2011/10/13 - 2011/10/18
241位(同エリア448件中)
杏樹さん
ハルビンは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ロシアがシベリア鉄道の支線を作り、その周辺をロシアの街として建設しました。そのため西洋風の建築、特にアールヌーヴォーの建築が多く残っています。
ハルビン市の東北部、現在の道外地区はロシアの支配から外れた土地で、中国人が多く住み、西洋建築を真似て怪しげな洋風建築が立ち並ぶ街を作りました。そこは「傅家甸(フージャデン)」と呼ばれました。それらの建物群は、その奇妙さから「中華バロック」と呼ばれ、今でも多くの建築が残っています。かなり古くてボロボロになっていることもあって、ますます奇妙な風景が広がっています。
2009年に一度行って、この不思議な光景に惹かれたためもっと調べたくなりました。しかし、この地区に関する調査研究は少なく、関連本もあまりありません。そこでどんな建物があるか、もう一度詳しく調べに行こうと思いました。それが今回の旅行記です。
ただ、旅行中に携帯を紛失したため、写真が不十分なところがあります。そういったこともあって、2009年に行ったときの写真もいくつか混ぜてあります。
まず、この地域を見にいくため道外地区のホテルを探しましたが、海外のホテル情報サイトを探しても見つかりません。北京の旅行社の日本語サイトでやっといくつか見つかりました。やはりこの地区には外国人が来ることはあまりなく、外国人向けのホテルはないようです。辺鄙で危ない所だったらどうしようと思いましたが、いざ着いてみると、屋台や庶民のお店が立ち並ぶにぎやかな所でした。ホテルは7階建てのきれいなビルでした。まだ新しいようです。
ホテルは大水晶街にあります。そこから北へ向かうと、中華バロックの中心地、靖宇街へ行くことができます。
中華バロック、つまりかつての傅家甸の中心街は靖宇街という通りで、道外地区をほぼ東西に貫いています。(厳密にはやや西南から東北へ傾いています)。この靖宇街を西の端から東の端まで、どんな建物があるか調べてきました。西から配置順に紹介していきます。
靖宇街周辺を散策しているつもりで見ていただければと思います。
まず靖宇街の一番西は景陽街という大きな通りに突き当たっています。そこから出発して東に向かい、まず最初に南北を横切る通りが「頭道街」です。そしてさらに順番に二道街、三道街、と東に向かって数字が大きくなっていきます。さらにこの「○道街」は、靖宇街を境に北と南に分かれ、南頭道街、北頭道街、南二道街、北二道街、という名前になります。
この時の旅行記を出版しました。
「世界史オタク 上海・ハルビンを行く」(水原杏樹:著 文芸社)
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E3%82%AA%E3%82%BF%E3%82%AF-%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%8F-%E6%B0%B4%E5%8E%9F-%E6%9D%8F%E6%A8%B9/dp/4286144658/ref=sr_1_15?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E3%82%AA%E3%82%BF%E3%82%AF&qid=1600701003&sr=8-15
本の中には靖宇街を中心として建物の位置などを記した地図があります。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 2.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 航空会社
- 中国南方航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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景陽街の劇場です。現在は「二人転」というハルビンの伝統芸が行われているようです。1929年、中央大劇院として建てられ、1932年に平安電影院となり、1950年に水都電影院になり、1956年に新聞電影院になりました。(2009年撮影)
この道路を渡ると靖宇街に入ります。 -
景陽街と靖宇街の交差点の東北にある建物です。看板は残っていますが閉鎖中。
左右に延びるのが景陽街、右奥に延びる道が靖宇街です。 -
景陽街から靖宇街へ入った町並み。
右奥に有名な中華バロックの「純化医院」が見えます。 -
上の写真の真ん中の建物の細部です。上部にそれぞれ異なる装飾が施されています。
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中華バロックといえばこれ、純化医院。ゴテゴテ装飾が見ものです。
南頭道街の角に建っています。
1920年、同義慶百貨店。 -
純化医院。靖宇街側。
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ここから南頭道街へ入ります。
南頭道街は大工事中。2009年に行った時はほとんど廃墟が並んでいるさびれた通りでしたが、今回片っ端から修復されていて驚きました。
南頭道街の西側の建物は修復不能のものが多く、壊して建て直ししているということですが、東側の建物はある程度本体を残して修復しています。ほとんどの建物が修復途中で真っ白で、これから塗り直しをするところでした。 -
南頭道街。東側の修復中の建物。
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南頭道街。修復中の建物の内部。
中華バロックの建物は基本的に内部は中庭になっています。集合住宅の場合、庭に面してそれぞれの入り口があり、2階へ上がる階段と、ベランダ状に回した廊下があります。 -
同じく、建物の中庭の部分。
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南頭道街の南の方にある、もと天豊源雑貨店。1915年。
正面玄関の二本柱の装飾、基礎部分が西洋建築と似て非なる様式で、さらにその上部の装飾も混沌状態の、まさしく中華バロック。 -
