南三陸・登米旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 三日目(南三陸町で漁業支援ボランティア 仙台市内泊)<br /> <br /> やや、つっけんどんだったお母さんも翌朝にはなかなか愛想よく変身する。風邪薬を飲もうとすれば、「持っていくといい」と水のペットボトルをくれる。話は、支援物資の配給の事に。当時、ようやく届いた物資は、とにかく同じものが過ぎるほど配られたそうだ。確かにニュース等で支援物資が届かない、あるいは過剰に届くという混乱が報道されていたのを思い出した。過剰配給分を売って儲けた人がいたとも。こうした状況下でもうまく立ち回る人とそうでない人がいる、そうお母さんはぼやいていた。津波の事をひとしきり話してもらい、ボランティア・センター(以下「ボラセン」)の場所もしっかり教えてもらって丁重に送り出してもらった。<br /> <br /> ボラセンは、若い人達を中心に賑わっていて活気にあふれている(表紙写真1)。「来る者は拒まず」か、事前にダウンロードし書いていた申込書を渡して受付終了。ボランティアを束ねる事務局員はそっけなく、いちいち質問に対して丁寧な説明をしてくれない。セミプロ的な(社協・NPO・労組等の専従者といった組織に属する)人もいるだろうに。きめ細やかな事務局の対応があれば、ボランティアの裾野はもっと広がるだろうにとも思う。それでも、こうして参加するボランティアの多くは、基本的に組織に属さず無償なのだろうから、やはり頭が下がる思いだ。ずっと住みついて、連続したボランティア活動する人もいる。<br /> <br /> 昼弁を買って全体の説明、グループ毎の説明を各々聞く。説明時、嬉しそうに弁当を持ちながら聞いたのは私達だけである。皆、カバン等に仕舞っていて、やや緊張感がない感じもするが、風邪熱をおしての参加は立派だろうと胸を張る。私達10名のグループは志津川漁協で漁業支援の活動となる。先導車について現地に向かう。<br /> <br /> 現地では簡単な説明の後、すぐに作業開始となる(写真2)。作業は単純で、ひたすらメカブを茎と売り物の部分に切り分けることだ(写真3)。午前中、風は強いものの太陽が照って助かる。冬場は大変だろう。本来、女の人がやる作業なのだが、震災後は人手が足らずこうして漁師さんとボランティアの人達とでやっている。ボラセンで若い人を多く見たが、学生ボランティアなのかと聞くと、この時期は学生ではなく一般の人が多いと。このグループも学生はいないようだ。出身地は栃木や三重、神奈川、広島等様々であり、年齢も見た感じ二十代から六十代くらいまでと幅広い。<br /> <br /> 午後からはテントの中でワカメを切り分ける作業(写真4.5)。漁師さんは話し好きだ。どこでも誰でも同じだが、特に若い女性を相手に他愛もない事を話すのは癒される。グループには三人の若い女性がいるのだが、そのうちの一人は常連さんで随分と親しいようだ。もちろん漁の話もふんだんである。太平洋の海原を舞台にした人間と魚の戦いという豪快な男の物語だ。そして津波の事。津波がどこまでやって来たか(写真6 津波は高い場所の民家まで襲った)、尋ねれば年配の方は昔むかしのチリ地震の事さえも伝承してくれた。さらにむかしの事は石碑にも刻んである。そんな津波に対する意識が高いはずの地域であり人達である。それなのになぜ。そんな常識を覆すくらいの大きなものがやって来たという事に他ならない。それは人知を超えたものだったと容易に想像できる。午後からの作業は、漁師さんの講演会と懇親会であり、あっという間に時が過ぎ去った。<br /> <br /> 作業は三時過ぎに終了する。午前に魚の天ぷらをいただき、帰りには袋一杯のワカメのお土産である。そんなに役に立ったとは思えないので、申し訳がない気持ちもある。ボラセンで「明日もされますか?」と問われるも、予定通り、一日だけのお務めとする。「来る者は拒まず」だが、「去る者も追わず」。飾らない対応も、最後には好感が持てるものに変化していた。<br /> <br /> ボランティアを終え、ふうちゃんは、満足そうな表情で何度も「これで思い残す事はない」と呟く。じわり、普通のボランティアとは違うものがこみ上げてくる。未曾有の災害を乗り越えてきた人々とほんのわずかだが関わりあえ、同じ日本人として逞しく明るく前向きに生きる事の尊さを教えてもらった喜びをかみしめる。多くの芸能人や知識人らがテレビ等で口をそろえて言う「何かをした」のではない、逆に「何かをもらった」という感覚である。なるほど、これなのか。それは、津波の事を忘れないでという東北の人々の本当に貴重なメッセージである。       (つづく)

