したホテルに行くという次なるミッションで頭がいっぱいになっていましたから、無理は禁物です。
無事コンフォートイン広島平和通に到着。
今日はよく歩いた、おやすみなさい。 -
1月23日(木)
広島の地図を見ると、広がる市街地のちょうど中央あたりに、島外科内科という小さな病院があります。
1945年8月6日午前8時15分17秒、この病院の真上、600m上空でリトルボーイ、つまり「ちいさな」ウラン爆弾が、炸裂しました。
瞬時に地上は3000度に熱せられ、音速の1,5倍もの爆風によって建物や人、路面電車等が吹き飛ばされました。
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島外科から200mほど西に、かの原爆ドームがあります。
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平和公園側から見た原爆ドーム。
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1996年、世界遺産登録の審議の際、アメリカは猛烈に反対したといいます。
しかし世界の多くの国は、どこがどこに使ったかという皮相的な問題以上に、人類が人類に対して、このようなものを使ってしまったという現実に、深い衝撃を受けたのではないかと思います。
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国籍は分かりませんが、多くの白人系の訪問者が、公園内を散策し、あるいはこのチェコの建築家の設計による建物の残骸に、目をとめ、沈思していました。
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広電の新型車両で西広島駅に向かい、JR山陽本線で広島を後にしました。
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「ありがとうございます。1980円になります。」
「すみす」さんは、よどみのない日本語で几帳面に対応しつつ、16GのSDHCカードを小さな袋に入れてくださいました。
動画をどんどん撮っているうちに、メモリが無くなってしまいました。
宮島口のセブンイレブンで、外人さんの店員が応対してくださるとは、夢の夢にも思いませんでした。
それがどうした、という感じでごく当たり前に、レジに立っておられます。
そうです、余計なお世話でした。
お仕事がんばってください。 -
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海から見る大鳥居
JRのフェリーに乗ると、このサービスが付きます。 -
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いきなりきます。
宮島の鹿たちは、奈良公園の鹿よりも、どこかのんびりした感じがあります。
人間の生活圏に完全になじんだ大型の野生動物は、不思議としかいいようがありません。
北海道にもたくさんの鹿がいて、わたしも道東で一度に30頭ほどの群れを見かけたことがありますが、
けして、こういう状態にはならないのではないかと思います。 -
巨大しゃもじ
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参道
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豊臣秀吉も、厳島をあがめ奉ったので、なんでもでっかいものを普請する太閤らしい千畳閣なるビッグな社殿(実際は857畳)。
作っている最中に、秀吉氏はみまかっちゃったので、この社殿はこのような作りかけのまんまです。
やけにすっきりした造りだと思いました。
宮司か禰宜か、装束に身を包んだ方が縁側(?)で箒を手に、だれかと話し込んでいました。
その様子が、田舎の農家の縁側で、庭先に訪ねてきた客と話し込む家の主のようで、ほのぼのしてました。 -
1407年建立の五重塔。
朱塗りが青空に映える。 -
千畳閣や五重塔の辺りから、本殿を見下ろすことができます。
清盛の建てたものは、焼けてしまって、今のはもう少し後の建立。 -
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本社殿の方に降りてゆきます。
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世界遺産的な風格を感じます。
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さわっちゃいけないんだぞ。
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波瀾万丈の人生を送られましたね。
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一月に咲くろうばい。
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まだ生まれてほど無いと思われる鹿の赤ちゃん。
