2013/08/01 - 2013/08/13
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kazimさん
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イスラム教には断食月がある。さらにトルコでは、その終了直後3日間は祭日となる。2014年以降の日程は以下の通りだ。
2014年 断食6月28日から7月27日 祭日7月28日から7月30日
2015年 断食6月18日から7月16日 祭日7月17日から7月19日
2016年 断食6月6日から7月5日 祭日7月6日から7月8日
2017年 断食5月27日から6月25日 祭日6月26日から6月28日
2018年 断食5月16日から6月14日 祭日6月15日から6月17日
2019年 断食5月5日から6月6日 祭日6月7日から6月9日
2020年 断食4月24日から5月23日 祭日5月24日から5月26日
この期間に旅行されるなら多少の配慮はしていただきたい。特に、現地の人の中に入る個人旅行の方には、いくつか気を付けてほしいことがある。
すでに旅行された方で、以下の期間にトルコを歩いたなら、現地で何が行われていたか確認されるのもよいだろう。
2012年 断食7月20日から8月18日 祭日8月19日から8月21日
2013年 断食7月10日から8月7日 祭日8月8日から8月10日
断食月のトルコと、その歩き方を紹介する。
〈写真 チニリ・ジャミリ-キュタフヤ市〉
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 航空会社
- ターキッシュ エアラインズ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
〈写真 どこにでもあるヒマワリだけど-ニーデ市郊外〉
1.何が行われるのか?
断食はトルコ語で「ラマザン」、決められた約1ヶ月間、日の出から日没まで飲み食いをしないという行事だ。タバコも水も含め、とにかく一切のものを口にしない。
西暦とイスラム歴とのズレから、断食月は毎年10日ほど早まる。その関係でここ数年は、この行事が、ヒマワリ咲く真夏に行われることになった。長くて暑い日中を飲食なしに過ごすのは、かなりの苦行と感じられる。
太陽の運行に従うので、トルコ国内でも西と東でラマザンの開始と終了の時刻が異なり、また同じ場所でも毎日少しずつ変わっていく。この時刻は、テレビや新聞でも知らされるが、大まかに言えば、夏場なら日の出は午前4時前後、日没は午後8時前後だ。 -
イチオシ
〈写真 イェニ・ジャミイ内部-イスタンブール市〉
2.何のために?
何故にそんな苦行をするのか。トルコ人に尋ねると、たとえば「貧者の気持ちを知るため」、あるいは「健康のため」と説明する人が多いが、ムハンマドがメッカでの布教に失敗して荒野をさまよった「ヒジュラ」という苦難を追体験する、というのが教義上の公式見解らしい。
ただし、旅の途上にある者や妊婦・病人は免除される。だから、私たち旅行者が断食を強制されることはないし、トルコ人でも行わない人がかなりいる。
一方、断食を実行する人は「さほど苦でない」と言いがちだ。日の出前に食事「サフル」を済ませ、日没後の食事「イフタル」を待つ。そのメリハリがそれなりに楽しめるらしいし、そもそも彼らはこれによって、ムスリムたるアイデンティティを再確認している。実際、この期間中の夜は祝祭的な雰囲気が漂い、街の人出は通常より多くなる。イェニ ジャーミィ 寺院・教会
-
〈写真 レストランの料理を前に、まもなくイフタル‐イスタンブール市〉
3.イフタルを待つ
ラマザンの開始と終了は、モスクからの放送「エザーン」が合図だ。始まりのエザーンの時、私は当然ベッドの中にある。盛大な音量に目覚ますが、すぐにまた寝てしまう。しかし、この時すでに多くの人たちはサフルを済ませている。
ちなみに、ラマザン期間中でなくても、エザーンが始まればテレビなどは切るか音量を下げるのが常だ。旅行者も配慮したい。モスクに赴かなくても、心の中で祈っている人が多いのだ。
一方、終わりのエザーンは彼らと共にしたい。