ちなみに、こちらが2009年に行ったときのもの。
外壁だけになっていて、このままつぶれてなくなってしまうんじゃないかと心配しました。 -
靖宇街に戻って、北頭道街に入ります。
靖宇街と北頭道街の交差点の西北角。左側が靖宇街側、右側の通りに入ると北頭道街。
旧泰来仁皮革鞋帽店、1927年。 -
北頭道街を北上します。
まず東側に見えてくるのが旧大羅新百貨商店、1921年。
傅家甸で最初に開かれた本格的な百貨店。のちに同記百貨店と名前を変えて、靖宇街の南四道街と南五道街との間に移り、現在では「同記商場」というショッピングセンターになっています。 -
旧大羅新百貨商店の隣の建物。年代不詳。
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その隣の建物。もと銀行。2009年撮影。
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さらにその北側の旧廣和盛旅館。今もホテル。
昔は正面のてっぺんの空白部分に右横書きで「廣和盛」という屋号が書いてあったそうです。 -
同じく、廣和盛旅館。
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北頭道街をさらに北へ行き、升平街に入ります。升平街は靖宇街の一筋北の通りです。ここにはかなり古い建物が並んでいます。
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升平街。ほとんどゴシックホラー。
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靖宇街に戻ります。
南二道街と南三道街の間にあるスイーツの老舗、「老鼎豊」。1915年。ハルビンのあちこちにチェーン店があります。
こちらは靖宇街側ですが、南三道街の角にも入口があります。アイスクリーム、クッキー、ケーキを売っていて、中で食べることもできます。
とてもおいしかったので、クッキーを箱詰めにしてもらって会社のお土産にしました。 -
北三道街の角の旧ハルビン中国銀行。1911年。
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北三道街を北に入りますと、露天の市場が並んでいます。庶民的な雰囲気一杯の通りです。
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土曜日にはのみの市が開かれます。南四道街と南頭道街の間の道路にお店が出ます。骨董からガラクタまでいろいろ。
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南三道街と南四道街の間は修復中。これはのみの市の前の日に行った時の写真。白く塗っているのではなくて、白い所をグレーに塗っています。南頭道街の真っ白の修復中の建物を思い浮かべると、まず真っ白にしてから色を塗っていくようです。
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南四道街、西側の角の修復建物。ピカピカすぎて、周りから浮いています。
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北四道街の角。上の建物の向かい。
左側が靖宇街、右側が北四道街。 -
北四道街を北上します。西側に旧交通銀行ハルビン支店。1930年。
銀行らしい立派なジャイアント・オーダー(柱)を備えながら、正面に獅子がいたりします。2009年撮影。 -
北四道街をさらに北上。「松光電影院」ということは、映画館だったということですが、中をのぞいてみても全くそれらしい面影はありません。2009年撮影。
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北四道街。
相当古い建物ですが、人は住んでいるようです。冬のハルビンでは、ネギや白菜がよく干してあります。 -
北四道街の建物で中の方に通路があったのでのぞいてみました。南頭道街の修復建物で見たのと似た形式で、中庭に階段とベランダ状の回廊を作った形式です。ほとんど廃墟かと思うほど古びていますが、パラボラが付いているところを見ると、現代の人がちゃんと生活しているのでしょう。
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靖宇街に戻ります。
北五道街の角。右奥へ続く通りが靖宇街、左へ行くと北五道街。 -
北五道街。
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南五道街、西側の角。装飾が少なくてそれほど古い建物ではないように見えますが、一応保護建築のプレートがあります。年代、詳細とも不詳。
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南五道街、東側の角。左側が靖宇街。
旧大東書店、1917年。 -
上の建物の続き。靖宇街側。
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南小六道街、西側の角。六道街は細い小六道街と、広い大六道街があります。
亨達利眼鏡店。
ねじり柱がヘン。特に窓の真ん中に柱があるのが変です。中華バロックにはよく窓の真ん中に柱が渡してありますが、よく見ますと柱ではなくて太い窓の桟に柱状の浮彫を取り付けてあるのです。窓だけではなく、正面両側の柱もそうです。柱と言うより、壁に柱状の装飾が埋まっているのです。 -
北小六道街、西側の角。1921年の建物。もと人民同泰薬店。現在は「薬」の名前だけを残したデジタル機器、カメラなどの店になっている模様。(哈=哈爾賓、数碼=デジタル)。
右の細い通りが北小六道街、左が靖宇街。 -
靖宇街、北小六道街と北大六道街の間。(上の建物が左奥に見えますので、位置関係がわかります)。
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上の建物と同じ。
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上の建物の向かい側。
