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 幼い子どもの手をひいた父親、ベビィバギィに2-3歳の幼児を乗せて押す母親、裸足で歩く2人連れの女性、車いすに乗った人、杖をつきつき行く老人、巨大な体を揺すって歩く髭面の男性、緑や褐色の迷彩服に身を包んだ若者たち、大きな額縁に入ったイコン(聖画)を両手に抱えて祈りの言葉を朗唱する女性、スカーフを頭に巻き腰に野営マットをくくりつけた女性たち、ツアーリ時代の国旗をなびかせて時に歌い時に祈りを唱和して歩く男たち、……。一休みしている私たちの前を、数限りないロシア人たちが歩き過ぎていく。すべての人が大きなリュックサックを背負っている。人の群れはいつまでも途切れない。<br /><br /> ここは、モスクワの北東800km、6月初旬、キーロフ市郊外の田舎道だ。道と言っても舗装道路ではない。平原を走る車の轍を人が歩いて自然にできた道だ。周りは、なだらかな丘にどこまでも続く大平原、ところどころに茂る白樺の林、強い日射し、急に陰ったかと思うと冷たい風が吹き過ぎて降り注ぐにわか雨、そして歩く人々の群れ。他には何もない。まさしくロシアの真っただ中だ。<br /><br />■本当のロシアを肌で感じるために、キーロフへ!<br /><br /> 四国八十八カ所の遍路道を4年がかりの区切り打ちで一緒に歩き通したモスクワの旅行社社長・リュドミラさんから、遍路完遂の喜びと礼とともに、キーロフ十字架行進の提案がメールで舞い込んだのは昨年12月のことだった。メールは私の心を揺さぶり、キーロフに行ってみようという気持ちを強く引き起こした。少し長くなるが主要部分を引用しておく。<br /><br />「私は、あなたとあなたの友人に『キーロフ十字架行進』への参加をあらためて提案します。この行進は、四国の遍路旅とは少しばかり違っています。まず第一に、参加者の数が違う。この行進には毎年1万5000人から2万人の人々が参加します。これは600年の歴史を持つロシア最大の十字架行進ですが、1930年から2003年までは厳しく禁止(ないし制限)されていました。<br /><br /> ルートは決して快適ではありません。トイレはないし、水もない。シャワーを浴びる場所も洗濯する場所もない。すべての必要なものはリュックに詰めて自分自身で持ち歩かねばならない。しかし、誰でも森の中にトイレの場所を見つけることができます。<br /><br /> 行進の全行程は、とても上手に組織されているとは言えないけれど、しかし、組織されています。行進中、だいたい1時間半おきに休憩場所があり、30分から2時間程度の休憩をとることができる。参加者は、簡単な食事と短時間の睡眠をとる十分な時間があります。<br /><br /> 私はすでにキーロフ在住の友人と話をしました。彼らは、屋根の下で眠ることができる場所を確保すると約束してくれました。もちろん、四国の民宿のような立派な宿泊施設ではありません。確保できるのは、一部屋に5-6人が床の上で寝袋に寝るといったたぐいのものです。しかし、大多数の参加者が野営テントや時には草原にマットを敷いただけで眠るのに比べると、「5星ホテル」と呼んでもよいほどです。<br /><br /> 行進は通常、朝の3時からスタートするが、私たちはだいたい1時間遅れて出発する予定。どちらにしても私たちは道に迷わないよう、キーロフの友人一家のあとをついて歩くことになります。<br /><br /> 私は、あなたにロシアとロシア人そのものを見せるために、このキーロフ行進に参加してほしいのです。これは、私たちが普段の生活の大部分を占める仕事を通じて知っている一般のロシア人や旅行客とかなり違うロシアのもう一つの素顔です。これは、私がロシア人であることを誇りに思わせてくれるロシアそのものです。もし、あなたが参加を決めたなら、すぐに連絡をください。(2011年12月13日)」<br /><br /> 四国の遍路道(1200km)を長期間かけてともに歩いて培った連帯感、そして四国を歩くことで日本理解を急角度に深めていったリュドミラさんを目の当たりにした体験が、私にキーロフ十字架行進への参加を強く促した。

キーロフ十字架行進 ロシアの大自然、祈りつつ歩く人々の大群(1)

