2013/09/12 - 2013/09/15
107位(同エリア274件中)
くろへいさん
西ベンガル州の州都コルカタ
英国統治時代の首都コルカタは、あらゆる文化を内包している
嘗ては東インド会社がこの地を拠点に、世界を又にかけた大貿易を行っていた
その為、世界中から多くの商人がこの街を訪れ、そして彼らの文化がこの街に根付いていった
兎角、貧困と混沌が強調されるこの街も、多くの文化が混合し、そしてそれぞれが強い色彩を放ちながら共存している側面がある。
今回は、コルカタの街を歩きながら、異なる文化や宗教の坩堝を堪能してきた
さあ、喧騒の渦に足を踏み出して文化の万華鏡を覗いてみよう!
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 1.5
- ショッピング
- 2.0
- 交通
- 2.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
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-
05:40AM
夜が明けたばかりのコルカタの街
ホテルのあるEsplanade付近
昼間の喧騒が嘘のようだ -
丁度北方向に行くバスが来たのでMahatma Gandhi Road周辺まで乗る
この時間、地下鉄は走っていない -
適当な場所でバスを降りる
目の前を市場に向かう自転車が、生きた鶏を括り付けて走り去る -
大通りを左折し住宅街の一角に入る
アパートの間から陽が昇る
今日も忙しい一日がはじまる -
朝日がアパートの外壁を照らす
燃えように建物が輝く -
この一帯はキリスト教徒が居住する地区だ
-
アパートを囲むようにコの字形の広場がある
広場の壁の黒板は、住民達の掲示板として使われている
JRが国鉄と呼ばれていた時代の駅にも同じような黒板があった -
外壁に掘られたGrottoには、マリア像が奉られている
此処で、第1の神様 【キリスト教】のマリア像に遭う
この街に暮らすキリスト教徒は約11万人
コルカタ全体の僅か0.8%に過ぎない
不可触民と呼ばれる下層カーストの人達のキリスト教への改宗も少なくない -
キリスト教信者専門の葬儀屋さん
-
霊柩車が駐車している
-
此処は、キリスト教居住区にあるケーキ屋さんの厨房を見学させて頂く
クリスマスシーズンになると、近所に住む人達からケーキの注文が殺到するらしい
普段は、釜でナンを焼いている -
目の前で次々とナンが焼きあがっていく
このお店は、英国植民地時代から100年以上も続いているという
ケーキのレシピは門外不出
メモを取る事無く、全て頭の中に入っているそうだ -
朝の通りを歩く
次の神様はこの先のブロックに居る -
この通りには多くのOPTICAL SHOPが並ぶ
「ULTRA MODERN FRAMES」のコピーが笑える -
此処は仏教寺院
周知の通り、インドは仏教発祥の地だ
然しながら5世紀頃からヒンズー教の迫害により徐々に衰退し、更にイスラム教による迫害の為16世紀にはほぼ完全に消滅した -
インドに現存する仏教は、主にスリランカからの逆輸入だ
コルカタに住む仏教徒の占める割合は、0.3%程度
5万人に満たないそうだ
キリスト教徒同様に、不可触民から仏教徒への改宗者が多い
仏像は拝めなかったが、托鉢に向かう僧に手を合わせる -
次に中華街へと向かう
-
豚肉屋さん
宗教上、不浄と呼ばれる事の多い豚だが、中国人は好んで食べる
中華街が近づいてきた証拠だ -
路地を抜けると中華街の市場に出た
季節柄、月餅が売られている
反中感情の強いインドで、中華街があるのはコルカタだけだ -
中華街の雑貨屋さんにお邪魔する
この国に華僑が移住して来たのは、17世紀頃と言われている
東インド会社による貿易の輸出入業務を行うため、コルカタの郊外に華僑のコミュニティーが誕生した -
