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ブカレスト到着翌日は知人の運転する車でブカレスト市内を見てまわりました。 <br />ブカレストは2年前に続いて2回目です。 <br />前回は国民の館やブカレスト発祥の地とされる王宮跡、民家を集めた農村博物館、凱旋門などといった有名どころを見てまわっています。 <br />今回は1989年の革命にまつわる場所を連れて行ってもらいました。<br /><br />午前中はチャウシェスク大統領夫妻が葬られているゲンチュア墓地に行ってきました。 <br />チャウシェスク大統領のお墓は最近になって作り直されたようで、赤い御影石の立派なものでした。 <br />中年の女性がやってきてろうそくを置いてさっと立ち去っていきました。 <br />昔を懐かしんでいるのでしょうか。 <br />しばらくすると風が吹いてろうそくの灯は消えてしまいました。 <br />我々のところに中年男が近づいてきてコインを見せました。 <br />どうやら物乞いなのでしょう。 <br />こちらが無視していると「日本人か?」と尋ねてきました。 <br />そうだと答えると、嬉しそうな顔をして、聞いたこともないような日本語の単語を連発します。 <br />知人によると「ドラゴンボール」のキャラクターだといいます。 <br />アニメは動画サイトど見ているようです。 <br />まさかこんなところでアニヲタに出会うとは思ってもみませんでした。<br /> <br />革命派と治安部隊の間で激しい銃撃戦が行われたという国営テレビ局を訪れたところで、ちょうどランチタイムの頃になったので近くのイタリア料理店に入りました。 <br />その日のブカレストは快晴で、日差しが強く暑いぐらいです。 <br />人々は夏の名残りをいとおしむかのように店の外のテラスで食事をしていました。 <br />知人の話によると屋外のテラス席をもたない飲食店はうまくいかないといいます。 <br />それほどまでにルーマニア人は夏の間は屋外で食事をすることを好み、いきおいテラス席のない店は敬遠されてしまうのだそうです。 <br />知人オススメのそのトラットリアは店構えの割には値段も手ごろで味も本格的でした。 <br />パスタもちゃんとアルデンテになっていました。 <br />ブカレストはルーマニア料理の店よりもイタリア料理の店を多く見かけます。 <br />またスペイン料理も少なくないそうです。 <br />イタリアとスペインには出稼ぎのルーマニア人がそれぞれ百万人はいるのではいなかということです。 <br />ルーマニアは東欧のラテン系なので言葉の障壁も低いうえに、EUに加盟して労働移民が容易になったことも手伝って大量のルーマニア人労働者がイタリアやスペインで働いているそうです。 <br />中にはレストランで働く人も少なくないのでしょう。 <br />われわれがイタリアやスペインで食べている料理も実はルーマニア人の手になるものということが不思議なことではないのかもしれません。 <br /><br />知人とイタリアンレストランでランチを取ったあと、ブカレストの中心である革命広場で車から降ろしてもらい、知人は先に自宅へ戻ってもらうことにしました。 <br />それというのも知人に疲労の色が濃かったからです。 <br />なんでもつい昨日までロンドンに出張していて、週明けからはウィーン、そしてモルドバへの出張が控えているといいます。 <br />知人はJETROのブカレスト代表をしているのですが、ブカレストに納まっていれば仕事が勤まるというものではなく、それこそ連日東奔西走の多忙な毎日を送っているようです。 <br /><br />革命広場は旧共産党本部の建物がある広場で、1989年の年末にチャウシェスクが大群衆を前に最後の演説を行った場所として知られています。 <br />ここには国立美術館もあるので見学することにしました。 <br /><br />国立美術館はレンブラントやエル・グレコなどヨーロッパの巨匠の作品を展示したヨーロッパ美術展とルーマニアの作品に特化したルーマニア美術展の二つのセクションに分かれていました。 <br />あまり時間の余裕もなかったのですが、二つのセクションを2時間ほど駆け足で見てまわりました。 <br /><br />ルーマニア美術展はイコンやイコノスタスなどの中世の宗教美術が大きなスペースを占めていました。 <br />金銀宝石をふんだんに使った絢爛豪華なお宝です。 <br />宗教美術のコーナーが終わるとルーマニア近代絵画のコーナーでした。 <br />おおむね19世紀後半以降の作品が中心でフランス印象画の影響を受けたものが多いように見受けられました。 <br /><br />国立美術館で見る限り、ルーマニア美術は中世の宗教芸術と近代市民社会になってからの作品の二本立てで、“近世”にあたるルネサンスやバロック、ロココといった時代のものはまったく存在しないかのようでした。 <br />単純に美術館のコレクションとして欠けているだけなのか、それともルーマニアは中世的な社会からいきなり近代国家に移行したのか、アートを見ながらもそんなことを考えていたのでした。<br /><br /><br /><br /><br />

墓場のドラゴンボール~ルーマニア&ウクライナ紀行②

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2011/09/24 - 2011/09/24

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池彼方

池彼方さん

ブカレスト到着翌日は知人の運転する車でブカレスト市内を見てまわりました。
ブカレストは2年前に続いて2回目です。
前回は国民の館やブカレスト発祥の地とされる王宮跡、民家を集めた農村博物館、凱旋門などといった有名どころを見てまわっています。
今回は1989年の革命にまつわる場所を連れて行ってもらいました。

