阿嘉島に秘められた戦略的価値、そして別れの日---

2012/07/12 - 2012/07/20

沖縄の慶良間諸島の中心は座間味島、あるいは渡嘉敷島です。

このふたつの島は行政区も違いますし、それぞれ独立した行政や経済を営んでいます。
それに比べて阿嘉島は人口も座間味島の半分ほどですし、座間味の弟分といった風情です。

しかし、実は阿嘉島には上記二島はもちろん沖縄本島以上に戦略的な価値があるというお話を聞きました。

それを体感すべく研究施設を訪れました−−−−。

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9日間にわたったバカンスも最終日を迎えます。
阿嘉島でお世話になった宿の方々に見送られて船がでます。

那覇から飛び立って、旅の終わりの感慨がこみ上げてきました。

エリア 慶良間諸島(沖縄)

• 同行者: カップル・夫婦
• 交通手段: JALグループ
• 旅行の手配内容: 個別手配

その阿嘉島の戦略的価値を担う研究施設とは？？

これはその研究施設に隣接した阿嘉幼小中校です。
つまり幼稚園、小学校、中学校が併設されたものです。

幼稚園からずっと一緒で、人口数百人の島ならイジメはないでしょう（と、信じたいですね）

これが話題の戦略的施設です。

名前を阿嘉島臨海研究所（AMSL）といいます。

見学をさせてくれるハズ、という宿の主人の言葉に誘われてやってきました。

非常に立派な鉄筋コンクリート４階建ての建物ですが、これは私費で建てられたそうです。

この研究所が誕生したのは1989年だそうで、創設資金は保坂三郎さん（理事長）の東京の土地が都の用地買収のため売却して得たものです。
彼はダイビング大好き人間で、現在の所長の大森所長は、東京水産大の名誉教授で保坂理事長のダイビング仲間とのこと。

この研究所の主目的はサンゴの養殖だそうです。

でも、なぜそれが戦略的価値があるのでしょう？

その前に研究施設を見学させていただきたいので中に入ります。

ところが誰もいません！

巨大な水槽では何やら機械音がしますし、撹拌もされているようですーー？！

小部屋の方の研究施設も覗きますが返答なしーーー。

研究をしているのは間違いありませんが、いったいこのフラスコやビーカーは？？

これは鯨の標本ですね。

二階に上がって声をかけても誰もでません。
しかし、多くの機器は動いています。

どうやら浜の方にある別の施設（たぶん阿嘉ビーチそばにある研究施設？）にでかけているか、海中で実験をしているようです。

これ以上中に入るのも不法家宅侵入か何かの法律で捕まりそうなので、残念ながら周囲の見学のみで我慢しました。

さて、サンゴの増殖の戦略的価値ですが、それは沖の鳥島にあります。

沖の鳥島は本当に小さな島です。

東京から 1,740km 、硫黄島から 720 kmも離れています。
この島は太平洋に孤立して形成された南北約 1.7 km 、東西約 4.5 km 、周囲約 11 km ほどのコメ粒形をしたサンゴ礁の島です。

余りに小さく、波の浸食や海面上昇による水没を防ぐため、政府は1988年からこれらの島に消波ブロック設置とコンクリート護岸工事を施し、チタン合金の金網を被せて保護しています。

何故、保護するのか？それはこの島があることで日本の排他的経済水域が大きく変わるからです。
この島があることによって日本の経済水域は日本の陸地面積に匹敵する経済水域を得ることができます。
日本近海の海底にメタンハイドレートやレアメタルなどの海底資源の存在が確認されたことから島としての確定は急務でした。

（注：画像は関連HPから引用させていただきました）

沖の鳥島の俯瞰図です。ところどころに小さな島があります。

その権利を確定するため2008年11月12日、日本は、国際連合の大陸棚限界委員会に対して、沖ノ鳥島の大陸棚を認めるよう新たに申請を提出しました。その申請に対して米国、中国、韓国及びパラオがそれぞれ、自国の見解を示す文書を提出しました。米国とパラオは日本に異議を唱えませんでした。
しかし、中国と韓国は「沖ノ鳥島は、島に該当せず岩に当たる」と猛反発したのです。
2011年8月に開催された第28回大陸棚限界委員会において中国と韓国は改めて異議を提出し、委員会の議論は紛糾して日本に対する勧告案は採決されず、継続審議となってしまったのです。

