2004/05/02 - 2004/05/02
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M-koku1さん
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ワルシャワから帰国する前に、一日延泊して、日帰りでアウシュビッツへ行く計画を立てました。小学校の頃、筑摩書房の世界ノンフィクション全集「アウシュビッツの5本の煙突」を読んで以来、深く心に残った地名だったからです。オルカレンゲルという女性が書いた物で、ドイツ兵の隊列の中を裸で歩かされる女性の写真が強烈に印象に残りました。家族でアウシュヴィッツに連行される途中の貨物列車の話、着いた途端に左右に選別される折、助けたい一心で思わず息子を12歳以下と偽り、結果としてガス室に直行させてしまった話、あまりにお腹が空いているユダヤ人にとっては、使い捨てられた歯磨きの残りが、贅沢なご馳走だった話、等々、本当に辛いことばかりが書いてあり、現実に起こったこととはとても信じられませんでした。行ってみたいような行きたくないような、屈折した気持ちを持っていましたが、再訪する機会もきっとないと思って、思い切って足を伸ばしました。中に入ってやがて写真の手を止めることになる、暗い思い出の場所です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 航空会社
- オーストリア航空
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
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-
時は春。花が一斉に咲いて、それはきれいな時期のポーランドでした。
ワルシャワ駅のすぐ前にあるマリオットホテルに泊まっていたので、個人ツアーをアレンジしてもらいました。 -
朝7時の列車に乗って、クラクフ迄一人で行くように指示されました。
車内で、飛行機同様お飲み物のサービス(コーヒー)がありました。
クラクフのホームには、私の名前を書いたプレートを持ったガイドさんが待ち構えていました。彼女の運転で助手席に乗って、一路アウシュビッツへ。
普通の自家用車だったので、ちょっとビックリ。
アウシュビッツへ着くと、収容所内ツアーに登録されており、そのツアーに放りこまれた感じ。
20人ぐらいの集団として有名な門をくぐって収容所の中へ。
この頃はまだ観光気分。 -
第一印象は、写真で見ていた家畜小屋のような建物ではなく、立派なレンガ造りの建物が並んでおり、
「え〜 なんだ、いいところに入れられていたんじゃない!」と
思いました。
なんたって日本の昭和時代の木造家屋と比べてしまえば
遥かにガッチリと良くできていますから・・・ -
監視所でしょう。
映画でよく見る風景ですね。
向こうとこちらを分ける
自由な私達には実際あまり実感できない
命を分ける塀。 -
そんな怖そうな物を目にしても、
このあたりでは
相変わらず観光気分…
物珍しいものを見ているという
態度でした。
何しろ空は青く、ポカポカと、とてもいい日でしたし。 -
そして突然ガス室前の写真に飛びます。
何があったかというと、
前の写真の立派な2階建ての収容棟の中が博物館になっており、
中でショックを受け、
写真を撮るということが、不謹慎以外の何物でもない気分になってしまったからです。
カメラを構えるのはやめました。
刈り取られた髪の毛の山、めがねの山、取り上げられたトランクの山、髪の毛を繊維として織り上げたナチスの制服、義歯、義手、みんなみんな本物で、ガラスの向こうに膨大な数が並べられていました。
制服なんて、よく見ると髪の毛がスーッと一本長く伸びていて…
毎日長時間の強制重労働の後3人も詰め込まれたという、70センチ四方くらいのスペースしかない立ち牢や飢餓室等々の残酷な空間…
死のブロック11号棟
(昔のまま残されています)
10号棟と11号棟の間にある銃殺用の[死の壁」
そして残っている 独特のにおい…
あちらにも こちらにも
漂っているあの匂い -
ガス室の中に入って感じた圧迫感
人々を焼却したというオーブンも残っていました。
天井についているシャワーを見て
知らずに入っていって、無念の死を迎えた数々の人々の魂が
残っているような恐怖を感じました。
来るんじゃなかった・・・ と後悔する一方で、
自分の娘や、若い人たちには
是非、一度だけでいいので、訪れてほしいと思いました。 -
イチオシ
収容所長が絞殺された場所を最後に見て
またガイドさんの車で
第二アウシュビッツへ。
ビルケナウです。
アウシュビッツから2キロほど離れています。
アウシュビッツというとこの「死の門」と呼ばれる建物なので、
見た途端、
ああ、来たなあ〜 と
感慨深いものがありました。 -
[死の門]の上には昇れるようになっています。人数で切っているのか、グループで区切っているのかわかりませんが、とにかく狭いので、順番にあがっていきました。
これが死の門の上から見た引き込み線です。
