2013/12/08 - 2013/12/08
989位(同エリア8826件中)
ばねおさん
パリ滞在中の12月の日曜日、以前からの希望であったサンジェルマン・アン・レー行が実現した。
サンジェルマン・アン・レーはパリ郊外の高級住宅地で、サンジェルマン城やドビッシーの生家、モーリス・ドニ美術館などがある。
昼食を済ませてからの午後の出発となったが、13時15分ラ・デファンスにてRERに乗車、わずか20数分で現地到着した。
サンジェルマン・アン・レーは、これほどパリの近くにありながらパリとは違う趣のあるシックな落ち着いた雰囲気の街であった。
結局、ドニ美術館だけで時間を使ってしまい、サンジェルマン城の見学も広大な庭園の散策もできずに終わったが、パリから近いだけにいつか再び訪れたい街である。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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12月に入ってからはほとんど雨がない日が続くパリ。
20区の高台にあるアパルトマンからはパリの市街が遠望できるが、右手に見えるラ・デファンス高層ビル群の彼方にあるのがサンジェルマン・アン・レー方面となる。
今までも行ける機会はあったはずなのに、いつでも行けると思うとなかなか実現せず、今回はうららかな午後の陽射しに誘われて出発。 -
サンジェルマン・アン・レーへ行くにはパリ市内からRER(高速郊外電車)のA1号線に乗れば良いのだが、定期券navigoを持っているのでラ・デファンスまで出て、ここでRERの切符を購入。
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帰りはラ・デファンス行きのバスを利用して途中のマルメゾン城見学も考えていたのだが、時間的に無理と判断し、結局、RERの往復乗車券を購入。
料金は片道2.4ユーロ×2 -
RERホームでの出発電車の行先と時刻の表示
この時間帯はおよそ15分ごとにあるようだ。 -
ラ・デファンスは地下駅であるが、次の駅を過ぎると地上に出て陽光が差し込み、車内が明るい感じになる。
乗客も少なく、日曜日の午後らしいのんびりした雰囲気の車内。 -
A号線は枝分かれしているため
車内にもこのような行先表示がある。
もっとも、乗ってから間違えに気づいても遅いのだが... -
わずか20数分で終着のサンジェルマン・アン・レー駅に到着。
ここも地下駅である。 -
駅から地上に出ると、すぐ目の前にサンジェルマン城が聳えていた。
内部は国立考古学博物館になっているとのこと。
さらにその向こうには大きな庭園が広がり、パリ市街を眺望できるグランドテラスもあるはず。
大いに興味はあるが
訪問の第一目的がモーリス・ドニ美術館のため、見学は先送りとする。 -
美術館に向かう道すがら、名誉革命でフランスに亡命したスチュアート家最後の国王ジェームス7世/2世が同地で亡くなったことを記念する教会があった。
ジェームス7世/2世は国を追われ、王座奪還を果たせぬままフランスで憤死したわけだが、その血筋は故ダイアナ妃につながり、現在のイギリス王室によみがえったことを考えると、歴史の因縁というものを想わざるをえない。 -
その教会の横手にある広場では、小さなクリスマスの市が開かれていた。
何やら楽しげな雰囲気に、ちょっいと寄り道を -
フランスの街には必ずと言ってよいほどあるメリーゴーラウンド。
午後のこの時間では、まだ乗り手は集まっていないようだ。 -
駅前から続く商店街は落ち着いた雰囲気のある装いで、パリ市内とはだいぶ趣が異なる。
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日曜日で店のほとんどは閉まっていたが
ショーウインドウは営業中 -
サンタさんもいろいろ居るんだねえ
-
パリ市内では見たことがないが
このように犬の糞袋とゴミ箱(糞入れ)が設置されていた。
さらに先には犬の公衆トイレを示すマークも路上にあった
みんなきっとマナーのよい住人達に違いない -
資料も地図も持たずにやって来たため道に迷い、
地元の人に聞きながら目的地のドニ美術館に到着。
途中で美術館への道順を嬉しそうに教えてくれた10代の女の子の
とても誇らしげな様子が印象的だった。 -
美術館として新たに造られたものではないだけに
すっかり周囲の風景に溶け込んでいる佇まい。 -
門から続く敷地内の道
敷石などがないところが何ともよい。 -
建物はルイ14世の時代の施療院で、長く荒廃していたものを1914年にドニが買い取ってオーギュスト・ペレに修復を依頼したものである。
ドニだけでなく、いわゆるナビ派、象徴派の作品も多く展示されている。 -
「ル・プリウレ前での自画像」(1921年)
ル・プレウレ(小修道院の意)とは、ドニが名付けたこの美術館の建物のこと。
モーリス・ドニ美術館というより、プレウレで通るようだ。
この画は最愛の妻マルトを失ってから2年後の制作である。
のちに再婚するエリザベツ・グラトロールという女性と出会い、手にしているスケッチ帳からは新たな創作の意思が窺える。
後方にはエリザベツを抱擁するマルトが描かれ、ふたりに対する作者の願望というものが込められている、という解釈が一般的なようだ。 -
ドニを理論的リーダーに置くナビ派(預言者の意)の芸術活動は、絵画だけでなく彫刻、工芸、装飾の分野に大きな影響を与えたといわれている。
印象派の芸術観を否定し、セザンヌやルドンに畏敬の念を抱いていた彼らのグループには、ボナールやセリュジエ、ヴュイヤール、エミール・ベルナール、ランソン、ジョルジュ・ラコンブ、マイヨールなどがいる。
このドニの胸像はラコンブの作品で、原型はマホガニーで制作されたもの。 -
そしてナビ派結成の契機となったのがゴーギャン。
ここには彼の写真とパレットなどが展示されている。 -
「マルトの肖像」(1898年)
ドニの描く女性像のほとんどが夫人をモデルにしている。
描く女性は常に同一人であることはドニに限ったことではないが、愛おしみが画布から本当に伝わってくる一枚である。 -
こちらもマルト夫人。
ボナールが好んで描いた夫人の名も確かマルトであった。
どちらも共通しているのは熱烈な愛情 -
「森の春」(1907年)
