熊野本宮・湯の峰温泉旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 渡良瀬温泉に行ってきた。紀伊田辺から車で国道311号線を走り、およそ1時間である。以前は国道といっても名ばかりの狭い谷間の道であったが、いまは立派に拡幅されトンネルも開通してドライブするにも快適である。走っていると熊野古道の標識が随所に見受けられる。そうだ、ここは熊野三山といわれる熊野詣の参詣道のひとつであることを思いだしてしまった。<br /> 熊野三山とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社である。紀伊田辺から渡良瀬温泉への道は中辺路(なかへじ)と云われる熊野古道の一つなのである。もっとも昔はこのような舗装された国道ではなく曲がりくねった急峻な道であったが、いまは整備され脇道には往時を思わせる熊野古道が散在していたのだ。ここ以外にも、小辺路(こへじ)、大辺路(おおへじ)、伊勢路(いせじ)、雲取越え(くもとりごえ)などの参詣道があるが、さらに「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産にも熊野古道はなっている。空海が開いた高野山もその中の一つの世界遺産である。ドライブしながらそんなことを思いだした。<br /> 熊野周辺は、日本書紀にも登場する自然崇拝の地である。907年に宇多天皇の熊野詣が最初と云われているが、これを機に天皇や貴族たちの熊野詣が頻繁に行われたのである。中でも白河上皇は九回、後白河法皇にいたっては三十三回も京都からこの山深い熊野に参詣したのは、いかに霊験あらたかな癒しの地であるかが窺われるのである。<br /> そんな参詣道も、いまは車で快適に走ることが出来るのでドライバーは比較的スピードを出して走ってしまうが、連休ともなると覆面パトカーが時々走っているので注意しなければならない。違反で捕まっているバイクを見つけてしまった。気を付けてほしい。それさえ気を付ければ、新緑の頃や紅葉の頃は、山並みの色づきを楽しみながら走ることが出来て楽しい。<br /> 熊野街道のトンネルを抜けると渡良瀬温泉の大看板が右に見えてくる。この看板を曲がると渡良瀬温泉名物の西日本最大の露天風呂に行き着く。あやまって311号を左に行ってしまうと姉妹ホテルの「やまゆり」に行ってしまうのでご注意を。このホテルも山間のリゾートホテルの佇まいで、四村川を挟んでリゾートを楽しむには納得がいくホテルである。間違ってこのホテルに入ってしまったため、そう思った・・・・・。<br /> さて、西日本最大級の露天風呂である。入浴料は大人700円、子ども300円、6時から22時までの入浴時間となっている。千人風呂と銘打つだけあってゆっくりと寛げるが、実際は定員は400人である。千人はとても入れない。湯量は豊富でかけ流しの天然温泉。無色透明のナトリウム炭酸水素塩泉となっている。無臭無味であるが肌に優しく心地よい。湯漕は全部で五つあり、手前から順次、高温、適温、低温と分かれているので自分の好みの湯漕に入ればよい。脱衣所もまずまずの広さであるが400人の定員では狭いと思われる。ロッカーは人数分用意されているのだが・・・・。<br /> 入口には食堂や土産物売り場などもあり入浴後に一息つくにはいい。熊野古道散策や熊野三山参詣の途中にはぜひ立ち寄りたい温泉である。<br /> 紀伊勝浦に宿泊するときは、世界遺産熊野三山めぐりの昼食付の定期観光バスもあるので利用するのもいいだろう。(熊野交通バス要予約)。このコースを以下に示すと、<br /> 紀伊勝浦駅→川湯温泉→渡良瀬温泉→湯の峰温泉→熊野本宮大社→瀞峡めぐりの里(昼食)→熊野速玉大社→熊野古道・大門坂→那智の滝→青岸渡寺・熊野那智大社→紀伊勝浦駅。<br /> 出発が紀伊勝浦駅が午前8時30分、解散が同じく紀伊勝浦駅午後3時40分である。料金は8500円となっており興味のある方は一度バスで巡ってみるのもいいかも知れない。<br /> 最後に、熊野に関する作家・五木寛之のエッセイを紹介して、この旅行記の終わりとしたい。<br /> <br /> 五木寛之著「百寺巡礼・関西編『青岸渡寺』」より。<br /><br /> −かつて熊野三山を目指した巡礼者がたどった道が、いまも一部「熊野古道」として残っている。熊野古道は一本だけではなく、紀伊半島のなかに張り巡らされていて、中辺路、雲取越え、大辺路などと名付けられたルートがある。<br /> 私も熊野那智大社と青岸渡寺へと通じるルート、「大雲取越え」の入口に当たる大門坂を歩いてみた。<br /> 巨木がそびえる山中に、苔むした石段が延々と続いている。このあたりはまだ傾斜が緩やかだが、「大雲取越え」はかなり高低差が激しい難路だったという。<br /> 朝から気持ちよく晴れた日で、杉木立のあいだをとおして見える空は青い。だが、うっそうと茂った木立の下までは日光が届かず、「昼なお暗き」という感じだった。<br /> 日が暮れたころに歩くと、かなり薄気味悪いのではあるまいか。じつは、「雲取越えの怪異」というのは巡礼者のあいだでよく知られた話で、ここを通ると亡くなった父母や友人などとすれ違うのだという。難路をあえぎながら歩いてきた人たちが、ぼんやりした幻覚のなかで死者のすがたを見るのだろうか。<br /> 二十一世紀のいま、「秘境」などというと大げさかもしれない。しかし、中世の熊野は間違いなく秘境であり、山霧に包まれた幽暗の地だった。そして、人々はわらじ履きで足に血をにじませながら、この神と仏がおわす聖地をひたすらめざしたのである。<br /> 参詣者が蟻のように連なって歩いていた熊野古道の光景を想像すると、おのずとこころがときめく。石段のつづく古道を歩いていると、たしかに熊野にやってきたという実感がわいてきた。<br />