この時刻は市内の交通量が極端に減る。イスラム色の強い地域では、文字どおり「人っ子一人いない」状態だ。それぞれの家庭で、あるいは街の食堂で、皆が今か今かとエザーンを待つ。「まだなのか」「あと2分だ」などという会話が交わされたりもする。なるほど、このワクワク感は、そう体験できるものではない。
そして、遠くエザーンが聞こえるやいなや(その地区のモスクのものでなくても)、待ってましたとばかりに食べ始める。何はともあれ水を飲む人が多い。 -
〈写真 まさに今イフタル、家々の窓に明かりが点り、左下の道路には車の影さえ見えない-キュタフヤ市〉
4.旅行者として
観光地や大都市なら、ラマザン期間の日中でも営業しているレストランは多い。客は少ないだろうが、そこで遠慮なく食べればよい。
地方の、特にイスラム色の強い地域では、まず朝食に注意したい。ホテルでは通常7時から10時頃に朝食が供されるが、まれに日の出前のサフルの時刻で朝食を終了することがある。また、街の食堂も日中は閉めていることがある。それでも、小売りの食品店は開いているだろう。トルコ人がイフタルのための準備として食べ物を買うからだ。
そして、路上や公園など現地の人が多くいる場所での飲食は避けるべきだ。タバコは人目に付かないところで吸う。私もその1人なのだが、目立たない路地に入ると紫煙をくゆらす先客がいたりする。
さらに注意したいのは夕食だ。日没直前に現地の人が多い店に入ったなら、イフタルの時刻まで飲食を待とう。周りのトルコ人が空腹に耐えている中、平気で飲食するのは無神経だ。また、この時刻は店の書き入れ時であり、相当に混雑することを覚悟しておくべきだ。何しろ街じゅうの人がいっせいに夕食をとるのだ。
街の公園などにテーブルと椅子が用意され、大勢の人々が食事を共にしている場合がある。これは、自治体などが提供しているイフタルで、全員がプレートに乗った同じ料理を食べている。 -
〈写真 イフタルの後、公園でピクニック-イスタンブール市〉
5.ラマザン期間中の暮らし-1
以上がラマザンの概要だが、実はトルコ人のラマザンへの対し方はさまざまだ。友人を例として示そう。
・Aさん(男性 40歳代 家具職人)仕事があるため断食はしない。それは休日でも同じだ。ただし、基本的に自宅でのみ飲食し、外で食べることは少ない。
・Bさん(女性 Aの妻 30歳代 主婦 イスラム学校の教師でもある)断食を厳格に実行。イフタルのあとも日付が変わるまで眠らず、その後仮眠をするか、あるいは起きたままでサフルを済ます。そして、日の出に合わせてコーランを読んでから就寝し、昼近くになって起き出す。
・Cさん(女性 A・Bの娘 10歳代 中学生)スカーフを付けはじめところで、付けたり付けなかったり。ラマザンに対しても、父親と一緒に食べることもあれば、母親に合わせて我慢するときもある。
・Dさん(男性 50歳代 市内バス運転手)夜と昼の勤務が一定しない。そのため断食は全くしない。
・Eさん(女性 Dの妻 50歳代 主婦)外出時は顔だけ出した黒ずくめになる人で、当然断食を実行。ムスリムになれと私を説得する人だ。
・Fさん(女性 D・Fの娘 20歳代 大学生)断食はしない。胸のあいたシャツを着て母親に叱られるが、タバコも吸うし、外での飲食もためらわない。 -
〈写真 イフタルの準備をする-リゼ市〉
6.ラマザン期間中の暮らし-2
ラマザン期間中の暮らしの例として、友人たちの過ごし方を続ける。
・Gさん(男性 50歳代 年金生活者)断食はしない。人目は気にするものの、食事・お茶・タバコは通常通り。ただし、いつもなら私を酒に誘うのだが、ラマザン中はひかえている様子。その代わりラマザン開けには即ビールだった。
・Hさん(女性 Gの妻 50歳代 主婦)断食を実行。喫煙者でありイフタル後に数本吸う。朝方に起きるのが面倒なので、ラマザン期間中は1日に1食しかしないとのこと。
・Iさん(男性 G・Hの息子 20歳代 警備員)仕事があっても断食を実行。酒やタバコが好きな父親の自堕落さを非難するが、スミマセン、私もパパの同類です。
ABC、DEFはそれぞれイスタンブールのアジア側に住んでおり、GHIの家は黒海沿岸地方のサムスンにある。ちなみに、AEGの3人は兄弟だ。
住まいや血のつながりには無関係で、ラマザンへの対応はさまざまであることがわかる。総じて、女性の方が熱心なのは仕事の有無にも関係しよう。トルコ人全体で、断食を実行しているのは30%ほどというデータを読んだこともある。 -