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夕暮れの庭園の中でドニとマルトが睦まじく描かれている、そして後方には子供たちの姿がある(1897年) -
「望楼のプリンセス」(1914年)
ドニの核心的テーマである「家族、子供、芸術そして宗教(カトリック)」のすべてが盛り込まれているような一作。 -
2011年には日本の各所でドニの巡回展が催されたが、その時の展覧会タイトルは『いのちの輝き、子供のいる風景』というものであった。
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美術館の一画には子供たちのための自由コーナーも用意されている。
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熱心なカトリック教徒でもあったドニ
聖書から題材を得るなど、宗教的作品も数多い -
「エマオの巡礼者」(1893年)
イタリア絵画の愛好者であれば、聖書の有名な一場面を描いたカラヴァッジオ作「エマオの夕食」の劇的場面を思い浮かべるだろう。
オランダの天才的贋作画家ハン・フォン・メ-ヘレンにもフェルメールの真作として美術館が買い上げた同名作品がある。 -
ステンドグラスは、画面の構成に重点を置くドニあるいはナビ派の芸術観をもっとも如実に反映しているのかもしれない。
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こちらはいわば人生を表徴している作品。
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連作の壁画も多くあり、大作である。
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これはエミール・ベルナール(1868-1941)の作品。
「クリシー河畔 」
フランス象徴主義を代表する画家のひとりであるが、晩年にはアカデミックな画風に転じた。
ゴーギャンと互いに影響しあうも、やがて絶交する。 -
ポール・ランソン(1861-1909)の作「火を囲む魔女たち」(1891年)
彼の生年については諸説あるようだが、ここでは美術館の表示に従うこととする。 -
ジョルジェ・ラコンブ(1868-1916)
「預言者」(1894年)
画家、彫刻家 -
北斎の有名な「神奈川沖浪裏」。
浮世絵の構図が多くの画家に影響を与えているが
この絵は、この地で生まれたドビッシーの「海」にも影響を与えたといわれている。
余談だが、北斎といえば信州小布施の北斎館でみた忘れられない一絵がある。
切ったスイカに薄い和紙を載せた画なのだが、和紙を通して伝わってくるスイカの質感には慄然とするほどの迫力があった。あれは何という作品だったろうか -
ジョルジェ・ラコンブの描いた荒波。
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こちらはドニの作品
彼らは単に日本の美術を愛好したのではなく、さまざまに研究を重ね、自らの絵画に取り込んでいった。
そしてそれがまた、日本の絵画や装飾芸術にも影響を与えている。 -
美術館の一部を形成する礼拝堂。
ドニの構想の下にオーギュスト・ペレが設計し、多くの芸術家の参加によって完成している。
ペレといえば10月に訪問したル・アーヴルの都市設計も彼の手がけたものだったが、「コンクリートの父」と呼ぶだけではとても言い表せない優れた芸術的表現者であったことが、これを見ても分かる。 -
天井画の色調が何とも優しい。
ちなみにパリのシャンゼリゼ劇場の天井画はドニの作品である。 -
荘厳さよりも、むしろ親近感のある優しい礼拝堂である。
宗教的圧迫感もなく、制作者の過度な自己主張もなく、これほど心地よさが感じられる礼拝堂は他にはあまりないのではないだろうか。 -
家族愛、美、カトリック
まさにモーリス・ドニの世界の結晶がここにある。 -
礼拝堂の外観
美術館と一体を成すものではあるが、この礼拝堂を訪れるだけでも十分な価値があると思えた。 -
敷地内にあるかってのアトリエ。
ドニやナビ派象徴派の面々が創作に励み、議論を交わしたであろう場所。
現在は未公開であるが、いずれは整備されて観覧できる日が来るに違いない。 -
建物を囲む庭にはブルーデル等の作品の数々がさりげなく配されている。
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良く知られている「弓を引くヘラクレス」
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美術館の庭は三段構成になっていて、ここは2段目にあたる。
美術館入り口には、美術館/庭園 との表示があり、庭園は出入りが自由である。
近隣のお年寄りがのんびりと木製のベンチでくつろいでいた。 -
庭の一隅で色づいた柿の実が冬の陽光を浴びていた。
新緑の頃の庭園はさぞかし見事だろうが、この季節も悪くない。
温かな日には、ここで昼食を持参して広げても楽しいだろうな
再訪を誓って駅への帰路に就く -
ドニ美術館から駅への路の途中にあるクロード・ドビッシーの生家
現在、一階は観光案内所として用いられている。
いずれも日曜日のため閉館であるが、2階の旧住居が公開されているとのこと。
2012年にはドビッシー生誕150年を記念し、日本でもさまざまな催しがあったことはまだ記憶に新しい。 -
さて、往路で見かけた回転木馬がどうやらフル操業中。
居ました、いました
ドニの愛した子供たちが -
夢の2頭立て馬車でしょうか
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許されるならば乗ってみたいのですが...
叶わぬ夢ですね -
サンジェルマン城と向かい合うサンジェルマン教会には西日があたり帰りの時刻を知らせてくれる。
そろそろ家路につく頃だ -
帰宅するとすでにエッフェル塔には灯がともり、先ほど過ぎてきたラ・デファンスの高層ビル群も明かりの中。
空は夕焼け、赤富士ならぬ赤いパリ。
いい遠足でした。
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