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次第に潮が満ちて参りました。
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平清盛の頃より8代目、明治8年の大鳥居
鳥居に気を取られているうちに、後ろで妻が何事か怒りを爆発させています。
聞くところによると、「とんでもないおやじ」がいたという。
なにが「とんでもない」のかと訪ねると、
「数人できている親父たちのうちの一人が、おだやかに寝そべっていた鹿のおなかを笑いながら思いっきり叩いたのだ。」という。
「それはとんでもないことだ。」というと、
「そうだ、しかも一回ではなく何度もばんばん叩いた。」のだという。
「それはますますとんでもないことだ。」
とわたしは答えました。
最近、「おとな」という生き物が少なくなったように思います。
年齢に関係なく、いつまでたっても「おとな」になれない男たち。
自分を見ても、そう思う……。
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宮島をさる前に、牡蠣おにぎり購入。
焼きおにぎりの上に、甘辛煮の牡蠣一つのせたもの。
一個300円 -
宮島口に戻って、列車に乗る前に、老舗「うえの」であなごめし購入。
1480円 -
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宮島ではじめて「あなごめし」を考案した上野他人吉(うえのたにきち)さん。
パッケージは、昔のちらしの復刻版。 -
とても美味しゅうございました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ねんきん老人さん 2021/08/05 09:47:02
- とんでもない奴・・・
- ちびのぱぱさん、おはようございます。
広島でのお好み焼きのくだり。 てっきり井之頭五郎さんの孤独のグルメ記かと思いながら拝読していましたら、「我々」という言葉が出てきて、あれっ、お一人ではなかったのかなと思いました。
そのあとバカおやじが鹿の腹を叩いたというくだりで奥様のことが出てきて、ああお二人で行かれたのかと納得。 なんだか秘密めいた展開にうなりました。
それにしてもそのバカおやじ。 そいつの腹を蹴ってやりたいですね。 おそらくその晩の夕食時に自分の武勇伝を語って盛り上がっていたのだろうと思うと、よけいに許せません。
昔、高校生を引率して宮島に行ったとき、バカな男子生徒が他の生徒たちの前でこれ見よがしに千円札を鹿に食べさせたことがありました。 私は自分の人生観が狂うほどに驚愕し、世の中にはこれほどのバカがいるものかと慨嘆しました。
意味のない行為を得意げに人に見せて、自分では英雄気取りという輩はあちこちにいるものですね。
コンビニの外国人店員のエピソード。 客である日本人の心に沸くかすかな動揺のようなものがさりげなく語られていて、秀逸な一文でした。 真似したいとさえ思いましたが、私などが下手に背伸びをしても笑われるだけなので、やめておきます。
洒落た旅行記に接し、今日は朝から得をした気分になりました。
ねんきん老人
- ちびのぱぱさん からの返信 2021/08/05 23:00:02
- RE: とんでもない奴・・・
- ねんきん老人さま
過分なお褒めの言葉、恐縮いたします。
拙文を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
もう、7,8年も前の話ですが、ねんきん老人さまの動物愛護精神に火をつけてしまったようです。
動物をいたわる気持ちにほっこりいたします。
動物をいじめる人、いやですね。
孤独のグルメ、最近はまっています!(遅い!)
B級グルメに、ウンチクを述べるでもなく、おやじギャグのオンパレードであれだけ見る人を引き付けるのはいったい何なのだろうと感心します。
旅に出て食事に迷ったときは、駅前の年季の入った食堂がいいと思っていますが、そういうところに入ると、味はもちろんはずれないのですが、店の雰囲気に客層もひっくるめて思い出にしっかりと爪痕を残されます。
そのあたりのねらい目も、上手いのかなあ。
再放送の初期のものを見ると、また最新作と違った方向性があって、現在の吾郎さんに落ち着くまでの流れが想像できて興味が尽きません。
それにしても、コロナはどこに落ち着くのでしょう。
最近、旅に出られないうっぷんを晴らすためになにができるか考えているのですが、ちょっと思いついたのは、フォートラベルの訪問したところ地図を塗りつぶすということ。
古くて大した写真もないのでアップしていない旅を、とりあえずものして、地図を塗りつぶしてみようかなと。
全くの自己満足で他人には何の興味もわかないものになるでしょうが。
これ以上コロナが続くと何をしでかすか、自分でもわかりません。
ねんきん老人さんの旅行記で、旅行気分を満たさせていただき、感謝しております。
だらだら書いて失礼いたしました。
ちびぱぱ
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