2013/06/11 - 2013/06/14
75位(同エリア162件中)
ひらしまさん
イタリア縦断旅行記の最終回です。クールマイユールからロープウェイを利用して雪のアルプスの3300m地点に登ります。
美食の街トリノでは旅の最後にふさわしいディナーを、と意気込んだのですが…。
そして最後の関門は、アリタリア航空のストライキでした。
主な行程と宿泊先
アオスタ→(バス)→クールマイユール→(バス)→ラ・パリュー 帰路も同じ
アオスタ→(鉄道)→トリノ→(鉄道)→ミラノ→(鉄道)→ミラノ空港→(飛行機)→成田空港
Maison Bondaz(前回紹介済)
Chelsea 120ユーロ/泊 2泊
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 50万円 - 100万円
- 交通手段
- 鉄道 タクシー
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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旅の24日目。きょうはロープウェイに乗って、ヨーロッパ最高峰モンテビアンコに間近に迫ります。まずは、ふもとの町クールマイユールへバスで向かいます。
途中は緑の村々で、南向き斜面はぶどう畑におおわれ、ちょっとした高台には城館がそびえて、いい景色です。家の屋根はスレート葺き。これはアオスタの谷中の家々がそうでした。スレートの上に複十字のようなものが出ているのは滑り止めなのでしょうか。 -
クールマイユールの町を少し散歩。絵葉書など買いました。山がすぐ近くです。
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上品な山のリゾートです。
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クールマイユールからラ・パリューまで、またバスに10分少し乗ります。車窓に美しい雪山が近づいてきます。
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バスを降りて坂を上ると、ロープウェイのラ・パリュー駅が見えてきます。
アルプスを越えてフランスのシャモニーまで続く大ロープウェイ。今は工事中のため2駅目のトリノ小屋までしか行けませんが、それで十分です。
営業シーズンは6月からで、我々が行った6月11日はまだ始まったばかり。21日までは閑散期料金の30ユーロでした。 -
ロープウェイは動き出すと急角度で昇り、急峻な山々がどんどん目の高さに近づいてきます。
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パヴィヨン駅(2173m)。ラ・パリュー駅から800mも昇りました。
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テラスに出るとクールマイユールの町が谷の底に見えます。この谷は氷河に削られたのでしょうか。
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左右を見渡すと、そこはダイナミックな白と黒の世界。
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生命の気配は感じられません。
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1時〜2時の運行休止の前にトリノ小屋へ行くことにします。ロープウェイはさっきよりもさらに急角度で上昇し、目の前の岩壁を登っているような気分です。
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トリノ小屋(3335m)に着きました。日本で2番目に高い北岳よりも高い地点に来てしまいました。こんなに安直に来てしまってよいのだろうか…。
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しかし、展望台への出口と思ったドアは施錠されているのか開きません。一緒に乗ってきた観光客ではなさそうな男性たちはスッと消えてしまいました。来た方を振り返れば雲ばかり。
ここで昼食にしようとパンと果物を持ってきたのですが、寒くてそんな気分になれません。3千m級を甘く見ていました。下に降りようにもロープウェイはお昼休みに入ってしまいました。 -
でも、バールは営業しているようなので暖を求めて入ると、若い女性が1人、手持ち無沙汰げに店番をしていました。彼女が座っていたストーブ前の席を譲ってもらいました。
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店の窓は、雪でほとんど覆われています。
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上からは、雪解け水がつららとなって垂れ下がっています。
お茶を注文し、了解を得て持参の昼食を食べさせてもらいました。 -
食べ終わってロープウェイ乗り場に戻ると、雲が晴れていて、パヴィヨン駅とさらに下の町が見渡せました。
そして、Yが店の奥を見てくると行くので、僕もあとを追いました。すると… -
ドアを開けるとそこは展望台で、絶景が待っていました。
真っ白に輝くモンテビアンコ。フランス語ではモンブラン、ヨーロッパ最高峰の4807mです。 左の嶺はモンテビアンコ・ディ・クールマイユール。 -
その右には剣のように突き立つ迫力ある山々。
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この絶景を二人だけで見る贅沢。閑散期最高!