〈写真 お茶を囲んで、もちろんラマザン期間ではない-バフラ市〉
7.トルコでうまいもの-1
そもそも彼らは日常何を口にしているのか。
まず、飲み物は何と言ってもお茶「チャイ」だ。朝食前にタバコを吸っていると「チャイを飲む前のタバコは体に良くない」と注意される。どちらにせよ健康を害するのは承知だが、1杯のお茶が彼らの1日の始まりであることを教えられる。
毎食事時とその後、さらに、街歩きの一休みや誰かの家に行ったときなど、そのたびにお茶を飲む。まさにトルコ人には欠かせない飲み物で、これが日中飲めないのは、かなり辛いだろうと想像する。 -
〈写真 おばさん2人の朝食風景、ブドウ棚の下で気持ちよさそう-イスタンブール市〉
8.トルコでうまいもの-2
トルコ人の主食はパンだ。これが実にうまい。
どの街でも街の至る所に「バッカル」と呼ばれる店があり、そこではパンをはじめとする食品や、石けん・洗剤などを売っている。暮らしに必要なものは、そこで一通りそろう。この店に、焼かれたばかりのパンが毎日届けられる。あるいは「フルン」という釜を備えたパン屋もかなりあり、ここに行けばまだ温かいパンが買える。
トルコの庶民からすれば、せいぜい自宅から歩いて5分の所にこうした店があり、必要なものあれば、その場で買いに走る。だから、彼らは買い置きをしない。こうした優れたシステムのおかげで新しいパンが常に手に入るからおいしいのだ。
通常のパンはフランス風のバゲットだが、ラマザン期間は「ビデ」と呼ばれる平たいパンを食べるのが習慣だ。どちらにしろ20円足らずという安さは、政府が価格統制をしている。
果物も実においしい。夏なら、スイカ・メロン・モモ・ブドウなどなど。日照の豊富さと冷暖乾湿の差があるトルコの国土の多様さにより、いろいろな気候条件で育つ果物が届けられるのだ。
何回もこの国を旅していて、今年(2013年)初めて聞いた言葉が「うちの料理はオルガニック」だ。数人が口にしたので流行語と思われるが、ずっと前からトルコの食べ物は「オーガニック」だ。 -
〈写真 友人宅の朝食-イスタンブール市〉
9.トルコでうまいもの-3
トルコといえばケバブなどの肉料理のイメージが強いが、思うほど庶民は肉を食べない。
例えば家での朝食は、パンとそれに合わせるチーズやバター、それにオリーブとお茶が定番で、日によってサラダ、ソーセージを入れたフライド・エッグ、フライド・ポテトなどが付く程度だ。
夕食なら肉が出る場合があるが、それも「キョフテ」という肉団子が野菜と煮込んである場合が多い。パターンとしては、まずスープが出て、次が豆などの煮込みで、付け合わせとして「ピラウ」という飯が用意されていることもあり、3品目として上のようなキョフテか詰め物をした野菜、というところ。さらに、食後しばらくして果物が供される。以上は、個人の家庭としてはかなり頑張った夕食だ。
昼食については、人によりさまざまというのが私の印象だ。
休日でもトルコの男性は外に出る。そうした外出の中で、小腹がすいたら街で何かを食べるのだが、その何かがいろいろだ。安い食堂「ロカンタ」に座る人もいるし、羊の内臓を揚げてパンにはさんだ「ココレチ」や、挽肉のペーストを薄いピザに付けて焼いた「ラフマジュン」を、街角のスタンドで買う人もいる。もちろん「ドネル・ゲバブ」のサンドイッチは典型的なもの。ここではかなり肉が入る。時刻は一定せず、12時に食べるという習慣はないようだ。 -
〈写真 スイカとピーナッツをつまみにウォッカを飲む-サムスン市〉
10.酒を飲むなら
5から6で9人の友人を紹介した。このうち酒をたしなむのはGさんだけだ。酒好きの私は、Gさん宅ではともに飲み、他の家では缶ビールを買い込んで1人で飲む。ただし、Bさん、Eさんの女性2人としては、家で飲まれるのは嬉しくない様子。他の街を旅しているなら「ビラハネ」や「メイハネ」と呼ばれる飲み屋を探すか、酒屋でビールを買い部屋で飲む。
さて、ラマザン期間中の酒事情だが、非ムスリムの観光客が多い地域なら、ほとんど問題ないだろう。
Aさん、Dさんの家は、イスタンブールのアジア側のウムラニエ地区にあるが、イスタンブールでもこうした庶民の多い地域の食堂では、もともとアルコールを置いていない。ビラハネ、メイハネを探すのだが、ラマザン期間中はこうした酒場が閉じられていた。ただし、酒屋は営業している。
