運河を利用した富山の都市計画：富岩運河環水公園　出張　in 富山　2011.10 vol.3

2011/10/21 - 2011/10/21

富山駅から歩いて10分程度のところに昔使用された運河を利用して公園が整備されています。晴れていると立山連峰も見えます。電車の乗継時にも訪れることもでき、ちょっとした穴場ではないかなと思います。

この運河は富岩運河と呼ばれ、富山と外港である岩瀬を結ぶ総延長5.1kmあります。そして富山の都市形成の歴史と密接な関係があります。


富山市街の中心部にある富山城は別名を浮城と呼ばれています。その理由は神通川に隣接し、対岸から見ると川に浮いている様に見えたからだそうです。ところが現在の富山城は神通川からかなり離れたい位置に建っています。この理由は神通川の河道の付け替え工事によります。

明治時代以前の神通川は富山市の中心部に向かって大きく蛇行していました。このため、度々洪水に悩まされていたそうです。そこで、オランダ人技師ヨハネス・デ・レーケの提案で新しい河道を作ることになり、約20年後に新しい河道が本流になりました。

旧河道は富山市の中心市街（総曲輪付近）と富山駅周辺を分断する様に取り残されたままとなり都市をの発展を妨げていました。そこで、以下の計画が持ち上がりました。


１.富岩運河を新設し、沿川に工場を誘致。
２.運河を掘った土砂で神通川の跡地を埋め立てて、新市街地を整備。
３.残る土砂で東岩瀬港の岸壁、埠頭用地を整備。

神通川の旧河道を埋め立てるのに遠方から土砂を運ばずに、運河掘削時に排出される土砂を使用するというアイディアでした。そしてこの計画は見事に実行され、富山の中心市街地の活性化と工業化に寄与しました。

かつての神通川の名残は桜の名称でもある「松川」として残っています。地図を見ると神通川の昔の流れを知ることが出来ます。そして、このときに埋め立てられた土地には高校や県庁・市役所などといった大型の建造物が立てられています。


その後、物資輸送が水運から陸運に代わり、運河の役割を終えた富岩運河は水質悪化などもあり、埋め立てられ道路にされる計画も持ち上がりましたが、今は市民の憩いの場として公園に整備されています。

運河ではクルーズ船も運航しているそうです。

エリア 富山市(富山)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 徒歩

富山駅北口から歩いて10分ほどのところに運河を利用した富岩運河環水公園があります。

普段は人が少なく、散歩で訪れる人を疎らに見かけました。遠方に見える構造物は「天門橋」です。この公園は富岩運河の一番奥（富山市の中心部より）にあります。昔の運河（小樽運河などと比べて）にしてはかなり広いなという印象です。

写真の建物はサンフォルテという公共施設。

公園内は結構広く、芝生のエリアもあります。

歩道が板張りになっているので、港の桟橋にいる様な感じです。

カモメでしょうか。鳥が飛んでました。

天門橋
この橋の両側には展望塔があり、長さ58m赤い糸電話で繋がっているそうです。告白をするときに使うカップルもいるのだとか。

公園内の案内板

遠方には立山連峰が見えます。中央の山は剱岳です。

スターバックスの店舗
スターバックスが都市公園内に出展したのは、この店舗が国内初だそうです。後ろに見えるのは富山の民放の北日本放送（日テレ系列）の建物です。

鴨が水の上を泳いでました。

かつては、周辺からの協業用水などで水質悪化し、埋め立て計画もあった富岩運河ですが、歴史的な文化価値としても、都市景観としても残されたことはとても良かったと思います。