2013/05/01 - 2013/05/02
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世界攻略者さん
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マレーシアのキナバル山といえば、東南アジアを代表する名山。国内外の登山客に人気です。ただ、簡単には登らせてくれません。一日の入山者数に制限があるのと、山小屋の料金がシャレにならないくらい高いからです。そのおかげか、下調べの段階で登山を断念する人も数知れず。でも、よーく調べてみると、相場より安く登る方法、あるにはあるんですよね。登山旅行記を書く前に、その辺りのノウハウたっぷりお伝えしましょう。
**情報は、2013年5月のもの。1リンギット=32円で計算。
==キナバル山日帰りトレック シリーズ一覧==
①戦略編 <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10772188/
②キナバル公園散策編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10773115/
③登頂編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10772767/
④下山編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10773108/
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[目次]
イントロ
(キナバル山、アクセス、登山シーズン、難易度)
ルート
(地図、ハイライト)
予約と価格
(問題点、オンライン予約、代理店、ステラ)
パッケージ料金の分析
(内訳の単価、マレーシア人料金)
日帰り登山
まとめ -
[イントロ]
==キナバル山==
マレーシアの最高峰、キナバル山(4095m)。形は思い浮かばなくても、名前くらいは聞いたことあるでしょう。世間的には「東南アジア最高峰」と流布されていますが、実際にはナンバー3。インドネシアに、さらに高い山が2つ(カカボラジ5881mとプンチャック・ジャヤ4886m)あります。でも、知名度や登山環境は文句なくナンバー1。マレーシアにおける富士山的な存在です。
そんなキナバル山ですが、日本の山のように、いつでも勝手に入って登れるわけではありません。ロッジのキャパシティの関係で、一日の入山者数が150人程度に制限されているのです。ただ、一年中登山可能なため、トータルだとそれなりの登山者数になります。 -
==アクセス==
キナバル山があるのは、マレーシアのサバ州。位置的には、ボルネオ島の最北部になります。最寄りの都市は、日本からの直行便もあるコタ・キナバル。首都のクアラルンプールからだと、エアアジアがガンガン飛行機を飛ばしているので、5000円程度で移動できるはずです。
コタ・キナバルから登山道のあるキナバル公園へは、車で約2時間。ツアーに含まれている送迎車か、乗り合いバンなどで移動します。このように、アクセスの良さも、富士山並みに良好です。
地図: 赤い部分がマレーシア領。青い点 - キナバル山。赤い点、左から、クアラルンプール、シンガポール、コタ・キナバル。 -
==登山シーズンと天気==
登山のベストシーズンは情報源によりまちまちですが、雨の少ない2-4月頃が一番いいとされています。私が登った4月終盤-5月初旬頃だと、近郊のコタキナバルの場合で、朝は晴れ(快晴か薄い雲)、9時頃から徐々に白い雲が増えていき、天気が持てばそのまま、そうでなければ4時以降に短時間のスコール、というのがよくあるパターンでした。朝に雨が降ったのは一度だけ。午後の雨はこの時期でもよくあります。
グラフ: コタキナバルの天気。上が毎月の降水量。下が日照時間。 -
じゃあ、それ以外の時期はどうなんだ、とお思いの方は、こちらのツイッター(写真)を参考にしてみて下さい。この方は、律儀にも、現地から頻繁にコタ・キナバルの天気をつぶやいてくれます。
以前、ポカラ(ネパール)の旅行記でも書きましたが、天気予報の情報と実際の現地の天気には、いつも大きなギャップがあります。同じ晴れでも、快晴なのか、雲の多い晴れなのか。登山などのアウトドアを目的に旅行される方は、特に気になることでしょう。ライブカメラではありませんが、このツイッターに掲載された写真が、ある程度参考になるはずです。
参考: コタ・キナバルの天気
https://twitter.com/marimo____S -
ほとんどの登山者はご来光目的のため、深夜から早朝にかけて頂上をめざすはずです。朝早い時間帯なら、雲の出る確率は日中よりずっと少なめ。降水量の多い5月-12月でも、それなりに景色が楽しめます。もちろん、雨が少ない時期に登るにこしたことはありません。 雨の中、深夜に岩場を歩くなんて、想像しただけでも大変そうですからね。