イチオシ
この店の女主人
コルカタに於ける華僑の歴史を描いた番組
BBC英国放送「The Legend of Fat Mama」は彼女の半生を描いて製作された -
この店に居ると、此処がインドとは思えない
-
調味料や乾物など、華僑の生活に欠かせない品々が並ぶ
-
次に、華僑の商館に行く
-
インドに於ける華僑の立場は低い
彼らの生業は、貿易荷受運搬、食肉加工、ナメシ皮等だ
ヒンズー教徒であれば主に不可触民層の仕事を生業とする -
反中感情の強いインド社会に於いて、経済的影響力も弱く、マイノリティーに属する華僑がこの国で生きていくのは想像を絶する困難の道程だった
シンガポールをはじめ、東南アジアで経済的に成功した華僑の姿は此処には無い -
許可を頂いて、観音が奉られている2階を見せて頂く
-
商館の2階の奥に祭壇が置かれていた
観音菩薩像だ
海のシルクロードを帆船に乗り移住した華僑の多くは、航海安全の祈願を観音像に託したという -
此処で、第2の神様 【仏教】の一尊である観音菩薩に遭う
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商館を見せて頂いた華僑の皆さんにお礼を述べて退出する
市場の雑踏の中を次の神様に遭いに行く -
次に訪れたのは、ゾロアスター教の寺院だ
日本では、拝火教ともいわれている
現存する宗教の中では世界最古といわれている(諸説はあるが…) -
ゾロアスターのシンボルレリーフ
羽は自由を、真ん中の人物が知恵を、金の輪が神との契約による信仰を表している
拝火教は偶像崇拝を認めてないので、この意匠は彼らの信奉する神を表している訳ではない -
大理石の柱に掲げられた、「信者以外立ち入り禁止」のボード
-
階段を昇った所に祭壇があるという
残念ながら、信者以外は立ち入り禁止
裕福な信者が多い事から、仏教、キリスト教の施設に比べると、桁違いに豪華な施設だ
世界屈指のインドの巨大企業「タタ財閥」の一族もゾロアスターの信徒だ -
儀式に使われた蜀台用のコップ
このコップに灯される炎の背後に神を見る
礼拝は見れなかったが、此処で第3の神様【ゾロアスター教】の神アフラ・マズダに遭う -
さて、続いて向かうのは…
-
此処は、ジャイナ教の寺院だ
ジャイナ教は仏教の一派と誤解されやすいが、そもそも起源と発祥は同じ
徹底した戒律の下、殺生を厳格に禁じている
徹底した菜食主義(葉は良いが球根はダメ)と不殺生で知られる宗教
虫や昆虫の殺生どころか、空中の微生物を吸引するのも御法度
その為、布で口を被い、ほうきで道を掃きながら歩く -
インド独自の宗教で、人口の僅か0.4%ながら全税収の25%がジャイナ教信者から賄っているそうだ。(インドの金融業界はジャイナ教徒が占めている)
此方の寺院も信徒以外立ち入り禁止
門の前で文字通り「門前払いをされてしまった」 -
まあ、お祈りするのは自由なので、門の外で拝ませてもらう
此処で第4の神様【ジャイナ教】の神「ヴァルダマーナ」に遭う -
再び来た道を戻る
この街は、何処に行っても刺激的な風景が広がる -
歩き疲れたので、チョイハネで一旦休憩
慣れた手つきでおじさんがお茶を淹れてくれる -
やはり、素焼きのチャイは良い
持っていても熱くないし、気化熱で程良い温度になる
甘いチャイが美味しい
ビスケット2枚とチャイ2杯で10Rps -
チャイを飲んで出発
まだまだ歩く…
路上で藁を束ねる人
これらの藁で編んだロープは、梱包資材の緩衝材に使われるそうだ
荷受業務を生業にする(華僑の住む)この地区ならではの光景だ -
此処はシナゴーク
ユダヤ教の教会だ -
普段は一般開放されてないそうだが、今回は信徒の方全員が里帰り中との事で、警備の方に許可をとり、特別に入れて頂く
-
扉を開けると、ステンドガラスの窓から射し込む光が白壁に映えている
