アランヤプラテート旅行記(ブログ) 一覧に戻る
順番が逆になったが、今年(2012年)のお正月バンコクを旅行した際、「戦勝記念塔」=「&#3629;&#3609;&#3640;&#3626;&#3634;&#3623;&#3619;&#3637;&#3618;&#3660;&#3594;&#3633;&#3618;&#3626;&#3617;&#3619;&#3616;&#3641;&#3617;&#3636;」(アヌサワリ―)の前を通ったが、この戦勝を記念する塔は、今まさにこの場所、アランヤプラテートのカンボジアとの国境線、当時はフランス植民地であったが、そのフランスとの戦いにタイが勝利し、1941年、バンコクの今の場所に建設されたものだった。<br /><br />第2次世界大戦が連合国の勝利で終わり、当時タイは中立国の立場ではあったが、大東亜共栄圏の国際会議参加国であり、やや日本軍に肩入れしていたきらいもあって、1940年に自国領土としたこの辺りの国土を再度フランスに返還せざるを得なかった。<br /><br />戦後、カンボジア、ラオスがフランス植民地から独立したが、ラオスとの間の国境紛争はないものの、カンボジアとはこのアランの地で、永らく紛争状態が継続している。それが数年前、カンボジア政府はタイに相談もせず、このアランの遺跡をユネスコの国際遺産に登録したが、結果、タイの国軍に火をつけ、新たな戦闘が激化した。<br /><br />ここへ来るまでの事前の認識は、山の上にあるアランの遺跡自体はタイ領にあるが、そこへ行くには、一旦カンボジアに入国し、カンボジア側から登らなければならない、とのことだった。そこで昨日はポイぺトの町で、アランへ行く方法を聞いたが、皆、「タイだ」、「タイだ」と言うので、ではいつの間にか国境紛争も解決し、今はタイ側から登れるようになったのかと、昨日はこの町へ来たのだった、<br /><br />プノンペンで持ち金全てを盗難され、リュックの底に隠しておいた2万円で、漸くタイまで戻ったが、後はバンコクへ戻るだけ。バンコクまで行けば預けてあるスーツケースに現金もあるしカードもある。漸く安心できて、昨日は遺跡までのツクツクを300B、約1000円で予約し、今朝8時にホテルに迎いに来ることになっている。<br /><br />昨日面接したツクツクの運転手は真面目そうな初老の男で、8時前からホテルに横付けし、約8キロ先の遺跡に向かう。郊外の田園地帯を走り抜け、小高い山の麓に来て、ここがそうだ、という。世界遺産にしては何の宣伝もないし、解説版も立っていない。・・何かおかしな感じがしたが、ここがアランの遺跡だと言われる以上、そう信じるしかない。<br /><br />かなり長い石段が山の上まで続いている。運転手も案内がてら一緒に付いてくる。如何にも純朴そうなタイ人だ。山の上に登ると、切り開かれた大地になっていて、仏塔が3つ程立っている。煉瓦焼の仏塔で、如何にも古そうだ。形は以前カンボジアのサンボー遺跡、これはコンポントムの先のアツ村を通り越した更にその先にある「サンボー遺跡」で見た塔と形が似ている。解説を読むと7世紀頃の遺跡とある。確かサンボーも7−8世紀だった。<br /><br />・・当時はこの辺りもクメール王国の版図だったのか・・。いつか見たピマーイの遺跡も、コラートの直ぐ近くにあったが、あそこはクメール帝国の副都だった場所。こうしてみるとタイの半分以上はかってはクメール(カンボジア)の領土だったのだ。今、僅かな領土線の争いで、両国が争ってはいるが、元々はインドシナ、民族が入り交り、混交し、歴史も交差しているのだ。<br /><br />この場所が国際遺産に登録された「アランヤプラテート」の遺跡かどうかは分からない。多分違うだろう。だがこうして山の上から遥かに広がるタイの地平線を見ていると、人間の争いの小ささを感ずるのだった。

アジアハイウェイの源流を訪ねて(140)アランヤプラテートの遺跡へ。

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2010/12/24 - 2011/01/08

54位(同エリア62件中)

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ちゃお

ちゃおさん

順番が逆になったが、今年(2012年)のお正月バンコクを旅行した際、「戦勝記念塔」=「อนุสาวรีย์ชัยสมรภูมิ」(アヌサワリ―)の前を通ったが、この戦勝を記念する塔は、今まさにこの場所、アランヤプラテートのカンボジアとの国境線、当時はフランス植民地であったが、そのフランスとの戦いにタイが勝利し、1941年、バンコクの今の場所に建設されたものだった。

第2次世界大戦が連合国の勝利で終わり、当時タイは中立国の立場ではあったが、大東亜共栄圏の国際会議参加国であり、やや日本軍に肩入れしていたきらいもあって、1940年に自国領土としたこの辺りの国土を再度フランスに返還せざるを得なかった。