午前中はチャウシェスク大統領夫妻が葬られているゲンチュア墓地に行ってきました。
チャウシェスク大統領のお墓は最近になって作り直されたようで、赤い御影石の立派なものでした。
中年の女性がやってきてろうそくを置いてさっと立ち去っていきました。
昔を懐かしんでいるのでしょうか。
しばらくすると風が吹いてろうそくの灯は消えてしまいました。
我々のところに中年男が近づいてきてコインを見せました。
どうやら物乞いなのでしょう。
こちらが無視していると「日本人か?」と尋ねてきました。
そうだと答えると、嬉しそうな顔をして、聞いたこともないような日本語の単語を連発します。
知人によると「ドラゴンボール」のキャラクターだといいます。
アニメは動画サイトど見ているようです。
まさかこんなところでアニヲタに出会うとは思ってもみませんでした。

革命派と治安部隊の間で激しい銃撃戦が行われたという国営テレビ局を訪れたところで、ちょうどランチタイムの頃になったので近くのイタリア料理店に入りました。
その日のブカレストは快晴で、日差しが強く暑いぐらいです。
人々は夏の名残りをいとおしむかのように店の外のテラスで食事をしていました。
知人の話によると屋外のテラス席をもたない飲食店はうまくいかないといいます。
それほどまでにルーマニア人は夏の間は屋外で食事をすることを好み、いきおいテラス席のない店は敬遠されてしまうのだそうです。
知人オススメのそのトラットリアは店構えの割には値段も手ごろで味も本格的でした。
パスタもちゃんとアルデンテになっていました。
ブカレストはルーマニア料理の店よりもイタリア料理の店を多く見かけます。
またスペイン料理も少なくないそうです。
イタリアとスペインには出稼ぎのルーマニア人がそれぞれ百万人はいるのではいなかということです。
ルーマニアは東欧のラテン系なので言葉の障壁も低いうえに、EUに加盟して労働移民が容易になったことも手伝って大量のルーマニア人労働者がイタリアやスペインで働いているそうです。
中にはレストランで働く人も少なくないのでしょう。
われわれがイタリアやスペインで食べている料理も実はルーマニア人の手になるものということが不思議なことではないのかもしれません。

知人とイタリアンレストランでランチを取ったあと、ブカレストの中心である革命広場で車から降ろしてもらい、知人は先に自宅へ戻ってもらうことにしました。
それというのも知人に疲労の色が濃かったからです。
なんでもつい昨日までロンドンに出張していて、週明けからはウィーン、そしてモルドバへの出張が控えているといいます。
知人はJETROのブカレスト代表をしているのですが、ブカレストに納まっていれば仕事が勤まるというものではなく、それこそ連日東奔西走の多忙な毎日を送っているようです。

革命広場は旧共産党本部の建物がある広場で、1989年の年末にチャウシェスクが大群衆を前に最後の演説を行った場所として知られています。
ここには国立美術館もあるので見学することにしました。

国立美術館はレンブラントやエル・グレコなどヨーロッパの巨匠の作品を展示したヨーロッパ美術展とルーマニアの作品に特化したルーマニア美術展の二つのセクションに分かれていました。
あまり時間の余裕もなかったのですが、二つのセクションを2時間ほど駆け足で見てまわりました。

ルーマニア美術展はイコンやイコノスタスなどの中世の宗教美術が大きなスペースを占めていました。
金銀宝石をふんだんに使った絢爛豪華なお宝です。
宗教美術のコーナーが終わるとルーマニア近代絵画のコーナーでした。
おおむね19世紀後半以降の作品が中心でフランス印象画の影響を受けたものが多いように見受けられました。

国立美術館で見る限り、ルーマニア美術は中世の宗教芸術と近代市民社会になってからの作品の二本立てで、“近世”にあたるルネサンスやバロック、ロココといった時代のものはまったく存在しないかのようでした。
単純に美術館のコレクションとして欠けているだけなのか、それともルーマニアは中世的な社会からいきなり近代国家に移行したのか、アートを見ながらもそんなことを考えていたのでした。




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  • 国営テレビ局近くのイタリアンレストランで食べたポルチーニのリゾットとムール貝

    国営テレビ局近くのイタリアンレストランで食べたポルチーニのリゾットとムール貝

  • 旧共産党本部。ここでチャウシェスクが最後の演説をしました。

    旧共産党本部。ここでチャウシェスクが最後の演説をしました。

  • 革命広場の中央にそびえる慰霊のモニュメント。

    革命広場の中央にそびえる慰霊のモニュメント。

  • かつての王宮が現在は国立美術館となっています。

    かつての王宮が現在は国立美術館となっています。

  • ブカレストのメインストリートのひとつヴィットリア通り。<br />高級ホテル、銀行、百貨店が建ち並んでいます。

    ブカレストのメインストリートのひとつヴィットリア通り。
    高級ホテル、銀行、百貨店が建ち並んでいます。

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