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南大六道街、西側の角。上の建物の左端です。
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北大六道街、東側の角。左が北大六道街、右が靖宇街。
上の建物の斜め向かい。 -
北大六道街。共済会堂、1936年。
プロテスタントの教会で、今も現役。2009年撮影。 -
南大六道街、東の角。
亨得利(フンダリー)眼鏡店。1925年開店の老舗。
古い建物に不似合いな派手で大きい看板をつけるのは何とかならんものか…。 -
上の亨得利眼鏡店のメダイヨンのアップ。2009年撮影。
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南大六道街の建物。
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北七道街、西側の角。1920〜30年代。
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上の建物の窓枠の細部。柱が単なる浮彫りなのがわかる。
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南七道街、西側の角。1920〜30年代。
この正面の柱も埋め込み。 -
南七道街の建物。
柱の模様がねじり模様と縦線のミックスなのはどういうつもりなのか…。 -
北七道街、東側の角。
1920年代、としかわからないが、かなり大きくて端正で立派な建物。現在は病院。 -
上の病院の靖宇街側、正面入り口。
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南八道街、西側の角。左が南八道街、右が靖宇街。
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南八道街、東側の角。左側が靖宇街。
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南八道街と南九道街の間。
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北八道街と北九道街の間、つまり上の写真の向かい。
左奥が北八道街。 -
北八道街のゴテゴテ中華バロック。
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北八道街と北九道街の間。二つ上の写真の続き。
右奥へ行くと北九道街になります。 -
北九道街、東側の角。
旧銀京写真館、1934年。 -
北九道街。窓枠がバラバラ。2009年撮影。
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南九道街。
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北十道街、西側の角。1910年。
左が靖宇街、右が北十道街。 -
上の建物の細部。柱の中心にに変な装飾をつけるのは純化病院と同じ?
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十一道街を越えると、中華バロックはなくなっていきます。
南十六道街まで来て現れるのが、1920年の旧新世界飯店。現在はハルビン市第四病院です。
新世界飯店は、傅家甸地区にできた最高級ホテルです。
中華、西洋料理、両方のレストランを備え、バンケットルームで結婚式などの式典もできました。結婚式の時はワーグナーとメンデルスゾーンの「結婚行進曲」が奏でられたそうです。コーヒーがおいしいことでも有名でした。 -
上の建物の細部です。やはり柱は埋め込みです。
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南十六道街の東側にあるのが、旧東興順旅館です。現在は銀行です。修復されているらしく、妙にまっしろです。左が靖宇街、右が南十六道街。
1930年代に「ハルビン新報」の編集部がありましたが、共産党系の幹部が抗日を訴える新聞だったため、発刊停止になりました。
南十六道街はお店がたくさんあって、露店も出ていてとても賑やかな界隈です。 -
上の東興順旅館に滞在していた、簫紅という作家がいます。
簫紅は1911年、ハルビン郊外の呼蘭河という小さな町に生まれました。ハルビン、北京、上海、香港、日本、と流浪を続け、31歳の若さで亡くなりました。魯迅とも親交があり、上海で魯迅の家に出入りしていました。
ハルビンにいたときはここに滞在していたということで、簫紅の記念館があるとのことでしたが、やっとこの標識を見つけたものの、入口は閉められひっそりしていました。この建物は大きくて、銀行として使われていますが、この入口は使われていません。この標識以外何の案内もなく、記念館はいつの間にかなくなってしまったようです。 -
十六道街近辺は上の写真のようにかなりにぎやかな地域ですが、そこを過ぎるとだんだん閑散としてきます。
北十八道街を越えると、また中華バロックが現れました。1901年。 -
上の建物の少し先に行ったところです。
周恩来が1910年代、20年代に訪れた建物だそうです。
靖宇街は南二十道街で靖宇公園に突き当たって終わりです。
靖宇街はバスが通っていますので、バスに乗れば景陽街に戻れます。 -
おまけのホテル。
大水晶街にある、東易世家賓館。赤い縦のネオンはシースルーエレベーター。
ご覧の通り夜も屋台でにぎわっています。もともと傅家甸は庶民街で、普通の中国人が普通に暮らしているところです。中華バロックは継続修復中ですが、日本人は全く見かけず、中国人も観光客らしき人は全く見ませんでした。 -
ホテルの部屋です。紛失した携帯にはベッドメイクされていて、もう少し全体が見渡せる写真を撮っていたのですが、仕方なく出発前にカメラで撮り直し。手前はシャワー室の入口です。ガラス張りで、中央部分がすりガラスです。
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