ここで、右に、左にと選別されていったのでしょうか… -
1.75k?の敷地内に300棟以上のバラックが並んでいたそうです。
今でも左側奥に写っている様に、きちんと保存されています。
これが家畜小屋を利用した収容棟だったんですね。 -
一見平和そうなこの空き地が
かつて多くの人の命を奪ったというのは
歴史的事実です。
何もないところに忽然と現れたこの収容所。
ロンドン時代の隣人アブラムさんは、
少年時代、こんなところに閉じ込められ、
そして生を求めて、必死の逃亡をはかったんでしょう。
どこの村まで走っていったのか…
アブラムさんに関しては、2008年1月の
「ヨーロッパに深く刻まれるユダヤ人の傷跡ー帝国戦争博物館」を
ご覧ください。
http://4travel.jp/overseas/area/europe/united_kingdom/london/travelogue/10219156/ -
ビルケナウのガス室は、
ドイツ軍が撤退する時に破壊していったそうです。
一つも残っていません。
ペチャンコになった廃墟を前にして… -
国際慰霊碑。
周囲には400万個の石が敷き詰められている。
ここで命を奪われた人々の数と同じだそうです。
「死の門」から遠く離れたところにあるので
歩く場合はそのおつもりで。 -
クラクフにガイドさんの車で戻り、
旧市街地、ヴァヴェル城、聖マリア教会
そしてこの写真の中央市場広場へ。
この町は第二次世界大戦で戦火を逃れているので、
本当に見事でした。
また前のパパ様の出身地でもあります。
中央市場で娘にお土産のミニチュアバイオリンを買い、
クラクフ中央駅まで送ってもらいました。
そうそう、シンドラーの工場跡にもお願いして連れて行ってもらいました。
建物がまだ残っていました。
列車でワルシャワに戻ったのはもう夜でした。
多分一生忘れられない一日になったと思います。
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この旅行記へのコメント (6)
-
- mistralさん 2018/04/29 13:44:13
- アウシュヴィッツを見学して。
- M-koku1さん
mistralと申します。
ベルリンの旅行記へ投票いただき
メッセージもありがとうございました。
沢山の旅行記の中で、
ハシビロコウ、私も大好きですが、
どこにも心惹かれながら
アウシュヴィッツの旅行記にやっとたどり着きました。
隣家の方が収容所からご生還されていたとのことで
そういったご縁?もあり、
ワルシャワからの日帰りでの旅だったんですね。
私は、やはり生還者である精神科医、フランクル氏の
本を読み、ポーランド訪問の折にはクラクフに、
そしてアウシュヴィッツへ、と考えていました。
その延長線にベルリンがあったように思います。
ベルリンの旅行記の中で
分断されるに至った歴史に触れたい!
それは取りも直さず、私自身が学ばないと書けないこと
でもありましたので、あれやこれや調べながらでしたが
やっと一編が終わったのでした。
くどい!旅行記にご投票頂きまして
ありがとうございました。
強制収容所は、特に若い方々に一度は見学してほしい場所と
私も思いました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
mistral
- M-koku1さん からの返信 2018/05/01 18:51:48
- RE: アウシュヴィッツを見学して。
- Mistral さん
書き込み有難うございました
Mistralさんの 深〜い内容の旅行記とは
比べ物にならないので 恐縮です
正直 簡単に受け入れられる内容ではなかったから
なかなか 書けなかったし
また 写真自体 撮ることができないほど ショックを受けたので
旅行記にはならない量のものしか残りませんでした
あまり 参考になる旅行記では ないんですよね
Mistralさんには 頭が下がります
> 強制収容所は、特に若い方々に一度は見学してほしい場所と
> 私も思いました。
>
> 今後ともどうぞよろしくお願い致します。
>
> mistral
本当ですよね
若い旅行者に 訪問してほしいです
もう一つの お隣さん関係の 旅行記は
以下のものです
https://4travel.jp/travelogue/10219156
お時間のある時にどうぞ
Mより
-
- ガブリエラさん 2014/05/11 06:56:15
- 一度は、行ったほうがいいですよね。
- M-koku1さん☆
おはようございます。
M-koku1さんも、アウシュヴィッツに行かれてたんですね。
私も、去年の10月に行きましたが、行く前から怖くて怖くて・・・
実は、ずっと「いきたくない」と思っていました。
ツアーだったので、周りの方々が「大丈夫、一緒だから!」と言って下さり入ったのですが、最初から涙、涙で・・・。
でも、行ってよかったと思います。
命の尊さとか、戦争がいかに残酷なものであるか、考える事ってそう無いこの時代。
平和な世の中を保つために、努力しないといけませんよね!