中国は尖閣列島、韓国は竹島で日本ともめていますが、はるか南方沖の小島でもこのふたつの国は日本の主張を認めないようです。

（注：画像は関連HPから引用させていただきました）

そして、ついに、日本政府が海底資源の権益確保をめざす４海域の大陸棚延伸が２０１２年４月２７日（現地時間２６日）、 米ニューヨークにある大陸棚限界委員会で認められました。

これは日本が排他的経済水域（ＥＥＺ）を 設定できる「島」と主張する日本最南端の沖ノ鳥島を基点とした海域も含まれます。

この委員会は国連海洋法条約に基づいて設置され、地質学や地球物理学などの専門家がメンバーなのでプロの見解です。

海底の地形が自然に延びていると認められれば、沿岸国が最大３５０カイリまで大陸棚の限界を延長できます。

今回の審査では島北側の海域は認められましたが、南側は結論が先送りされました。

さて、こうして死守してきた沖の鳥島ですが、波の浸食や地球温暖化による海面上昇で島の存続危機は継続しています。

そこで、この島周辺のサンゴをもっと増殖できれば、荒波から島を守れ、ひいてはサンゴが海砂となって海岸線形成にも役立つのではないかということで、上記の臨海研究所をはじめ政府機関も協力してこの島固有のサンゴ増殖を阿嘉島で進めているということです。

この島が日本の島と認められるか否かで日本の陸地と同じだけの領海が守られるのですから、その活動意義は実に大きいといえます。

しかし９９％以上の国民は、この沖の鳥島を巡る攻防は知りません。

いずれ近辺の熱水鉱床や海底からレアアースや貴金属、その他資源が採掘されはじめるまではーーーー。

（注：画像は関連HPから引用させていただきました）

さて、出発です。お世話になったお部屋にありがとうを言います。

決して広い部屋ではなかったのですが二人で３ベッドルームですので余裕はありました。
築年数も浅く、６年程度のせいもあり、床、壁、照明、水回りなどとてもきれいでした。
（御主人のキレイ好きはかなりのもので、宿の内外でいつでお会いしてもかならず清掃をされていました。それはダイビング用品であったり、洗い場であったり、周囲のドブであったりしましたが、必ず？お掃除していたのです！！）