東北見聞録 ~ボランティア、視察、観光の旅~その3

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2012/05/10 - 2012/05/14

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つう

つうさん

三日目(南三陸町で漁業支援ボランティア 仙台市内泊)

 やや、つっけんどんだったお母さんも翌朝にはなかなか愛想よく変身する。風邪薬を飲もうとすれば、「持っていくといい」と水のペットボトルをくれる。話は、支援物資の配給の事に。当時、ようやく届いた物資は、とにかく同じものが過ぎるほど配られたそうだ。確かにニュース等で支援物資が届かない、あるいは過剰に届くという混乱が報道されていたのを思い出した。過剰配給分を売って儲けた人がいたとも。こうした状況下でもうまく立ち回る人とそうでない人がいる、そうお母さんはぼやいていた。津波の事をひとしきり話してもらい、ボランティア・センター(以下「ボラセン」)の場所もしっかり教えてもらって丁重に送り出してもらった。

 ボラセンは、若い人達を中心に賑わっていて活気にあふれている(表紙写真1)。「来る者は拒まず」か、事前にダウンロードし書いていた申込書を渡して受付終了。ボランティアを束ねる事務局員はそっけなく、いちいち質問に対して丁寧な説明をしてくれない。セミプロ的な(社協・NPO・労組等の専従者といった組織に属する)人もいるだろうに。きめ細やかな事務局の対応があれば、ボランティアの裾野はもっと広がるだろうにとも思う。それでも、こうして参加するボランティアの多くは、基本的に組織に属さず無償なのだろうから、やはり頭が下がる思いだ。ずっと住みついて、連続したボランティア活動する人もいる。

 昼弁を買って全体の説明、グループ毎の説明を各々聞く。説明時、嬉しそうに弁当を持ちながら聞いたのは私達だけである。皆、カバン等に仕舞っていて、やや緊張感がない感じもするが、風邪熱をおしての参加は立派だろうと胸を張る。私達10名のグループは志津川漁協で漁業支援の活動となる。先導車について現地に向かう。

 現地では簡単な説明の後、すぐに作業開始となる(写真2)。作業は単純で、ひたすらメカブを茎と売り物の部分に切り分けることだ(写真3)。午前中、風は強いものの太陽が照って助かる。冬場は大変だろう。本来、女の人がやる作業なのだが、震災後は人手が足らずこうして漁師さんとボランティアの人達とでやっている。ボラセンで若い人を多く見たが、学生ボランティアなのかと聞くと、この時期は学生ではなく一般の人が多いと。このグループも学生はいないようだ。出身地は栃木や三重、神奈川、広島等様々であり、年齢も見た感じ二十代から六十代くらいまでと幅広い。

 午後からはテントの中でワカメを切り分ける作業(写真4.5)。漁師さんは話し好きだ。どこでも誰でも同じだが、特に若い女性を相手に他愛もない事を話すのは癒される。グループには三人の若い女性がいるのだが、そのうちの一人は常連さんで随分と親しいようだ。もちろん漁の話もふんだんである。太平洋の海原を舞台にした人間と魚の戦いという豪快な男の物語だ。そして津波の事。津波がどこまでやって来たか(写真6 津波は高い場所の民家まで襲った)、尋ねれば年配の方は昔むかしのチリ地震の事さえも伝承してくれた。さらにむかしの事は石碑にも刻んである。そんな津波に対する意識が高いはずの地域であり人達である。それなのになぜ。そんな常識を覆すくらいの大きなものがやって来たという事に他ならない。それは人知を超えたものだったと容易に想像できる。午後からの作業は、漁師さんの講演会と懇親会であり、あっという間に時が過ぎ去った。

 作業は三時過ぎに終了する。午前に魚の天ぷらをいただき、帰りには袋一杯のワカメのお土産である。そんなに役に立ったとは思えないので、申し訳がない気持ちもある。ボラセンで「明日もされますか?」と問われるも、予定通り、一日だけのお務めとする。「来る者は拒まず」だが、「去る者も追わず」。飾らない対応も、最後には好感が持てるものに変化していた。

 ボランティアを終え、ふうちゃんは、満足そうな表情で何度も「これで思い残す事はない」と呟く。じわり、普通のボランティアとは違うものがこみ上げてくる。未曾有の災害を乗り越えてきた人々とほんのわずかだが関わりあえ、同じ日本人として逞しく明るく前向きに生きる事の尊さを教えてもらった喜びをかみしめる。多くの芸能人や知識人らがテレビ等で口をそろえて言う「何かをした」のではない、逆に「何かをもらった」という感覚である。なるほど、これなのか。それは、津波の事を忘れないでという東北の人々の本当に貴重なメッセージである。 (つづく)

同行者
友人
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
レンタカー JALグループ
旅行の手配内容
個別手配

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