ガブ(^_^)v
- M-koku1さん からの返信 2014/05/22 23:08:32
- RE: 一度は、行ったほうがいいですよね。
- ガブリエラさん
>
> M-koku1さんも、アウシュヴィッツに行かれてたんですね。
> 私も、去年の10月に行きましたが、行く前から怖くて怖くて・・・
> 実は、ずっと「いきたくない」と思っていました。
私は軽薄なので、興味津々で、怖いだろうなんて思ってもみなかったのです。
実は歴史書も読み漁り、写真入りのノンフィクションも色々読んでいました。
だから、きっとそんなに怖いと思わないだろうと思っていました。
>
> ツアーだったので、周りの方々が「大丈夫、一緒だから!」と言って下さり入ったのですが、最初から涙、涙で・・・。
わかります、それ。
ほんとにあの雰囲気、身の毛がよだちますね。
涙というよりも、私の場合、吐き気でした。
受け入れきれない残酷な情報が、一斉に襲ってくるような…
> でも、行ってよかったと思います。
> 命の尊さとか、戦争がいかに残酷なものであるか、考える事ってそう無いこの時代。
> 平和な世の中を保つために、努力しないといけませんよね!
本当ですね。
戦争は嫌です。
絶対に耐え切れません。
平和を強く願っています。
>
> ガブ(^_^)v
ではまた Mより
-
- 潮来メジロさん 2012/01/26 01:02:17
- 訪問回数100回目、ありがとうございました。ヾ(^o^)
- M-koku1さん、こんばんは! ヾ(^o^)
毎度、訪問&投票ありがとうございました。
昨日、M-koku1さんの訪問回数が、ちょうど100回目となっておりました。
拙いブログなのに、度々お越し戴き、ありがとうございました。
> 刈り取られた髪の毛の山、めがねの山、取り上げられたトランクの山、髪
> の毛を繊維として織り上げたナチスの制服、義歯、義手、みんなみんな本
> 物で、ガラスの向こうに膨大な数が並べられていました。
>
> 制服なんて、よく見ると髪の毛がスーッと一本長く伸びていて…
>
> 毎日長時間の強制重労働の後3人も詰め込まれたという、70センチ四方く
> らいのスペースしかない立ち牢や飢餓室等々の残酷な空間…
>
> 死のブロック11号棟
> (昔のまま残されています)
>
> 10号棟と11号棟の間にある銃殺用の[死の壁」
>
> そして残っている 独特のにおい…
>
> あちらにも こちらにも
> 漂っているあの匂い
本や映画では断片的に見聞きしましたが、直接その現場に立つと一層身がしまる思いがするのでしょうね。
今でも臭いが残っているのですか・・・。(@。@)
漂っているあの匂い・・・というのは、どんな匂いなんでしょうか。
よく死臭というけれど、実感としてわかりません。
腐った魚の臭い? それとも・・・???。
なかなか、言葉では表現できないのでしょうね。
アウシュビッツや、関東軍731部隊の人体実験、広島や長崎の原爆地獄・・・。
狂った20世紀の出来事ですが、今でも独裁や偏見、憎悪による殺戮がなくならない現実・・・。やりきれないですね。
地球上に、真の平和はいつ訪れるのでしょうか?
気の重くなるテーマですね。
でも、久しぶり?に、深刻に考えたひと時でした。
ではまた・・・。(^o^)/~~~
(潮来メジロ)
- M-koku1さん からの返信 2012/01/26 19:58:22
- RE: 訪問回数100回目、ありがとうございました。ヾ(^o^)
- 潮来メジロさん
お久しぶりです。
> M-koku1さん、こんばんは! ヾ(^o^)
> 毎度、訪問&投票ありがとうございました。
> 昨日、M-koku1さんの訪問回数が、ちょうど100回目となっておりました。
そうですか、まだ100回でしたか・・・
潮来メジロさんの深い鳥の知識と
写真にひかれて、ついお邪魔してしまいます。
> > 制服なんて、よく見ると髪の毛がスーッと一本長く伸びていて…
ただ毛髪を繊維代わりに織った布で作った制服というだけなら
あまり怖くなかったかもしれませんが、
ほつれた糸をよく見ると、髪の毛そのものだったので
その時から、しまった・・・ 見ちゃいけない物を見てしまった
と、とても重い気分に陥りました。
旅行記を今頃書いているのも、
ショックが大きくて、しばらくふれたくなかったからです。
匂いですが、生臭さとかじゃありません。
嗅いだことのない、カビと埃の匂いに、
何ともいえないすえたような匂いが混じっていました。
ペットのオカメインコが醸し出す
日向の草のような健康ないい匂いとは究極に反対の匂いでした。
ハリーの羽の中には鼻を押し付けて
クンクン嗅いじゃうんですけれどね・・・
> 狂った20世紀の出来事ですが、今でも独裁や偏見、憎悪による殺戮がなくならない現実・・・。やりきれないですね。
>
> 地球上に、真の平和はいつ訪れるのでしょうか?
> 気の重くなるテーマですね。
>
> でも、久しぶり?に、深刻に考えたひと時でした。
>
> ではまた・・・。(^o^)/~~~
> (潮来メジロ)
21世紀は平和な世界になると思ったのに、
人間の「さが」でしょうね、
確かに重くて悲しいテーマです。
P.S.今日後楽園の庭できれいな鷺を見ました。
M
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