マウンテンフライトで見たネパール・ヒマラヤ

2008/12/25 - 2008/12/25

白きたおやかな峰、神々の座。いつかヒマラヤを見たい、トレッキングしたいと思っていたが、ためらっているうちに年齢を重ねてしまった。しかたがない、観光旅行でよいからネパールに出かけ、ヒマラヤを見ておこうと思った。


日程が限られているので個人旅行とし、ヒマラヤ観光開発に手配を依頼した。

カトマンズではマウンテンフライトを使ってエベレストを眺める計画である。

幸いにも天候に恵まれ、マウンテンフライトではネパール・ヒマラヤの８０００メートル級の山々を全て見ることができた。

エリア カトマンズ(ネパール)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 旅行の手配内容: 個別手配

マウンテンフライトの日である。本来7時発のフライトであるが、例によって霧で出発が遅れるとガイドのラジブさんは教えてくれた。ホテルを6時半に出て、空港に向かった。空港の駐車場でラジブさんは、しばらく待ってくださいといって消えた。一体どうなっているのだろうと心配になりかけたころ、彼が帰ってきた。良い席が取れましたよ、と誇らしげだった。私たちが乗るブッダエアーの席は窓側だけである。その中で、最後尾が最も眺めが良い。彼はその9Aと9Cのチケットを持っていた。相当に、苦労したに違いない。

飛行機への案内は9時過ぎであった。行きは左側の席に、帰りは右側の席にヒマラヤが見える。ネパール旅行では、山好きの私に気を使って、妻はずっと窓側の席を譲ってくれた。いつまでもこれではいけない、同じ条件だからと説得して、妻に左側に座ってもらった。私はカメラを取り出して、準備を整えた。感度を上げたので、シャッタースピードは1/1250から1/1500となった。

飛行機が上昇するとすぐにヒマラヤが見えた。妻が時々窓を譲ってくれるので、ずっと様子が分かり、写真を撮ることもできた。チベット側にあるシシャパンマの丸っこい姿がはっきりしている。

つぎつぎに現れる山々を眺めていると、前方に黒いピラミッドが見えた。エベレストだ。波状のローツェの稜線を伴っている。そのうちに右側の席の客は順番に操縦席に案内された。私の番が来た。すぐ前にエベレストがある。
「エベレストはどれですか」
いつも聞かれる質問だろう。
「あれだよ」
キャプテンはゆったりと答えた。やはりそうなのだ。エベレストをこんなに近く、こんなにはっきりと見ることができるとは思ってもいなかった。三島から富士山を見る感覚である。雲はほとんどなく、稜線から右側へほんのりと雪煙が立っているだけだ。

席に帰ると飛行機はすぐに向きを変えた。私の側からエベレストがはっきり見える。

マカルーもちゃんと見える。

遠くにカンチェンジュンガが聳えている。

まだ、エベレストがはっきりしている。望遠を使わず写真を撮った。

周囲の山々も立派だ。それぞれの山は、のみで削られたように荒々しい。帰りのほうが山に接近している。

チョー・オユーが大きくなってきた。

この先はチベットですとアナウンスがあった。遠くに一連の小ぶりな山が雪をまとっている。その先ははてしない茶色の高原である。

撮影に熱中していると、これから山を越えるというアナウンスがあった。山肌と氷河が窓一杯に広がって怖いようだ。ヒマラヤ襞の一つ一つがくっきりと見える。

こうなると見ている風景はアルピニストの世界だ。飛行機が落ちるときの光景もこのようだろうな、とふと思った。

山脈を越えるとき、キャプテンはヘーイと掛け声を掛けた。風がなく、晴れ渡った絶好の飛行日和で、キャプテンも上機嫌だったのだろう。

またコックピットに案内された。チョー・オユーのなだらかな山頂がすぐ近くだった。

やがて飛行機は帰路についた。

エベレストが遠くなる。

夢のような時間は終わったのだ。マナスルが見えてきた。

遠くにアンナプルナの屏風もある。その左側、谷をはさんで見えるのはダウラギリだ。

ヒマラヤはネパール・ヒマラヤ、カラコルムそしてヒンズークシュに分かれている。世界に14座ある8000メートル級の山のうち、ネパール・ヒマラヤにあるのは9座である。Ｋ２、ナンガパルバートなど残りの5座はカラコルムにある。今日のマウンテンフライトではネパール・ヒマラヤの8000メートル級の山、すなわちエベレスト、カンチェンジュンガ、マカルー、ローチェ、チョー・オユー、シシャパンマ、マナスル、アンナプルナ、ダウラギリをすべて見ることができた。信じられないことだ。