港から数百ｍですが御主人が車で見送ってくれます。

本当に良い方です。
（ちなみに奥様が阿嘉島御出身で旦那様は関東！出身だそうです！）

港や阿嘉大橋ともお別れです。

norisa夫妻も記念に！

高速船も飛行機も寒い？ので二人とも島での半ズボンから長ズボンにしました！

そして奥様（右側）もわざわざ見送りに来てくれました。

この心遣いが半年前でも予約不能の人気となっているのでしょうね。
（ちなみにお勘定もお安くてビックリ。第一泡盛のボトルやジュースも原価です）

また、奥様はとても話好きで、気さくな方です。
お料理もとても上手で多岐なジャンルの料理をされます。

御主人もそれらに惚れて阿嘉島に永住を決意したのかも（注：完全にnorisa夫妻の邪推であり、事実確認は未了です（笑））

さらば、阿嘉島、

さらば、慶良間ーー。

この驚くべきケラマブルーともしばしのお別れです。

来年は沖縄来訪１０回目の記念の年。
お休みとれるかな？？

何と高速船の水しぶきが虹を形作っています！

今日も天気で良いことありそう（笑）

低速のフェリーとすれ違います。

帰りもJALで。

往きはクラスJでしたが帰りは通常のエコノミー席。

しかしnorisa妻は離陸後１５分で熟睡したので同じことでした（笑）

あっというまの離陸。

いつも以上に沖縄を去るのが辛いようなーーー。

空も海も本州とは全く違います。

沖縄本島の北東端でしょうか。

ヤンバルや辺戸岬を探します。

島と雲がとても近く見えます。

それだけ高度は上がりつつあるわけです。

途中で幾つかの島を下に見て飛行機はさらに高度を上げます。

これは沖縄のすぐ近くの与論島でしょうかーー。

機体はいよいよ上昇します。

この島は沖永良部島のように見えます。


ーーー今回も多くの経験、人とのふれあい、お魚との語らい、ケラマ鹿との出会いなどがありました。

旅をできるということは、健康、精神的余裕、時間的余裕、経済的余裕（これは少ないかな（笑））そして知的好奇心が全て揃っていないとできません。

そうした状況に感謝しつつ、二人で眼下の青い天国に見入っていました。

さらば慶良間、さらば沖縄ーーー、

この旅行記へのコメント （11）

• わんぱく大将さん 2012/09/07 02:53:41

  クジラの標本

  norisa殿
  
  ご無沙汰しとりました。　やっとこさ、ＢＣＮに戻ってまいりましたが、いまだにインターネットはあかん！　　よって図書館通いです。
  
  研究所もなんと、無防備な、クジラの標本、盗まれたらどうするんや？？？
  私だったら、いない間に、アリの骨の標本に替えるでしょう。
  しかし、海の色の鮮やかなこと。
  
  　　大将

  norisaさん からの返信 2012/09/07 07:22:00

  RE: クジラの標本

  大将さん！
  
  ご無事でしたか！
  
  どこにも顔を出していないようなので不況風に飲み込まれて食べられてしまったか（笑）逆にあこぎに稼いでいる（爆）のかと想像していましたーー。
  
  くじらの骨？価値は？？
  でも南の小島は数十兆円の価値ありますね。
  赤字減らしに売っちゃう？？（笑）
  
  norisa

  わんぱく大将さん からの返信 2012/09/08 19:29:54

  RE: RE: クジラの標本

  > 大将さん！
  >
  > ご無事でしたか！
  >
  > どこにも顔を出していないようなので不況風に飲み込まれて食べられてしまったか（笑）逆にあこぎに稼いでいる（爆）のかと想像していましたーー。
  >
  > くじらの骨？価値は？？
  > でも南の小島は数十兆円の価値ありますね。
  > 赤字減らしに売っちゃう？？（笑）
  >
  > norisa
  
  norisa殿
  
  死ないでかい？！　　クジラの価値は、値段より、みること？？？
  不死身の大将より

• TaxNaXさん 2012/08/22 22:04:47

  興味深い内容で、楽しく拝見させて頂きました

  norisaさん
  
  初めまして。
  
  ご訪問と旅行記のご評価を頂き有難う御座います。
  
  興味深い内容で、考えながら楽しく拝見させて頂きました。
  製造業に従事していると、かの国のレアアースの圧力は深刻で今も苦労が絶えません。(それは輸出しないだけに留まりません)
  現状地下資源の殆どを輸入に頼る日本が海底下資源で資源大国に変貌する可能性は、かの国にとっては国益を損なう面白くない話なんですね。
  
  美しい海と国益の双方が正しく守られる。
  排他的経済水域を構成する全ての島々が、あるべき姿である事を望みます。
  

  norisaさん からの返信 2012/08/23 08:03:28

  RE: 興味深い内容で、楽しく拝見させて頂きました

  TaxNaXさん
  
  ご丁寧にありがとうございます。
  
  TaxNaXさんの石垣島旅行記楽しく拝見しました。
  10年前くらいに訪れましたので懐かしさひとしおです。
  
  石垣含め本土から離れたところでは領地、領海をめぐる暗闘がおおいようです。
  我々が知らないところで官僚も民間も努力しているようですーー。
  
  norisa

• frau.himmelさん 2012/08/19 17:07:42

  こんにちは

  norisaさん　こんにちは。
  
  いつも本当にありがとうございます。
  2,3日前に、阿嘉島の旅行記拝見して、コメントをと思っていたのですが、
  余りの内容の濃さに考え込んでしまってそのままになっていました。
  
