2011/12/28 - 2011/12/30
87位(同エリア483件中)
ニッキーさん
3日目は広島から東へ移動、生口島(いくちじま)にある耕三寺(こうさんじ)と尾道タウンエリアへ。本旅行記はその前半、耕三寺編です。
当初は尾道タウンエリアだけ観光するつもりでした。ところが「3日目は尾道へ行くつもり」と両親に旅程を話したところ、「それなら耕三寺へ寄ればいい」と母。実は尾道には伯母が住んでいて、その伯母が以前、「観光なら耕三寺が一番」と言っていたと。伯母の勧めで、昔、両親も訪れたと言います。
問題は立ち寄る時間があるかどうか。
耕三寺は瀬戸内海の生口島の瀬戸田(せとだ)という所にあります。尾道タウンエリアはぜひ行ってみたいと思っていた場所なので外せませんし、最終日なので、夕方には広島へ戻って新幹線に乗らなければなりません。あれこれ調べているうちに、三原港から生口島の瀬戸田港まで高速船が出ていることを発見しました。広島からは、尾道経由で行くより三原経由で行った方がずっと時間短縮になります。耕三寺へ立ち寄る分、尾道タウンエリアの観光は駆け足になりますが、なんとか両方行けそう。
尾道の伯母が「一番」だと言う耕三寺。果たして今度の旅行で最も驚いたのがこの耕三寺(こうさんじ)でした。
耕三寺は、特殊鋼管会社経営で成功した耕三寺耕三(法名)氏が母の菩提追悼のために建てたお寺です。有名建築をお手本にして堂塔を建てたということは知っていたのですが、「個人が作ったもの。せいぜい頑張ってもできることは知れているだろう」と見くびっていました。よくありますよね、趣味で自宅に天守を建てたりする例が。
行ってみると、予想を超える数の伽藍。国宝の有名どころを思わせる建物の数々。それもオリジナルより数段派手です。パクリの寄せ集めだと思っていた私の予想はいい意味で裏切られました。有名寺院を原型にしても、ここまで本格的にやるなら称賛ものです。度肝を抜かれました。歴史こそまだ浅いお寺ですが、こんなすごいお寺があったなんて知りませんでした。
それにしてもお母さんの弔いのためにこんなお寺を建ててしまうなんて、耕三寺耕三さんはどんな親孝行者なんでしょう?事業で儲けたと言っても、いったいお金はどのぐらいかかったのか?
はてなマークがいっぱいの耕三寺でしたが、見応え十分。写真の数も多くなってしまいました。
旅行のスケジュール
1日目 12月28日(水) 広島市内
原爆ドーム
平和記念公園
平和記念資料館
夕方 宮島へ
屋形船でナイトクルーズ
宮島泊
2日目 12月29日(木) 宮島
ロープウェーで獅子岩展望台
大聖院
千畳閣と五重塔
厳島神社
午後 岩国へ
錦帯橋
吉香公園
夜 広島へ
ドリミネーション
広島泊
3日目 12月30日(金)★JRで三原へ、高速船で瀬戸田港へ
★耕三寺(こうさんじ)
★船で尾道港へ
千光寺など
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朝、ホテルをチェックアウト。
ホテルで荷物を預かってもらい、尾道へ日帰りします。
駅地下でパンを買ってホームで食べました。
本当はカフェでモーニング・セットでも食べてみたかったけれど、朝早い電車に乗りたいので、食べてる時間がありません。
JR山陽本線、7時45分発で三原まで行きます。これに乗らないと生口島(いくちじま)の瀬戸田(せとだ)港へ行く高速船に間に合わないんです。
三原まではミニぐるりんパスが使えます。長距離で運賃も高いので、ここでしっかりパスの元が取れました。 -
1時間15分ほど電車に乗って9時前に三原着。
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まだひと気のないマリンロードを歩いて三原港へ向かいます。
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三原駅から三原港までは歩いて10分ほど。
9時30分発の高速船に乗ります。
生口島の瀬戸田港まで料金は800円。三原駅 駅
