2012/09/30 - 2012/10/07
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風も雪も友達さん
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末期癌の弟と過ごした玉川温泉の7日間は強烈であった。こんなところが日本にあったのか。大地の持つエネルギーの力強さとそれを全身で享受しようとする人たち。60半ばの私より年上の方が大半だが、涙は見せない。朝夕のバイキングの食事の賑やかさ。生ビールや地酒をたしなむ人さえいる。また会いましたね。来年も元気で会いましょう。飛び交う会話。いつの間にか私達も食べ、飲み、汗を流し、この土地から、そしてここに集う病気を抱えた人々から元気を貰えた。
十日間申し込んだが、連休を控えていたこともあって7日ならOKと言われた。9月30日から10月7日まで弟夫婦と私達夫婦の4人で宿泊した。弟の主治医の話は「今ならできることをしてください」というものだった。前日、内科の医者が見せてくれた肝臓のCTの写真、パチンコ玉の大きさの黒い球が次から次から現れる。2ヶ月前は無数の小さな砂粒だったのに。「抗ガン剤は効いていないのでやめましょう。私にできることはもうありません。明日、外科の主治医の先生の診察を受けてください。」そして翌日、覚悟はしていたが、淡々と残り少ないことを告げる主治医。最後まで私が見ますと言いながら、「先日弘前の学会の後、玉川温泉まで脚を伸ばした。外科医の私が言うのも何だが、玉川温泉に行ってらっしゃい、二人で。」いつも付き添っている私達を見て「いいや四人で行ってらっしゃい。」私はその場で、「玉川温泉に行こう、連れて行くよ」と弟の肩をたたいた。帰りの車の中で「ファイターズの試合は見たいなあ。稲葉のサインを貰える企画に当たっている。それにさだまさしのコンサートのチケットもとれたし、小椋佳
も聴きに行きたい。」と笑顔を作りながら弟は私に言う。仕方がない、それが終わってから行こうか。
温泉は強烈だった、源泉100%の浴槽に足を浸けるとピリリと刺激し、痛いほどだ。あきらめて50%の浴槽に静かに入る。入浴の後、お目当ての岩盤浴へ。ゴザを抱えて何人もの人の後を10分ほど歩くと、異様な光景が広がる。あちらこちらで温泉の蒸気が噴き出す。地獄谷のようだ。屋根がけの小屋が三棟。中にはそれぞれ12、3人ほどの人が横たわる。小屋以外のところでもたくさんの人が静かに横たわっている。40分ほど我慢して汗をたっぷり出す。温泉の川の流れの中の大噴(おおぶけ)と名付けられた、温泉が噴出するところには、その蒸気を呼吸しようと肺ガンをい煩っている人が頑張っている。それぞれの症状に合わせて横たわる適地と、適した入浴法があるのだろう。岩盤浴でも温泉の中でも隣り合わせた人が親切に教えてくれる。2,3日すると食堂でも岩盤浴でも温泉でも、顔見知りが増え、話が弾む。ここに宿泊するとほとんどの人が、それぞれなにがしかの病、それも癌をかかえている。そんなことはそぶりにも見せないで、落ち込まずに、負けずに頑張っている。玉川に来て3日目から源泉100%の浴槽に入ることができた。湯温は人肌より低いくらいに調節されているので、慣れれば何ともないようである。
玉川温泉には看護婦さんが常駐し、火曜日には皮膚科の医者の診察もある。弟は自分の症状を説明すると、また来月 10日間来なさいと言われ、帰る日来月の予約をしてきた。
残念ながら11月6日二回目の玉川温泉に出かけた弟は、折からの低気圧で大揺れのフェリ−に揺られて体力を使い果たし、飛行機で地元に帰って緩和病棟に入院、まもなく亡くなった。
七日ごとのお参りで弟の家に行き、遺影に、6年前の大腸癌の時に玉川に来ていたらなあと話かけている。今のところ私は健康だが、来年 妻と二人で玉川に出かけ、懐かしい顔見知りの人に会い、玉川の土地とそこに集うたくさんの人から元気を、生きる力をもらおうと思っている。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 船 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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