2013/05/24 - 2013/05/25
18位(同エリア52件中)
ひらしまさん
シチリア島からアルプスの麓をめざす約1ヶ月のイタリア縦断紀行の6日目は、シチリアからメッシーナ海峡を渡ってイタリア半島にはいりました。
その長靴のつま先少し上にある小さな町シッラは、以前に4トラの旅行記で読んで魅力的なところだなと思っていた町です。
でも「地球の歩き方」などには載っていないので、グーグルマップで見てみると、シッラには鉄道は通っているのですが、なんと肝心の駅が見あたりません。最大に拡大しても駅マークがどこにもないのです。
駅のない町では難しいなとあきらめかけた頃、トリップアドバイザーの地図で駅を発見。グーグルマップも信じすぎてはいけませんね。
イタリア本土最初の訪問先は、カラブリア州の無名観光地に決定しました。
そしてこの町が、この旅で一番強烈な記憶を残す町となりました。
主な行程と宿泊先
タオルミーナ→ヴィッラ・サンジョヴァンニ→シッラ(鉄道)
B&B La Veduta 125ユーロ/泊 1泊
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 50万円 - 100万円
- 交通手段
- 鉄道
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
メッシーナ駅で列車は分割され、メッシーナ海峡を渡る連絡船に乗客を乗せたまま積み込まれます。
中央の暗闇がその船倉の入り口です。 -
列車はまるでトンネルに入るみたいに進入し、停止しました。
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船倉にいても何も見えないので、乗客はみな甲板に出ます。
甲板に出たときには船はもう岸を離れていました。 -
まだ港内なのに青くきれいな海。
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左手にメッシーナ市街を見ながら進みます。
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乗客は思い思いの場所に分散して短いクルーズを楽しんでいます。
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写真中央の塔あたりがシチリア島の東端で、右の陸地はイタリア本土。
とても近い距離です。 -
イタリア本土、サンジョヴァンニの港が近づいてきました。
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列車に戻って上陸します。
タオルミーナで乗ったときの30分遅れがそのまま解消されなかったので、サンジョヴァンニでの乗りかえの時間が迫り、車両の接続作業がとても長く感じられました。 -
大急ぎで乗り替えたローカル線の列車はかなりのオンボロでしたが、シッラには10分ほどで着きました。
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シッラ駅で一応タクシーを探してみますが、駅周辺はひっそりとしてその気配すらありません。
宿に迎えを頼もうと電話したのですが、応答がありません。
宿までは、地図で見ると約1km。歩いて行けなくもない。
でもその地図上の最短ルートには実はすごい登り下りがあって、とてもスーツケース引っ張って歩ける道ではないことはその時は知らなかったのです。
駅前で思案していたその時、1台の車が目の前で止まりました。車といっても遊園地の車のような、ドアもないミニカーです。
「ホテルを探しているのかい」。運転している男性が声をかけてきました。
「ホテルは決まってるんだけどタクシーが見つからないんだ」と答えると「ちょっと待ってて」と言って、向かいのホテルにはいっていきました。
彼は何なんだと連れのYと顔を見合わせていると、その男性が若い女性を連れて戻ってきて、「乗れ」と言います。
どう見ても白タクだけど、ほかに方法はないし、多少高くても仕方ないと覚悟を決めました。
でも、その車は座席が4つで荷物室などありません。
おとな4人にスーツケース2個、どうやって乗るんだと躊躇するぼくたちを尻目に彼は、後部座席の一つにスーツケースを積み重ね、その横の席で荷物を押さえて乗るようぼくに指示します。
そして、前の2座席に彼と彼女とYの3人!が乗って、車は走り出しました。
左手に海が見える眺めのよい道を過ぎると、急に道は狭くなりました。
両側の家々とくっつきそうな道をスリリングに走り抜けていきます。
この車でなくては通れない、路地といった感じの道で、止まっていたオートバイの脇を通るときは、ぼくが降りてオートバイを起こして通り抜けたくらいです。
道交法違反まちがいなしのドライブは、最初は緊張していましたが、途中からはなんだか楽しくなっていました。 -
そうやって着いたB&B La Vedutaでしたが、玄関は閉まっていてブザーを押しても応答がありません。
電話にも応答なしです。
ここで待つと言うぼくたちを、彼は自分の経営するホテルで休んでいけといって強引に再び車に乗せます。
途中の狭いカーブで振られてYのスーツケースが落っこちる場面もあり、またもスリルいっぱいのドライブです。
彼(お名前を聞き漏らしてしまったのでホテルの名前からGさんと呼ぶことにします)のホテルLe Piccole Grotteで彼女と雑談を始めてすぐ、電話をかけていたGさんの指示でまたまた車へ。
La Vedutaに着くと玄関前に女性が出迎えてくれました。
送り届けてくれたGさんたちに感謝しつつ別れます。
最初は白タクと思っていたけれど、全然違ってました。
遠くから自分の町に来て困っている人間をほっとけない、暖かい心の持ち主たちでした。よその宿の客なのに…。
お礼にお金なんて失礼で渡せないし、本当に感謝の気持ちいっぱいで見送りました。 -
出迎えてくれた宿の女主人ネッラさんは、ぼくたちにお茶をふるまってくれましたが、英語はほとんど話せないようです。
でも、懸命にほとんどイタリア語で話しかけてくれます。
持っていった「イタリア語の国 会話集」も使って、身振り手振りをまじえ、想像力を働かせ、何とか意思疎通できたような、できないような…。大変だけど楽しい時間でした。
そして、テラスの向こうは海しかありません。 -