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ほうらい汽船の高速船、ニューホウライ。
瀬戸田港までノンストップ、25分ぐらいで行きます。
待合室に20歳ぐらいの若者2人連れがいました。そこへおじいさんおばあさんが船で迎えに来て「大きくなったね、よく来たね」って。何年かぶりに再開して、これから一緒に瀬戸田へ連れて帰るみたいでした。お正月を一緒に過ごすのでしょうね。親族再会のシーンを見て温かい気持ちになりました。
私たちは今回、尾道の伯母の家には寄りません。伯母の家は尾道からまだかなり山の方へ行かなければならないし、代替わりもしているからです。 -
高速船は快調に走ります。
生口島(いくちじま)と高根島との間に架かる高根大橋の下をくぐると、ほどなく瀬戸田港に到着です。 -
瀬戸田(せとだ)の町。
しおまち商店街を歩いて耕三寺へ。
瀬戸田は平成の大合併により、今は尾道市になっています。見どころとしてはいくつかありますが、港から歩いて行ける範囲では、耕三寺のほかに平山郁夫美術館があります。平山郁夫さんはここ瀬戸田の旧家に生まれ、幼い頃から瀬戸内の島々を眺めて育ち、日本を代表する画家になったのです。
平山郁夫さんの絵は好きですが、今日は平山郁夫美術館へ行く時間がありません。残念。そういえば、平山郁夫さんは私たちが訪れた厳島神社の絵も描いてたなー。私が廻廊から大鳥居を撮った写真と同じアングルの絵があったのを思い出します。 -
10分ほど歩くと、派手な門構えのお寺が見えて来ました。
それが目指す耕三寺(こうさんじ)でした。 -
ずいぶん派手な門ですが、京都御所、紫宸殿の白木造りの門と同じ様式なのだそうです。
こちらは白木ではなく、鋼鉄でできていて朱を塗り込んでいます。
はて?京都御所にこんな門あったっけ。 -
耕三寺は、大阪で特殊鋼管製造で成功した耕三寺耕三氏がお母さま亡き後、僧籍に入り、お母さまの菩提を弔うため1936年から35年の月日をかけて建立した浄土真宗本願寺派のお寺です。
母親のためにお寺を建ててしまうなんて、単に孝行息子の一言では片づけられません。よほどの信念があったのでしょうね。
それにしても、ド派手です。
あまりの派手さに、これはエラいお寺に来てしまったんじゃないかとこの時は思ったのですが・・・。
見て行くにつれ徐々に感銘を受け、感想も変わって行くことになります。 -
山門に続く中門は法隆寺の中門をモデルにしていて、エンタシス、人形割束(ひとがたわりづか)の欄干、卍くずしなど、飛鳥時代の建築様式を再現しています。
確かに色は派手だけど、形はそっくり。法隆寺の西院伽藍の中門は何度も見たことがありますが、色が違うとずいぶん印象が変わるものですね。 -
法隆寺では中門の左右に金剛力士像がありますが、ここでは別の仏さま。
こんな風に、ここの堂塔は有名なお寺を手本にして建てられていますが、極楽浄土を再現するため華やかな極彩色に塗られていて、耕三寺の独自性を出しています。 -
入った所に受付があり、チケットを買います。1200円。WEB割引クーポンを印刷して持って行きました。クーポンがあると1100円。
受付でスタンプラリーの用紙をくれました。
こういうの、やりながら回った方が絶対に楽しいと思います。
結果的にスタンプラリーをやって良かったです。スタンプを押すために、普段なら行かないところも回れたから。スルーしてしまいそうな所がちゃんとスタンプラリーに組み込まれているんです。
最初のポイントはここ、境内入口。
スタンプを押します。
階段の上にすごいものが見えます。五重塔。
すごい。これを個人が建てたなんて・・・。 -
びっくり。
モデルとなったのは、室生寺の五重塔。
室生寺へも行ったことがありますが、室生寺の塔の檜皮葺に対してこちらは屋根を銅板葺にし、彩色を施して耕三寺らしさを出しています。
お母様の納骨堂だそうです。
それにしてもここまでやるとは並々ならぬ親孝行。
これは本気で見てかからねば。
心柱(しんばしら)は木材ではなく1.5トンの鋼管を用いているのだとか。耕三寺耕三氏本人が鋼管を作る会社で財を成した人ですからね。 -