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2012/06/03 - 2012/06/08

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 幼い子どもの手をひいた父親、ベビィバギィに2-3歳の幼児を乗せて押す母親、裸足で歩く2人連れの女性、車いすに乗った人、杖をつきつき行く老人、巨大な体を揺すって歩く髭面の男性、緑や褐色の迷彩服に身を包んだ若者たち、大きな額縁に入ったイコン(聖画)を両手に抱えて祈りの言葉を朗唱する女性、スカーフを頭に巻き腰に野営マットをくくりつけた女性たち、ツアーリ時代の国旗をなびかせて時に歌い時に祈りを唱和して歩く男たち、……。一休みしている私たちの前を、数限りないロシア人たちが歩き過ぎていく。すべての人が大きなリュックサックを背負っている。人の群れはいつまでも途切れない。

 ここは、モスクワの北東800km、6月初旬、キーロフ市郊外の田舎道だ。道と言っても舗装道路ではない。平原を走る車の轍を人が歩いて自然にできた道だ。周りは、なだらかな丘にどこまでも続く大平原、ところどころに茂る白樺の林、強い日射し、急に陰ったかと思うと冷たい風が吹き過ぎて降り注ぐにわか雨、そして歩く人々の群れ。他には何もない。まさしくロシアの真っただ中だ。

■本当のロシアを肌で感じるために、キーロフへ!

 四国八十八カ所の遍路道を4年がかりの区切り打ちで一緒に歩き通したモスクワの旅行社社長・リュドミラさんから、遍路完遂の喜びと礼とともに、キーロフ十字架行進の提案がメールで舞い込んだのは昨年12月のことだった。メールは私の心を揺さぶり、キーロフに行ってみようという気持ちを強く引き起こした。少し長くなるが主要部分を引用しておく。

「私は、あなたとあなたの友人に『キーロフ十字架行進』への参加をあらためて提案します。この行進は、四国の遍路旅とは少しばかり違っています。まず第一に、参加者の数が違う。この行進には毎年1万5000人から2万人の人々が参加します。これは600年の歴史を持つロシア最大の十字架行進ですが、1930年から2003年までは厳しく禁止(ないし制限)されていました。

 ルートは決して快適ではありません。トイレはないし、水もない。シャワーを浴びる場所も洗濯する場所もない。すべての必要なものはリュックに詰めて自分自身で持ち歩かねばならない。しかし、誰でも森の中にトイレの場所を見つけることができます。

 行進の全行程は、とても上手に組織されているとは言えないけれど、しかし、組織されています。行進中、だいたい1時間半おきに休憩場所があり、30分から2時間程度の休憩をとることができる。参加者は、簡単な食事と短時間の睡眠をとる十分な時間があります。

 私はすでにキーロフ在住の友人と話をしました。彼らは、屋根の下で眠ることができる場所を確保すると約束してくれました。もちろん、四国の民宿のような立派な宿泊施設ではありません。確保できるのは、一部屋に5-6人が床の上で寝袋に寝るといったたぐいのものです。しかし、大多数の参加者が野営テントや時には草原にマットを敷いただけで眠るのに比べると、「5星ホテル」と呼んでもよいほどです。

 行進は通常、朝の3時からスタートするが、私たちはだいたい1時間遅れて出発する予定。どちらにしても私たちは道に迷わないよう、キーロフの友人一家のあとをついて歩くことになります。

 私は、あなたにロシアとロシア人そのものを見せるために、このキーロフ行進に参加してほしいのです。これは、私たちが普段の生活の大部分を占める仕事を通じて知っている一般のロシア人や旅行客とかなり違うロシアのもう一つの素顔です。これは、私がロシア人であることを誇りに思わせてくれるロシアそのものです。もし、あなたが参加を決めたなら、すぐに連絡をください。(2011年12月13日)」

 四国の遍路道(1200km)を長期間かけてともに歩いて培った連帯感、そして四国を歩くことで日本理解を急角度に深めていったリュドミラさんを目の当たりにした体験が、私にキーロフ十字架行進への参加を強く促した。