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==難易度==
キナバル登山は、登り一本調子のタフなコース。標高1866メートルからスタートして、頂上(4096)まで約8.7キロ、標高差2229メートルの道のりです。日本でこれに匹敵するのは、富士山の御殿場ルートくらいかな。
キナバル山 通常ルート: 8.7KM、標高差2229M。1866M -> 4096M
富士山 御殿場ルート: 11KM、標高差2366M。1440M -> 3776M
富士山 吉田ルート: 7.5KM、標高差1472M。 2304M -> 3776M
ただ、総距離はそれほどでもないので、富士山の吉田ルートを「二日目にもっと登る」と考えれば、だいたい合っています。道はよく整備されており、後半ロープを使う場所もありますが、これといって危険なところはありません。現地では、いかにも素人っぽいマレーシア人が沢山登っています。ちなみに、最高齢の登頂記録は、日本人女性の90才だとか。 -
[ルート]
==地図==
コースはこんな感じ。キナバル公園入口からティンポホン登山ゲートまで4キロ弱を車で移動。そこで登山許可のチェックを受けた後、整備された登山道を登っていきます。これとは別に、マシラオ・リゾート・ホテル(地図左下)の側から入山することもできます。途中でメインルートと合流するのですが、距離が長いため、このルートを歩く人はあまりいません。
歩行時間の目安は8-9時間くらい。以下、地球の歩き方に載っていた、登りのコースタイム(9.5時間)です。
ティムポホン・登山ゲート(1866) - ラヤン・ラヤン小屋(2702) 3時間
ラヤン・ラヤン小屋(2702) - ラバンラタ(3272) 3時間
ラバンラタ(3272) - サヤッ・サヤッ小屋(3668) 1.5時間
サヤッ・サヤッ小屋(3668) - 頂上(4095) 2時間 -
==ハイライト==
コースの様子を簡単に紹介しておきます。まず、登山口から森の中を歩いて、山腹のロッジ街ラバンラタ(3272)へ。距離は約6キロですが、標高差が1406メートルほどあります。途中、トイレや休憩所(写真)が沢山あるので、疲れたらひと休み。 -
ラバンラタには、ロッジが大小5つ。写真が、食堂のあるメインのロッジ - ラバンラタ・レストハウス。ほとんどの人は1泊2日の行程なので、翌日のご来光登山に備えて、ここで一泊することになります。
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ラバンラタの後、ここまで比較的単調だった道も、少々険しくなります。最初は長い階段状の道。その後、岩場に変わり、ロープに沿って岩の上の道を進みます。なお、このロープは視界が悪い時の目印用なので、大半の場所で、掴んで登る必要はありません。周りは開けており、景色は雄大。眼下には麓の景色及び雲海、そして、周辺にはキナバル山の個性的なピークが並びます。
写真: 途中にあるサヤッ・サヤッ小屋。ここから頂上までは、シェルターになるものはひとつもありません。 -
ラバンラタから2キロほど歩いて、サウスピーク(写真右)の横を通過。この山はとても見栄えがする山で、旅行パンフレットなどでは、実際の頂上よりも、この山の写真がよく使われます。
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最高点であるロウズ・ピーク(写真右上、4095)は、ここからさらに1キロ先。そこまで頑張って岩の斜面を歩き続けます。ラバンラタから頂上までは、だいたい3キロ弱、標高差820メートルの短い区間。でも、標高が高いため、想像以上に疲れ、時間がかかります。
何とか頂上に辿り着いたら、めでたく記念撮影。そこからの360度ビューを楽しみます。これが早朝登山ならば、もちろん御来光も。かなり端折りましたが、キナバル登山とは、だいたいこんな感じです。 -
よく、キナバル登山の紹介に、左のような危なっかしい写真を見かけます。でも、これは正規の登山道ではなく、「ヴィア・フェラータ(鉄の道)」と呼ばれるアトラクション的なルート(有料)。自ら志願しなければこんな場所は歩きませんので、高度恐怖症の人もご心配なく。
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登頂した後はラバンラタに戻って昼食。そして、その日のうちに下山。これが、最も一般的な一泊二日のスケジュールです。
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[予約と価格]
==予約と費用の問題==