戦後、カンボジア、ラオスがフランス植民地から独立したが、ラオスとの間の国境紛争はないものの、カンボジアとはこのアランの地で、永らく紛争状態が継続している。それが数年前、カンボジア政府はタイに相談もせず、このアランの遺跡をユネスコの国際遺産に登録したが、結果、タイの国軍に火をつけ、新たな戦闘が激化した。

ここへ来るまでの事前の認識は、山の上にあるアランの遺跡自体はタイ領にあるが、そこへ行くには、一旦カンボジアに入国し、カンボジア側から登らなければならない、とのことだった。そこで昨日はポイぺトの町で、アランへ行く方法を聞いたが、皆、「タイだ」、「タイだ」と言うので、ではいつの間にか国境紛争も解決し、今はタイ側から登れるようになったのかと、昨日はこの町へ来たのだった、

プノンペンで持ち金全てを盗難され、リュックの底に隠しておいた2万円で、漸くタイまで戻ったが、後はバンコクへ戻るだけ。バンコクまで行けば預けてあるスーツケースに現金もあるしカードもある。漸く安心できて、昨日は遺跡までのツクツクを300B、約1000円で予約し、今朝8時にホテルに迎いに来ることになっている。

昨日面接したツクツクの運転手は真面目そうな初老の男で、8時前からホテルに横付けし、約8キロ先の遺跡に向かう。郊外の田園地帯を走り抜け、小高い山の麓に来て、ここがそうだ、という。世界遺産にしては何の宣伝もないし、解説版も立っていない。・・何かおかしな感じがしたが、ここがアランの遺跡だと言われる以上、そう信じるしかない。

かなり長い石段が山の上まで続いている。運転手も案内がてら一緒に付いてくる。如何にも純朴そうなタイ人だ。山の上に登ると、切り開かれた大地になっていて、仏塔が3つ程立っている。煉瓦焼の仏塔で、如何にも古そうだ。形は以前カンボジアのサンボー遺跡、これはコンポントムの先のアツ村を通り越した更にその先にある「サンボー遺跡」で見た塔と形が似ている。解説を読むと7世紀頃の遺跡とある。確かサンボーも7−8世紀だった。

・・当時はこの辺りもクメール王国の版図だったのか・・。いつか見たピマーイの遺跡も、コラートの直ぐ近くにあったが、あそこはクメール帝国の副都だった場所。こうしてみるとタイの半分以上はかってはクメール(カンボジア)の領土だったのだ。今、僅かな領土線の争いで、両国が争ってはいるが、元々はインドシナ、民族が入り交り、混交し、歴史も交差しているのだ。

この場所が国際遺産に登録された「アランヤプラテート」の遺跡かどうかは分からない。多分違うだろう。だがこうして山の上から遥かに広がるタイの地平線を見ていると、人間の争いの小ささを感ずるのだった。

旅行の満足度
4.0

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  • 今日アランの遺跡を案内してくれる運転手。

    今日アランの遺跡を案内してくれる運転手。

  • 郊外の田園地帯を15分程走り、遺跡の山の麓に着く。

    郊外の田園地帯を15分程走り、遺跡の山の麓に着く。

  • 山の頂上に向かって石段がついていた。

    山の頂上に向かって石段がついていた。

  • 石段の横にはこんな案内パネルもある。

    石段の横にはこんな案内パネルもある。

  • 10分程登ると平坦な山頂に出る。中央に仏塔が見える。

    10分程登ると平坦な山頂に出る。中央に仏塔が見える。

  • カンボジアのサンボー遺跡で見たのと同じような感じの仏塔だ。

    カンボジアのサンボー遺跡で見たのと同じような感じの仏塔だ。

  • 案内文を読むと8世紀のサンボー(Sombor Prei Kuk)様式と出ている。確かにこの尖った形はサンボーに似ている。

    案内文を読むと8世紀のサンボー(Sombor Prei Kuk)様式と出ている。確かにこの尖った形はサンボーに似ている。

  • 仏塔の前で記念撮影。

    仏塔の前で記念撮影。

  • 塔の中には仏が安置されていた。

    塔の中には仏が安置されていた。

  • こんな無人の誰も居ない山の中でも、仏、骨董品を盗む人は誰もいない。

    こんな無人の誰も居ない山の中でも、仏、骨董品を盗む人は誰もいない。

  • 時々は誰かがやってくるのか、捧げ物が仏塔の前に残されていた。

    時々は誰かがやってくるのか、捧げ物が仏塔の前に残されていた。

  • 仏塔の前からアランの平原を眺める。

    仏塔の前からアランの平原を眺める。

  • カンボジアとの国境、ポイぺトの辺りか・・

    カンボジアとの国境、ポイぺトの辺りか・・

  • アランの町が眼下に見える。携帯は今ではタイ人の必需品。皆誰でも持っている。武器の代わりに携帯の方が似合っている。

    アランの町が眼下に見える。携帯は今ではタイ人の必需品。皆誰でも持っている。武器の代わりに携帯の方が似合っている。

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