  • ■キーロフ十字架行進<br /><br /> キーロフ十字架行進は、毎年、6月3日から8日まで6日間かけて行われる。6月6日に行進の目的地であるヴェリカヤ川畔のヴェリカレツコエ村で「聖水の儀式」が終日行われるので、実質5日間で150km超の距離を、ロシア正教のイコンと十字架を先頭に集団で歩く巡礼旅だ。参加者数は年々増え、今年は3万5000人が6月2日にキーロフの町を歩いて出発した。<br /><br /> ルートの概要は以下のとおり。<br /><br />6月3日 10:00トリフォノフスキー修道院(キーロフ市)を出発、11:30-13:30郊外のトリニティ教会で儀式と休憩(昼食)、途中2回の休憩をはさみ、19:30ボービノ村到着(宿泊)/歩6時間、20km。<br /><br />6月4日 03:00出発(途中、休憩3回)、10:00-12:00ザガリエ村(休憩と昼食)、途中3回の休憩をはさみ21:00モナスティスコエ村着(宿泊)/歩10時間、39km。<br /><br />6月5日 03:00出発(途中、休憩2回)、09:00-12:00ゴロホヴォ村(聖水の儀式、休憩と昼食)、途中2回の休憩をはさみ18:00ヴェリカレツコエ村着(宿泊)/歩7時間、28km。<br /><br />6月6日 終日 ヴェリカヤ川畔の教会で聖水の儀式、信仰の告白、沐浴、休息など。<br /><br />6月7日 02:00出発(途中、休憩4回)、15:00-17:00メジャーニ村(儀式と休憩)、19:00ムリギノ村着(宿泊)/歩10時間、37km。<br /><br />6月8日 03:00出発、05:00-06:00ギルソヴォ村(途中2回の休憩)、12:00-14:00ノヴォムチェニキ教会(キーロフ市内)着、儀式と休憩、市内の教会(数ヶ所)を巡り16:30トリフォノフスキー修道院到着、最後の儀式と祈りを行い17:30終了/歩8時間、33km。<br /><br /> 万単位の人々が参加する行進だけあって、自動車が走る一般道路を歩くときは警察車による交通規制が行われ、休憩地と休憩時間もあらかじめ決められている。四輪駆動の救護車とともに、2人1組の救護スタッフが一定間隔ごとに徒歩で同行する。上述したのは先頭集団の出発到着時間だ。先頭と最後尾の間には2-3時間の時間差が生じる。

    ■キーロフ十字架行進

     キーロフ十字架行進は、毎年、6月3日から8日まで6日間かけて行われる。6月6日に行進の目的地であるヴェリカヤ川畔のヴェリカレツコエ村で「聖水の儀式」が終日行われるので、実質5日間で150km超の距離を、ロシア正教のイコンと十字架を先頭に集団で歩く巡礼旅だ。参加者数は年々増え、今年は3万5000人が6月2日にキーロフの町を歩いて出発した。

     ルートの概要は以下のとおり。

    6月3日 10:00トリフォノフスキー修道院(キーロフ市)を出発、11:30-13:30郊外のトリニティ教会で儀式と休憩(昼食)、途中2回の休憩をはさみ、19:30ボービノ村到着(宿泊)/歩6時間、20km。

    6月4日 03:00出発(途中、休憩3回)、10:00-12:00ザガリエ村(休憩と昼食)、途中3回の休憩をはさみ21:00モナスティスコエ村着(宿泊)/歩10時間、39km。

    6月5日 03:00出発(途中、休憩2回)、09:00-12:00ゴロホヴォ村(聖水の儀式、休憩と昼食)、途中2回の休憩をはさみ18:00ヴェリカレツコエ村着(宿泊)/歩7時間、28km。

    6月6日 終日 ヴェリカヤ川畔の教会で聖水の儀式、信仰の告白、沐浴、休息など。

    6月7日 02:00出発(途中、休憩4回)、15:00-17:00メジャーニ村(儀式と休憩)、19:00ムリギノ村着(宿泊)/歩10時間、37km。

    6月8日 03:00出発、05:00-06:00ギルソヴォ村(途中2回の休憩)、12:00-14:00ノヴォムチェニキ教会(キーロフ市内)着、儀式と休憩、市内の教会(数ヶ所)を巡り16:30トリフォノフスキー修道院到着、最後の儀式と祈りを行い17:30終了/歩8時間、33km。

     万単位の人々が参加する行進だけあって、自動車が走る一般道路を歩くときは警察車による交通規制が行われ、休憩地と休憩時間もあらかじめ決められている。四輪駆動の救護車とともに、2人1組の救護スタッフが一定間隔ごとに徒歩で同行する。上述したのは先頭集団の出発到着時間だ。先頭と最後尾の間には2-3時間の時間差が生じる。

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