ここまで紹介してきたように、キナバル山は年中登れる。そして、時間さえかければ初心者でも登れる...のですが、登山とは直接関係ない部分で、困難が待ち受けています。それは、山小屋予約の難しさと割高なパッケージ料金。基本的にキナバル公園内にはロッジ・エリアが2つしかありません。ひとつはキナバル公園の入口周辺。もうひとつは、先ほど紹介したラバンラタ(写真)。登頂には通常2日かかるので、どうしてもラバンラタで一泊する必要があります。 -
そして困ったことに、ラバンラタは4つのロッジを合わせても150人分ほどしかキャパシティがありません。宿の予約がなければ登山許可も下りないので、これが実質的な人数制限になっているのです。それに加え、ラバンラタの宿は、目が飛び出るほど高い! 高級ホテル・グループのステラ・ハーバーが独占的に公園内の宿を経営している関係で、こんなことになっています。相部屋のベット(写真)が、一泊1万5千円とか正気かよ! これが、2つ目の問題 - 割高なパッケージ価格へとつながります。
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まず何より先に、ラバンラタのベットを確保しなくては始まらない。山小屋の予約方法は主に3つ。与し易い順に並べるとこうなります。
1. ステラ・ハーバー(以下ステラ)のホームページから予約する。
2.現地、または日本の旅行代理店で予約する。
3. ステラのオフィスにメールや電話、直接訪問して予約する。
それぞれ詳しく見て行きましょう。
写真: ラバンラタには、ステラの4つのロッジに加え、ヴィア・フェラータ参加者専用のペンダント小屋があります。残念ながら、登頂のみの登山者は泊まれません。 -
==1. オンライン予約==
まず#1のオンライン予約ですが、このサービスは、最初から存在しないものと考えたほうがいいかもしれません。それほど意味の無い仕組みです。その理由としては、
1.表示される予約状況が実際の状況を反映していない。仮に空きがあっても、二ヶ月先まで「満室」と表示されています。
2.最も一般的な一泊二日のプランではなく、二泊三日のプランしか予約できない。
3.二泊三日なので、初日は公園入口のロッジに宿泊するのですが、システム上、どのロッジに泊まるか選べない。
4.どうも、人数による割引がなさそう。
写真: ステラ・ハーバーのホームページ。
URL - http://www.suteraharbour.com/ -
オンラインで予約した場合の料金ですが、ティンポホン・ゲートから登るケースで、1746リンギット(55900円)。これには、二泊分の宿代と食事代に加え、登山料、ガイド代などの必要経費がすべて含まれています (コタキナバルからの送迎だけは自前)。
はっきり言いましょう。オンラインで予約する人は、アホです。航空チケットであれ、ホテルの予約であれ、普通なら、オンラインのサービスは人手もかからず、便利で割安なものと相場が決まっています。でも、ステラの場合は全く逆。高級ホテルが趣味でやっているサイトとでもお考え下さい。 -
==2.旅行代理店で予約==
ステラの空室情報を見て、「そんなに予約が一杯なのか..」と真に受けてしまった人は、次に旅行会社を当たります。ステラに部屋がないとなれば、各旅行会社であらかじめ抑えてある部屋に頼るしかないからです。キナバル登山を扱っている現地代理店は、コタ・キナバルでもウェブでも沢山見つかります。料金の一例を挙げると、一人参加1450RM(46400円)、2-3人1200RM(38400円)など。共に一泊二日(2D1N)で、コタ・キナバルからの送迎込みの値段です。
パッケージ価格の例(英語):
http://www.amazing-borneo.com/tours/mount-kinabalu-packages-1.html -
では、日本の代理店はどうでしょう。日本の旅行会社は、一部を除き日本発のパック(写真)しか扱っていません。その内容は、ただキナバル山に登って帰国するだけの旅程(4-5日)で、15万-20万程度(燃油サーチャージ込)。航空券が絡むと比較がしにくいので、ここではあまり触れないことにしておきます。
現地発のパッケージとなると、日本で扱っているのはNCTトラベル(自然と文化の旅)くらい。キナバル登山を専門とする会社で、パックの内容自体は現地旅行社とほぼ同じです。料金は一人参加1610RM(51500円)、2-4人1380RM(44200円)。少しだけ割高ですが、予約や相談など日本語でやりとりできるのが何よりの魅力。他に頼りになりそうな会社もないので、迷える日本人登山者たちは、まずはこの会社のホームページから情報をかき集めます。
NCT: http://www.nctravel.co.jp/Kinabalu/ -