イタリア語会話よりもっと大変だったのは、この階段です。
小さなスーツケースはネッラさんに持ってもらいましたが、大きい方はぼくが持つしかありません。
狭い階段を4階(日本流に数えて)まで上がりきったときには息も絶え絶え、ベッドに倒れ込みました。
ネッラさんは4階が一番眺めがいいからと言いますが、ぼくは2階にしてほしかった…。 -
でも、海の眺めだけが自慢の民宿みたいなのを想像していたのですが、部屋の内装のセンスも期待以上でした。
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各階1部屋で、階段室をはさんで広い洗面所がある変わった造りです。
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これも洗面所の一角です。
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寝室のバルコニー
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先にバルコニーに出て歓声を上げていたYに呼ばれて外に出ると、青いティレニア海が視界いっぱいに広がっていました。
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真下は透明度の高い磯で、波が優しく砕けています。
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海に沿って小さな家々がぎっしり並びます。
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岬のこちら側のキアナレーア地区は漁師町で、家々は海に直接面し、かつてはどの家もちょうど車庫のように小舟がはいる構造だったようです。
ぼくたちの宿も、地下の事務室からはかつての海への出入り口の名残りを見ることができました。 -
岬は海抜70mの険しい岩山であり、古代ギリシアの叙事詩オデュッセイアにはオデュッセウスを苦しめる6つ頭の怪物Scyllaとして登場します。
Scyllaは、古代の船乗りたちを恐れさせる難所だったのでしょうか。あるいは、航海の目印だったのかもしれません。 -
岬の方に歩いてみることにしました。
宿の前でYの写真を撮ろうとしていると、通りがかった家族連れのお父さんが「ぼくが撮るよ」と言って2人の写真を撮ってくれました。グラツィエ!
さっきGさんに車で送ってもらったメインストリートを歩いていきます。
窓辺でくつろぐお年寄りと目があってボンジョルノ! それが自然な狭い道です。 -
何艘かの舟が陸に引き上げられていました。
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どの舟も明るい青色に塗られています。
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漁師が一人静かに網の手入れをしていました。
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ところどころにレストランやB&Bもあります。
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建物と建物のすきまにはこうして舟が留まっています。
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送り届けてくれたGさんの経営するB&Bの一つ。
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異邦人を珍しがるちょっとおしゃまな子どもたち。
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岬近くの港に出ました。
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突堤からはキアナレーア地区を見渡せます。
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岬の岩山の上には城が築かれています。
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断崖の下につくられた道には高い波が打ち寄せ、しぶきが降りかかってきました
(写真は通り過ぎてから撮ったものです)。 -
その道の途中の崖をくりぬいた中に祭られていた聖母マリア。航海の無事を祈るためでしょうか。
あるいは、この道をつくるのに犠牲となった人の冥福を祈るためでしょうか。 -
岬の先は浜が広がり、海水浴場になっているマリーナ・グランデ地区です。
鉄道駅もこの地区にあります。
ここでボンジョルノ!と声をかけられ、見るとGさんが例のミニカーで疾走していました。乗せてたのは、今度は自分のお客さんかな。 -
岩山の上の城に行ってみることにしました。
長い坂道を登っている途中で、またまたミニカーのGさんに会いました。神出鬼没だ。 -
岩山の上に出ました。
先ほど見た港の舟を今度は上から見下ろします。 -
城の門をくぐります。
この城が建てられたのは8〜9世紀だそうです。 -
キアナレーア地区の家々を見下ろします。
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城壁の窓
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実はここは今でも海軍の施設なのです。
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灯台も現役です。
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西に見えるのはシチリア島メッシーナ。
こんなに近く見えるとは思っていませんでした。 -
キアナレーアに下りる坂の途中の教会で、結婚式のカップルを見かけました。
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船着き場でビデオ撮りしているところに再び遭遇したので、周囲のご家族に許しを得てパチリ。