熊野古道・渡良瀬温泉

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2013/09/23 - 2013/09/23

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nakaohideki

nakaohidekiさん

 渡良瀬温泉に行ってきた。紀伊田辺から車で国道311号線を走り、およそ1時間である。以前は国道といっても名ばかりの狭い谷間の道であったが、いまは立派に拡幅されトンネルも開通してドライブするにも快適である。走っていると熊野古道の標識が随所に見受けられる。そうだ、ここは熊野三山といわれる熊野詣の参詣道のひとつであることを思いだしてしまった。
 熊野三山とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社である。紀伊田辺から渡良瀬温泉への道は中辺路(なかへじ)と云われる熊野古道の一つなのである。もっとも昔はこのような舗装された国道ではなく曲がりくねった急峻な道であったが、いまは整備され脇道には往時を思わせる熊野古道が散在していたのだ。ここ以外にも、小辺路(こへじ)、大辺路(おおへじ)、伊勢路(いせじ)、雲取越え(くもとりごえ)などの参詣道があるが、さらに「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産にも熊野古道はなっている。空海が開いた高野山もその中の一つの世界遺産である。ドライブしながらそんなことを思いだした。
 熊野周辺は、日本書紀にも登場する自然崇拝の地である。907年に宇多天皇の熊野詣が最初と云われているが、これを機に天皇や貴族たちの熊野詣が頻繁に行われたのである。中でも白河上皇は九回、後白河法皇にいたっては三十三回も京都からこの山深い熊野に参詣したのは、いかに霊験あらたかな癒しの地であるかが窺われるのである。
 そんな参詣道も、いまは車で快適に走ることが出来るのでドライバーは比較的スピードを出して走ってしまうが、連休ともなると覆面パトカーが時々走っているので注意しなければならない。違反で捕まっているバイクを見つけてしまった。気を付けてほしい。それさえ気を付ければ、新緑の頃や紅葉の頃は、山並みの色づきを楽しみながら走ることが出来て楽しい。
 熊野街道のトンネルを抜けると渡良瀬温泉の大看板が右に見えてくる。この看板を曲がると渡良瀬温泉名物の西日本最大の露天風呂に行き着く。あやまって311号を左に行ってしまうと姉妹ホテルの「やまゆり」に行ってしまうのでご注意を。このホテルも山間のリゾートホテルの佇まいで、四村川を挟んでリゾートを楽しむには納得がいくホテルである。間違ってこのホテルに入ってしまったため、そう思った・・・・・。
 さて、西日本最大級の露天風呂である。入浴料は大人700円、子ども300円、6時から22時までの入浴時間となっている。千人風呂と銘打つだけあってゆっくりと寛げるが、実際は定員は400人である。千人はとても入れない。湯量は豊富でかけ流しの天然温泉。無色透明のナトリウム炭酸水素塩泉となっている。無臭無味であるが肌に優しく心地よい。湯漕は全部で五つあり、手前から順次、高温、適温、低温と分かれているので自分の好みの湯漕に入ればよい。脱衣所もまずまずの広さであるが400人の定員では狭いと思われる。ロッカーは人数分用意されているのだが・・・・。
 入口には食堂や土産物売り場などもあり入浴後に一息つくにはいい。熊野古道散策や熊野三山参詣の途中にはぜひ立ち寄りたい温泉である。
 紀伊勝浦に宿泊するときは、世界遺産熊野三山めぐりの昼食付の定期観光バスもあるので利用するのもいいだろう。(熊野交通バス要予約)。このコースを以下に示すと、
 紀伊勝浦駅→川湯温泉→渡良瀬温泉→湯の峰温泉→熊野本宮大社→瀞峡めぐりの里(昼食)→熊野速玉大社→熊野古道・大門坂→那智の滝→青岸渡寺・熊野那智大社→紀伊勝浦駅。
 出発が紀伊勝浦駅が午前8時30分、解散が同じく紀伊勝浦駅午後3時40分である。料金は8500円となっており興味のある方は一度バスで巡ってみるのもいいかも知れない。
 最後に、熊野に関する作家・五木寛之のエッセイを紹介して、この旅行記の終わりとしたい。
 