イスラム色の強い地方都市や田舎の街では、酒を探すのにかなり苦労する。先年、キュタフヤという地方都市では、酒が飲める場所を探し回り、結局3つ星ホテルのレストランで飲んだ。 -
〈写真 バイラム期間中の夕食-イスタンブール市〉
11.バイラムがやってきた
1ヶ月にわたる断食月が終わると、トルコでは「シェケル・バイラム」が3日間続く。「シェケル」は砂糖「バイラム」は祭りの意だ。子どもたちに甘いお菓子を配るのが風習。
この期間は、日本で言えばお盆または正月にあたる。地方からイスタンブールなどの大都市に出ている人たちが故郷に帰り、親や祖父母、親類の人たちとともに過ごす。2013年はラマザンの終了が8月7日の水曜で、シェケル・バイラムに週末が重なったので、特に多くの人が移動したようだ。
家庭ではお客さんのために、料理に工夫が凝らされ、普段は閑散とした田舎街が人であふれる。ちなみに、料理のための買い出しは主に男性の仕事だ。携帯電話が普及してから、外歩きをしている旦那のもとに、奥さんから買い物の指示の電話がかかることもしはしば。 -
〈写真 アイスクリーム屋さんも「イイ・バイラムラル」-アンタクヤ市〉
12.ラマザンとバイラムの言葉
「さようなら」の時に使うトルコ語はいくつかあるが、最も典型的には「イイ・ギュンレル」だ。「こんにちは」にも使える語である。そして夕刻ならば「イイ・アクシャムラル」。共通している「イイ」は日本語と同じく「良い」、「ギュン」と「アクシャム」はそれぞれ「日」「宵」の意で、「レル」と「ラル」は複数形を示す語尾。すなわち「良い日々を」「良い夕刻を」を意味する。
ラマザンの時は、これを「イイ・イフタルラル」と言い換える。日が傾きはじめ、イフタルが待ち遠しくなる頃が最も良いタイミングと言えよう。
そして、バイラムが始まったら「イイ・バイラムラル」である。日本人がこう発すれば、現地の人は「お主できるな」という顔で喜ぶだろう。 -
13.結婚式-1
バイラムの期間は、多くの人が故郷に帰るので、この機会に、ということか、地方都市では結婚式シーズンとなる。
Gさん一家が結婚式に出るので「お前も来い」と言われた。私は招待されていないけれど「全然かまわない」とのこと。彼らの住むサムスン市から30キロほど離れたバフラ市で行われる。
まず向かったのは新婦の家だ。待つことしばらく、新郎が新婦を連れて現れ、写真のように派手に飾られた車に乗り込む。この車を先頭に出席者の車が列をなして、クラクションを鳴らしながら式場に移動する。
途中、明らかに遠回りをしたのは、2人の思い出の地をめぐったのか。 -
14.結婚式-2
トルコの街には「ドゥーユン・サロヌ」という結婚式場がある。ほとんど公営の施設で、日本に比べてかなり簡素だ。
この日の式場もバスケット・コートほどの広さで、そこにいくつかのテーブルと強化プラスティックの椅子が並べられているだけ、ほとんど体育館だ。
ただし、入口には写真のような花輪が並べられ。お祝いの雰囲気を盛り上げている。書かれている文字を見ると、会社や商店のものが多い。新郎や新婦の勤め先なのだろう。 -
15.結婚式-3
受付もなく、空いている席を探して私たち一団はすわった。雑然と人の出入りが続く中、新郎新婦の入場だ。拍手で迎えられるのは日本と同じ。
料理は出されず、乾杯もなく、何となく式が始まった。マイクで何ごとか挨拶をした人が数人。周りを見れば、出席者の服装はかなり気ままだ。新郎新婦とその縁者は、写真のよう西洋風のフォーマルな服装をしているし、子どもたちもスーツやドレスを着せられている。しかし、一般の出席者は普段着に近い。 -
16.結婚式-4
婚意の確認や指輪の交換をはさみ、数人のスピーチで式は終了したようで、いきなり大音量で音楽が流された。ここからが披露宴と思われる。
会場の中央で、まず新郎と新婦が西洋風のムードのある音楽で踊る。しばらくして、一転、会場はトルコ風のディスコになった。西洋風の最先端のディスコ・ミュージックと、トルコの伝統的な(8分の7拍子という独特の)音楽が、交互に流される。西洋風の音楽では、スカーフを付けた若い女の子2人が、飛び出してきて踊った。うまい。このためだけに出席した?あるいは雇われている?と思える。トルコ風の音楽では、おじさんおばさんを含め、腕を肩の位置に上げて調子をとる独特の踊りを披露する。 -