耕三寺の境内は上、中、下の三段に分かれています。
入口のある所が下段で五重塔のある所が中段、本殿は上段にあります。
中段から入口のある下段を見下ろしたのがこの写真。
中門の左右には回廊が伸びています。
高い建物は鐘楼。新薬師寺の鐘楼を見本にしたものだとか。 -
こちらは法宝蔵(近代美術展示館)。
この建物は大阪の四天王寺の金堂を原型として造ったそうです。
内部は独自にアレンジされ、耕三寺耕三氏が収集した近代美術のコレクションが展示されています。 -
法宝蔵を横から見る。
写真は省きますが、実はもう一つ、まったく同じ建物が五重塔をはさんで左右対称の位置に建っています。
そちらは僧宝蔵(茶道美術展示館)です。 -
もう一段上に立派な門が見えます。
これが噂の門、孝養門です。
有名な日光東照宮の陽明門を参考に造ったという門です。
耕三寺氏が文部省に一組だけあった図面を入手、10年かけて造ったものだそうです。耕三寺の堂塔の中で唯一、実測図を基に再現した建物です。
では、階段を上がってみます。 -
木組み、寸法などは東照宮の陽明門と同じ。
彫刻、金具、彩色は耕三寺独特のものとなっています。 -
左右には仏像。
柱の浮き彫りも耕三寺独自のもの。 -
イチオシ
孝養門を奥から振り返って見た様子。
東照宮陽明門と同じ図面から造られた兄弟門。
これはこれで素晴らしい。
ここまでやられると、不思議な感動すら覚えます。
これは個人の道楽の域を超えているでしょう。
本気も本気。信念で造ったお寺なのでしょう。
歴史は浅いけれど、技術的にも芸術的にも貴重な建物なんじゃないでしょうか?
国の登録有形文化財は歴史上、芸術上、学術上価値の高いものが登録されます。耕三寺の建物も特殊性が評価され、15棟が国の登録有形文化財の指定を受けています。でも、この孝養門と五重塔は登録対象外となっています。理由はこの二つが戦後の建物だからだということです。 -
孝養門の前には人口の池。
左右には極彩色の回廊が続いています。 -
かなり派手です。
極楽浄土を再現するために華やかにしているそうです。 -
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回廊の右手に至心殿。
写真は省きますが、左手、左右対称の位置には信楽殿。
いずれも京都、法界寺の阿弥陀堂を原作としています。 -
そして、孝養門から池をはさんで奥に見えるのが堂々たる本殿。
ここもなんだか見覚えのある形でしょう? -
屋根の上の飾りを見ると、ほら!
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鳳凰の飾り。
そう、本堂は宇治の平等院鳳凰堂をお手本にした建物なんです。 -
色や装飾は独自のものになっていますが、平安時代の仏教建築の最高峰と言われる藤原時代の様式を取り入れています。
手前の池は年末の掃除中。
清掃の人が池に入って池の中に落ちた石などを拾っていました。 -
本堂の翼楼に安置されている釈迦如来坐像(重文)。
東京国立博物館にあったのを、請うてこちらに収めたのだそうです。 -
まだありますよ。
本堂右手の高い所には多宝塔。
滋賀県大津の石山寺の多宝塔を原型としたものです。
ここまでやるなんて、すごいなぁ。
境内の中でもこの上段は、日光東照宮張りの門、平等院みたいな本殿、多宝塔に池、と国宝有名どころを思わせる建物に囲まれていて、一番の見どころです。 -
スタンプラリー、2番目の押印場所はここ、「千仏洞地獄峡」です。
長さ約350m、最深部の深さ15メートルの洞窟です。
内部は彫刻絵と1000体の仏像でもって地獄と極楽が表されているとのこと。
入口に「現在の温度。堂内6℃、洞外9℃」とあります。
中は寒いみたい。
では、入って見ましょう。 -
千仏洞地獄峡(せんぶつどうじごくきょう)ですよ。
おどろおどろしい名前。
でも地獄と極楽を表すと聞くと興味ある〜♪
こんな通路を進みます。
富士山の溶岩と浅間山の焼石で岩組みされた壁に仏様が埋め込まれています。 -
いきなり、こんな恐ろしい場面が!