 五木寛之著「百寺巡礼・関西編『青岸渡寺』」より。

 −かつて熊野三山を目指した巡礼者がたどった道が、いまも一部「熊野古道」として残っている。熊野古道は一本だけではなく、紀伊半島のなかに張り巡らされていて、中辺路、雲取越え、大辺路などと名付けられたルートがある。
 私も熊野那智大社と青岸渡寺へと通じるルート、「大雲取越え」の入口に当たる大門坂を歩いてみた。
 巨木がそびえる山中に、苔むした石段が延々と続いている。このあたりはまだ傾斜が緩やかだが、「大雲取越え」はかなり高低差が激しい難路だったという。
 朝から気持ちよく晴れた日で、杉木立のあいだをとおして見える空は青い。だが、うっそうと茂った木立の下までは日光が届かず、「昼なお暗き」という感じだった。
 日が暮れたころに歩くと、かなり薄気味悪いのではあるまいか。じつは、「雲取越えの怪異」というのは巡礼者のあいだでよく知られた話で、ここを通ると亡くなった父母や友人などとすれ違うのだという。難路をあえぎながら歩いてきた人たちが、ぼんやりした幻覚のなかで死者のすがたを見るのだろうか。
 二十一世紀のいま、「秘境」などというと大げさかもしれない。しかし、中世の熊野は間違いなく秘境であり、山霧に包まれた幽暗の地だった。そして、人々はわらじ履きで足に血をにじませながら、この神と仏がおわす聖地をひたすらめざしたのである。
 参詣者が蟻のように連なって歩いていた熊野古道の光景を想像すると、おのずとこころがときめく。石段のつづく古道を歩いていると、たしかに熊野にやってきたという実感がわいてきた。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
グルメ
2.5
交通
3.5
同行者
カップル・夫婦
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
自家用車
  • 渡良瀬温泉、千人風呂、露天風呂。奥にも湯漕があり手前から高温、適温、低温となっている。

    渡良瀬温泉、千人風呂、露天風呂。奥にも湯漕があり手前から高温、適温、低温となっている。

  • 渡良瀬温泉入口。土産物売り場や食堂などがある。

    渡良瀬温泉入口。土産物売り場や食堂などがある。

  • 露天風呂入口。

    露天風呂入口。

  • 脱衣所、洗面台、ロッカー。

    脱衣所、洗面台、ロッカー。

  • 千人風呂入口。この手前が一番高温である。

    千人風呂入口。この手前が一番高温である。

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