なんだかんだで4万円超か〜。もっと安い所ないの〜? ウェブで検索してみても、だいたい同じような価格しか出てきません。しかし、現地に来てみると、もっと割安な価格でパックが提供されているのに気付きます。具体的には、バックパッカー宿経由で予約した場合の値段です。安宿に泊まるような旅行者は、登山などのアクティビティ好きが少なくありません。ただ、費用にはうるさい。そこで、知り合いの旅行会社から、安い料金で登山のパッケージを提供してもらうのです。旅行会社にとっても、直近の予約がさばけるため、悪い話ではありません。
写真: コタ・キナバルの安宿街。 -
私の知る範囲では、アキナバル・ユースホステルで、一泊二日パックが1050RM(33600円)、ルーシーズ・ホームステイで850RM(27200円)。これが何人参加の料金なのか聞いていませんが、かなりお得感のあるオファーです。ただ、この作戦の問題点は、現地に着いてからの行動なので、少々運任せなところがあるところ。でも、私の滞在中、日本人カップルが宿の手配で登山していたのを見ると、それほど確率の悪い話でもなさそうです。
写真: ルーシーズ・ホームステイの張り紙。なぜか、代理店名が隠されています。 -
==3. ステラのオフィスで予約==
ところで、NCTのホームページでは、山小屋の空き状況が公開されています。どうやって調査したのか書かれていませんが、恐らくステラか提携代理店に定期的に問い合わせて更新しているのでしょう。それを見ると、ステラの予約サイトでは2ヶ月先まで満室だったのに、実際にはチラホラ空きがあるのがわかります。あらあら、空きがあるのならステラで直接予約すればいい話では..。ここで再び、山小屋の元締め、ステラ・ハーバーに戻ります。
もちろん、オンライン予約は使いものにならないので、ステラのスタッフに直接コンタクトします。ステラの予約オフィスがあるのは、コタキナバル中心部にあるウィスマ・サパ(写真黄色い点)。このやや地味なビルの中には、エアアジアの予約オフィスなど、旅行関係の会社が多数入居しています。 -
興味があるふりをして中に入ってみると、品の良さそうなスタッフから、提供プランのちらし(写真)を渡されました。それによると、一泊二日プランの場合、一人753RM(24000円)。二人で672.5RM(21500円)、三人で646RM(20700円)。ご覧のとおり、旅行会社よりずーっと安い値段で登山パックが提供されています。唯一の違いは、コタキナバルからの移動が自前なところだけ。
では、なぜこんなグッドディールがあるのに、人は旅行会社やオンライン予約に流れてしまうのか。それは、ステラの予約関係の対応がずさんで、ずっと評判が悪かったからです。メールを出しても返事がこないとか。だから、より安心できる代理店などを利用しちゃうわけです。 -
でも、私がオフィス(写真)を訪れた時は、高級ホテルのフロントような丁寧で効率のいい対応でした。ここ1週間くらいの空きを端末で調べてもらうと(ゴールデンウィーク直後の)1週間に4日も空きがありました。もう、その場で予約できちゃいそうなスムーズさ! もし、予約なしでコタキナバルまでやってきたのなら、まずはこのオフィスを訪問して、直近の空き状況をチェックしてみましょう。時期にもよりますが、思ったより空きがあるものです。
このオフィスでは、予約や問い合わせを、電話、メール、ファックスなどでも受け付けています。日本から予約を入れたい人は、これらのチャンネルで同じ事をやればいいだけ。ただ、メールやファックスはどうしても後回しにされやすいので、電話がベストでしょう。そうなると、それなりの英語力が必要となってきますが、それは各自で何とかして下さい(きっぱり)。 -
この場合の支払い方法は、口座への入金やクレジットカードなど。オンライン予約の場合、10%のデポジットを払えば、残りは当日払いでもOKでした。しかし、オフィスでの予約では、全額前もって払い込む必要があります。それが、オンライン予約の数少ないアドバンテージ。7日前までなら、デポジットが返ってこないだけで、キャンセルも可能です。
写真: キナバル公園入口にあるステラのレセプション。 -
[パッケージ料金の分析]
==内訳の単価==
せっかく情報が揃ってきたので、さらに一歩進めて、パッケージの原価を探ってみたいと思います。通常、旅行会社のパッケージに含まれる費用は、1.コタキナバルからの送迎、2. キナバル公園入園料、3. 登山パーミットと保険料、4. ガイド料、5.登山口までの送迎、6. ラバンラタでの宿および食事代、7.代理店の利益。これだけです。それぞれ見ていきます。
1.コタキナバルからの送迎。
これは、ツアー会社がホテルからキナバル公園までの足を用意してくれます。場合によっては、他のグループと相乗りになるかもしれません。もし、これを個人で行くとすると、乗合バン(20RM=640円)か長距離バス。タクシーだと、通常片道150RM(4800円)ほどかかります。仮に、行きをタクシー、帰りを乗り合いバンとして2人で移動したとすると、ひとり往復約100RM(3200円)。
2. 公園入園料。