これはもしかして閻魔大王が亡者の罪を裁いているところでは? -
順路に沿って八大地獄の彫刻絵が並んでいます。
生前に犯した罪の大きさによりさまざまな地獄へ落とされることになるのです。
第一 等活地獄(とうかつじごく)
第二 黒縄地獄(こくじょうじごく)
第三 衆合地獄(しゅうごうじごく)
第四 叫喚地獄(きょうかんじごく)
第五 大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)
第六 焦熱地獄(しょうねつじごく)
第七 大焦熱地獄(だいしょうねつじごく)
第八 阿鼻地獄(あびじごく)
写真はそのうちの一枚。
第一地獄の等活地獄。生き物を殺した罪で落ちる地獄です。 -
これは第二地獄の黒縄(こくじょう)地獄。生き物を殺した罪に加え、盗みを犯すとここに落とされます。
ちなみに日本の地獄観では罪を償うと極楽へ行けることになっていて、たとえば一番深い阿鼻地獄からは26億年罪の償いをすれば極楽へ行けることになっているそうです。気が遠くなる話です。
一部だけ載せましたが、洞窟の細い通路の壁にはこんな風に恐ろしい地獄絵図が並んでいて身の毛ががよだちます。暗い通路はまだ下へ下へと続いています。 -
絵はさらに続き、次に六道(りくどう)の絵が並びます。
仏教には輪廻転生という考えがあります。生前の行いによっていろいろなものに生まれ変わるという考えで、生まれ変わる先によって6つの道があります。
地獄道
餓鬼道
畜生道
修羅道
人間道
天道
生まれ変わった先ではさまざまな苦しみを味わわなければなりません。人間道に生まれ変わった者が味わう苦しみは生苦、老苦、病苦、死苦なのだそうです。
写真は餓鬼道の絵です。 -
これは修羅道。
終始闘い争う世界です。
絵はたくさん並んでいますが、省略して、次に現れたのは「煩悩解脱への道」の絵。 -
煩悩解脱への道
絵によると、煩悩解脱への道は悟りの段階によって声聞(小乗)、独覚(中乗)、菩薩(大乗)の3段階に分かれていました。声聞は仏の教えを聞いて個人的な利益だけを求める修行の段階。菩薩は悟りを求め、多くの人々を救い自らも成仏することを言うそうです。
これは菩薩を描いた絵。
絵がだんだん明るくなって来ました。 -
絵が並ぶ通路が終わると天井の高い小さな部屋が現れました。
たくさんの仏像がびっしり並んでいます。 -
だんだん極楽へ近づいているのでしょうか?
-
通路はまだ下へと続いています。
テーマパークのアトラクションを経験しているような気になる〜。
この先何が出てくるのか、なんだかちょっと楽しい。 -
池が現れました。
地底の洞窟らしく、じめじめしています。
この飛び石は順路ではないので渡りません。
通路から見えるだけ。
もし渡らなければならないのなら、落ちる人続出ですよね。
地獄を見た後で脚に震えが来てますもの。 -
そして出て来たのがこの部屋。
細い滝からは水が流れ落ちていて、水音が洞窟に響きます。 -
仏様が3段に並んで壮観です。
さっき絵で見た「煩悩離脱への3段階」を表しているのでしょうか?
350mもあったのかどうかわかりませんが、千仏洞地獄峡、いや〜見応えありました。 -
洞窟を出ると、目の前に巨大な観音像がどかーんと立っててびっくり。
これが極楽かぁ〜。
救世観音大尊像。 -
法隆寺夢殿の本尊、救世観音をお手本にした像で、台座からの高さは15mもあります。
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ひときわ高い所に建つ茶祖堂。
調べてみると、ここで茶道の催しをするようです。
曲がりくねった石段を登って見に行きます。 -
茶祖堂。
江戸時代末期の伝統社寺建築様式で建てられていて、どうもここは唯一(?)モデルのない建物のようです。 -
ここから見下ろすと、なんと!
銀閣寺を思わせる建物が!
「銀竜閣」と言って内部は茶室になってるらしいです。 -
こちらには法隆寺の夢殿そっくりの建物!