旅行前に見た教育テレビのイタリア語番組で唯一覚えた「Posso?」が使えました。
それにしても、あちらの結婚ビデオってドラマチックですね。 -
夕食はGさんのホテルでと思ったのですが、開店を待つ人でいっぱいだったので断念し、ネッラさんに教えられたプリンチペに向かいました。
格式の高そうなレストランです。 -
まずは、海の幸盛り合わせ。
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めかじきのカルパッチョ。
シッラはめかじき漁の町なので、それを中心に注文しました。 -
スパゲティはボンゴレ・ビアンコ。
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メインもめかじきでソテー。
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最後のライムシャーベットが絶品でした。
さすが町一番のレストランです。 -
食事を終えて店を出ると外はすっかり暗くなっていて、灯りに照らされたプリンチペはいっそう素敵でした。
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夜はまた違った味わいのキアナレーアの通りをいい気持ちで宿に帰ったぼくたちでしたが、最後にもう一つ試練が待っていました。
玄関の錠を預かった鍵で回しても開きません。右に回しても左に回しても。
そしてブザーを押しても、電話をかけても通じません。まるで昼のリプレイのようです。
海側からなんとかならないかと、海に出る路を探して真っ暗なトンネルに入っていくと、人の気配があり、抱き合っていた男女が出て行きました。
ごめん。でも、こっちも必死なんだ。
結局トンネルの出口は波が押し寄せていて、どうにもなりません。
玄関に戻って、なにげなく鍵を回しながらノブを回したら、開いた! なんだ、そうだったのか。
なかなか一筋縄ではいかない宿でした。 -
でも、バルコニーから見る夜景はやっぱり美しい。
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旅の7日目。朝もやのシッラ。
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朝日が輝きを増すと、シッラの家々もこの時間だけの表情を見せます
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朝の波の音を聞きながら、バルコニーで旅の記録をつけます。
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朝食は、列車の時間に合わせて少し早めてくれました。
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ネッラさんが、オレンジジュースは生でないと栄養がないからと言ってたくさん絞ってくれました。
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この日は旦那さんのミケーレさんも登場し、荷下ろしとサンジョヴァンニへの送りまで引き受けてくれ、大助かりでした。
さらに英語通訳担当として姪御さんも応援に来てくれました。
帰国してからトリップアドバイザーをよく検索してみると、1年くらい前まではイタリア語の投稿ばかりで、最近その評価の高さにひかれて外国人も押しかけるようになったということのようです。
英語はだめ、玄関は閉まっている、電話は通じない、クレジットカードも使えない…。決して一般的にはおすすめできませんが、それでも心に残る魅力的な宿でした。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- mistralさん 2020/04/04 15:55:52
- シッラ.
- ひらしまさん
こんにちは。
ご訪問とご投票を有難うございます。
一部分の旅行記を拝見しただけですが、旅のスタイルが似ているような
印象を受けました。共感する事が多かったです。
この後でフォローさせていただきます。
朝モヤにけむるシッラの表紙写真が素敵です。
シチリアからは鉄道で上陸されたんですね。
数年前のシチリアの旅を思い出します。
当初は片道はひらしまさんのルートのように鉄道を利用してシチリア島に
上陸しようと思ったのですが、何分にも行きたいところが満載で
結局はシチリアのみに留まったのでした。
旅での現地の方々との出会いの思い出には、格別のものがありますね。
困っている旅人に、出来る限りの援助をして下さる。
こちらは過去の苦い経験もあって、最初は恐る恐ると受け入れ、
それでもとっても助かる援助なので、何かお礼をと考え始める。
でも終わりには、それがこころの底からの援助だったとわかり
お礼することが、かえって失礼に当たりそうと分かってくる。
そんなこころ温まる出会いがありましたね~
そんな出会いがあるからこそ、失敗があったとしても、次の旅への
原動力となりますね。
mistral
- ひらしまさん からの返信 2020/04/04 23:54:58
- RE: シッラ.
- mistralさん、こんばんは。
ご訪問とメッセージをありがとうございます。
シッラは1泊しただけだけど本当に懐かしい思い出の地です。
朝もやの写真は自分でも気に入っているので、ほめていただいてうれしいです。
> 困っている旅人に、出来る限りの援助をして下さる。
> こちらは過去の苦い経験もあって、最初は恐る恐ると受け入れ、
> それでもとっても助かる援助なので、何かお礼をと考え始める。
> でも終わりには、それがこころの底からの援助だったとわかり
> お礼することが、かえって失礼に当たりそうと分かってくる。
mistralさんが書いてくださった、まさにその通りでした。
お互い“苦い経験”の一つや二つや三つや四つ、ありますもんね。
でも、損得とまったく関係ない優しさにふれると、自分もそういう人間でありたいと柄にもなく思ってしまう。
お礼のしようもないので、せめて日本で外国から来た人にできることをしたい。
ぼくの場合、煩悩まみれの心を時々洗い直したくなって、また旅に出かけるのかな。
ひらしま
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