待っていたラジブさんは
「眺めはどうでした」
と聞いた。実は地上の天気は芳しくなく、心配していたのだそうだ。
「イヤー素晴らしかった、そしてあなたのおかげですよ」
と詳しく説明した。
「運が良かったのですね」
ラジブさんはびっくりしていた。

この旅行記へのコメント （4）

• rinnmamaさん 2016/07/13 14:35:45

  ヒマラヤは山男でなくても魅力的で、ハートは射貫かれますね

  Takashi様へ
  
  ご訪問・ご投票頂きまして有難うございます。
  プチ旅の準備などに追われていまして、コメントも残せずにおりました。
  
  名古屋からのご出発ですので、愛知県民ですかしら？と拝見させて頂きました。
  私は夫の転勤で愛知県民になったのですが、静岡県より長くなりました。
  
  さて、表紙のペンギンの旅行記を探しておりましたら、ヒマラヤのフライトを発見。。
  素敵で感動的なフライトに、ご一緒させていただきました。
  
  友人に山男・山女が沢山おりましたが、彼らでなくても目の前で見てみたいです。
  
  Ｔakashiさまは本格的なカメラですので、迫力もあり綺麗な画像なので見ごたえ十分ですね。
  
  野鳥も難しいと思いますのが綺麗な画像にビックリです。
  
  私のような観光旅行は、ご卒業なさっていらっしゃるのですね。
  このような旅が理想ですが財力が付いていきません。
  でも、４ｔの良い所は理想とする旅行記に出会える事。。。
  
  素敵なカメラワークで楽しませて下さいませ。
  有難うございました。
  
  rinnmama

  Takashiさん からの返信 2016/07/14 10:43:03

  RE: ヒマラヤは山男でなくても魅力的で、ハートは射貫かれますね

  rinnmama様
  
  お便りありがとうございます。私ども、あちこち転々としましたが、20年以上前から、私の古巣の名古屋に落ち着いています。私の父は静岡県出身で、私の本籍地は静岡県です。ご縁がありますね。
  
  ヒマラヤの写真を楽しんでいただいてうれしいです。鳥の写真は難しく、先輩方に教わってやっているのですが、最近はすこしずつ撮れるようになってきました。
  
  一般的な観光旅行も興味があり、今回、残ったところをまとめてと、モニュメントバレー、バルセロナ、ドロミテなどミニ世界一周をしてきました。丁度帰宅して、自宅のパソコンを立ち上げたところです。ドロミテでは最終日に好天に恵まれ、楽しい山旅ができました。
  
  今後ともよろしくお願いいたします。
  
  Takashi
  
  
  
  
  

• ドロミティさん 2016/07/02 18:59:31

  ため息♪

  Takashiさん,こんばんは。
  
  神聖なヒマラヤの山々を拝ませていただき、ありがとうございました。
  ため息がでるほど素晴らしい眺めでした。
  南極クルーズもそうでしたが、お天気恵まれて素晴らしい観光をされていますね。
  きっと日頃の心がけもすこぶる良い方達なのだと確信いたしました^^
  
  Takashiさんがアップされた旅行記は、すべて一度は訪れてみたい魅力的な場所で、尚且つ叶えるには勇気と運と計画が伴わないとならない、手の届きそうにない憧れの地ばかりです。
  旅行記を拝見するだけでも、次は何処にしようかしら？と選択に迷っています*(^o^)*
  
  コルティナダンペッツォに移動されるのですね。
  東ドロミテエリアの絶景も満喫されますように♪　ﾄﾞﾛﾐﾃｨ
  

  Takashiさん からの返信 2016/07/03 04:48:49

  RE: ため息♪

  ドロミティさん
  
  おはようございます
  
  お便りありがとうございます。ヒマラヤ遊覧飛行、お楽しみいただいてうれしいです。それまでヒマラヤの山がうまく撮れず、条件を変えて何とかなった代物ですので。本当はエベレストのふもとまでトレッキングしたかったのですが、都合がつかないうちに年齢を重ね、ついに飛行機に乗りました。思いのほか良かったです。
  
  確かについていることが多い私たちですが、今回は、これはだめかなと思いました。それでも、少しでも天気が良ければ出撃して、どうやらお陰様で目的を達しました。今日も、朝に晴れ間があったので短く出かけて花を見てお昼には帰ってきました。午後はすごい雷雨でした。
  
  東ドロミテの方は、少しはましかな程度の予報ですが頑張ってこようと思います。
  
  Takashi