2011/11/06 - 2011/11/06
812位(同エリア1514件中)
滝山氏照さん
JR立川駅南口からバスにて約10分「福祉会館」下車、奥多摩バイパスとJR中央線高架が交差する地点から急涯を登り切った立川氏館(たちかわしやかた、東京都立川市柴崎町)を訪問しました。
現在は普済寺(ふさいじ)と称する臨済宗建長寺派寺院となっていますが、立川氏は平安時代後期から鎌倉時代にかけて存立した武蔵七党の一つである西党の日奉氏に属した豪族であったと伝えられています。
文和4年(1355)に立河宮内少輔宗恒による開基とされますが官位名を中心に考えると鎌倉時代よりもずっと後ではないかと思われます。
南北朝時代では分倍河原の合戦場に隣接していることもあり鎌倉公方と関東管領上杉氏との争い、または一時武蔵南部に勢力を有していた扇谷上杉氏と小田原北条氏との争いをなどの舞台になっており、当然ながら当館も戦いに巻き込まれていたと思われます。
戦国時代では北条氏の武蔵国進出に伴い立河氏も八王子滝山城主である北条氏照(ほうじょう・うじてる)支配下に置かれたと思われますが、具体的にはどのような役割を務めたのかわかりません。
天正18年(1590)いわゆる豊臣秀吉による小田原征伐で小田原城開城、4代目氏政(うじまさ)及び氏照の切腹、5代目氏直(うじなお)の高野山追放により北条氏滅亡、北条氏に帰属の立河氏も連動して豊臣軍勢により攻撃を受けたものと思われます。
南北朝時代に敷地内に別な名前で寺が建立されましたが、立河氏滅亡後寺名が変わり現在の普済寺となっています。
自分は30数年前に一時的にこの周辺に居住した事がありますが、当時は先に訪問した歴史民俗資料館や普済寺については知らず、今般の初回訪問で歴史のダイナミックな動きを感じ、現在の多摩西部中核都市に至る立川市の変遷を改めて認識した次第です。
2023年5月15日追記
境内に設置の説明板には下記のごとく記述されています。
「 東京都指定史跡
立 川 氏 館 跡
所在地 立川市柴崎町4-20-46
指 定 大正8年10月
平成6年2月22日
玄武山普済寺は、開山は物外可什禅師、開基は立川宮内少輔宗恒により文和2年(1353)に創建されたとされます。立(河)川氏は武蔵七党西党日奉氏の支族で、地誌類の記述や、多摩川を睨む眺望・防御に適した立地、現在も山門脇に残る土塁、普済寺北側の通称首塚から発見された板碑80余基などから、この普済寺の地が立川少輔の居館とされます。この鎌倉時代の居館に南北朝時代に屋敷内に寺(普済寺の前身)を建立し、戦国末に立川氏滅亡した後に現在の普済寺となったとされてきました。
平成8年(1996)以降の発掘調査等により、15世紀前半から16世紀前半にかけての**に伴う建物跡、井戸跡、門跡、*列跡や東側土塁跡から区画を示すV字溝などの遺構が発見されています。居館は切り立つ段丘崖と直行する東西2本の土塁や地割などから寺域を囲む長方形型区画の居館が想定されていますが、地中レーダー採査による想定範囲を超えた区画溝の痕跡もあり、居館の範囲や居館と寺院の変遷過程の再検討が必要です。
平成22年3月 建設
東京都教育委員会 」
- 交通手段
- 高速・路線バス JRローカル 徒歩
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普済寺(ふさいじ)山門
堂々とした正門のたたずまいです。たまたま当日は雨天でしたがしっとりとした雰囲気でした。 -
玄武山普済寺
山門の右手に「玄武山」と山号が彫られた石柱が立派です。 -
石灯籠
荒削りで素朴な造りがむしろ強い印象を受けます。 -
イチオシ
土塁
参道を進みやがて左手に土塁が見えます。石垣は土塁の崩落を防ぐため後世に施されたと思われます。 -
立川氏館跡説明板
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土塁
工事中のためフェンスが敷かれ、近くまで立ち入る事ができませんが立派な土塁が墓地の方向に長く延びています。 -
土塁
立派な土塁の姿がなんとも言えません。 -
墓地に接する土塁
残堀川に面した墓地の際にはやはり土塁の残が見受けられます。 -
墓地に接する土塁
北西側の墓地にも土塁が確認されます。 -
高台の居館跡からの展望
南西に流れる残堀川(ざんぼりがわ)を堀に見立てて高台に居館を配置しています。 -
高台の居館跡から展望
往時は現在に比べ川幅も広く水量も豊かであったと思われます。 -
渡り橋から見る本殿
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普済寺・本殿
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普済寺宝物案内板
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普済寺・鐘楼
広々とした境内の右手に厳かに控えています。 -
イチオシ
六面石
立川市唯一の国宝として保存されています。 -
説明石碑
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普済寺 (平成24年3月19日再訪)
残堀川から普済寺を望みます。あたかも城壁を見ているようです。 -
首塚 (平成24年3月19日再訪)
「立川宮内少輔宗恒」之碑が墓所の奥にひっそりと佇んでいます。 -
首塚近景 (平成24年3月19日再訪)
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