公園入口で支払います。大人の場合、マレーシア人が3RM(100円)、外国人が15RM(480円)。公園内に宿をとる場合、三日間有効。
写真: 登山者に配布されるIDカード。 -
3. 登山パーミットと保険料。
登山許可証は、大人の場合、マレーシア人が30RM(960円)、外国人が100RM(3200円)。これに、保険料7RM(224円)が加わります。
4. ガイド代。
キナバル登山にはガイドの帯同が義務付けられています。山頂往復のガイド代は、1-3人のグループで128RM(4100円)、4-6人で150RM(4800円)。これはガイド一人を雇う値段なので、グループが大きくなれば、一人あたりの負担が軽減されます。仮に、2人で行くとして、ひとり64RM(2050円)の負担。登山パーミット/保険料/ガイド費用は、公園内のビジターセンターで支払います。
5. 登山口までの送迎。
公園入口から登山道の始まるティンボホン・ゲートまでは、公園が提供する送迎車を利用できます。往復33RM(1056円、4人まで乗車可能)。ただ、公園内には一般車も入れるようなので、旅行会社がこの部分の送迎もやっている可能性はあります。二人で乗ったとして、一人16.5リンギット(528円)の負担。
写真: 私のガイド -
6. ラバンラタでの宿泊料
これは、ステラのオフィスで各ロッジの料金が書かれたパンフレット(写真)を見て初めて知りました。2013年のレートは、レストランのあるラバンラタ・レストハウス(60ベット)が540RM(17280円)。その他の3つのステラ所有の小屋(計76ベット)が470RM(15040円)。共にドミトリーのベットですが、暖房のあるなしで料金が違います。
現在、麓の発電所のトラブルにより、ラバンラタ・レストハウスでは、暖房設備や温水シャワー設備が使えません。そのため、この状況が改善されない限り、すべてのロッジの料金が470RMになります。WikiTravelを読む限りでは、マレーシア人は外国人より195RM(6240円)ほど安い値段でここに泊まれるようです。
この宿泊料金には食費も含まれており、具体的には、1日目 - 公園入口でもられるランチパック、夕食。二日目- 深夜の軽食、登頂後の朝食、公園入口での午後の紅茶が提供されます。1万5000円で食事付き。日本の山小屋も相当高いけど、こちらはさらに上を行ってますね。
参考: Wikitravel
http://wikitravel.org/en/Mount_Kinabalu -
7. 代理店の利益
これで、すべての単価が出揃いました。 #1のコタキナバル送迎以外の料金を足し合わせると、一人753RM(24000円)、二人672.5RM(21500円)。ステラのオフィスで見た料金と全く同じになります。いわゆるこれが原価。旅行代理店が提示するパック料金との価格差は、コタキナバルからの送迎代 + 会社の利益というわけです。ステラもボッてるけど、旅行会社もそれなりにボッてますねー。どれだけボッてるかは、みなさん自分で計算してみて下さい。
==マレーシア人料金==
ステラで予約するにせよ、代理店で予約するにせよ、費用を下げるには2つ方法があります。ひとつは、大きなグループで申し込むこと。もうひとつは、マレーシア人になることです(無理ですけど..)。
先に紹介した単価の中で、人数が増えると安くなる部分は、1.コタキナバルからの送迎、4. ガイド代、5.登山口までの送迎、7.代理店の利益。逆に、人数にかかわらず固定なのが、2.公園入園料、3. 登山パーミット、6.ラバンラタでの宿泊料になります。
面白ことに、後者の「固定」料金の方は、すべて割安なマレーシア人料金が存在します。私の計算では、合計で278RM(8900円)ほど外国人より割安。その結果、代理店によっては、ひとり670RM(21400円、7人以上)という料金設定のパックもあります。さらには、ステラで直接予約して送迎を自前で用意したとすると、340RM(6人、10880円)まで料金が下がります。これが、費用がかかる割にはマレーシア人も多く登山している理由でしょうか。 -
[日帰り登山]
でも、俺マレーシア人じゃないし..。たかか登山に2万も3万も払えるかよ! その元凶は、費用の大半を占めるラバンラタの宿代470RM(15040円)にあります。これ何とかなんないの? 実は、1つだけこの費用から逃れる方法があります。それは、一日数人のみに許された「日帰り登山」。日帰りなので、もちろんランバラタに泊まる必要はありません。この、キナバル公園「最後の良心」とも言えるデイトレックの存在を知った時、正直頬が緩みました(笑)。これは、決して知る人ぞ知る裏ワザではなく、ロンプラにもちらっと書いてあるし、よく見ると現地旅行代理店の登山プランにも載っています。パッケージ名は「ハードコア登山」で、費用は680RM(21760円、2-4人の場合)ほど。