イチオシ
17.結婚式-5
これが1時間も続いただろうか。音楽が終了し、人々が三々五々帰りはじめた。
出る際には、新郎新婦にお祝いの言葉をかける。彼らの肩に回された布になにがしかのお金を結い付ける人もいる。金銭の余裕と気持ちに応じて、いくらでもよいし、お金を渡さなくても結構とのこと。私は2500円ほどのお札を渡しながら「はじめまして。日本から来ました」。結婚式らしくない挨拶をムニャムニャと発し、思い出して「あめでとう」の「テブリック・エデリム」を加えた。
この結婚式は質素な部類に入る。大勢の出席者が2重3重の輪になって踊り続ける式のビデオを見たこともあるし、ホテルのホールで行われた派手な式を覗いたこともある。 -
〈写真 バスターミナル「オトガル」でバスを待つ-キュタフヤ市〉
18.ラマザン前後の交通-1
個人旅行者の皆さんは、ラマザンの終了間際からバイラムにかけての旅程には十分注意をされたい。11の項で書いたように、この時期は日本のお盆か正月だ。
まず、ラマザン期間の終わりが近くなるとバイラムを故郷で迎えようとする人々が大挙して移動する。イスタンブールなどの大都市から地方へ向かう交通機関のチケットが取りにくくなり、渋滞も激しい。特に終了当日は大渋滞だ。バイラム終了時にはその逆方向で同じ現象が起こるが、なぜかラマザン終了時よりは緩やか。
この時期定番になっているニュースがある。ボスポラス大橋の渋滞の映像を流し、一方イスタンブール市内はガラガラ、さらに「チャナッカレへ渡るフェリーは10時間待ち」などという情報も流される。この点を考慮して、旅程を組むとよい。 -
〈写真 ボスポラス大橋へ向かう道、これは通常の交通量-イスタンブール市〉
19.ラマザン前後の交通-2
2013年の私の場合、8月4日(ラマザン終了3日前)の夕方にイスタンブールを出る夜行バスに乗り、黒海沿岸のリゼに向かう計画を立てた。前日の昼間にバス会社の営業所を回るが、すでに満席という答えばかりだ。中には、来週まで席はないと断言する窓口もある。4軒回って断られ、諦めかけた5軒目でたまたまキャンセルが出て、幸運にも席を得た。
通常、長距離バスは前日に予約をすればチケットは手に入る。当日でも可能なことが多い。しかし、この時期だけは別だ。車内で近くに座った人に尋ねると、ほとんどが3日前、早い人は1週間前に予約を入れている。なお、繁忙期ということで、料金は普段より20%ほど高くなっている。
さて、そのリゼ行きのバスは、16時30分にイスタンブールのターミナル、エセンレルの「オトガル」を発車している。私は、アジア側のハレムのターミナルから乗った。ここを17時30分発。
長距離バスは3時間くらいの間隔で休憩をとる。15分から30分ほどの間にトイレを済ませ、食事をしたりお茶を飲んだりするための時間だ。
そして順調に東進し、20時15分、休憩のためのドライブインに入った。なるほど、まさにイフタルの時間である。すでに多くのバスが止まり、我がバスの乗客たちも急ぎ足で食事コーナーに向かう。 -
〈写真 私が乗ったバス-ギレスン市付近のドライブイン〉
20.ラマザン前後の交通-3
このバスはサフルの時刻にも同様であった。日付が変わった午前2時過ぎ、車内の放送があって目が覚めた。バスが止まると、やはり客たちの多くは食堂へ向かう。さらに、6時過ぎにも休憩で止まったが、すでにラマザンの時間、客の多くは何も口にしない。わずかに数人がお茶を飲んでいるので、私も仲間に入れてもらう。
通常、トルコのバスには、車内で飲み物や軽食のサービスが付く。車掌が座席を回ってこれらを配るのだが、このバスはそれもない。頼めばもらえるが、他の乗客が口にしない以上、気が引ける。先年、やはりラマザンの期間中にエーゲ海岸地方でバスに乗ったが、そこではこのサービスが実行されていた。ただし、客の半分ほどは断る。このバスが向かう黒海沿岸がイスラム色の強い地域だから、サービスを行っていなかったのかもしれない。
なおバスは渋滞にも遭わず順調に運行し、定刻通りの翌朝9時30分、リゼに着いた。もう2、3日後だったら、激しい渋滞に巻き込まれただろう。
なお、リゼやその後の旅については、別の旅行記として書く。
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