倉敷の　土蔵に　柳　なまこ壁

2014/01/21 - 2014/01/22

　ぬけるような青空に、雪のような白壁の土蔵、いぶし銀のような日本瓦のいらかの波。
　倉敷はきれいな街ですね。
　来て良かった、と思いました。

　どこにカメラを向けても絵になります。

エリア 倉敷(岡山)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦
• 交通手段: JRローカル 徒歩 ジェットスター
• 旅行の手配内容: 個別手配
• 利用旅行会社: JTB

　大阪から鈍行列車で博多まで、ぶらぶら途中下車しながら行く、という旅をしております。
　JRの普通乗車券というのは、本来、途中下車が自由にできます。（最低１００キロ以上であることなど、いくつか制限があります）
　知り合いに話したら、意外にご存じでない方がいたので、ちょっとびっくり。
　ついでに、有効期間が距離に応じて増える、ということを教えて差し上げました（ちなみに、このコースでは５日間有効です）。

　さて、播州赤穂で乗った鈍行は岡山止まりでしたが、そのまま乗り継いで倉敷まで一気に行くことにしました。

　播州赤穂12:37ー14:27倉敷

　倉敷に着いた頃、ぬけるような青空が広がりましたが、相変わらず空気は肌を刺すようです。
　駅前から商店街を抜け、まずは観龍寺のある鶴形山に登って倉敷の街を概観してみようかと思います。

観龍寺 寺・神社・教会

　慶応2年（1866年）、江戸幕府崩壊前、天領だった倉敷は長州藩の配下にあった第二奇兵隊の脱走兵約100人が攻め入り、現在の倉敷アイビースクエアにあった倉敷代官所を襲撃したあと観龍寺に陣を張った。脱走兵は兵糧と軍資金を調達し翌朝には出て行ったが、左手鴨居門には槍の傷跡が現在も残っている。(ウィキペディア)

　といいます。

　この「かもい」の真ん中にある大きな傷がそうでしょう。
　槍をどのように刺せばこのような傷が付くでしょうか。

　もうちょっと拡大

　幕末大好きなので、倉敷で何があったのか気になります。
　先ほどのウィキペディアの説明では、１００名の騎兵隊脱走兵が代官所を襲った後に、一時的にここに立てこもった、とありました。
　観龍時の立て札にもそのような説明がありましたが、ちょっと違和感を覚える説明です。
　騎兵隊を脱走、ということは長州とたもとを分かった、ということですから、幕府側に走ったということではないのか。
　なら、どうして幕府領である代官所を襲ったのか。

　司馬遼太郎の小説などで読んでいた志願兵的騎兵隊の性格からして、１００名の隊がそっくり脱走するというのも、考えづらいと思いました。
　そう思ってあれこれ見ていたら、だんだん分かってきました。
　たとえば、ウィキペディアの別項目に

　慶応2年4月10日（1866年5月24日）早暁、強雨の中襲撃、代官所襲撃の主目標は、代官の誅殺であったが、代官桜井久之介は、広島に出張中で不在。幕府側の上級武士はいち早く逃亡し、代官所に踏みとどまった長谷川仙介、小松原芳太郎など9名が死亡した。 襲撃後、立石ら襲撃部隊は総社に向い、宝福寺に宿営した。（ウィキペディア）

　「目的は、代官の誅殺」か……どうも、「脱走」の内容が、兵隊がいやになった的なものではなく、もっと深い意味がありそうです。
　目的が幕府をやっつけることなら、そもそも長州藩と反目する理由はないはずで、そうであればどのような理由で藩と仲違いしたのでしょうか。

　この人たちがどうなったかというと、その後浅尾の代官所も襲いましたが、最終的に幕府軍に負けて長州に逃げ戻ったものの、その多くが処刑されて歴史の闇に葬られたようで、これを納得のいくように説明しているものは見いだされませんでした。

　いやはや、幕末というのはいろいろあります。
　表に出ているもの、いないもの、歪曲されたもの、歴史認識がなにかと話題になりますが、正しい歴史認識なんてだれがわかるのだろうか、
　なんて、この写真の傷を見ながら改めて思います。