ここでの肝は、ステラも代理店も経由しないため、DIY的に行動できることです。一日の定員は、確か4組。前日までにオフィサーの許可をもらっておき、当日ガイドと共に山頂まで往復するだけです。
気になる費用ですが、二人で参加したとすると、
1. コタキナバルからの移動
乗り合いバン往復40RM
前日、キナバル公園周辺で一泊(ドミトリー30RMから)
2. 公園入園料 15RM
3. 登山パーミット 100RM + 保険7RM
4. ガイド代 128RM (2人で分担)
5. 登山口までの送迎 33RM(2人で分担)
合計、ひとりあたり272.5リンギット(8720円)から。これに、自己負担の食費が加わります。結果、1万円を切るわけで、これなら十分予算の範囲内です。
写真: 頂上への道 -
しかーし! ほとんどの人はこの日帰り登山に挑戦しません。いや、その存在さえ知らないかもしれません。その理由は、とてもしんどいから。途中でタイムリミットもあり、ゆっくりマイペースで歩くわけにもいきません。もうひとつの理由は、山頂に到着したころには、雲が出て景色が見えない可能性が高いことです。天気が比較的クリアーな朝に登頂する一泊二日ツアーと比べ、いろんなハンディを負っているのです。
日帰りトレックの場合、当日ビジターセンターで手続きを済ませた後、だいたい7時半くらいから登山を開始できます。強制タイムリミットは、ラバンラタが12:00PM、山頂が1:00PM、登山口への戻りが5:00PM。それに間に合わせるためには、ラバンラタまで3時間、さらに頂上まで2-2.5時間以内で歩くのが理想です。でも、このペース(休憩込み)で歩けるのは、恐らく全登山者の1割くらい。健脚な人でさえ、ちんたら寄り道してたら、帰りのバスに間に合いません。そう考えると、日帰り登山がマイナーなのも頷けます。
写真: ドンキーイヤーズ・ピーク(ロバの耳)。 -
[まとめ]
ここまで出てきた登山費用を比較すると、こうなります。2人参加で1人分の場合。1人参加だと、もうちょっと高くなります。
オンライン予約 2泊3日 1746RM(55900円) + KK送迎代
日本代理店 NCT 1泊2日 1380RM(44200円)
現地代理店 ネット 1泊2日 1200RM(38400円)
現地代理店 安宿 1泊2日 850RM(27200円)
ステラで直接予約 1泊2日 672.5RM(21500円) + KK送迎代
日帰り登山 272.5リンギット(8720円) + 食費
** 2013年5月時点での料金なので、今は若干値上がりしているかもしれません。
今回、タフでドケチな私が選んだのは、もちろん最安値の日帰り登山。でも、4000メートル峰の日帰りなんてそもそも可能なんですかね? 正直私も半信半疑でしたが、ぜひ挑戦して確かめてみたい、というのも動機のひとつ。最後にやっと、旅行記のタイトルとつながりました。キナバル山日帰りトレック、やれんのか! 実際にやれたかどうかは、後続の旅行記を通して、お伝えすることにしましょう。 -
[リンク集]
==マレーシア旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&level1=1&level2=499&level3=&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list
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この旅行記へのコメント (2)
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- Takeshiさん 2018/04/07 00:25:23
- 教えてください
- 今年の5月にキナバル山へ登ろうと計画を立ててます。
同じように日帰り登山の予定なのですが、日本に居る今、事前にガイドを見つける事は可能でしょうか?
- 世界攻略者さん からの返信 2018/04/28 20:58:41
- RE: 教えてください
- > 今年の5月にキナバル山へ登ろうと計画を立ててます。
> 同じように日帰り登山の予定なのですが、日本に居る今、事前にガイドを見つける事は可能でしょうか?
すいません。メールの設定がおかしく、投稿に気づきませんでした。ガイドが見つからないことはないので、公園が割り当てるガイドではなく自分の条件に合ったガイドを事前に手配しておくということでしょうか。可能性があるとすれば、事情を話して旅行会社経由でガイドを手配してもらい、公園事務所で、すでにガイドがいる旨を伝えることでしょうか。旅行会社によっては、日帰り登山用のパッケージを用意されているかもしれません。その場合、旅行記のような節約登山にはならいと思いますが、日帰り登山自体は可能です。いずれも、私の推測で詳しいことはわかりません。
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