よく中国が外国のパクリをしてるって問題にするけれど、ここは徹底的に有名寺院を手本にしています。 -
でも、一個人がここまでやったことに感動すら覚えます。
飛鳥時代、平安時代、室町時代、江戸時代など各時代の伝統社寺建築を一同に揃えています。有名社寺をモデルにしながらもテーマパークのように上っ面だけを真似しているのではありません。細部にまでこだわった本格的な伝統社寺建築。図面を手に入れ建築技法にまでこだわった建物があるかと思えば、一部の要素だけを取り入れ独自に設計した建物もあります。そして独創的な凝った装飾。
パクリと言っていいのかわかりませんが、たとえ元はパクリであったとしてもここまでやれば本物、そんな気がしました。 -
耕三寺家代々の墓。
耕三寺耕三さんもここに眠っているのでしょうか? -
さて、スタンプラリー3番目のチェックポイントは「未来心の丘(みらいしんのおか)」。
お寺の後ろの高台に5000平方メートルに渡って広がる白大理石のアートの丘です。
お寺とどう関係があるのかわかりませんが、これがまた凄いんです。 -
エレベーターで上った後、このような白い道が続きます。
なんと豪華。
これ全部、白大理石で造られています。
イタリア、トスカーナ州にあるカッラーラで取れた大理石を使用しているそうです。イタリア、ピサの斜塔とドゥオモがやっぱりカッラーラ産の白大理石をふんだんに使っていたのを思い出します。 -
世界を舞台に活躍している彫刻家 杭谷一東(くえたにいっとう) 氏が制作を担当しています。
この作品は「未来からの炎」 -
これ、オリープの樹です♪
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イチオシ
大理石の白が目に眩しい。
大理石はイタリアからコンテナ船で運んできたんだそうですよ。
すごいですねー。
広いですよ〜。
これだけ贅沢に大理石を使っている所は日本では珍しいのではないでしょうか? -
光明の塔。
男女の顔を表しているのですね。 -
階段はくねくね。
同じ歩幅でポンポンという訳にはいかないので、上り下りには結構気を使います。
これもすべて作品ですものね。 -
ここからの眺めがまたいいんです。
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-
ここには洞窟みたいに仕立てたカフェ(右手の建物)もあってひと休みできます。
カフェ・クオーレは建物も内装も、イス・テーブルに至るまで杭谷一東氏のデザインで、雰囲気良さそうです。
残念ながら、時間の都合上、私たちは入りませんでしたが、入口のメニューにはピザ、ドルチェ(デザート)、飲み物、ワインなどがありました。 -
空に飛行機雲が。
浄土真宗のお寺に来て、こんな風にイタリアみたいな景色を見ることになるとは・・・。
目にも眩しい未来心の丘と瀬戸内海の眺めを目に焼き付けます。
白大理石の上をもっと歩きたくて、帰りはエレベーターを使わず階段で降りました。 -
本堂の裏手を通って、スタンプラリーの次のチェックポイントに向かいます。
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親鸞上人像。
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さっき高い所から見えて気になっていた八角円堂。
八角円堂は法隆寺の夢殿をモデルにしていますが、規模は二分の一に縮小されています。 -
なんとお城まである〜!
案内図を見てもこれに関しては何の記述もなく、何の建物だかよくわかりません。
入口に 「潮聲文庫」と書かれていました。
書物が納められているのでしょうか? -
そしてここがスタンプ・ラリー第4のチェックポイント、お母様が住まわれていた潮聲閣(ちょうせいかく)です。お母様の死後、その菩提を弔うためにこの地に耕三寺が建てられましたから、耕三寺建立の原点と言えるでしょう。
父親亡き後、どんな時も陰日向なく見守り続けてくれたお母様のために、耕三寺氏が建築したお屋敷です。
ここ、境内の端の方にあるので、スタンプラリーをやっていなかったら見落としていたかもしれません。中へ入ってみます。 -
観覧者入口を入ると華麗なステンドグラス。
どこか大正〜昭和初期のレトロな雰囲気があります。
なんと、親切にも係の人が内部を案内してくれました。
他の見学者と掛け持ちでの案内らしく、説明だけしておいて自由に見学させておきどこかへ行ってしまう。次の部屋へ進むとまた飛んで来て説明してくれる、という具合です。 -
ここは浴室。
広いです。
窓ガラスが昭和レトロ〜。 -
居間。
耕三寺氏のお母様の家にしては意外に質素かな?。
隅っこに手洗い場が設えてあります。 -
応接室。
こちらはさすがに立派。