　振り返ると、倉敷の町並みが一望できます。

　美観地区に下ります。

　これらの美しい町並みは、どのようにして出現したのでしょう。

　歴史的な変遷はさておき、江戸時代この辺りは、幕府直轄の天領となり、アイビースクエアのあるところに代官所が置かれていました。
　倉敷川を運河として水運の便が良く、年貢米の集積地になったのだそうです。

　

　お代官は、商人たちの自治を認め優遇したといいます。
　そんなわけで、この町は商業が栄え、古参の「古禄」と新参の「新禄」入り乱れて、この美しい町並みを作り上げていったのでしょう。

　そんないきさつがどうでも良くなってしまうほど、みごとな町並みです。

　長州第二騎兵隊が襲った代官所があったアイビースクエアが、今日のホテルです。

　モネが描いたスイレンから株分けしてもらったんだか、種をもらったんだかした睡蓮がある中庭の池。
　一月末に花が咲くはずもなく、錦鯉がゆっくりと水面を揺らしておりました。

　ホテルに荷を解いて小一時間休憩すると、また元気が出てきました。
　もったいないような天気なのです。

　陽は次第に傾き

　老舗の森田酒造を覗くと、そろそろ閉めるのかみな忙しくしていました。

　「のぞいていいですか？」
　声を掛けると、窓口の女性が帳簿か何かをつけながら、手を止めずに早口で
　「いらっしゃいませ。」
　ちょっととりつく島がない感じ。
　まあ、観光客というのはやっかいなものです。

　一歩中に踏み込むと、正面に様々な商品が展示してありますが、売り場はほかにあるようです。
　壁にはぐるりと隙間なく、賞状が飾られています。
　「表彰状がたくさんありますね。美味しい証拠ですね。」
　と、懲りずに声を掛けると、ようやく少し手を止めて、うれしそうに頷くとおっしゃいました。
　「となりにお店がありますから、よろしかったらどうぞ。」

　というわけで、おとなりで純米大吟醸の小瓶を買いました。

　森田酒造のある狭い通り。
　だいぶ黄昏れてきました。

　倉敷ラーメンというのがあるそうです。

　北海道のラーメンを食べ慣れているので、麺の違いに眼が行きます。
　札幌ラーメンが天然パーマ、コッチのラーメンはストレートヘア。
　スープは、こっくりしているようでしつこくありませんでした。
　ラーメン餃子セットで780円

倉敷ラーメン升屋：駅から元町通を進み阿知南の信号を左に入って右手にあります。手作りシナチクが美味しい。まだ新しい。

　おなかがふくれたので、すっかり日が暮れた倉敷の街を、ぶらぶらします。

　中国銀行。
　大陸から進出してきたわけではありません。
　「そんなこと知ってるよ、バカにして。」
　妻の機嫌を損ねました。
　口は災いの元。

　大原美術館。
　倉敷紡績を大きくし、社員の福利厚生や文化事業に情熱を注いだヒューマニスト、大原孫三郎。
　お金は、どう使うか、という方が遙かに難しいのではないか、と、お金を稼げない自分が思います。

　街灯にかかる柳を揺らす風が、ダウンの襟元から吹き込んできます。
　宿に戻って、いっぱいやっか。

　もりた大吟醸

　純米大吟醸は初めてです。
　「うまい！」
　とわたくし。
　「うますぎる！」
　と妻はいいます。
　２５０ｍｌで、899円。

　翌朝……

　大気圏が半分どこかに吹き飛ばされたかのような、群青色のあおぞら。

　宿に荷物を取りに戻ったついでに、クラボウ博物館を見学。
　いまのクラレですね。

　オルゴール博物館でコンサート。

　世界中から集められた貴重なオルゴールを聴かせていただけますが、最後がこのからくり人形。

　左は……

　右は……

　さて、真ん中は……
　行ってのお楽しみ。

　帰り際に、牡蠣せんべい一枚１００円也。

　商店街のお肉屋さんからいい匂い。

いろは食品(株) 阿知店 グルメ・レストラン

　チキンレッグ２本で３２０円也……。

　また鈍行列車に揺られて、こんどは尾道に向かいます。