警備員さんが電燈を灯してくれると、美しい風景が浮かび上がってきた -
礼拝堂に入る
警備員さんが、キッパを渡してくれる
キッパとは、ユダヤの礼拝に被る帽子
帽子を被る意味は、この上に神が宿るとの事 -
2階へ昇る階段
-
このシナゴークは、エズラという1人の豪商の寄付により建造されたそうだ
階段の踊り場に、エズラ一族の肖像が掲げられる -
2階から礼拝堂を俯瞰する
大理石はイタリアから、ステンドガラスはチェコ製、扇風機は米国製を輸入したそうだ
贅の限りを尽くした建物が、僅か1人のユダヤ人の寄付により建造されたとは、ユダヤ商人の財力に驚く -
美しい彫刻の扉を開け、中庭へ出る
インドに於けるユダヤ教の歴史は古い
正確な記述は無いが、ユダヤ教発祥後、時を経たずしてインドまで伝道したと聞く
他国では多くのユダヤ人が財を成したが、此処インドでの成功は僅かだったそうだ -
コルカタに於けるインド人の歴史は、17世紀に遡る
東インド会社による大陸間の大貿易が始ると、利権を求めて多くのユダヤ人が移住してきた -
植民地支配時代、この地に住むユダヤ人は、貿易により多大な恩恵を受けたという
然しながら、第二次世界大戦後、イスラエルが独立したのをきっかけに、多くのユダヤ人が「約束の地」に帰っていった -
現在、人口1,400万人の住むカルカッタで、ユダヤ人は僅か25人にすぎない
僅か25人の為に、市内には3つのシナゴークがあり、彼らの為に今も維持されている
これらの維持費は、イスラエルに暮らす建造者の子孫達の送金により支えられているそうだ -
祖国建造の夢を見る事無く、この地で眠るユダヤ教徒たち
彼らの墓に祈りを捧げる
此処で第5の神様【ユダヤ教】の神「アドナイ」に遭う
※正確には、アドナイは神では無く崇拝の対象にすぎない
ユダヤの神も、キリスト教の神もイスラム教の神も概念的には同じ -
此処まで訪れた寺院、宗教施設は、カルカッタ市内の数ブロックの中に共存している
此処から、6番目の神様に遭いに行く -
地下鉄に乗り、フーグリー川のガート(沐浴場)付近で下車
地上に出て、ガートまで歩く -
艶やかな色彩に溢れる道を歩く
-
ガートに向かうヒンズー教徒
-
ガートへ向かう階段を下りる
-
ヒンズーの神様達が鎮座している
-
巨大なフーグリー川が目の前に広がっていた
-
体を洗う人
-
フーグリーの聖なる水で体を清める人
彼らは、この水で口を濯ぎ、歯を磨き、洗濯をする
ヒンズー教徒は、死後遺体を荼毘にする事で魂を昇天させる
抜殻となった遺体は、川に流す -
全世界のヒンズー教徒は約9億人、その内約8億3千万人がインドにいる
ヒンズー教の起源は、紀元前400年頃に遡る
バラモン教の一派として発祥したといわれている -
シヴァリンガ
リンガとヨーニの結合した御神体
コルカタがインドの他の都市と異なる点がひとつだけある
それは、街の中に牛がいない事だ
多種多様の神が混在するコルカタでは、各宗派との共存を目的として、牛を街から排除した
ヒンズー教徒にとって聖なる牛も、他の宗派からすれば邪魔な存在でしかない
混沌とした街にも秩序がある -
此処で第5の神様【ヒンズー教】の神「ガネーシャ」に遭う
本日の参拝先
①キリスト教→②仏教→③ゾロアスター教→④ジャイナ教→⑤ユダヤ教→⑥ヒンズー教
合計6つの宗教の神様を拝む事ができた
ご利益×6倍になればいいけど…
僅か、数平方キロの地域でこれだけ多くの神様が共存する街
コルカタの懐の深さを感じる -
ガート近くからタクシーで戻ろうとするが、午後の渋滞で車は動かず
仕方なく、クラクションの鳴り響く道を喧騒に揉まれながら歩いて帰る
早朝から精力的に歩き回ったお陰で、クタクタに疲れた
ホテルに着いたら冷たいビールを飲もう
それまで、犀の角のようにただ歩く
以上、御拝読ありがとうございました
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