青空の下、サンチェアで日光浴もしました。4千m級の真っ白な嶺々に囲まれた静かな時間をたっぷり楽しみました。 -
帰りのロープウェイは工事関係者らしい雪焼けした男性3人と同乗。急降下で耳がツンとする状態で下界に降りました。
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一時は昇ったことを後悔したモンテビアンコ・ロープウェイでしたが、あの空間は大自然からの特別な贈り物でした。
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旅の25日目。最後の目的地、トリノへ向かいます。
途中で乗り換えたIvreからは、アオスタの谷を出て、平地になりました。そして、屋根がスレート葺きから瓦葺きに変わっています。
遠くから見るアルプスの山並みもまたいいものです。 -
トリノの街はもう夏でした。駅から宿へ向かうタクシーの窓から若者たちの半袖、短パン姿を見て、昨日の白銀の世界との落差に驚きました。
宿から街の中心のカステッロ広場に出ると、子どもや若者の歓声が響いています。 -
広場の地面からいくつも上がる噴水に向け、仲間同士で押し出したり自ら飛び込んだり、みんなずぶ濡れです。夏の到来を体中で歓迎しているんですね。
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広場に君臨するマダーマ宮殿。
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表だけ立派に見せるよくあるパターンのようにも見えます。
実際に入場したのは王宮の方です。王宮は、外見は地味な煉瓦造りですが、中は絢爛豪華。スケールこそヴェルサイユに及びませんが、どの部屋もどの部屋も豪華です。武器庫の鎧や鉄仮面も実に見応えがありました。
でもなぜか写真が1枚もないのです。撮影禁止だったのか、疲れていたのか、豪華さに見とれて撮り忘れてしまったのか、今となっては思い出せません。 -
最後の宿となったホテル・チェルシーは、王宮のすぐ近くという立地はよかったのですが…。
水道水は濁っていて、15分出しっ放しにしてようやく澄んできました。部屋の隅にあった大理石のテーブルは汚れがひどく、ティッシュで3回拭いてもなお黒くなりました。そして従業員は不親切。最後に来て外れくじを引いたようです。 -
旅の26日目。昨日の夕方からのどや頭に痛みがあったのですが、やはり風邪のようです。エジプト博物館をあきらめて、インターネットで調べ物をします。
実は翌日、つまり日本に向けて発つ日にイタリア全国の交通ストが予定されているのです。アリタリア航空も含まれています。
ホテルの受付に見通しを聞いてみたのですが、「英語のよく分かる者が来たら聞いてくれ」とまるで頼りになりません。
部屋のWiFiはうまくつながらないけれど、公共スペースのパソコンが使えたので調べていくと、ストライキ解除の発表はないものの、英語の掲示板では解除の予想が多いようで、なんとか帰れるんじゃないかと思うことにしました。
鉄道の様子も見ておこうと、ポルタ・ヌオーヴァ駅へ切符を買いに行きました。
ミラノまでのフレッチャロッサの2等はビジネス、プレミアム、スタンダードの3段階に分かれています。プレミアムには払い戻し不可のエコノミー切符があって、それはスタンダードより安かったので迷わず購入。1人29ユーロ。長い旅の最後に初めてエコノミー切符を買うことができました。 -
旅の最後のディナーはおいしいものをと、トリップアドバイザーで検索した洗練されたリストランテをめざしました。ところが、サイトの地図のあたりを何度行ったり来たりしてもそれらしい店はありません。それで店に電話をしたら、断られてしまいました。休業中?
がっかりしてもう気力もないし、ホテルの店で間に合わせることにしました。 -
というわけで期待せずに入ったのですが、意外においしかったのです。
これは「チーズと海老と野菜のリゾット」。塩味が濃いので、アオスタで塩分取り過ぎで体調を崩したYにはどうかなと思ったのですが、おいしさにぺろっと食べてしまいました。料理は全部2皿に分けてくれています。 -
この蒸した魚介もたっぷりで満足。このほかに野菜のグリル、魚のフリット、そしてドルチェ。
主人はプーリア州出身だそうで、アルベロベッロの写真などを飾っているのも故郷を大事にするイタリア人らしく好ましく感じました。
すべり止めで入った店が安くて(55ユーロ)おいしく、我々の旅の最後にふさわしいディナーとなりました。 -
旅の27日目。アリタリアは飛んでくれるのか、不安を胸に宿を出ます。
ミラノまで乗ったフレッチャロッサの2等プレミアム。車両はきれいで革張りふうのシートは座り心地最高です。スーツケースをテーブルの下に寄せて置いてもそう邪魔になりません。車内はパソコンを広げている人が多い印象です。
2等だから茶菓のサービスはないねと言っていたら、来ました。 -
速度の表示は299km/hまで見ました。
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そして、アリタリア786便は無事出発し、アルプスの山々を機窓から見ています。
28日間の旅で泊まった宿は13軒。乗った列車は長短合わせて28本、バスが15本、タクシー9回、船8回、ロープウェイ4回、飛行機3回。
使えるイタリア語は全然ふえなかったけれど、重いスーツケースを列車に乗せるコツはつかめたような気がしています。
ちなみに帰ってきてから測ったら、僕は体重が減っていましたがYは体重が増えていました。「前回の団体パック旅行の時はおいしい食事がほとんどなかったけど、今度はおいしい料理にいろいろ出会えて大満足!」という言葉通りの結果ですね。
経済的には苦境と伝えられるイタリアですが、出会った人たちのほとんどは明るい顔をしていました。とくに南イタリアの人たちの温かさは、帰国後の今も胸に残っています。ありがとうございました。
それぞれの地方や街に個性が感じられ、個人経営の小さな店も多く、画一化・効率化とは遠いように見えるイタリアは、少なくとも旅行者にはとても楽しい魅力的な国でした。
「初夏のイタリア縦断1か月」これにて完結します。最後までお読みくださった方、大変ありがとうございました。
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