  それにしても、人が滅多に行かない研究所にまで足を運ばれるnorisaさんご夫婦の知的好奇心の旺盛さにはいつも感服しております。
  今回は、今大変問題になっている排他的経済水域に関連したところ。
  
  政治に疎い私でさえ、最近のロシア、韓国、中国の傍若無人なふるまい振りには腸が煮えくり返る思いでおります。
  
  ＞しかし９９％以上の国民は、この沖の鳥島を巡る攻防は知りません。
  
  ＞いずれ近辺の熱水鉱床や海底からレアアースや貴金属、その他資源が採掘されはじめるまではーーーー。
  
  とnorisaさんが書いていらっしゃるように、殆どの人は関心を持っていないのでしょうね。
  近隣諸国が資源を採掘し始めてからでは遅いのです。もう少し政府も宣伝をして、せめて韓国のサッカー選手の半分でも関心を持ってくれたらと思います。
  
  norisaさんの投稿はとても意義あるものと思います。
  
  himmel
  
  
  

  norisaさん からの返信 2012/08/19 20:18:45

  RE: こんにちは

  frau.himmelさん、
  
  こんばんわ。
  
  いつもご訪問やご投票ありがとうございます。
  
  阿嘉島、慶良間の最終回は少々固い内容ながらご熟読ありがとうございます。
  ４トラは楽しいのが一番なので思い話題はいかがかと思いますが、避けて通れないテーマもあり、なかなか表現に苦慮しています。
  
  今後ともいろいろご感想などいただけると幸いです。
  
  なお、himmelさんの表現力にはむしろ感心しています。
  
  norisa
  

• n.arakiさん 2012/08/16 08:52:09

  おはようございます。

  norisaさん、おはようございます。
  
  いい旅してますね。
  勉強になりました。ありがとうございます。
  
  　　　　　n.araki
  
  

  norisaさん からの返信 2012/08/16 09:15:35

  RE: おはようございます。

  n.arakiさん、
  
  いつも本当にありがとうございます。
  
  今回の沖縄も自然や人に癒されてきました。
  中毒症状ですね（笑）
  
  別件ですが、はなかみno王子様の旅行記に北海道でのオフ会の様子がありましたが、n.arakiさんもご参加されたのかなーー！？なかなかの盛り上がりでうらやましいような、恐ろしい？ような（笑）−−−。
  こうして旅の楽しみ、風景や画像のうんちくを交換するのもいいものですね。
  
  norisa
  

  n.arakiさん からの返信 2012/08/16 09:29:52

  RE: RE: おはようございます。

  norisaさん早速の返信ありがとうございます。
  
  > 別件ですが、はなかみno王子様の旅行記に北海道でのオフ会の様子がありましたが、n.arakiさんもご参加されたのかなーー！？なかなかの盛り上がりでうらやましいような、恐ろしい？ような（笑）−−−。
  > こうして旅の楽しみ、風景や画像のうんちくを交換するのもいいものですね。
  
  　出席しました。奈良コミュの方々、北海道の4traメンバー19名が集まっての大オフ会でした。
  　大盛り上がりで、王子なんか今年に入ってから確か3回目？の来道。
  　我々は道産子王子と呼んでいます。
  
  　もともと全く知らない人同士、掲示板でなんとなく友達のようになり、はじめましてと挨拶しても
  　話題がたくさん出てくる。不思議な関係でした。
  　でなければ、宴会は4時間も続きませんね。
  　オフ会前後はそれぞれが北海道の旅を満喫して頂き、道産子も満足しております。
  
  　　　　n.araki

  はなかみno王子さん からの返信 2012/08/16 09:35:22

  RE: RE: おはようございます。

  norisaさま、n.arakiさま
  
  割り込み失礼。。
  
  そうです。。札幌オフ会。。でお会いしました。。
  初対面でしたが戯れさせていただきました。
  
  > 今回の沖縄も自然や人に癒されてきました。
  > 中毒症状ですね（笑）
  
  王子は寒いところすきなので。。
  北海道中毒してます。。
  人や自然に癒されるのは寒暖関係なしですが、
  人が少ないのは癒しの条件のようです。
  
  王子