でも、次に日本家屋部分を見て、私たち、うーんと唸ってしまいました。 -
ここが老人室。
お母さまの部屋です。
襖絵は梅にオシドリ。
畳には炉が切ってあります。 -
書院造りですね。
床の間の像が耕三寺氏のお母様です。 -
説明してもらって初めて気づいた美しい欄間。
うわぁ、個人の部屋でこの凝りよう・・・。
梅にセキセイインコですかね。 -
上を見ると、天井もこのとおり。
枠の中に一枚一枚違った花鳥が描かれています。
お母さまの部屋が応接間より立派ですね。 -
別の部屋。
掛け軸の絵は耕三寺耕三氏の肖像画です。 -
そしてお庭。
私、おじいちゃんが住職をしていたお寺の庭を思い出してしまいました。
こんなに広くもなくこんなに立派でもありませんでしたが、あんな平たい丸石があった〜。 -
「玄関です」と説明されて、一瞬、普通だなと思ったのですが、こちらは家人用とのこと。
-
こちらがお客様用の玄関。
うわぁ、立派! -
お客様用の玄関2
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お客様用の玄関3
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仏間。
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井戸のある庭。
お母様の住まいだった潮聲閣、入ってみて良かったです。
スタンプラリーをやらなければ見落としていたかスルーしていたかもしれません。 -
畳が横向けに敷かれた廊下。
御殿みたいです。
洞窟に大理石の丘、お母さまの住まい・・・もう十分堪能しましたが、スタンプラリーはうまくできていて、最後に道路を渡ったところにある仏教美術展示館、金剛館が最後のチェックポイントになっています。夫は「博物館はもういいよ」と言いますが、ここでやめるのはもったいない。ここまで来たからには寄って最後のスタンプをもらわねば。 -
スタンプラリーのゴール、金剛館(仏教美術展示館)。
最後のスタンプを押すと記念の絵はがきがもらえました。
中は二階が企画展、一階が常設展で、重要文化財の釈迦如来立像をはじめ、貴重な美術品が展示されていました。「博物館はパスしよう」って言ってた夫の方が感心していました。なお、内部は写真は禁止でした。
スタンプラリーをやりながら境内を回って来て、平安時代から未来の丘まで時代を駆け巡ったような気がします。耕三寺、驚くべきお寺でした。京都でも奈良でも鎌倉でもない瀬戸内海の島にこんなお寺があったなんて・・・。
有名寺院を模したり極彩色を施した堂塔には、最初はちょっと違和感を覚えましたが、見て回るうちに徐々に感動を覚えるようになって行きました。耕三寺氏は、お母様が生前憧れていた東照宮や宇治の平等院に似た建物を造ることでお母様に喜んでもらいたかったのかもしれません。最初の違和感はどこへやら・・・。ここまでやった耕三寺さん、凄いです。
これで耕三寺を後にします。 -
行きに目をつけておいた、しおまち商店街のお肉屋さん、岡哲商店。
タレントの誰々が訪れてコロッケを食べただの、何々の番組で取り上げられただの、黄色い紙にびっしり書いて貼ってあります。コロッケが人気みたい。 -
私たちも買ってみました。
一個80円。
どうってことないシンプルなポテトコロッケでした。
温かくて美味しかったです。 -
しおまち商店街ではお土産を買いました。
はっさくケーキやレモンクッキー、ゼリーなど。
瀬戸田は広島レモンやはっさくの名産地なんです。
この時期、観光客はほとんどいませんでしたが、試食させてもらってお店の人とのやりとりが心地よい。 -
因島のはっさくゼリーを買ったお店では「レモン一個入れときますね。このレモンは皮まですりおろして食べられますよ」と売り物の中からひょいとレモンを一個おまけに入れてくれました。
旅先ではそういう人情が嬉しいもの。
瀬戸田は人が温かい町だったなぁ。 -
瀬戸田港。
小ぢんまりした建物です。 -
12時15分発、瀬戸内クルージングの船で尾道港へ向かいます。
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途中いくつかの港に止まりながら、尾道港までは40分弱。800円。
-
これは因島と向島を結ぶ因島大橋。
尾道と今治を結ぶしまなみ海道にかかる10個の橋の一つです。
瀬戸内海は、点在する島と島を結ぶ橋の景色が美しい。
次は今回の旅行最後の観光になります。
尾道タウンエリア。
千光寺公園から見下ろす尾道水道の眺めをぜひ見てみたい。
曇って来たのが気がかりです。
(最終回へつづく)
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